複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

グランディオーツストーリー【キャラ募集開始】
日時: 2014/08/15 15:32
名前: 凡 ◆IBmmrNHoC. (ID: gOBbXtG8)
参照: トリップをつけました。

 魔法なる存在で文明を繁栄させたこの星。銘を"アース"と呼ぶ。
 アースでは様々な国が独自の文化と文明を以って、それぞれ違う道を歩んで発展していった。
 そんな中で、世界一広い領土を持つと謂われる大帝国"グランディオーツ"
 今日も活気で溢れるグランディオーツでは今、何かが水面下でひっそりと動き出している。

 とある学院の生徒達が、その眼で水面下の影を見た————



   ◇  ◇  ◇



〜ご挨拶〜

こんにちは、凡です。初めましての方は初めまして。
此度は僕の第一作品である"クレイグ士官学院"のリメイクを書くことにしました。
今度は話の途中で変な話の分岐を加えたりしないのでご安心を。


〜基本的なルール〜

1、荒らしをはじめとする、中傷的なコメントや悪意のある批判は発覚次第管理人に通報します。
2、作者は基本的に、カキコにあまり来れません。本編などの更新速度はまちまちとなります。
3、2の項目に伴って保留が発生しますが、保留中のコメントはお控え下さい。迷惑です。
4、各種お知らせのコーナー、コメント返信ページの更新は臨時的です。
5、4の都合上、本編を更新せずにそちらだけ更新することもありますので、定期的に目を通していただけると幸いです。


〜各種お知らせ〜

・オリキャラの募集を開始しました。


〜オリキャラ関連項目〜

オリキャラを募集いたします。
テンプレートはこちら>>7

※留意事項

1、前作に応募されたキャラですが、申し訳ありませんが今回は引き継ぎません。新たにキャラ投稿を行ってください。
 (前作に応募されたものと全く同じでも、勿論構いません)
2、キャラの設定次第では不採用、モブキャラ化、登場頻度が少なくなるなどのケースがあります。
3、キャラを応募する際は、テンプレート下記の注意事項を厳守のこと。
4、キャラの応募は、1人につき3回までとします。

デフォルトキャラクター紹介
※準備中

応募されたキャラ一覧
※キャラはありません


〜本編目次〜



序章—入学—

1話〜想定外オリエンテーション〜
>>1 >>2 >>3 >>4 >>5

Re: グランディオーツストーリー【クレイグ士官学院リメイク】 ( No.1 )
日時: 2014/08/10 09:18
名前: 凡 ◆IBmmrNHoC. (ID: gOBbXtG8)

 帝都近郊の線路を、"トラエスタ"行き帝国列車が走る。
 青のカラーリングがなされたその列車には、真新しい赤の制服に身を包んだ青年"ロイ・セレスティア"が乗っていた。
 列車を乗り継ぐこと、かれこれ4時間が経過している。しかし特に彼は疲れを見せていない。
 何故ならロイは、これから催される"クレイグ士官学院"の入学式に参加するのだから。
 ハードルの高い試験を乗り越え、ライバルを出し抜いてようやく入学できた士官高等学校"クレイグ"。
 彼は胸を躍らせていた。故にこの程度の列車旅でつかれるはずがない。

『へぇ、メノウの花か』

 新春、トラエスタではメノウの花が咲き乱れていた。
 極東の島国に咲く"サクラ"と似たような樹木で、小さく可憐な白い花を沢山つけることで有名。
 花言葉は"平和"であり、戦火とは無縁のこのトラエスタにはぴったりの花である。
 そんなメノウ並木を、ロイは列車の中から物珍しそうに眺めていた。
 ロイも話に聞いていた程度のメノウだが、実際に目の当たりにするととても美しい。

 気候上、ロイの故郷"シャルディ地方"ではメノウが育たない。
 その代わりに、メノウと似て非なる"ポリー"が冬に咲き乱れる。
 ポリーは青く大きな花を咲かせる樹木の花。淡く発光することでも有名で、夜に見るととても幻想的である。
 "縁結び"という花言葉があるり、薔薇に次いでよくプロポーズで使われたりする。

 ロイがポリーとメノウの形を重ねていると、列車内にアナウンスが流れた。

「————間もなく、トラエスタ。お出口は右側です』
『っと、もう到着か』

 ロイは荷物と地図を片手に、下車準備を始めた。


   ◇  ◇  ◇


 下車して駅を出ると、ふんわりとした優しい香りがロイの鼻を擽った。
 正体はメノウ。春風と相俟って、彼はそれに気をとられて歩みを止める。
 見ればすぐそこにはメノウ並木があり、散った花弁が風に舞って情緒ある光景を描いている。
 飾ることなく、美しいという言葉をそのまま表したようである。

 彼にしたらもう少しメノウを堪能したいところだが、いつまでも呆けている訳にはいかない。
 一流の学校に合格しておきながら、入学早々式に遅れるという小恥ずかしいミスは避けたいところだ。
 ロイはメノウ並木を通り、早足に士官学院を目指した。

Re: グランディオーツストーリー【クレイグ士官学院リメイク】 ( No.2 )
日時: 2014/08/10 21:49
名前: 凡 ◆IBmmrNHoC. (ID: gOBbXtG8)

 道中、ロイは何人か自分と同じ赤色の制服を着た人物を目撃した。
 クレイグ士官学院は平民と貴族の区別をつけるため、平民は黒、貴族は白の制服を着用することを義務付けている。
 しかし、ロイを含めた数人は違っている。他の制服とデザインが全く異なる、赤色の制服を着ているのである。
 何故自分を含め、白でもなく黒でもない"赤"の制服を着ている人がいるのだろうか。
 気になったロイだが、とりあえず頭の片隅に放っておくことにした。どれもいずれは分かることなのだろうから。

 そんなことを考えているうちに、ロイはいつの間にか、入学式が行われる講堂の前についていた。
 凛々しい面構えで新入生を迎える講堂の顔は、これから始まる学院生活の全てを物語っているようにも見える。
 ロイは、この学校で始まるこれからの学院生活を想っていた。

「新しい学院生活が始まるんだな……みたいなこと思ったか?」
「?」

 凛とした声がロイの鼓膜を揺らす。
 隣にはいつの間にか、茶髪ショートの女子生徒が立っていた。

「まあな。気を引き締めないと、みんなに置いてかれると思って」
「はは、生真面目だなアンタ。あたしはパスカル・ピックフォードだ。アンタは?」
「俺はロイ。ロイ・セレスティアだ。よろしくな」

 "パスカル・ピックフォード"と名乗ったその少女は、ロイと硬い握手を交わす。
 よく見ればパスカル。ロイと同じ赤い制服を着ているではないか。とても可愛らしく、それでいて動きやすそうである。
 赤い制服という共通点で話しかけてきたのかどうかはともかく、ロイは彼女に制服について聞いてみることにした。

「そういえば制服なんだけど、俺達って何かあるのか?」
「あぁ。それなんだけどさぁ、あたしも気になってたんだよな……」

 2人は制服について色々と話をしつつ、講堂へと入っていった。


   ◇  ◇  ◇


 学園長である"ローガン・ウィンダリア"がステージに現れたのを合図に、入学式は始まった。
 その学園長は年老いているが、発する威厳はかなりのもので、身長も2メートルあってもおかしくないくらい高い。
 ロイとその隣に座るパスカルだけでなく、入学生全員がその覇気に圧倒されていた。
 その所為か講堂は静まり返っていて、学園長の声だけが響いていた。

「クレイグ士官学院の教訓は、心を育て、自らを研く。この言葉の意味を、どうか自分たちで理解してほしい」

 その言葉を合図に学園長の講和は終わり、同時に入学式も幕を閉じた。
 生徒達ざわめき始めたころ、可憐な容姿と少し幼い声を持つ生徒会長からの指示が入る。

「では、予め配られた入学案内書を元に各自自分の教室へ向かってください」

 それを聞いた皆は一斉に立ち上がった。
 だが、ロイは立ち上がれなかった。手元にある入学案内書に、自分のクラスが書かれていないからだ。
 どうやらパスカルも同じらしく、2人はどうするべきか戸惑った。
 頭を捻っても、答えは出てこない。学院側のミスとも考えにくい。というよりそれは考えられない。
 ロイはふと、周囲を見渡してみた。するとやはり何人か、自分のクラスが分からずに困っている様子の生徒がいる。
 それと偶然か、その困っている人たちは全員赤い制服を着ていた。
 数を数えてみると、ロイとパスカルを入れた合計6人が困っているらしい。

「はいはい、赤い制服の子達は注目しなさ〜い」
「?」

 すると不意に1人の女性教官が、手を叩いて赤い制服を着ている生徒の注目を集めた。
 6人の視線が教官に集まる。その教官はかなり容姿端麗で、空色の長髪に輝くような金の目が印象的である。
 その上体型も、男の理想を全て具現化したような怪しき肢体を持っている。
 艶美な唇が開き、言葉が発される。

「私はアリア。ちょっと覚えておいて頂戴。君たちにはちょっと、オリエンテーションみたいなのをやってもらう予定よ」
「お、オリエンテーション?」

 聞いて、ロイをはじめとする皆は戸惑った。
 入学早々オリエンテーションなど、誰からも聞いていないし調べてもないのだから。
 何のオリエンテーションが始まるやら。ロイがそう思ったときである。

「アリア教官だったか。その前に、俺の疑問に答えてもらおうか」

 ふと、赤い制服を着ている金髪の男子生徒が立ち上がった。
 身勝手で荘厳なその振る舞い。恐らくは貴族なのだろう。その場にいる全員がそう思った。
 そんな振る舞いを前にしても、アリアと名乗った教官は特に何も言わず、その生徒の要求を受け入れる。

「この場にいる赤い制服の生徒……俺達は一体なんなのか、答えてもらおう」

 その疑問は、彼だけでなく皆が抱いている疑問である。
 送られた制服を着てクレイグ士官学院にみれば、制服が他の人とは違って今この様だ。
 逆に、疑問を持たないはずが無い。

「————まあ、そうね。そのほうが、みんなもすっきりするでしょうから」

 アリアが皆の様子を見て納得した。
 明らかに渋々といった様子が見られたが、誰も何も言わない。早く答えが聞きたいのだろう。
 アリアはそんな皆を一瞥し、溜息をついてから事の真相を話し始めた。

Re: グランディオーツストーリー【クレイグ士官学院リメイク】 ( No.3 )
日時: 2014/08/11 08:32
名前: 凡 ◆IBmmrNHoC. (ID: gOBbXtG8)

 その後アリアが告げたことは、俄に信じ難いものであった。
 絶対に何か、裏で謀略の糸が張り巡らされているに違いない。そんな内容であった。
 曰く、赤い制服を着た生徒は、貴族や平民に何ら関係なく作られたクラス"0組"であるとの事。
 曰く、0組に所属する生徒は皆、今年から新しく士官学院に取り入れられた教育方針の実験対象になるとの事。
 曰く、参加するか否かはこれからのオリエンテーションを通してから自由に決めることが出来るとの事。

「具体的にどんな教育方針なのかって言うのは、ネタバレになっちゃうから伏せておくけどね」
「なるほど」

 金髪の男子生徒も、一応頭では理解できたらしい。
 しかし、現実味が無いのは事実である。貴族クラスも平民クラスも、1クラスにつき絶対20人は生徒がいる。
 対してこの0組は、現時点では6人しかいない。非常に少数だ。

「まあ、百聞は一見に如かずって言うから、実際にオリエンテーションを始めましょう。ついてきなさい」

 そういってアリアは踵を返し、足を講堂の出入り口へ向けた。
 皆はとりあえず、彼女の後を追いかけることに。


   ◇  ◇  ◇


 皆がアリアに連れて来られた場所は、クレイグ士官学院の敷地にある建物。
 というよりは遺跡と言った風貌を漂わせており、僅かに水流の音が入り口から響いてくる。
 何故こんなものが学院の敷地内にあるのか、皆はまた疑問を抱く羽目になった。
 見た感じではかなり古いので、態々この0組のために設立されたとは考えにくい。

「ここよ。まあとりあえず中に入りなさい」

 アリアは皆を遺跡内へ誘導する。
 中にはランタンがいくつも壁に吊るされていて、思っていたよりも明るかった。
 最初に入ったさきには大きな広間みたいなものがあり、胡散臭い台座が6つ、誇らしげに並んでいた。
 台座の上には武器と、何やらこれまた怪しげな腕輪が佇むように設置されている。

「ここに台座があるでしょう? 自分の名前が書かれたプレートがあるから、それを見て自分の台座の前に着きなさい」

 皆は指示されたとおりに動きだす。
 遺跡の内部はかなり広く、声が反響するほどではないようだ。

「ロイ、こっちだ」
「あぁ、ありがとう」

 ふとパスカルが、ロイを手招きした。
 自分の台座の隣に、彼の台座があったらしい。
 彼らのそのやり取りを、一瞬でも皆は興味深げに眺めていた。
 アリアが2人に近付く。

「君たち、知り合いなの?」
「いえ、さっきちょっと話し合った仲でして」
「ふうん。ま、早速仲がいいようで何よりよ」

 アリアは微笑んで、その場を去る。
 ロイとパスカルはお互いに顔を見合わせ、首を傾げるだけであった。

「はいはい、聞きなさい」

 手を叩く音がする。

「腕輪が自分の台座にあるでしょう? 各自、腕に嵌めること」

 言われたとおり、皆は腕輪を手にとって腕に嵌めた。
 個人でサイズが調整されているのか、嵌め心地はピッタリだ。
 不意に、腕輪が輝きだす。

「は?」
「え?」

 何だ何だ。そんな声が、皆の口から漏れた。

 皆が嵌めた腕輪は、碧く淡い光を放っている。
 放ったかと思えば今度は、同じ色の軌跡が現れて皆の腕輪と繋がった。
 リンク。その言葉が最もよく当てはまるだろう。
 しばらく繋がり続けた碧い光の線は、一定間隔ごとに複数回光を強めたり弱めたりして、そして消えた。
 同時に、腕輪自体が放っていた光も消える。
 一体なんだったのだろう。皆が目を見合わせていると、アリアが何やらご満悦な表情を浮かべた。

「うんうん、テストは成功ねっ」
「オリエンテーションって、これだけですか?」

 ロイが問うた。
 しかし、まだオリエンテーションは始まっていないらしい。

「じゃあ、これからオリエンテーション本番といこうかしらね〜」

 するとアリアは、不意打ちよろしくその場から消え去った。
 正確に言えば、ありえない速度のステップで遺跡内から出入り口へと脱出した、である。
 その間、僅か1秒。皆が呆気にとられている間に、彼女はその場から神速で立ち去ったのだ。
 流石は士官学院の教官か。そう感心している生徒もいたようだが、何か嫌な予感がしたらしいロイが突然走り出した。

「ろ、ロイ?」

 パスカルの呼びかけにも応えずに。

「アリア教官!」

 ロイはアリアの名を呼びながら、出入り口を目指して全力疾走を始めた。
 皆はそんな彼の態度に、少しだけ驚いたような表情を浮かべる。

 ふと、出入り口の扉が閉まる音がした。

「!?」
「間に合わなかったか……」

 ロイの後を追って、皆も出入り口までやってきた。
 だがロイが来た時には既に扉が閉まっていたらしく、皆は遺跡内に閉じ込められた形になった。
 その扉は何をしてもびくともしない。よほど強固な素材で出来ているのだろう。

「アリア教官は、一体何を考えていらっしゃるのでしょうか……」

 今まで口を開かなかった女子生徒が口を開いた。
 穏やかで、とても儚い声である。
 しかし、その問いに答えるものは誰一人としていなかった。

 ————流れる沈黙が重い。

「あぁ、そういうことか」

 ふと、軽薄そうな1人の男子生徒が口を開いた。
 皆の視線がそちらに集中する。

「アリア教官のオリエンテーションって、この遺跡から脱出することなんじゃないか?」

 あぁ、なるほど。
 意外に単純だった答えではあるが、皆の声が揃った。

Re: グランディオーツストーリー【クレイグ士官学院リメイク】 ( No.4 )
日時: 2014/08/13 10:19
名前: 凡 ◆IBmmrNHoC. (ID: gOBbXtG8)

 この遺跡には出入り口から入って、まず件の台座が置かれた広い空間がある。
 そこから先は3つの通路によって道が別れていて、探索の上で皆は、固まって行動するか班に分かれるかで討論した。
 結果、効率を重視するために班に分かれて行動することとなった。
 この場にいるのは6人。丁度2人ずつに分かれて遺跡の探索が出来る。
 そんな中でロイは、迷うことなくパスカルとペアを組んで遺跡の探索に赴いていた。

 ランタンや松明が多いのでそれなりに明るいが、それでも通路の奥は闇に包まれていて見えない。
 徐々に地下へと下るように設計された床も、くねくねと入り組んでいてややこしい。
 道中に存在する分かれ道も、案内板など存在しているはずも無く。2人は慎重な行動を余儀なくされた。

「パスカル」
「うん? どうした?」

 靴底が石の床を叩くだけの音がするこの道で、ロイが今まで流れていた沈黙を破った。

「俺達、何か武器持たされてるけど、もしかして魔獣との戦闘があるのか?」
「だと思うぞ。じゃなきゃ、武器を持たせる意味が無いだろ」
「まあ、それもそうか」

 ロイたちだけでなく、他の皆も、台座の上に腕輪と一緒に置かれていた武器を手にしていた。
 多くの武器は個人で実家から持ち込んだものだが、中には士官学院側で適正武器を選んでもらった生徒もいる。
 ロイとパスカルは自分で家から持って来ていた。やはりというか、普段から使う武器が一番手に馴染む。

「おっと」
「?」
「油断するなよ、ロイ。早速のお出ましだ」

 噂をすれば、遠くではあるが、スライムのような身体を持った魔獣が現れた。
 目と口と、丸く赤いその胴体。脳味噌などある気配が無く、本能のままに生きていそうな魔獣である。
 数は3体。パスカルは早速、持ち前の武器で前へと出た。

「ほらほら!」

 パスカルの使用武器は、白と黒とで一対になった魔法拳銃が2丁。
 魔法から成る様々な種類の銃弾を撃ち出す事が出来る代物である。
 彼女は大口径のそれを両手に構え、走りながら空中に漂うマナ——魔法の源を銃にチャージする。
 彼女は、火炎を吐くそのスライムの弱点属性を"水"とみた。
 吐かれる火炎をステップで避け、炎が残る地面を飛んで避け、確実に距離をつめる。
 そして、白く小さな手で力強く引き金を引いた。
 引き金が引かれたことにより、銃の内部機構で無属性から水属性への属性変換が行われる。
 ほんの数ナノ秒もの間に行われたその過程を完了し、2つの銃口から強力な水圧弾が発射される。
 それは、火炎を吐き出さんと大口をあけていた2体のスライムの口へと入っていき、消火という形で息の根を止めた。

「負けてられないな!」

 パスカルがそうしている間に、ロイも動き出していた。
 彼の使用武器は、銃と剣が一体化した独創的なガンソード。
 バレットからバレルは伸びておらず、特殊な構造によってバレットから直接銃弾を撃ち出すことが出来るものだ。
 刀身は燻銀に輝き、片手で振るえるほどに軽いが、それでいて長さは十分にある。
 彼はそんなガンソードを左肩を越えて振りかざし、左斜めに大きく深々と、直ぐ其処まで来ていたスライムを切断。
 同時に柄の部分に備え付けられた引き金を引いて、切断攻撃と共に銃撃行動も取る。
 刀身のリーチが足りなかった分銃弾がそれを補い、小さな風穴を穿たれたスライムはやがて力尽きた。

「やるな、ロイ」
「パスカルも、やるじゃないか」

 スライムたちは紫色の煙と共に、その場から姿を消し去った。
 魔獣の特徴として挙げられるのが、死ぬと紫色の煙となってその場からしたい諸共消え去るという特徴。
 そのために、スライムたちはこの場から消え去ったのである。
 それを見届けたロイとパスカル。笑ってハイタッチをすると、2人は探索に戻った。


Page:1 2 3 4



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。