複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界−【コメディ中心】
日時: 2014/09/16 19:28
名前: ヨモツカミ (ID: cqAdOZIU)

〜はじめに〜
はじめまして、もしくはお久しぶりです。
今回はコメディ系を書きたくなったのと、私の中に眠る厨二病が覚醒しそうなので(笑)
厨二病を意識した学園ものを書いていこうと思います!
ちなみに私は元厨二病患者です。中3が末期でした。写真取る時のポーズが全て痛々しい。
卒業アルバムにも痛いのが残りました。



 人々が中二病と呼ぶ、我々の真の姿とは、神に選ばれし、使徒なのだ。と、彼らは言った。
 僕が認識する、彼ら中二病とは、左手や左目に何かを宿したと吹聴し、人とは違う力を持つと錯覚し、それに伴った痛々しい言動や行動をとってしまう人たちである。

 実際に、すぐ隣で左手を押さえつけて「止せ! ここで力を使えば、ユートピアに共鳴してしまう!」等と叫んでいる彼も、はたからみれば、ただの痛い人。中二病でしかない。
 高校生になったにもかかわらず、中二病が完治しない彼らには、早く夢の世界から帰ってきて、現実を見てほしいと強く願わずにはいられない。

 五月の、まだ肌寒い夜風に吹かれながら、僕らは母校の校舎を見上げた。

「早く行こう。七度目のラグナロクはすぐそこだ」

 先ほどまで押さえつけていた左手に、包帯を巻きつけながら、彼は言う。

 黙って右目を押さえつけていた彼女も、真剣な顔つきで「ええ。悪夢の宴で会いましょう」等と、意味不明な発言をし、彼についていった。
 そして僕も、何がなんだか分からないまま、彼らについていくのだった。


prologue test of courage——



〜お客様〜
みん様
風死様
ひで様

〜目次〜
第1話  悪夢ノ右目を宿した月女神(ナイトメア・アイを宿したディアナ) >>3>>6>>7
登場人物紹介壱・用語解説>>8
第2話  終焉の魔物を飼い馴らす救世主(レヴィアタンを飼い馴らすメシア)>>9>>10>>11
登場人物紹介弐・用語解説>>12
第3話 坂ノ下高校 ヒーロー部!>>15>>16>>17
用語解説>>18

Re: 堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界− ( No.9 )
日時: 2014/08/17 20:38
名前: ヨモツカミ (ID: cqAdOZIU)

第2話  終焉の魔物を飼い馴らす救世主(レヴィアタンを飼い馴らすメシア)

 放課後の、人気のない四組の教室で、歴史のノートを眺めていた。
 クラスメイトにノートを貸したら、一番最後のページに落書きをされたのだ。かなりクオリティーの高い、聖徳太子の絵だ。

「……中島」

 確かに上手い。まるで印刷したかのようだ。
 しかし、今週末に、歴史のノートは提出しなくてはならない。中島には悪いが、聖徳太子は消させてもらう。

「赤城ー! 部活行こうゼ!」

 三組の、我らがヒーロー部の部長、村松疾風が、教室に飛び込んできた。
 疾風はオレのノートを覘いて「うわっ。歴史の教科書に載ってる人!」と、叫んだ。

「聖徳太子な。中島に描かれた」
「中島って誰」
「中島実津男」
「ミツオ……ああ!」

 やっと理解した疾風は「大天使ミカエル様っていってくんねーとわかんねーよ!」と、言った。
 俺にはそっちの方が分からないが。
 きょとんとした顔の俺を見て、疾風は「お前、ミカエル様しらねーの!?」と言ってきた。

「ミカエル様は、地上に現れた悪魔・サタンを倒す為に中島に取り付いた天使なんだゼ!」
「へぇ。サタンって、お前のクラスの山田だよな。この間、サタンとミカエル様、一緒に下校してたぞ」
「戦闘中だったんだな!」

 なるほど。会話を盗み聞きした所、魔法少女について議論していたが、あれは戦闘だったのか。
 疾風は突然廊下のほうを見て、「あ、転校生だ。話しかけてくる!」と言って、教室を飛び出していった。
 本当に騒がしいヤツだ。

 引き続き、聖徳太子を消しゴムで抹消していく。
 廊下のほうで「まって! 坂ノ下レッド!!」と、叫ぶ声が聞こえた。
 そう思った次の瞬間、酷い騒音を立て、バケツがひっくり返る音と、人が走り去る音が聞こえた。
 ケシカスになった聖徳太子を、ノート上から掃って、廊下に出た。

「……なにがあったんだよ」

 廊下の端の方で、掃除用のブリキ製のバケツを被り、ビショビショに濡れ、水を滴らせた状態で立ちすくむ疾風がいた。
 疾風が、ゆっくりと呟く。

「あの転校生、マジヤベー」
「今のお前の状態も、マジヤベェけどな」

Re: 堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界− ( No.10 )
日時: 2014/08/21 11:26
名前: ヨモツカミ (ID: cqAdOZIU)



                       †

 僕がアルテミスさんに案内されたのは、四階。空き教室だらけの階。その階の、右から五番目の教室、E教室に入る。

「待っていたぞ。このトキを……」

 教室に入るなり、すぐに退室したくなるような光景が広がっていた。
 教室の机や椅子は、積み重ねられて、教室の後ろ側にに寄せられていた。そうして空けられたスペースには、白いチョークで描かれた、魔法陣の様な物があった。
 その魔法陣の中央で、僕とアルテミスさんを待ち構えていたのは、同じクラスの長谷川君だった。

 長谷川君は微笑みながら、僕に右手を差し出して「ようこそ、厨二病同好会へ」と言った。

「中二病の自覚、あったんだね」

 僕がそういうと、長谷川君もアルテミスさんも、ふっと笑った。
 そして、アルテミスさんが口を開く。

「雅は、厨二病ってなんだと思う? 意味の分からない発言をする、自分を特別な人間だと思いこんだやつだと思う?」
「けっこう自覚あったんだね!?」

 思わず突っ込んだ僕の声を遮るように、長谷川君が「それは大きな間違いだ!」と、叫んだ。
 驚く僕に目もくれず、長谷川君は続けて言った。

「厨二病と呼ばれる、我々の真の姿とは、神に選ばれし、使徒なのだ」
「あ、そうなんですか……」

 中二病末期にもなると、そんなことを言い出すのか。

「そしてあなたも、自分では気付いてないかもしれないけど、神に選ばれし、使徒なのよ」
「な、なんだってー!?」

 なるほど、『仲間になりなさい。世界を救う為に』って、さっき言ってたけど、厨二病同好会に加入しろ、ということか。
 ちなみに、この厨二病同好会は、学校公認部活だ。公認した教師達の気が知れない。

 とりあえず、今の僕は、他の部活に入ろうとは思ってなかったし、長谷川君が「必殺・スライディング・ツイスト・土下座!」(足がもつれて失敗したが)をやってきたので、入部する事にした。

「今の君は、何の力もない。いわば無能だが、その内覚醒するだろう」

 長谷川君が、入部届けを差し出しながら言った。
 僕は、「そうなんですか」と、適当に答えて、受け取った入部届けに、名前を書き込んでいく。

「さて、自己紹介がまだだったな」
「いや、教室でしたよ。長谷川君だよね、よろしく」

 長谷川君は、左手を掲げて「俺は長谷川綴。ロシア人ハーフの、極普通の高校生だ」と、自己紹介を始める。

Re: 堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界− ( No.11 )
日時: 2014/09/04 17:51
名前: ヨモツカミ (ID: cqAdOZIU)

「しかし、極普通でいられたのは、中学生になるまでの話だ。俺がなんとなくやった行為が、世界を救い、そして、終焉の獣を封じる鍵となった。そう、この左手には、終焉の獣、レヴィアタンが眠っている!」

 長谷川君は、左手を右手で押さえて、続ける。

「コイツを身体に宿す事で、俺は、人にはない力を手に入れた。それはもう、人として生きることはできないと言う事だ。人じゃなくなった俺は、世界を救う為に戦い続けた。そしていつしか救世主(メシア)と、呼ばれるようになった」
「た、大変だったんだね……」

 僕がそう言うと、長谷川君は、微笑し「昔の事さ……世界はもう、平和だからな」と言った。

「さて。昔話も済んだところだし、ラグナロクの話をしましょう」

 アルテミスさんが、真剣な顔つきで言った。
 いや、ラグナロクってなんだよ。
 わけの分からないまま、二人で話し合いを進めていく。

「今回のラグナロクは、この学校だ。それも、丑の刻頃のな」
「ふうん。三人いるから、やっと出来るってことね」
「そういうことだ。七度目のラグナロクは——」

 長谷川君は、短くなったチョークで、黒板に何かを書き綴っていく。英文のようだ。
 黒板には『test of courage』と、細い線で書かれた。直訳すると、勇気試し。つまり、肝試しのことだ。

「え。ラグナロクって肝試しのことだったの?」

 僕が尋ねると、アルテミスさんが声を荒げて言った。

「かっこ悪いから肝試しとか呼ばないで! あと、ラグナロクって言うのは、部活動の事よ!」
「そ、そうなんですか……」

 部活動で、肝試しをやると言う事か。厨二病同好会って、結局なんなんだろう。遊ぶだけの部活なのか。

 なんだかよく分からないが、僕は部活動にも加入し、よい高校生活がスタートできそうだ。

2話  完

Re: 堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界− ( No.12 )
日時: 2014/08/31 21:27
名前: ヨモツカミ (ID: cqAdOZIU)

登場人物紹介2

村松 疾風(むらまつ はやて)
3組。ヒーロー部の部長、坂ノ下レッド。坂ノ下戦隊のリーダー。救いようのない馬鹿。
中学時代は、剣道部で、有名な選手だったが、ヒーローに憧れていたので、高校ではヒーロー部を選んだ。
左側の寝癖がどうしても直らないのと、身長が低いのが悩み。
コミュニケーション能力が高く、結構友達が多い。

赤城 恋 (あかぎ れん)
4組。ヒーロー部の坂ノ下ブラック。元不良で、『北中の酒呑童子』と呼ばれ、結構恐れられていた。
女子っぽい自分の名前が嫌いだが、親からもらった名前なので、複雑である。マザコン。
不良だったので、当然授業はサボっていたが、なぜか勉強が得意。
赤っぽい、やや長めの髪と、目つきの悪さが特徴。高身長。

山田 夜志雄(やまだ よしお)
3組。左目が青、右目が赤のオッドアイ(カラコン)。自称サタン。帰宅部。
元バスゲ部で、『バスケの旋風』と呼ばれていたが、「俺に勝てるのは俺だけ」になったからやめたらしい。
実は、疾風とは親友同士。小学校から一緒で、かなり仲がいい。
元バスケ部なので、高身長。垂れ眼なので、いつも眠そうに見えるのが悩み。

中島 実津男(なかじま みつお)
4組。眼鏡が似合う、自称大天使ミカエル様。帰宅部で、よく山田と小林と共に帰宅している。
理系っぽい見た目だが、ただのオタク。オタクだから、絵が上手い。
喋りだすと、魔法少女の話ばかりする。顔が整っているので、喋らなければモテたのだろう。
眼鏡を外すと、殆どぼやけて見える。かなり目が悪い。



用語解説

聖徳太子
飛鳥時代の政治家。607年、遣隋使として小野妹子を中国に使わした人。

大天使ミカエル様
中島に取り付いた、大天使。サタンと日々戦闘を繰り返しているが、決着がつかないらしい。

厨二病同好会
4階にある、空き教室4—Eで日々活動中。厨二病が集う部活。

ラグナロク
厨二病同好会のメンバーは、部活動の事をそのように呼ぶ。

終焉の獣・レヴィアタン
長谷川の左腕に封印された獣。
地上最強の獣であり、ソレを封じた長谷川は、救世主と呼ばれているらしい。

スライディング・ツイスト・土下座
滑り込むように回転し、回転しながら、徐々に土下座のフォームを作る。
後は、普通に土下座をするだけ。

Re: 堕ちてゆく僕ら−厨二ノ世界− ( No.13 )
日時: 2014/09/01 00:21
名前: ひで ◆xHjoR1HQmw (ID: Gg/cy2.F)

面白いですね

『スライディング・ツイスト・土下座』とは、つまり無駄に洗練された無駄な動きを付け加えた普通の土下座かw


Page:1 2 3 4



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。