複雑・ファジー小説

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悪の刃
日時: 2013/08/12 19:22
名前: 黒金 (ID: rMENFEPd)

どうも、投稿者の「黒金-クロガネ-」という者です
このスレを開いていただき誠にありがとうございます、投稿者は学生身分なので投稿ペースがかなりバラ付きます、テストや新作ゲームに目移りしてしまい投稿が遅れる事が多々あるかと思いますが見ていただければ嬉しい限りです
また、本作品にて感想や意見をいただけるととても嬉しいです、ただ、指摘等は柔らかく言って頂けると助かります、作者は豆腐メンタルなので結構ずしりときてしまいますので.....

話の内容について
この話では以下の点が含まれます
・也チャ民独特のロール
・少々のご都合主義
・少々のシリアス展開
・ファンタジー成分
いずれかに禁断症状が出たり心臓発作を催す場合はブラウザバックを推奨します、きっとあなたの近くには黒いノートを持ったお月様がいらっしゃるかと思いますのでついでに警察に申し出ておくと良いでしょう。

では、黒金の送る一つの物語を見ていってください
これにて、本文を終わります。

投稿が増えて着ましたので↓に閲覧表を追加しておきました、書いてから二日以内で最後に投稿した物にはNEWの表示をしておきますので参考にしてください。

>>1 少年の始まり.1
>>2 少年の始まり.2
>>3 少年の始まり.end
>>4 遠くない未来.1
>>5 遠くない未来.2
>>6 遠くない未来.3
>>7 遠くない未来.end
>>8 遠のいた未来.1
>>9 遠のいた未来.2
>>10 遠のいた未来.3
>>11 追憶の日々.1
>>12 追憶の日々.2 NEW
永らく投稿期間が開いてしまい申し訳ありません。
リアルの都合でこれからも遅くなってしまうかと思いますが、思い出し時にでも見に来て頂ければ幸いです。

第3章「遠のいた未来.1」 ( No.8 )
日時: 2013/07/04 19:41
名前: 黒金 (ID: vLjWsTsT)

「私は無駄な事をしたくない」
しかし、帰ってきた言葉は冷たかった。無駄、だと言うのだ。それはつまり、いわゆる才能が無い事を告げられたのだ。
「…俺に大人しく死ねって言うのか?」
そして一つの疑問が脳裏に浮かんだ、この女は全てを知っている、と言った、俺が何時死ぬかも知っているということになる、病死、事故死、これらが絡む物だとしたらこの問いには釣られない、そして今あるこのもやもやした物が、もし合っているのだとしたら。どうなのだろうか、自分でも分からない。だが、聞くことは、止められなかった。
「私が守る、だから君は死なない」
「いつか俺が殺されるのを知ってるんだな」
「………」
いつも冷静で常に俺を導こうとしてきた女が、始めて迷っていた。常日頃から疑問だったのだ、なぜ俺なのか、と。彼女はきっと未来での俺を知っている、それがどのくらいかも分からない。ただ一つ言える事は
「俺は何回お前の見た中で死んだ?」
という疑問だった。
繰り返し何度も同じ光景を見てきたから返事を用意できるのだろう、そして迷ったという事はまた違う結果が生じたからなのだ。そして彼女は今俺を守る事にやっきになっている、となれば近いうちに危険があるという事になるのだろう。質問に対し答えあぐねている女は小さな声で呟いた」
「…レイル」
「なんだ?」
そして返事は帰ってこなかった、だが、待つ。彼女は今考えているのだろう、新しい可能性を、そして彼女の選んだ可能性はこれまで己を助けてきた。成長させてくれた。しかし男は、彼女を信用している事に気付く事は無かった。
「君は何回繰り返しても変わらない。何回も、何回も、何回も、繰り返したけど、君は必ず変わってしまう。私は、それでも、それでも……」
随分と無茶苦茶な文脈で言葉を繋げる女、そこには普段の堂々とした姿は無く、あの時会った弱い少女が重なった。それきり女は俯き、言葉を止めた、何も言う事ができず、待つのだ。そして暫く女の姿を見ていては、顔を上げ…「ごめん」と呟いた気がした。ただ其れを考える暇は無く彼女の手が一瞬煌めき、視界は暗転した。

第3章「遠のいた未来.2」 ( No.9 )
日時: 2013/07/05 23:51
名前: 黒金 (ID: vLjWsTsT)

なんだか身体がフワフワする、空気になったみたいな、服の重みも感じない。それに、とても暖かく、凄く落ち着く。此処は何処だろうか、真っ白で何も見えない。俺はどうしたんだろうか、俺は...
「っ......!?」
眼を覚ましては周囲を見渡す、其処にはいつもの家の内装があり、ベッドに両手を縛りつけられていた。何があった、分からない。ただ言える事としては、嫌な胸騒ぎがする事と黒髪の女が其処に居ない事である。
どうも相当きつく縛りつけられているようで力を加えても動く気配すらしなかった。
「ミラ....あいつ....」
そして、ごめん、という言葉が脳裏に浮かぶ、一体彼女は何をしているのか、剣まで無くなっている徹底振りで脱出する事はほぼ不可能である、右肩の傷が完治しているあたり治療をされたのだろうが。いかんせん分からない、彼女の全てが、分からないのである。
そして少し落ち着き状況を整理しようとすれば、外で雷を伴う雨が降っている事に気が付く、それも結構な勢いである、風はそんなに強く無いが、とても暗雲とした気持ちにさせる。何だ、この胸騒ぎは、俺は知っている気がする。この先何が起こるのかを、知っている気がする、ただそれだけの筈なのに、不安に押しつぶされそうになっているのだ。前にもこの感覚は見に覚えがある、そして、考える時間は無くなった。
「.....大丈夫か!?」
考えていては赤髪の男がドアを蹴り開け飛び込んで着たのである。見覚えのある男は焦った様子で、とても憔悴していた。明らかに冷静さを欠いている、まるで、俺のようにだ。そして男の背後に小さな黒髪がなびいた気がした。
「後ろだ!」
気付いたら咄嗟に叫んでいた、その声を頼りに男は前かがみに倒れ込みベッドに座るようにして背後を向く、そして、黒髪の女は言うのだ。
「この事象はもう25,371回も見てるの、無駄だよ?」
と、男は言葉の意味を理解できていない様子だったが、自分には理解できたのだ、少なくともこの女は、それだけの回数、この場所で同じ事をしたという事だ。
「レイル、考えたら駄目だよ、感じないと、君は駄目になっちゃうからさ.....」
そしてその言葉を聞いた赤髪の男は言葉にならない雄たけびを上げて腰にぶら下っていた剣を引き抜きベッドの上で立ち上がりながら斬りかかった。そして、俺は初めてこの男が泣いているのを理解した。
「1,627回目...」
そして女は、それだけ呟いて片手を煌かせた。そしてその瞬間に女の言葉を理解する事となる、それもそうだろう。自分の真上で、何の前触れも無く圧死体が出来上がったのだから。言葉が出なかった。嗚咽も何も、でる事は無かった。ただひたすらに、脳が思考する事を拒んだ。それを見透かすように女は続けて
「私が君を守るの...私がいないと、君は駄目になっちゃうからさ....レイル、愛してるよ...」
背筋が凍るのを実感した、狂っている、完全にイカれている。果てしない恐怖が目の前で呼吸をしているのだ。怖かった、そして、男の中で何かが弾けた。この女を使えば、復讐は簡単に済むんじゃないだろうか。そして男は自分が壊れているのを実感しながらも
「...愛してるよ.....」
と呟くのだった。

第三章「遠のいた未来.3」 ( No.10 )
日時: 2013/08/04 11:41
名前: 「遠のいた未来.3」 (ID: vLjWsTsT)

男は確かにそう言った、これは彼女の求めている言葉に違いない、狂おしいくらいに繰り返している世界の中でたった一つの真実に違いない、そういった憶測での事であろう、しかし、返り血をいっぱいに浴びた少女の顔は曇っていた。期待を裏切られたような、そんな子犬の顔をしていたのだ。
「君は....必ずそう言うんだね」
そうして明らかに落胆したような声が狭い部屋に響くのである。男は明らかな選択ミスをした事に気付くだろう、そしてなぜそうなってしまったのかも、である。彼女は何度も繰り返し男と過ごし殺してきた。つまりは、何度も聞いているのだ、そして本当に活かしたい一身で狂ったのならば、記憶を消したりして安全な日々を送れば良い。だが
「君はこういう時になると凄く冷静になる、普段はあんなにも馬鹿なのに」
彼女は違う、男の考えていたような女ではない、しかし、其処までだ、分からない、この女が何を求めているのかを、何を望んでいるのかを。言葉を繋げる女に耳を傾けながらも思考は止らない、何故、と、ならば、が頭の中で反芻され続けているのを感じる。
「とても賢くなる、そして、失敗したのを感じるの」
そう言って、少女は右手を男へと向けるのだ。手を翳すのは魔法を使うサイン、殺されるのだろうか、それとも、また眠りにつくのだろうか、何にせよ感じるのが一瞬ならば苦しくない。そして男は、自身が疲れきっている事に気付かなかった。一瞬彼女の手が光を抱き、男の手首に巻き付けられた縄が灰となって消えた。手が軽くなるのを感じ少々驚きながらも両手を確認する。確かに自由に動かせる、怪我も無いし、全くの無傷だ。
「君は何で私に愛してるって言ったの?」
そして唐突な質問が頭上から降ってくると同時に、頬を柔らかな黒髪が撫でた。不思議と胸の底を掬われるような感覚を覚えて彼女の顔を見上げる。透き通るような美しい二つの宝石が己の瞳を突き破り脳にまで到達した気がした。嘘を付く事を遮られているような、これも魔法の一つなのだろうか、嘘を言う気が完全に遮断されたのである。
「...お前を利用できる材料になると思ったからだ」
「それだけ?」
「それだけだ」
素直は返答を返しては小さく首を傾げてまた黒髪が頬を撫でる、しかし、男は嘘を付く事無く小さく頷き宝石を見詰めた。そしてまたも、酷く落胆した表情をするのである。彼女は何を求めているのだろうか、今の自分にできる事があるのだろうか、答えは単純にして明快。無い、である。どんどん思考が薄れる、まだ何か考えなきゃいけないのに、またこれか、魔法ってのは、思っていたよりも厄介なのかもしれない。そして瞳を閉じた男は安らかな眠りに付く。
「おやすみ、レイル」
そこに居た女は小さく口角を上げて見せ、男と唇を重ねるのだった。

第4章「追憶の日々.1」 ( No.11 )
日時: 2013/08/04 11:40
名前: 黒羽 (ID: vLjWsTsT)

いつの日か感じていた感触を受けていた。何処でだろうか、ただ。とても心地良く、安心するという事だけ分かれば充分だろうか。
「ん……」
そして頬に冷たくて柔らかい物が触れて、ゆっくりと瞼を上げるのである。ボヤける視界は、一際色彩を鮮やかに飾る赤・青・黒の三色で埋められていた。
「おはよう、レイル」
「おはよ……」
聞き覚えのある声に反射的に返事をする。なんだろうか、この感覚は。頭の中が空になったような気分である。そして女は告げた。
「帰ってきたらそのまま倒れ込むんじゃなくてベットで寝て」
そうか、俺は兵士に捕まって、帰ったらそのまま寝ちゃったんだっけか…?少々の違和感を覚えるも、納得しては頬に触れる女の手を掴みどかした。相変わらずの無表情、不満を吐く事は無い。
「どのくらい寝てたんだ?」
「二回夜が明けるくらい」
「まじかよ…」
一応聞いてみては返って来た返事に苦笑を漏らすのである、そんなに疲れていたのだろうか。そして、その間ずっとこうだったのか、とても申し訳ない気持ちになり
「じゃあ…飯の準備をするか…」
と、言葉を掛け立ち上がるのである。自身の空腹感もそうだが、この女は食事という行為をしない。なんでも栄養は摂っているらしいが、こんな小柄なのを見れば最小限だという事は分かるだろう。
「私は要らない」
「大切な食糧を無駄にしたくないなら食え」
「私には関係無い」
相変わらず無愛想な返事であるが上体を起こし軽く伸びをしては床下収納の場所まで立ち上がり向かっては戸を開けた。中にはキャベツやニンジン等が入っており、それ等の野菜となかに入っている鍋とまな板と包丁を取り出した。無論、二人分の材料だ。
「私は要らないって」
再度口を開いた女に対し言葉を遮るように
「シチューでいいな?」
と言葉を掛け、返事も待たずに野菜を切り始めるのである。
女は諦めたのか口を開く事は無く、黙って地べたに座ったままこちらを見上げるのである。なんだ、可愛い所もあるんじゃねーか、言葉にせず頭に浮かべては
「失礼な事を考えてる暇があるなら手を動かせ」
と言われ苦笑を零して料理を再開するのである。なぜバレた
そしてその日は作ったシチューを二人で食べ、眠りにつき終わった。
この時はなぜ気付かなかったのだろうか、しかし、その時には考えもしなかった事であろう。

_______________________________

肌寒さに揺すられ瞼を開けた。視界にはただひたすらな闇が続き部屋の中だと教えてくれる。布団を剥がし上体を起こせば掌に小さな光の球を出し辺りを照らす、無論女の姿は無い。してはそのままベッドを後にし住処から出るとした。ドアを開ければ空いっぱいに散りばめられた星が輝き、天高く登った月がその夜の深さに弾みをつける。一通り空を眺めては夜道を歩き出す、こんな日には必ず行く場所があるのだ。大樹を幾つか横切り、梯子の掛けられた背の高い木にたどり着く。慣れた手つきで梯子を上っていき、大きな木の幹を目指した。視界に映るのは綺麗な星と、赤と青の宝石を埋め込んだ小さな人形である。
「君は此処が好きだね」
梯子を登りきり幹に手を付けた男に告げるのである、相変わらずの無表情からは何も感じる事はできずただ言葉を言葉として返す。
「…良く、観れるからな」
彼女の隣に座り込みながら、眼下に広がる光景を見下ろしたのは、焼けた落ちた家屋と並べられた墓石であった。

第4章「追憶の日々.2」 ( No.12 )
日時: 2013/08/12 19:16
名前: 黒羽 (ID: mKkzEdnm)

並べられた墓石には、それぞれ歪ながらにも名前が刻まれている。そしてそこには、レイル=リフレイン、の名前もあった。
「こうやっているだけで、俺は忘れないで要られる。ミラにとっては、不必要かも知れないがな。」
夜風が通り過ぎた。栗と黒の髪が揺れ、表情を硬くした二人の姿を浮き彫りにする。呼吸を忘れたかのような無意識の空間、女はおもむろに口を開き
「レイルは、ここを出て行くの?」
普段と変わらない、感情の籠らない声で質問をした。しかし、男には其れがとても哀しそうに聞こえたのである。ただ、そう思いたかっただけかも知れない。
「そうしないと、俺が生きてきた意味が無くなるから…ごめんな」
気が付いたらそう返していた。彼女に対して、こんなに複雑な心境になったのは初めてな気がする。彼女が今、どんな顔をしているか見たいが、自然とそれは阻まれた。並べられた墓石から視線を外す事ができずただ眺めるばかりである。そして、暫しの間を開けて
「なら、私も行く」
そう口にした彼女は幹から飛び降り、ゆったりと着地した。返事を聞く必要が無かったのか、聞きたく無かったのか。それは定かでは無いが、止めるだけ無駄だろうて。苦笑いを零して男も梯子を降り始めた。お互いの思いはかくしてまたもすれ違い、時間を刻み始める。


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