複雑・ファジー小説

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神竜は白銀と浪に踊る。【永久的にキャラ募集(笑)】
日時: 2015/08/05 22:28
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 人間だった俺は、最強の“翼の無い"ドラゴンに転生し。

 這竜は果てしない異世界の大地を這いずり廻り。

 いつしか神竜は白銀と浪に踊った。

———

ベターな異世界転生モノ。
文才ナッシング。

もうひとつ同じようなの書いてたけど、おそらく飽きt……コホン。
やる気出たらそっちも更新。

キャラ募集>>4
誰かキャラを恵んで下さいな 

———
2015年7月7日スレ建て
   7月12日参照100突破ぁ!
   7月19日参照200いぇーい。
   7月?日参照三〇〇

【目次】
プロローグ
『もう一度目覚める』>>1


一章<そうだ、巣を作ろう。>

1話『ドラゴンも悪くない』>>2
2話『飛べない不遇』>>3
3話『ツーチ・ノッコォー』>>7
4話『ゴーレムの集落が見レーヌ』>>15
5話『曰くつき物件:サンドワームの巣後』>>18
6話『巣を作る その1』>>19
7話『巣を作る その2』>>20
8話『巣を作る その3』>>21

幕間『消えた戦利品』>>22


二章<そうだ、飯を食おう>

9話『俺はゴーレム達の英雄になった』

Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【キャラ募集中!】 ( No.19 )
日時: 2015/07/20 21:41
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 ゴーレムは案内を済ませると何処かへ行ってしまい、俺とミレーヌはぐるぐると渦を巻いている穴の中に吸い込まれるように入った。

 するとどうだろうか。
 何と、穴の下には、床も壁も天井も、重力を無視して砂で囲まれた空間が広がっていた。

 「感銘を受けるな。サンドワームはどのようにしてこんな空間を作ったのだろうか」
 ミレーヌも目を輝かせて辺りを見回す。

 サンドワームは相当自分の巣の内装に凝っていたらしく、広い空間は細かく部屋分けをされていた。
 廊下、リビング、寝室、倉庫……いや、宝物庫と呼んだほうが妥当か。
 サンドワームが趣味か何かで集めていたのか、金銀財宝が山のように積み重なった部屋まであった。

 「す、凄い…………魔剣や呪符、古代の魔導書まで収納されているではないか!」
 ミレーヌは宝物庫を見た途端、より一層目を輝かせて声を上げた。
 子供のように無邪気に興奮するミレーヌは、見ていて微笑ましくなる。
 「この財宝はどうするのだ、ツーチ?」
 「ちゃんと巣が整ったら、くれてやるよ。俺持ってても意味無いし」
 「本当か!」
 彼女になら、あげても損は無いと思えた。


 巣を整えるとはいえ、サンドワームさんのお陰で元から状態が良い為に、やる事は部屋の掃除くらいしかなかった。

 「ふぅ…………疲れたな」
 しかし、俺にとっては丁度良くても、ミレーヌにとってはこの空間は物凄く広い。
 掃除を終えると、ミレーヌは革製の水筒に入った水を空っぽになるまで飲み干し、床に座り込んでしまった。

 「ミレーヌ、後は俺がやるからいいぞ。もう十分手伝って貰ったし、戦利品の爪と宝物庫の宝を好きなだけ持って帰れ」
 俺のドラゴンの身体はどんな環境にも適応出来るが、ミレーヌは人間だ。
 これだけ砂漠で動いたら暑さで体力的に限界だろう。

 「いや、大丈夫だ。続けよう」
 だが、ミレーヌは平気だと言うとまた立ち上がり、作業を進めた。
 変なところでプライドが高いが、頼もしい女である。

 本当に限界そうになったら、その時何とかしよう。

Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【永久的にキャラ募集(笑)】 ( No.20 )
日時: 2015/07/22 10:52
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 内装は完璧に仕上がり、外装を何とかすることにした。

 いくら近付く魔物が居ないとはいえ、たまたま通りかかった旅人が巨大な巣穴に誤って落ちたら面倒だ。

 俺は体を震わせると、背中にびっしりと連なっている無数の鱗を宙に吹っ飛ばし
 「ツーチよ、何をしているのだ?」
 吹っ飛んだ鱗は砂漠の大地に突き刺さった。
 「外装作りの材料だ」

 這竜ツーチ様は自分の意志で鱗を飛ばすことくらい容易に出来る。

 おそらく本来の用途としては、遠くの獲物を仕留めるための狩りの手法なのだろう。

 俺以外のドラゴンが同じことを出来るのかは知らないが、俺は本来の用途をした試しがない。

 俺は吹っ飛ばした鱗を掻き集め、巣穴の周りを囲んだ。

 「なるほど、自分の鱗で外壁を作るのか。ドラゴンの鋼鉄の鱗で囲えば、誰も巣を壊すことが出来ないものな」
 「そゆこと」

 俺は繰り返し体を震わせて鱗を吹っ飛ばし、巣穴の周りを固めた。
 俺の祖先のドラゴンたちは絶対こんな巣の作り方はしていなかっただろうが、鱗は無限に再生するうえに丈夫な為、外壁を作るのには非常にエコだ。

 一応無いとは思うが、ミレーヌには他人が入れないように巣の周りに見えない結界を張ってもらった。
 「これで、ツーチが顔を見て許可を出さない限り、この巣に他人が入ることは出来ない。安心しろ」
 ミレーヌは結界を張る為の複雑な魔法陣に魔力を注ぎ込むと、これで絶対安全だと保証してくれた。
 今のところ、この巣には俺と結界を張った本人であるミレーヌしか出入りすることは出来ない。

 今のところ巣作りは順調だ。

Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【永久的にキャラ募集(笑)】 ( No.21 )
日時: 2015/07/22 18:36
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 順調“だった"。

 順調だった筈なのに、どうしてこうなった。

 巣穴は、俺の土色の鱗で囲んで積み重ねていくうちに、とぐろを巻いた蛇のような形に、あるいはソフトクリームのような形に化していた。

 悪く言えば、肛門から出る排泄物のような形になっていた。

 いや、もっと端的に言おう。


 “俺の巣は、うんこのオブジェクトになっていた。"


 「う、うむ……これなら巣には誰も近付かないだろう。結界は要らなかったかもな……ははは」
 ミレーヌの無理がありすぎるフォローに、余計心が痛んだ。

 俺はこんなにもセンスが無かっただろうか。
 俺の作った巣の外装は、どう見方を変えてもうんこにしか見えなかった。

 前世での学校の技術の授業で作った作品は、秀作とまではいかなくても、少なくとも駄作ではなかった。
 ドラゴンになったせいで、人間としての美的センスを忘れてしまったとでも言うのか。
 自分の感性の無さに涙するのは今日が初めてかもしれない。

 「そ、そうだな! これで絶対、誰かがここに近付くことも無いな!」
 そうさ。
 ミレーヌの言う事にも一理ある。
 誰もここに近付くことがないよう、俺はわざとうんこオブジェを作ったのだ。
 そういうことだ。そういうことにしよう。

 よし、折れかけた心も立ち直ったぞ!


 「フ、フハハハハハ!! ナンダアレハ!!」
 突然、後ろで盛大な声が聞こえた。
 振り返ると、後ろでゴーレムがうんこを指差し、腹を抱えて笑っているではないか。



 俺の心は完全に折れた。







 ゴーレムは自分の名はガーゴだと名乗り、巣の外装の作り直しを手伝ってくれた。

 どうやらゴーレムたちは俺のことを相当警戒していたらしく、ガーゴはゴーレムの長の命令で、俺とミレーヌが巣を作っている様子をずっと見張っていたらしい。
 ドラゴンが何か怪しい動きをしていたらすぐに報告するように、と。

 まぁ、突然俺がゴーレムたちに話しかけた訳だし、警戒するのも無理はない。

 ずっと見張っていたガーゴは、どうやら俺が悪い奴では無いと思ったらしく、巣の外装の作り直しを手伝ってやろうと思ったそうだ。

 「お前、スゲーな」
 ガーゴは、ゴーレムの長と比べると大きさは一回り小さかったが、俺の巨大な鱗を軽々と持ちあげ、あちこち組み替えて見せた。
 「モノヅクリハ、トクイデナ」
 ガーゴはさらに鱗を削って表面を滑らかにしたり、彫刻を施したりして、一時間もしないうちに巣を囲む立派な砦が完成した。

 つい先程までうんこだったとは思えない仕上がりだ。

 「ありがとうな」
 「ミテイラレナクテ、テナオシヲ、シタマデダ」

 こうして、俺の家は完成した。

 サンドワームが元々素晴らしい巣を作っていなければ、ミレーヌやガーゴが手伝ってくれなければ、こんな出来のいい家は俺一人では作れなかっただろう。



 俺は翼が無いとはいえ、確かに、最強のドラゴンである。

 人間だろうとゴーレムだろうと、やろうと思えば余裕で吹き飛ばせるだろう。

 だが、人間だから出来ることがある。ゴーレムだから出来ることがある。

 俺は、ミレーヌのように何度も挑戦する根性や、心の強さは持ち合わせていない。

 俺は、ガーゴのように物を作って人を満足させることは出来ない。


 はたして、本当に最強なのは誰なのだろうか?



 ふと、そう思った。

Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【永久的にキャラ募集(笑)】 ( No.22 )
日時: 2015/07/23 12:29
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 ミレーヌは這竜と別れ、這竜の爪と宝物庫の武具を背負ってギルドに向かって歩いていたころには、すっかり薄暗い黄昏時になっていた。

 考えてみれば、ドラゴンの巣作りを手伝うなんて、とんでもないことをしたものだ。

 そう思いながらも、顔に笑みが浮かんでしまう。

 またいつか、もう一度会おう。そう思った。


 「ミレーヌだ! 帰ってきたよ!」

 ギルドのドアを開けると、皆がミレーヌの帰還に顔をほころばせた。

 「お前、遅いから心配してたんだぞ!」

 「ドラゴンに喰われちまったかと思ったぜ」

 「てか、それドラゴンの爪!? あんたドラゴンを倒したの!」

 ミレーヌは何と答えるか悩んだ。
 元々、這竜からドラゴンを倒した証拠として貰った品である。

 しかし、自分が倒したと言うのは卑怯ではないかと思った。


 「倒していない」

 素直に、ことの成り行きを話した。

 爪は這竜から貰った品であること、這竜の巣作りを手伝ったこと、這竜は悪い奴では無いということ。

 しかし、どれだけ言ってもギルドの皆は理解してくれず、説明に疲れたミレーヌはギルドを出た。


 しばらく歩くと、ギルドから誰かが飛び出てきて、ミレーヌに駆け寄った。

 ギルドで一二を争うミレーヌのライバルである男、イゼルだ。
 相変わらず、不潔そうなボサボサした茶髪である。

 「イゼル、どうした」
 ミレーヌとイゼルは犬猿の仲であり、口を聞くことなんて殆ど無かった。
 「おりゃあ、お前の話信じるぜ」

 この男は、人の話を理解できるような奴だったろうか。
 いや、人の話をまるで聞かず、いつも悪巧みを考えているクズだった筈だ。

 「お前、イゼルか?」

 「ん? 俺は勿論ナイアル…………じゃなくてイゼルだよ」



 イゼルの言動に少し引っ掛かったが、全部明日考えよう。
 
 ミレーヌは家に着くとばったりと倒れ込み、そのまま深い眠りに落ちた。




 次の日、這竜の爪が消えた。

Re: 神竜は白銀と浪に踊る。【永久的にキャラ募集(笑)】 ( No.23 )
日時: 2015/08/06 22:30
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)
参照: 更新遅れました。。。

 「ふぅ、いい感じだ」

 ようやく形が出来たミレーヌの彫刻を眺め、一人頷いた。

 偉そうに仁王立ちした三メートル級のミレーヌ像の出来は上々だ。

 うんこオブジェを作ったあの日以来、ガーゴに彫刻のイロハを教えてもらったお陰もあるが、自分の感性はそこまで死んではいなかったようだ。

 「ガーゴ、中々いい感じに仕上がって来たぞ」

 俺は胸を張ってガーゴにミレーヌ像を見せた。

 毎日毎日爪で削り続けて作り上げた、努力の賜物である。
 ドラゴンの鋭利な爪は慎重に扱わないと削り過ぎてしまうため、一時も油断せずに集中して作り上げてきた作品のだ。

 ガーゴも舌を巻くに違いない。


 ガーゴは専門家のように360度隅々見て回り、ウーンと唸って首を傾げた。

 やはり唸る程出来栄えは良かったらしい。

 さあ、評価を聞かせてくれ!


 「ナニをツクッテイルノか、ワカランな」

 心が折れた。
 


 俺は記念すべき初の彫刻作品として、ミレーヌ像を巣の横に建てた。
 巣の外装がガーゴが作った物だけあって、横に並んでいるとあまりの実力の差に涙が出る。

 ガーゴは流石に言い過ぎたと思ったのか、「コレカらジョウタツスる」と励ましの言葉をかけてくれた。

 別に正直に言ってもらった方が為になるから嬉しいのだが、どうも自分の芸術性の無さを指摘されると心にグサリと来る。
 俺、そこまでメンタル弱い筈じゃないんだけどなぁ……。

 「スマナい、ソロソろカエラナイとマズい」

 しばらく落ち込んでいると、ガーゴは申し訳無さそうな顔をして俺を見て言った。

 「あ、そっか。バレたらヤバいもんな。今日はありがとう」


 ゴーレム達は未だに俺のことを恐れて警戒しているらしく、なるべく集落から出ないように命令されているらしい。
 そんな中、ガーゴはひっそりと集落から抜け出して毎日俺に会いに来てくれているのだ。

 バレたらマズい為一緒に居られる時間は限られているが、こうして毎日彫刻を教えてくれるだけでも有難い友である。
 たまにロボットのようなぎこちない言葉が聞き取りづらいが。

 いつか、他のゴーレム達とも誤解を解いて打ち解け合いたいものだ。


 ガーゴが帰って行くのを見届けるといよいよ孤独になり、やる事が無くなった。

 かの女剣士がわちゃわちゃ俺に向かって剣を振り回すことも、もう無いものかぁ。
 あの時は本当に暑苦しく感じたが、居なくなると寂しいものである。

 あれから、ミレーヌは元気にしてるだろうか。
 流石に何週間も経ってないから、いつものように何処かでわちゃわちゃやってることだろう。



 そんな他愛も無い事を考えていると、遠くでゴーレムの集落を取り囲む無数の何かが見えた。

 全員が黒い鎧兜を身に付けているが、人だろうか…………いや、違う。
 下半身がトカゲだった。魔物か何かか?

 トカゲ達は両手にサーベルを持ち、一斉にゴーレムの集落に突撃した。


 「おいおいおいおい」

 よくわからないが、ゴーレムの集落が襲われている。

 さっきガーゴが集落に帰ったばかりだ。どうにかしなければ。


 俺は全速力で集落へと這いずった。
 俺が本気を出せばあっという間だ。

 「その……トカゲさん、やめてくれません?」

 声をかけると、トカゲ達は俺を見て眉をひそめた。

 「ドラゴン……か?」

 ドラゴン〝だ!〟ではなくドラゴン〝か?〟なのが少し気になるが、今はいい。

 「翼の無い竜。悪いが、この辺りの砂漠は我々が貰う」

 何故か知らないが砂漠を占領するつもりらしい。
 トカゲ達は集落の巨大な壁をあちこち崩しまくった。

 トカゲの方は引き下がるつもりは無いようだし、強制退場してもらおう。


 俺は息を肺にたっぷりと吸い、

 「ガグゥアアアアァアアアアアア!!!!!」

 咆哮をした。

 けたたましい雄叫びと共に、竜巻が砂漠を覆う。


 口から炎を吐き出すような迫力ある演出は出来ないが、そこらの魔物は余裕で吹き飛ばせる。





 俺はゴーレム達の英雄になった。


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