複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 気まぐれな君に、キス
- 日時: 2013/08/04 01:36
- 名前: 卯月 ◆Nls3uHn4/Y (ID: EcIJT88K)
『君、お菓子いる?』
「…、…え?」
——————公園であった傘をさす黒髪は
とても、気まぐれで自由でした。
———————————————————————————————
どうも、卯月といいます。
−注意−
・中傷荒しはなしです。
・コメントは大歓迎!!
・誤字脱字、変な文などのアドバイスも大歓迎。
よろしくおねがいします!!
- Re: 気まぐれな君に、キス ( No.1 )
- 日時: 2014/06/11 22:17
- 名前: 卯月 ◆Nls3uHn4/Y (ID: VysvHxvS)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=37127
【傘とお菓子】
只今、午前0時ちょうど
私は腕についたデジタル時計から目を離し、
深く息を吐いた。
周りは暗く静まり、街灯が無ければここが
どこか分からないほどだ。
そんななか、公園のベンチにぽつり。
足をばたつかせ、背もたれに背中をくっつける。
あぁ、丁度いい冷たさだ。
深夜のベンチはひんやりと冷たく
心地がいい。
———と。
『ねぇ。』
突然響いた声
何事かと振り向けば、
そこには一人の男。
「…は、はっい」
やばい。
声が上ずってしまった。
それもそのはず、その男は
全身黒ずくめで傘をさしていた。
……え、なに不審者?
雨降ってたっけ?
そう思い夜空に目を向けるが、雨雲の気配なし。
おそるおそる、男のいる左後ろを
振り替えればすでにこちらを見ていた奴の
双眼と目が合ってしまった。
「…あ」
『なに?』
「え……や、」
またもやピンチ。
ギロッと睨まれ(た様な気がした)、縮こまる私。
どうやって切り替えそう。
いつの間にか私の目の前に来ていた男は
顔を不思議そうに覗きこんでくる。
「(ひぃ。)」
とりあえず、笑顔を作ってみる。
凄く引き攣った。
と。
『ふはっ』と笑いだした奴は夜中なのも気にせず
大きな声で笑い続ける。
その光景をただぼうっと見ることしかできない私は
なんなんだろう。
『君、おもしろい。』
「……え。」
笑いを噛み殺したような顔をしながら
そう言った奴は、持っていた傘をくるりと回した。
『君、やばい』
「ナニガ?」
もう、脳内真っ白。
またくるりと傘を回した奴は、パーカーについた
ポケットをあさり始めその手を私の前に差し出した。
今度はなんですか。
何にも知らない今日会ったばかりの男に
振り回されっぱなしのまま正直にてをだす。
すると降ってきたのは、
「……お菓子?」
『嫌い?』
「ううん、大好き」
反射的に答えてしまい思わず口をふさいだが、
もう時すでに遅し。
また隣で笑い転げる奴を今度は私が睨んだ。
いくらなんでも失礼すぎる。
それに気付いたのか、傘を指した不審者は
不細工、と笑い始める。
- Re: 気まぐれな君に、キス ( No.2 )
- 日時: 2013/08/05 23:12
- 名前: 卯月 ◆Nls3uHn4/Y (ID: EcIJT88K)
「なっし、失礼ね!!あんた!!」
『…っ…ブックク…ちょ、タンマっ』
まだ、笑いをとめる気がさらさら無いのか
全く聞く耳持たず。
こやつ、失礼すぎるっ!!
今すぐ礼儀と言うことを覚えて
出直して来てほしい。
いや、そのまま去ってほしいっ。
そんな思いも虚しく、いきなりギュッと
手を握ってきた不審者。
今度は何!?
『いやー、面白いね。君。』
「……サイデスカ。」
私の返事に、また少し笑った奴。
『うん、本当に。初めて』
「私も初めてですよ。」
『なにが?』
「会って間もない人にこんなに振り回された事です」
『ぶはっ』
まだ笑うか。
お腹を抱えて笑う奴なんて
そのまま笑い死ねばいい。
「…うるさいですよ。」
『君のせい』
私の精一杯の嫌みも軽くスルーされ、笑いをやめた奴は
すくっと立つと持っていた傘を持ち直した。
そして、
『ばいばい』
手を振る代わりなのか、傘をくるくる回し
遠ざかっていく不審者。
切り替えが早すぎる。
私も思わず「ばいばい」と言ってしまい
奴を見ると少し微笑んでる気がした。
そして、一人になった公園。
さっきの騒がしさが嘘のように、静かだ。
なんだったんだろう。
夢?夢だったら悪夢だよ。
一様頬を抓ってみたが、痛い。
じゃあ、現実。
……後で訴え来ないといいな。
「深夜に大声で叫ぶなんてっ」みたいな。
ポリスはいやよ。
「……まぁ、でも。」
私は手の中にあるお菓子を再度握り、
確認する。
「お菓子もらえたし、いいか。」
——————————…………
——————………
「———と、いうお話なんですよ。」
おわかり?と眉間にしわを寄せ悩む、柚子を見やる。
- Re: 気まぐれな君に、キス ( No.3 )
- 日時: 2013/09/15 23:13
- 名前: aya ◆Nls3uHn4/Y (ID: pkkudMAq)
「……なー、さ馬鹿?」
「いや、うん。…、…え」
いやだからと続ける柚子の目は
呆れている。
友達の癖に酷いものだ
まったく。
「…で、なに。今日も行くの?」
「うん!!お菓子貰いに」
「ガキが」
「ゆ、柚子ちんの馬鹿っ!!」
泣き真似をするが、キモイの一言で
きられた。
私のガラスのハートが。
とりあえず、泣き真似をやめ柚子に向き直る。
そして、あきらめません、という
目線を送ってみた。
「………あ゛」
「すみませんでした。」
敢え無く断念。
さらに、眼光を強くし
「行くな。これは命令だ」
「……、…」
「返事」
「………う、はい」
よしっと私の頭をなでた柚子には
さっきの面影はない。
怖かった。
それでも、私はいつもの柚子に安心しながらも、
(お菓子さん)
今日の夜は会えるのか密かに
楽しみにしていた。