複雑・ファジー小説

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宵月町の幽霊退治人@第二話 夏=恋の季節
日時: 2012/06/14 18:48
名前: 乱舞輪舞 (ID: ./RSWfCI)

 宵月町は普通の町といったら普通の町で、変わっている町と言ったら変わっている町という、なんともあやふやな町である。

 一見本当にどこにでもある普通の町。

 だが本当は、謎の小さな傷害事件がよく起こる町。
 だから普通といったら普通で、変わってると言ったら変わっているのだ。

 そこで問題、宵月町の謎の傷害事件の犯人は“幽霊”である。○か×か。
 答え、○。

 そしてもう一問、その幽霊から宵月町を守ってくれている人たちがいる。○か×か。
 答え、○。

 最後の問題、幽霊から宵月町を守ってくれている人たちのことをなんという?
 答え、幽霊退治人。


読者様

揶揄菟唖様
ゆっ子様
あずき様

ありがとうございます!!

Re: 宵月町の幽霊退治人@第一話 狂いのお紺 更新!! ( No.14 )
日時: 2012/06/12 20:01
名前: あずき (ID: Wwp0q0mP)
参照: http:/

なにこれ面白い(>_<)
ということでコメしましたー!
なんかすごく文が上手だ…!!更新楽しみにしてます♪

Re: 宵月町の幽霊退治人@第一話 狂いのお紺 更新!! ( No.15 )
日時: 2012/06/12 20:30
名前: 乱舞輪舞 (ID: ./RSWfCI)

 二人がメタセコイアの木に目をやったその瞬間、五十メートルはあろう高さから、艶やかな赤い着物を着たキツネ顔の美しい金髪の女性がスタンと飛び降りてきた。
 ただし、頭からは黄金色の狐の耳、尾てい骨あたりからはゆるりとカールしたふさふさのキツネの尻尾が三本生えていた。
「人間霊? いや、狐の幽霊か?!」
 竜也はそう戸惑いながらも、日本刀を両手で構え、人間霊だか狐の霊だかよくわからない幽霊をしっかりと見据えている。
 美麗は腰まである長い黒髪を、赤い紐で後頭部の位置でひとまとめにしていた。これは美麗の小さな頃からの習慣。勝負事の時は必ず気持ちを引き締めるために、髪をひとまとめにするのだ。
 人間霊、はたまた狐の幽霊は不気味にニヤリと笑い、三本の尻尾をくねらせる。
「コーンコーーン!! 私の名前は狂いのお紺。元は人間でもあり狐だった」
 と、袖口を口に当てて悲痛に泣き叫ぶ声。どうかとは言えないが、なんだか悲しい感じが竜也にはした。
「私は騙された……騙されて、騙されて、捨てられたのよ!! コォォーーン」
 お紺が艶やかな着物を見せつけるように、両腕をばさっと開く。
「坊主、来るぞ!!」
 羅威が蒼い光りを解き放ち警告する。
「わかってるさぁっ!!」
 先程までゆるりとしフサフサのとしていたしっぽが、刃のように鋭く尖って竜也に向かって三つ同時に降り注いできた。
 それを竜也は持ち前の運動神経の良さで、ヒョイと飛び跳ねて避ける。
「小賢しいっっ!!」
 お紺は更にしっぽを操って竜也に向かってどんどんと迫っていく。その顔は美しいキツネ顔の女性の顔から、ただの狂気におちいった狐の顔へと変貌していっていた。
「お紺とやら、私を忘れないで欲しいんだが?」

 

Re: 宵月町の幽霊退治人@第一話 狂いのお紺 更新!! ( No.16 )
日時: 2012/06/12 20:23
名前: 乱舞輪舞 (ID: ./RSWfCI)

あずきさんへ

ありがとうございます!
文が上手だなんて嬉しすぎます(泣
そしてなにより、面白いとはっ
学校とかで忙しいですが頑張って更新しちゃいます。

Re: 宵月町の幽霊退治人@第一話 狂いのお紺 更新!! ( No.17 )
日時: 2012/06/13 11:00
名前: 乱舞輪舞 (ID: ./RSWfCI)

 いつの間にか美麗はお紺の背後に回っており、ニコリと異常なまでの笑みを浮かべながら、薙刀を三本の尻尾の付け根に向かって振り下ろす。
 が、しっぽは想像以上に硬く、カキーンという薙刀としっぽのぶつかる音しかしなかった。
「わたくしの刃がしっぽごときに……」
 薙刀の若菜が淡く紅い光を放ちながら呟く。
 美麗も薙刀としっぽがぶつかった時に手を痛めたらしく、右手首を軽く振りながら、左手で薙刀を槍のようにして構えた。
「ああ、そっちの嬢ちゃんもいたっけねぇ。でも、嬢ちゃんは頭は良さそうだけど坊ちゃんの方が強うそう……先に強いものから倒しておけと、言われたの。嬢ちゃんは後で、こっちの坊ちゃんの亡骸を見たあとに同じ世界に送ってあげるわ。コーンコンコンコン!!」
 まるであざ笑うよに鳴き声を上げると、尾てい骨あたりから、三本だったしっぽがまたさらに二本生えてき、五本に増えた。そして楽しそうに不規則的にしっぽをくねらせる。
「私のしっぽは鞭のように柔らかく、刀のように鋭いのよ。坊ちゃんがどこに逃げようとこのしっぽはどんどんといくらでも伸び、ついて行く。そう、坊ちゃんが死ぬまでね!!」
 五本のしっぽが波打って竜也に向かって突き進んでゆく。どうやら、さっきよりもスピードが早くなっているようだった。
(クソッ、強くなっていやがる……早く倒さないとヤバイ)
 そう思いながらも、竜也は反撃できず、ただ逃げ回るだけ。
 そんな時、
「竜也、武器は日本刀だけではない!! 鼻に貼ってある絆創膏をはがして力を使え。私もっ!!」
 そう言って美麗は口の下のほくろに人差し指をスッとあてがって「エンッ!!」と叫ぶ。
 すると、槍のようにお紺に向かって構えていた薙刀の先から、ゴオォーという音を立て炎が解き放たれた。

Re: 宵月町の幽霊退治人@第一話 狂いのお紺 更新!! ( No.18 )
日時: 2012/06/13 16:43
名前: 乱舞輪舞 (ID: ./RSWfCI)

「コォォォーーン!!」
 その炎を直に受けたお紺は悲痛な声で鳴き叫ぶ。しっぽが優雅にくねらせるのではなく、水の中でもがき苦しんでバタバタさせている手のように見えた。
(そうか、そうだった!!)
 竜也は美麗のその技を見て、なかなか張り替える以外で外すことのない鼻の絆創膏をはがす。そして、竜也の大嫌いな鼻の上にできたほくろが姿を現した。
 竜也は炎に包まれたお紺へと、刀を右手だけでしっかりと構え直し、左手で美麗と同じように、鼻の上のほくろにスッと触れる。
 「ヒョウッ!!」と、叫ぶと刀の先から蒼く透き通った液体なのか気体なのかよくわからないものが放たれた。お紺に接触しようかというほどの距離になったとき、「ケツッ!!」と、竜也が叫ぶ。
 すると、みるみるうちに炎に包まれていたお紺が凍りついていった。
「コォォォォォォォーーン!!」
 お紺の鳴き声が炎に包まれた時よりも激しく、そして悲しく宵月町に響きわたった。

 そして、おもむろに美麗が凍りついたお紺に薙刀を向け、「エン」と小さく呟いた。当然のことだが、竜也が放った氷は徐々に溶けて行く。
「なんで……」
 せっかく倒せたのに、竜也が呟くと「どのみちもう息の音は止まるだろう。ま、幽霊だから最初から息の音は止まってるがな」と、軽く笑った。
「なぜ、なぜ、私を最後に助けの……?」
 お紺はメタセコイアの幹に体を預け、虚ろな目で美麗に問いかけた。
 お紺はもう狐の姿ではなく、ただの綺麗な女性になっていた。と、言うかもともとその姿だったから元に戻っていた。と、行ったほうが正しいのかもしれない。
「別に助けたわけじゃない。貴様はもうじき死ぬ。と、言うかもともと死んでいるから、あの世へと送られるといったほうが正しい」
「で、でも、凍った敵を解凍するなんて……」
 困惑気味の竜也を無視して美麗は元お紺の女性に一歩近寄る。
「思い出したんだ。今朝の新聞の“神社で散った儚い命”という記事をな。遠野明子という二十六歳の女性が手首を切って神社で死んでいた。あなたは遠野明子、そうか?」
 


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