複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 或る国の僕と君と…【コメ募集】
- 日時: 2014/09/30 22:03
- 名前: 姫音桜子 (ID: 7TW18VFI)
本格的にはじめようと思います!
温かく見守ってくれると有難いですm(*_ _)m
洋風で魔法系で
第1章 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5
魔法の仕組み(魔法使いver.)・登場人物 >>6
第2章 >>7 >>9 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14
>>15
登場人物の細かな容姿>>8
- Re: 或る国の僕と君と… ( No.1 )
- 日時: 2014/09/21 16:39
- 名前: 姫音桜子 (ID: FLOPlHzm)
1章 旅に出る
手が凍るように冷たくて動かせない
暖かい感覚も忘れてゆく
これは私が望んだ答えだ…
これで世の中は平和になるに違いない
「アンバー…アンバー!アンバー・メイソン!おい、おい!」
微かに聞こえるのは誰の声…?
身体が冷たくて、もう確認する気力なんてないや……
「アンバー殿!アンバー殿!!起きて下さい!いつまで机で寝てらっしゃるのですか?!女の子なんだから 机で寝ないでください!!」
声を荒くして叫ぶのは、私の弟子エラ・ホール
しっかり者で少し小柄な弟子
2年前に私が街中を歩いていたらエラが餓え死にそうな所を助けて、弟子にしてくださいとお願いされ心広く引き受けたのだ
「悪いね、徹夜続きなのさ…もう少し…寝かせてくれないかい?…」
私は睡眠不足で朦朧とする頭でエラに話す
「まったくもう、アンバー殿はお忘れになされたんですか?今日は西の王女様がわざわざここに来てくださる約束の日ですよ!」
呆れた顔つきでエラは近くの椅子に寄りかかった
それを聞いた私は、目をこすりながら
ゆっくりと伸びをし大きなあくびをする
「ふはぁーっ…そっか…そうだったね」
「紅茶、置きましたから冷めないうちに飲んでくださいね。私は部屋の掃除しますから」
彼女はドアノブを回し部屋を出た
確かに紅茶が置いてあった
温かな紅茶で香りがいい…
夢の中ではあんなに冷たかった手が
一瞬にして紅茶の温度に染まる
一体、あの夢はなんの事なのだろうか
紅茶をすすろうとした。口をとがらすと唇の両脇には深い皺が寄る。
「さあーて、王女様が来るまで町の皆の魔法の依頼片付けるとするか」
ぎぃいーと古びたドアが開く
振り向いて見ると、それは西の王女様だった
「失礼してよろしいかしら…?」
ふんわりと柔らかな笑みを浮かべる王女様
「王女様!いつの間に?」
あまりの驚きについ質問してしまう
「つい先ほど馬車で着いたところよ、気にしないでよ」
彼女の名はアリーヤ・ウェスト
私の恩人であり一国の立派な権力者なのだ
天使のような綺麗な顔立ちで初対面の人間はかならず見惚れてしまう。
ほこりや本で汚い私の家の雰囲気が負けてしまうほどの輝き。
「えっと、汚い椅子だけど、どうぞ座ってください…エラ!紅茶をお願い!」
「はーい」
王女はくすりと笑い
「…大丈夫よ。ゆっくり座ってお茶して話すわけにはいかないの」
「そ、そっか…ごめんなさい、つい」
「それで、本題に入るわ」
王女は鋭い目つきで真面目に私を見る
私は、ごくりと唾を飲み込んだ
- Re: 或る国の僕と君と… ( No.2 )
- 日時: 2014/09/21 16:47
- 名前: 姫音桜子 (ID: FLOPlHzm)
「魔女退治をお願いできるかしら?」
魔女退治…
私のもっとも嫌いな言葉だ…
見るだけでも熱い炎で苦しんで
死ぬ魔女を国民は恐る恐る見ている
同じ魔法を使えるのに…
確かに、魔法使いは王女の命令を聞いたり
一般人のお願いを聞いたりする役目で
魔女は悪魔との契約を結んだ人のことだ
だけど、なんだか私はすっきりしない
「王女様は知っているはずです…私は魔女退治を好まないということを」
「ええ、もちろんよ」
当たり前だという顔をする王女
「なら、どうしてですか?」
「…ただの魔女なら、私は許せるけど…
今度は違うわ…」
深いため息をする王女の姿を見て
只事ではないことを想像する
「これは、貴方の一家が関わる戦いよ」
「私の…一家…ですか?」
静かな森の風が窓から頬を通る
私の…一家…?
呆然とふんわりと微笑む王女様の顔を見る
鳥肌がたった気がする
「そうよ、メイソン家が関わる…」
「あのー、お茶…」
ドアからこっそり出てくるエラ
片手には紅茶…
「あぁ、もうこんな時間なの…でわ、私は仕事があるから失礼するね」
ゆっくりとふわっと白いドレスが花の香りをする…
「あの、王女様お茶は?」
「ごめんなさいね、もう飲む時間もないのエマちゃんが代わりに飲んでくださいね」
私とエラに手を振り 王女様は部屋を出た
「…私の名前、エマじゃなくてエラ…」
「そんなに変わらないのだから、気にすんなエラちゃん」
「アンバー殿酷いですー!!」
あははごめんごめんと空笑顔をする
私の頭の中によぎるのは幼い日の思い出
「アンバー殿の嘘笑いは似合わないです…」
ボソッとエラは呟き
紅茶を片手にまた部屋を出た…やっぱり、気づかれるよね
机の引き出しに首にかけてる鍵で閉まった杖を取り出す
隣には小さい頃描いた家族
妹と母と私
元々、父親は私が物心つく前にこの世から消えた…懐かしい紙を愛おしそうに眺める
「それより、魔法の依頼片付けなきゃ」
ゆっくり椅子から立ち上がって杖を持つ
この部屋には呪文やら悪魔やら薬の作り方の本がある
杖を4回ほど回し
結晶のようなものがキラキラ杖の先を通して
何もない私の目の前から依頼リストを出す
そのリストを私は読む
「えぇっと、お。これは珍しい依頼…」
そしたら、ドアからノックの音が
「はーい」
またぎぃいーという古いドアの音がする
「おい、アンバー・メイソンか」
私よりはるかに背の高い赤髪男が唐突にいう
「そ、そうですが?」
唐突過ぎて戸惑う
「確かにそうだな……短くもなく長くもない金髪の髪の毛に緑色の瞳…そして、大きな…む」
大体言いそうなことがわかったので
杖を素早く回し、部屋にある本を宙に浮かせ男の顔面にシュートする
「チカンはとっととお帰り」
本は1000ページもあったやつなので
どうやら重くてぶっ倒れたらしい
「いったたっ、まだ何も言ってないだろ…」
鼻血を出しながらゆっくりと彼は立ち上がる
「あら、もっと重たい本が良かったの?」
杖をまた回そうとする
「す、ストップ…」
「どうなさいましたかぁああ!?」
前に走るなと言って慌てて小走りで駆けつくエラ。
「う、うるさい」
あまりの大声に耳を塞ぐ私
「お客さん、はっ、鼻血が…」
涙目になりながら心配そうに男を見るエラ
「あぁ…」
平然に立つ男、見てるだけでイライラする
「アンバー殿!いくらストレス溜まってても暴力はいけませんよ!」
頬を膨らませるエラ
「理不尽な!そいつが失礼なことを言ったから悪いんだよ!ってかエラちゃん、私のことそういう風に思っていたの?!」
エラが私をストレスが溜まったら誰でも暴力を振るう奴と思い込んでいてがっかりする
てっきり心優しい恩人だと思い込まれてると想像したのに…戻ってこい私の理想のエラ!
「このチビはなんだ?」
エラの何かがちぎれた気がする
「アンバー殿の言った通り口の悪いクソったれの失礼男ですね」
「いや、私…彼の事失礼なこと以外言ってないんだけど…」
エラに冷たい視線で睨まれた
「す、すみません、こいつ口の悪いクソったれの失礼男ですね!そうですね!」
エラは満足そうに微笑むと
歌声の呪文を唱え始めた
「…magie pour tuer…♪」
「ね、ねえ、せめて彼の命だけは…」
「いや、ここで殺さないでどこで殺せってんですか?」
そういいトドメを刺すエラ
「Mourir…♪」
すると、男は手から炎を出し
エラの出した攻撃魔法を引き止めた
「チビだから、攻撃力も弱いな…」
只者じゃない…と認識して攻撃体勢に入る
「あんた、何が目的だ」
眉を声を鋭くして彼に訊ねる
「まぁ、そんなに警戒する相手ではないよ」
ふっと笑う男
- Re: 或る国の僕と君と… ( No.3 )
- 日時: 2014/09/21 16:43
- 名前: 姫音桜子 (ID: FLOPlHzm)
「俺は、カミル・フォリン…火専門魔法使いで、西の国の王女の命令でお前と魔女狩りをする仲間だ…知らされていないのか?」
「アリーヤ王女ったら、私が家族のことになると食いつくこと知ってるから…私の許可もなく…」口に手を近づけ考える
不安そうに弟子は私に小声で聞く
「いいんですか…魔女狩り…アンバー殿嫌いなはずですよね…?」
だけど、自分の家族が関わっている…
心に不安と好奇心が混ざる…
10数年前、突然消えた妹と母親…
残ったのはこの古い家と魔法の道具
もし、魔女退治で妹と母親の行方が知れたら…
「…引き受けるわ…エラ!荷づくりをしなさい…しばらく旅に出るわよ」
「え………わかりました…了解しました、アンバー殿!」
久しぶりの外出で嬉そうにする反面魔女退治だというのに大丈夫かと不安になるエラ
私は、しばらく開けていないほこりだらけのクローゼットを開け母親の昔、使っていたローブを手に取る
「魔法使いっぽいローブだな」
「当然よ、私は魔法使いだもの」
少しクスクスと笑う