複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

そして蝋燭は消えた。【短編集】
日時: 2015/05/22 17:58
名前: 橘ゆづ ◆tUAriGPQns (ID: w4lZuq26)

はじめまして。橘ゆづ(たちばなゆづ)、といいます。
初めて小説を投稿してみようかなぁ、と。
雑談では「ゆづ」として色々歩き回ってるので、見かけたら声をかけていただけると嬉しいです(笑)
まだまだ初心者ですが、よろしくお願いします!

基本、短編-掌編ぐらいの短いのを綴っていこうかなと思います。
(それ以下になる場合も……)
予告なしに痛い表現や匂わす感じがあるのでご注意ください。
ついでに勝手にシリーズとか始めたり、長いものをだらだら書いたり、詩も書きます。

アドバイスなど貰えたら嬉しいです。コメも凄い喜びます。
出来れば誤字脱字も報告していただけると嬉しいです。

では、よろしくお願いします。


・目次
>>1[残念、夢の時間は終了です]
>>2[神に好かれた女]
>>3[1きっとそんな夢を見た。]
>>4[2きっとそんな夢を見た。]
>>5[終きっとそんな夢を見た。]
>>8[1蜜の世界]
>>9[終 蜜の世界]
>>10[すぐそばに]
>>11[潔癖少女の末路]
>>12[吸わない男]
>>13[心傷の靴]
>>14[眠らないブランコ]
>>15[崩れて堕ちた]

・お客様
>>6佐渡 林檎さん
最初のお客様です。私と同じく短編集を書いていらっしゃり、表現力が魅力的な方です。

Re: そして蝋燭は消えた。 ( No.3 )
日時: 2015/05/19 20:16
名前: 橘ゆづ ◆tUAriGPQns (ID: FpNTyiBw)

(3)1きっとそんな夢を見た

青年視点。


 ばちり。
朝、目が覚めると誰もいなかった。
確かに誰かがいた痕跡はあるのに、誰もいない。
テレビをつけても画面に人の姿は見受けられなかった。
 みんな、何処へ行ってしまったのだろう。
まるで僕だけが世界に取り残されたようだ。
火星?土星?とやらに飛んでいってしまっあのだろうか。
僕だけが置いていかれてしまったのか。

 そんな思想を頭のなかで巡らせながら、朝食をもくもくと摂る。
ひじき、好きじゃないんだけどなぁ。誰が作ってくれたのだろうか。
しっかり咀嚼して飲み込む。おえ、やっぱりひじきは嫌いだ。
洗い物を水につけて、着替えて身支度整える。外に出た。


 暖かい春の日差しが眩しいなか、やはりどこか風が冷たく肌寒い。
風に流れて何処からかやってきた桜の花びらに、そういえばと思い出す。
今、丁度満開だと気づかされて、おもむろに足を運んだ。

 近所にはそれは見事な桜並木があるのだ。春になれば坂道にそって何本もの花が咲く。
僕はそれを見るのが好きだった。

はやく、はやく、見に行こう。

 急ぎ足で少し桜並木へ向かう。
少し遠くに桜並木が見えた頃、やはり満開だったという直感は当たる。
美しい桜色が揺れてるのをもっと近くでみたくて、歩を少し早めた。



 おかしい。
桜の木から何本も芋虫のようなものがぶら下がっている。
桜色と、芋虫のようなもの。嫌なコントラストだ。
遠目からではよくわからない。
だが、この距離から察するに非常に大きな芋虫だ。
 訝しい思いで桜並木にたどり着いた時、やっとそれがなんなのか分かった。

 そこには、幾人もの人間がぶら下がっていた。

どうやら首を吊っているらしい。
優しそうなサラリーマンも、元気のいい小学生も、世話焼きのおばちゃんも。地元の仲間に、そして家族も。
全員で仲良く首を吊っていた。

 春の風に、その首を吊った人たちはこれ見よがしに揺れている。

 みんなどうして中々ずるいじゃないか。
自分も誘ってくれれば良かったのに、と頬を膨らませながら桜並木の先を目指す。
排出物と吐瀉物を綺麗に避けながら。

 そして、最後の一本に差し掛かったとき、足を止めた。
見覚えのある顔と服装と、髪型。
誰だろう。少し考えて、はた、と気が付いた。


 「お前、そこで何をしているの。」


そこには紛れもない自分がぶら下がっていた。


そんな、夢を見た。



(1きっとそんな夢を見た)
続く。

Re: そして蝋燭は消えた。 ( No.4 )
日時: 2015/05/21 06:37
名前: 橘ゆづ ◆tUAriGPQns (ID: Ft4.l7ID)

(4)2きっとそんな夢を見た。

青年視点。


 ばちり。
赤く腫れぼった目を開けた。
自分は喪服。周りももちろん喪服。


「まさか死ぬなんてネエ。」
「アア驚いた。あんなに若いのに。」


 辺りを見回すと僕が知らないような、遠い遠い親戚たちがしくしくと泣いていた。
その顔も何処か仮面を被っているようだ。
 僕はこの空間を異常に感じていた。
なくなってしまった
祖母は亡くなったばかりだし、ばあさんの為にもと祖父はまだまだ死にそうにない。
しかも会話を聞く限り、若い人が死んだようだ。

 誰だろう。

 事故で亡くなったユウコちゃんでもないし、霊に憑かれて死んでしまった綺麗なお姉さんでもない。
ユウコちゃんの恋、秘かに応援してたんだけどなぁ。
失敗に終わっちゃったね。可哀想に。
 白色が好きだったお姉さん。この世に絶望して、白い部屋で眠るように死んでいったお姉さん。

 違う、違う。
 誰だっけ。

考えを巡らせても答えは僕の頭のなかに見つからなかった。
僕が知らないということは、学校の同級生か何かだろう。
それなら知らなくともおかしくはない。
 だけど何故か、心は空虚だった。
悲しいわけじゃない。心が、空虚だ。


「ご焼香を。」


 人々が一人一人棺桶の前に立つ。
自分も棺桶の前に立たなければいけない。

 立ちたくないのは、なぜだろう。

身体が鉛のように重くて、冷水をかぶったのこどく汗が出る。
 嗚呼、でも。
お経の能面のようなのっぺりとした雰囲気に呑まれて、ゆるゆると棺桶の前に座った。
 誰が死んだのだろう。
棺桶を覗きこむ。


「あ、」


 棺桶のなかには僕がいた。
これは、僕のお葬式だった。


そんな、夢を見た。



(2きっとそんな夢を見た)
続く。

Re: そして蝋燭は消えた。 ( No.5 )
日時: 2015/05/20 16:27
名前: 橘ゆづ ◆tUAriGPQns (ID: FpNTyiBw)

(5)終 きっとそんな夢を見た。

青年視点。


 ばちり。
そんな夢を見た。
とんでもない夢だった。
今でも心臓が大きく音を立てて、息が乱れている。
思わず飛び起きたが、どんな夢だったか反動で忘れてしまった。
その夢を思い出そうと記憶を手繰り寄せたが、覚えている限りとても幸せな夢だった。
家族も優しく、友人とも仲良しで、死んだ人が当たり前のようにそこにいる、そんな幸せな夢。

 なぜ僕は怖がっているのだろうか。
とても幸せな夢だったはずなのに。どうして。


しばらく記憶を探るうち、ぞっとした。




 出てきた家族や友人には顔がなかった。



(終 きっとそんな夢を見た)
end。

Re: そして蝋燭は消えた。【短編集】 ( No.6 )
日時: 2015/05/19 22:18
名前: 佐渡 林檎 (ID: Xr21cKIW)

こんにちは。佐渡という者です……。
あの、先日は私の小説にコメントをくださって有難う御座いました。
橘さん、確か記憶が違わなければ「玩具箱。」みたいな題名だったよなぁ……とうっすら考えていたのですが、違ったので人違いみたいです。あ、気にしないでください。

さて——


本当にいいと思います。

ラストはしっかりオチもありますし、話数を経る事でその物語の客観的な所もわかって、自分的に凄い好みでした!!
何偉そうな口聞いてるのかとは思うのですが、、本当に気を悪くしたらすみません。

間の開き具合が、特に。そして言葉の言い回しもリズムも綺麗で、読み飽きるどころか飽きさせない、最後にはちょっと怖い、ミステリーな
感じが良かったです!

すみません、なんか……。はい、なんか長くなりましたが更新頑張って下さい!

Re: そして蝋燭は消えた。【短編集】 ( No.7 )
日時: 2015/05/19 22:53
名前: 橘ゆづ ◆tUAriGPQns (ID: FpNTyiBw)

>>6 佐渡 林檎さん
レスありがとうございます。
はい、少し前は「玩具箱。」だったのですが、少しアレだなぁと思い変えてしまいました。
混乱させてしまってすみません。
ありがとうございます。全然偉そうなんかじゃないです。
そういえば暗い話が多いですね……。そろそろ明るいのも書かなければ。
本当にありがとうございます。これからも更新頑張ります。

橘ゆづ


Page:1 2 3 4



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。