複雑・ファジー小説
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- 異世界武具屋 大事で申し訳ない話
- 日時: 2013/10/01 18:10
- 名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=7392
初めましての方は初めまして、通りすがりの俺というものです。今回の異世界武具屋は久しぶりに書いてみたいなと思って書いた作品です。
短文、更新遅いという要素が加わるかもしれませんがそこのところはご了承を
異世界武具屋概要:これはとある異世界にある武具屋のおはなし。
ただ、ただほのぼのと過ごしていきます。
・キャラクター
名前:ガンジ
性別:男
年齢:25歳
種族:人間
職業:武具屋店長
今作品主人公、接客業は苦手だが作る武具はどれも一級品。
名前:ラウロ
性別:男
年齢:19歳
種族:人間
職業:クルトン軍第一隊隊員
今作品サブキャラクターの一人。
クルトン軍・第一隊(別名特攻軍)の隊員、いつも活発な葉擦を見て憧れを抱いている。傍から見たら恋ですそれは。
世界:レティシァ
こちら(我々読者)でいう地球みたいなもの。
人間と魔物が日々戦いを繰り返している・・・わけでもないわけでもない。
舞台:クルトン
武具屋のある国の名前、レティシァの中でも少ない中立国であり魔物や人間が仲良く?暮らしている。
世界観:人間の国や、魔物の国(魔物の種族だって多種多様)がある。
別に戦争が起きているわけでもないがずっと起きないというわけでもなし。
~用語説明~
・ダンジョン
レティシァのあちこちに発生しておりなかには珍しい素材などあるとされている。それをすべて攻略しようとしているところがありそれが
レティシァ唯一の中立企業、"冒険者ギルド"
種族年齢問わず腕があるものすべてが集まる企業。
ダンジョンで集めた素材をギルドに渡すことで冒険者たちは日々生計を立てている。
(さらに詳しい解説は本編に)
・ヤークの木
近年需要が上がっている万能な特性をもつ木
・魔鉄鋼
紫色の鉄、魔力が通りやすく武具の材料として使われるが少々扱いが難しく値段も張る(鉱石の段階では低い)
・マナ
魔力を小さくまとめた錬金術師の成果の結晶。その見た目は宝石なので指輪などにも使われたりする。魔力を変換したりするが内蔵している魔力が切れると色を失い割れる。
・魔力
人間、魔物、魔族に通う不思議な力。種族によって様々な属性の魔力を持つ。達人にもなれば魔力を道具にまとわせることが可能、人間は無。
・ランク
冒険者の位を示すもの。
ランクの数字は 10~1となっていて一番最初はみな10から始まる。
現在最高ランクは3であり1人のみ。ちなみにランク3でも化物級である。
ランク1になると神話級である。
~素敵すぎる絵~
橘椿様 >>54 ラウロ君&榊葉擦さん
~素敵すぎるオリキャラ様達(一番左クリック)~
・橘椿/荻柳/藤桜様
>>2 榊葉擦.>>34 鳳中瑠.>>151 フェアラート,謚皇霞
>>214
:藤桜(荻柳)様作「【『私』】」
>>248
:藤桜様作「変形性カタストロフィー」
・Dr.クロ様
>>10 クロ,レイ.>>42 ゼロ.>>69 封李,雷華.>>160 神宮凶.>>171 神ノ咲亜全,神ノ咲梨李
・ベテルギウス様
>>58 戦木奏,深闇黄泉
>>219>>221
:ペテルギウスさん作「《異世界盗賊》」
・レーナ様
>>60 ウィル,アティーシャ=レムセス
・モンブラン博士様
>>100 モンブラン教授
・ブルー様
>>96 雪咲空
・ハリー西井様
>>97 ハイドロン,イルミス.>>154 キラルド
>>253
:ハリー西井様作「最強の冒険者が堕天士に堕ちたわけ」
・鴉様
>>99 見境リア
・風峰リョウ様
>>106 リックバース
・ヰルマ様
>>196 ケトルーシュカ・ヴァルゼルカ
・世移様
>>209 ルーフ・エクルバーン
・ポンタ様
>>210 ハヴィア・アンビシオン
・はる様
>>226 アルテミス・ネイン・フォルナーゼ
>>249
:はる様作「嘘つき貴族」
・話一覧
>>6>>8>>9>>11>>13>>17>>19>>20
:第一話「自由すぎる軍人榊葉擦」
>>24>>25>>26>>27>>29>>30>>31
:第二話「情報は重要byクロ」
>>38>>39>>41>>44>>45>>46>>50>>56>>57
:第三話「苦労人?鳳中瑠」
>>64>>73>>74>>75>>76
:第四話「おおらか過ぎる友人、ゼロ」
>>77>>81>>84>>85>>89
:第五話「一寸先はヤバイto戦木奏&深闇黄泉」
>>92>>93>>94>>109>>111
:第六話「ギルドの原石コンビ、ウィルとアティーシャ」
>>112
:参照700突破記念「異世界無職」
>>113>>115>>117>>119
:第七話「どうしてこうなった、モンブラン教授よ」
>>123>>124>>125>>127>>128>>129>>133
:第八話「旅の道連れ世は情けを作詞・作曲雪咲空」
>>135>>137>>142>>144>>150>>153,
:第九話「売る場所は考えようハイドロン君」
>>187>>188>>189>>190
:第十話「精神勝負?見境リア」
>>201
:Twitter企画「異世界童話」
>>157
:特別話「なんで海で泳ぐだけで地形が変わるのだろう」
>>167
:特別話「山の動物たちよお逃げなさい」
>>176
:裏話「亀の謎」
>>177
:特別話「この街は平和です...多分」
>>182
:特別話「湯に疲れる」
『第二章・異世界勇者』
>>202
:第二章用キャラ紹介
>>192>>193>>194>>195>>198>>200>>203
:プロローグ「その眼で見たもの」
>>204>>205>>206>>207>>208>>211>>212
:第一話「冒険者ギルド」
>>216>>218>>220,
:第二話「人類の反撃と涙の魔神」」
>>222>>223>>224>>225>>228>>229>>231>>236>>237>>242>>243>>244>>247
第3話「亀の襲来、そして現れる者たち」
>>252>>254
最終話「勇者とは何か」
>>255
第二章キャラ紹介2
>>213
:特別企画書「異世界作者」奮ってご参加ください
『第三章・異世界武具屋』
>>256
:第一話「武具屋開店」
- Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕 ( No.207 )
- 日時: 2013/06/08 13:27
- 名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
- 参照: https//サシャさんぐう可愛い
とある部屋の一室、内装はどこかくらい雰囲気をまとっておりまるで黒魔術のする場所とも言えるような六芒星の模様が書かれた大理石の床、その中心には紫色の布が敷かれた占い台のような机がおかれたそこには一つ、透き通っている水晶が有りそこを見つめているひとりの女性がいた。
女性から見る方には少し荒い映像が映っておりそこには4人の冒険者とその前に立ちふさがる一体の巨鬼が咆哮を上げていた。それを見た瞬間女性は口角をつりあげ呟いた。
「戦争...開始ですね」
雄哉たちは動けないでいた、理由といえば圧倒的力を見たときに出てくる恐怖に飲まれてしまったのだ、美鈴は歯をカチカチと震わし修斗は足でまっすぐ立つことが不可能に、雄哉は見た目こそ何も変わっていなかったが目が明らかに焦点があっていなかった。リックは頬に一粒、汗を流しながらステンダムの方を見据えている。ステンダムはそんな彼らのことを気にせず、ただ食料としてしか見ていないようである。
リックはもしやと思いながら口を開いた、
「俺達は...冒険者だ、あんら魔ノ国に狙われる必要はないはずだ」
「けっ!どいつもこいつも冒険者冒険者、そういえば見逃してくれると思ったかぁ?お前らみてぇな奴らが冒険者?笑わせてくれるよぉ。そもそもなんで食料生かしておかなきゃいけないんだか」
「(言葉の意味がよくわからん、かなり馬鹿だなコイツは)お前ら、国へ向けて走れ、そして応援よんで来い」
「け、けどあんたが!」
リックの言葉に雄哉が言葉を震わせながら反論するが今の状況を理解しはじめたのか美鈴と修斗の肩を叩いてもたつきながらも走り出した。
その場にいるのはステンダムとリックのみとなった。
ステンダムは3人を追いかけたかったが一応武器を抜いているリックを放置するのも違うと考え己の武器を取り出す、それは紫色,つまりは魔鉄鋼からできている物と容易にリックは理解した。そして先程のステンダムの"族長"という言葉から実力者であると判断、本来戦闘は得意としないリックはまともに戦って勝てる相手ではないと思っていた。だからこそ、ここで引くわけにはいかない、ここで引いたら雄哉達の身は自身よりかなり危険になるだろう、それだけは避けたいリックは自身の剣に一つ、宝石がついているところに腰布から出した宝石をはめ、元々はめてあった宝石を腰布へとしまう、準備が完了したリックは魔力を流した。
それにステンダムも気づいたようで鎚を大きく振りかぶる
「弱小種族の人間が魔力使ったって無駄なんだよォォ!!」
顔を愉快そうに歪ませながらリックが潰れるだろう光景を想像しているのだろう。だがその一撃はリックに当たると同時に空をきる。リックの姿が煙のように消えたのだ。
「なっ!?」
「霧隠れ《ミラージュ》だ、錬金術師に無理言って作ってもらった"霧のマナ"、本来は売り物だったんだが」
「そこか!」
背後からの声に反応したステンダムはすぐさま鎚を横へと振るう、だがそれを通して伝わってきたのは雷のような痺れ、みると鎚は電気を纏いながらステンダムに痺れを伝えていた。
「ダブルスロット、って知ってるか?かなり無茶な技術なんだがな、コイツはそいつが出来る、今のは名付けるのなら幻想電気《ミラージュボルト》だな、コイツもまた希少な"雷のマナ"」
見るとリックが持つ剣の刀身についている水色の宝石ともう一つ、先程までは持ち手についていなかった宝石がひとつ、黄色の宝石であった。またもやマナ、痺れはそこまでのダメージにはなっていないステンダムであったがだんだんと怒りが溜まってきているようであった。
そんなステンダムを笑うようにリックは腰布を広げてステンダムによく見えるように言う、中にはそれぞれ色が違う大量の宝石が見えた、それ全てが先ほどのような効果を持っているように思うと寒気がした。
「さぁ、あんたはどのマナが好みだ?売りはしないが体験ぐらいはさせてやる」
リックバースとは秘密裏にマナを売る冒険者であった。そのため人の裏を書く事は慣れていた、故に彼は真っ向からの戦闘よりもこのような心理戦を選んだのであった。
- Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕 ( No.208 )
- 日時: 2013/06/09 12:15
- 名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
- 参照: https//
冒険者ギルドの大広間、そこに5人が集められていた。誰もが異質な雰囲気をまとっている。
一人は赤髪、着物のような服に負けていないどころか勝っている刀が一本腰に刺さっている。寝起きなのかあくびをしている。
一人は純白の白の髪を綺麗に後ろにまとめた髪型、その綺麗な背中には死神のような大鎌を背負っている。
一人は前の女性とは違いその長く白い髪をまとめることなくそのまま下げている。その目は綺麗な翡翠、宝石のような目を銀色の縁のメガネで隠すようにして腰には水平に一本の紅い剣が差してあった。
一人は黒のオールバック、左側には銀色のモノクル、それを引き立たせるようにびしっと決めた燕尾服が良く目立っている。それだけで異質だというのに手元には一枚の写真がありそれを眺めていた。
一人はボサボサの黒髪、男にしては少し長く肩まで届いている。だがそんなものより目立っていのは頭にぴょこんとある獣耳、クルトンであればそんなものはそこまで珍しくないが周りよりかなり低い身長がさらにその獣耳を際立てていた。
そんな彼らの前に立つのは一人の女性。ショートの黒髪とあう金色の眼が良く輝いていた。彼らはこのギルド、冒険者ギルド・クルトン支部にいるランク5以上の戦士たち、いわば実力者集団である。金色の女性のここのギルド長、セントリアは周りを確認したあと両腕を広げて話を始めた。
「皆の者、あつまったな?貴様らのようなひねくれものが一同に集まるとは思いもせんかったぞ」
その挑発するかのような言葉に赤髪の青年神宮凶は切り返しポニーテールの女性、ルーフ・エクルバーンは便乗するかのごとくおどける。
「じゃあ帰るわ、まだ眠いんだ...」
「あっはっは!だってさ!相変わらずのサボり癖!」
それを諌めるかの如くもうひとりの白髪の女性、ハヴィア・アンビシオンと写真をポケット型魔道具にしまいこんだ燕尾服の男性、キラルドも口を開く、
「貴方がた、今回は大事な時だというのに...!」
「そうだぞ?これでイルミスが見つかるかもしれないんだ!」
イルミスゥゥゥゥと叫び声をあげそうになったキラルドに膝カックンを仕掛けたのは獣耳の少年、ケトルーシュカ・ヴァルゼルカその顔は少し笑っている。
「ははっ!相変わらずそういう時には足元お留守だよ!」
そんな彼らを見て改めてセントリアはつぶやいた。
「やっぱり大丈夫かのぅこの任務」
そんな時、ギルドの扉が勢いよく開いて3人が飛び込んできた。それにまぁいいかと付け足したセントリアは大きく、今までの鬱憤を晴らすかのごとく声を出した。
「さぁ!人類の反撃はここからぞ!存分にその力を発揮せよ!敵は魔ノ国、恨むのであれば自軍の愚かな巨鬼をウラムがいい!!!」
- Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕 ( No.209 )
- 日時: 2013/06/09 12:16
- 名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
- 参照: https//
リク板の方でもらいました。オリキャラ様、2連等で投稿します。
世移様
読ましてもらいましたー!! 鍛冶屋の日常で進んでると思いきや
最新話でまさかの主人公不在wwおもしろかったです。ちょくちょく読みに行きたいと思います!
名前:ルーフ・エクルバーン
性別:女
年齢:18
種族:魔人 魔族の中でも相当人に近い姿をしてる種族。平均して魔力の量が多く、属性は雷
容姿:白髪ポニテに蒼い目。服は青いコートの下に薄めの防具をつけている。肌は白い
職業:冒険者
備考:ランク4の冒険者。性格は冷静だが活発的。
武器は上質な魔鉄鋼で作られた鎌。鎌には特殊な文様が描かれており、魔力を込め振るうことにより魔方陣が発生し、ルーフはそれによって強力かつ広範囲の魔法を放つ。 普通の人よりも魔力量が多く、また武器に魔力を注ぎ込む量と速さがが異常なまでに高い。そのため高速で高威力の魔法を連射できる。ただこれは武器の摩耗が速いため本気の時のみ。 鎌と魔法を組み合わせた戦い方をし、鎌だけでも魔法だけでも戦える。
サンプルボイス(喋り方などをわかりやすくするため。)
「アタシは嫌なの、そんな事務的な仕事!」
「ささ、遠慮しないで? 魔神より与えられし雷で焼き殺してあげるから」
「大丈夫大丈夫、どーせ無事でしょ。怪我してなかったし」
- Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕 ( No.210 )
- 日時: 2013/06/09 12:17
- 名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
- 参照: https//
ポンタ様
名前: ハヴィア・アンビシオン
性別: 女
年齢: 21歳
種族: 龍と人間のハーフ……の子孫。
容姿: 腰まで届く白金の長髪に翡翠の瞳。銀縁の小さな黒眼鏡を掛けている。
肌は色白。スレンダーだが、胸はやや大きめ。
感情が高ぶると瞳孔が細くなり、龍の眼になる。(黒眼鏡はこれを隠すため)
服装は、スリットの入った黒のロングコートと同色のオーバーニーに編み上げブーツ。
職業:冒険者(ランク4)。剣士兼錬金術師。
備考:自分の好奇心の赴くまま、世界中を旅して廻る風来坊。
ギルドに属してはいるものの、そのほとんどをダンジョン探索に費やしていてクルトンに余り帰っていない。
収入は主にダンジョンで手に入れた素材を錬金術で加工して売っており、質が良いおかげで高値で売れている。
武器は魔鉄鋼で作られ、数々の血と命を吸い切ることのみに特化した妖刀「鬼晶姫」。
妖刀・魔剣を専門に扱う剣術流派の免許皆伝者で神速の抜刀術を操る。
また魔法は身体能力強化・刀の切断力強化。
そして、自分の魔力を相手に叩き込むことで相手の魔力と同調させて相手を操ることができる。しかし、完全に動きを支配できるわけではなく、多少動きを乱す程度のものだが、戦闘を有利に進めるには充分な効果をもたらす。
基本的に自身より大きな妖気を持つ者は操れないが、相手を惑わし心理的な隙を作ることでそういった相手もある程度操れる。
サンプルボイス(喋り方などをわかりやすくするため。)
「貴方がたは何者ですか?……何と言いますか、その、レティシアの匂いがしないんですよね」
「鬼晶姫の扱いは難しいんですよ。ヘタに刃に触ろうとすると指がソーセージみたいにスパッと切れてしまうので……」
「龍と人間のハーフと言っても私はその子孫なだけで、ちょっと人より変わったことが出来るぐらいでして。まあ、問題があるとすれば、たまにこの竜眼をみられて魔族と勘違いされることでしょうか」
「ガンジさんに会ってみたいですね。この刀を打った人について何か知っているかも」
設定的に難しかったら、変更・ボツ OKです。
宜しくお願いします!!
- Re: 第二章・異世界勇者〔異世界武具屋〕 ( No.211 )
- 日時: 2013/06/19 20:33
- 名前: 通りすがりの俺 ◆rgQMiLLNLA (ID: HR/cSb0.)
- 参照: https//
とにかく走れ、それが俺たちに課せられた使命だった。
とにかくとにかく、道が道と思えなくなるほどに走った。
頭の中には先程の化物の高笑いと自分たちを逃がしてくれたリックの顔が浮かぶ、その光景を召喚されし勇者、秋堂雄哉が自覚した頃には自然に笑いがこみ上げていた。
何が勇者だ、こんな学生の手では誰一人と救えない、寂れた街も、くたびれた顔をした兵士も、たった一人の人間も、だが彼らは自分のことを勇者と呼ぶ。それを鼻で笑いたい、自分は勇者なんていいものではなく愚者がお似合いである。あの化物を目の前にして体は震え固まった、それだけで戦場では死を意味するとわかる。こんなみんなが精一杯頑張って揃えてくれた装備は新品同様で自分とあっていないなんてすぐにわかる。
なんで、自分だったんだろうか、きっと勇者とかならもっとふさわしい人が大勢た、少なくとも俺が勇者だというのなら。今にも俺の足は止まりそうになる、勇者の補正があるというのにこのざまだ、確かに日本にいた頃よりははるかに走れている。走るなんてせいぜい5kmが限界だった、だからその倍近くは走れている今の状況を見たら「成長している」なんて思われるがこれは補正のおかげ、魔法が使えるようになったのも努力ではなく補正のおかげ、そう考えるといからものが逆流してしまいそうになる、それを必死に口で抑えて表情に出さずに息を整え冷静なふりをして美鈴たちに声をかける。正直吐き出したかった、吐き出して素直になりたかった。日本にいた頃は素直になれた、ただの学生Aだ、許された---だが今は違う、周りは期待の目で俺を見る、この状況を救ってくれる神として俺を見ている。
だから俺は
「スピード上げるぞ!」
弱音を吐かずに走り続ける、それが勇者として召喚された俺の役目、戦闘として活躍できないのなら救援を呼ぶものとしていち早くギルドに戻る必要があるのだ、だから頑張れると自分に嘘をつきほんの少しスピードを上げた。
---ついた、ギルドの大きな扉を走りの勢いに乗せて開く、そこにはギルドの規約を説明してくれたギルド長、セントリアが腕を組んで口角を釣り上げていた。
「きゅっ、きゅうえがリックりっくさん化物に襲われてりりっくさんが」
「まあまあ落ち着くが良い、既に伝わって戦力を集めておる」
走り続けて混乱していた雄哉の声を右から左に聞き流したセントリアは右手を何人かが立っている依頼板(依頼を記載しておくための物だ)の方へ向けた。全員が全員初対面である。だが強いという確信があった、それを確認して安心したのか急にまぶたが重くなり雄哉はそこに倒れふした。美鈴たちはギルドについたと同時に倒れていて扉には三人の汗だらけの体が死体のように並んでいた。それを中に入れてギルドに備え付けてある毛布をかぶせたあと、セントリア率いる一団は目にも止まらぬスピードでギルドから消え去った。
走れ、そう命じられて数分がたった、相変わらずスピードは緩められることなく後ろからなんかすごいこええ剣を持った騎士さんが少しチクチク背中をさしながら追い立てる。どうしてこうなったと言いたい。
さっきまで牢屋から出さなかったくせにいきなり連れ出されて「走れ」だ、ずっと動かなかったから少しなまり始めていた体力をゴリゴリと削ってくる。俺を含めて数人が走っていたのだが俺以外は既に肩で息をしている状態だ。一緒に走っている方々はどっかで見たような気がするなーと疑問に思っていて先ほどわかった。この人たち全員武具関係だったり加工系の職の方たちである。他の人が見られないところを見ると加工職人を欲しているらしい。確かに人から奪ったのをそのまま使っているようなところだ、加工技術が低いのだろう。
だったら布告起こす前に勧誘とかしとけよと思う。まあいろんな部族が混ざり合っている新しい国だから情報伝達もうまくいっていないのだろう思う。そんな時、背後から爆風と共に強烈な風が俺たち一段を襲って吹き飛ばされかけて転びそのまま地面に体をつけた、なんだと思い風が来た方に体を向けるとそれはなんといっていいのかわからない光景であることは確かだと理解した。
「砦が...襲撃を受けている?」
俺たちが今までいた場所が燃えていた、そんな幻想的とも言えるような光景に息を飲んだ「あそこにいた奴らはどうなった?」考えたくもない、きっと大丈夫だと自分に言い聞かせる。すると背後から体制を立て直した騎士から視線を向けられてすぐに走り出す、世界一と言われている武具屋ガンジは現在も絶賛捕虜中であった。
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