複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

神竜は白銀と浪に踊る。【永久的にキャラ募集(笑)】
日時: 2015/08/05 22:28
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 人間だった俺は、最強の“翼の無い"ドラゴンに転生し。

 這竜は果てしない異世界の大地を這いずり廻り。

 いつしか神竜は白銀と浪に踊った。

———

ベターな異世界転生モノ。
文才ナッシング。

もうひとつ同じようなの書いてたけど、おそらく飽きt……コホン。
やる気出たらそっちも更新。

キャラ募集>>4
誰かキャラを恵んで下さいな 

———
2015年7月7日スレ建て
   7月12日参照100突破ぁ!
   7月19日参照200いぇーい。
   7月?日参照三〇〇

【目次】
プロローグ
『もう一度目覚める』>>1


一章<そうだ、巣を作ろう。>

1話『ドラゴンも悪くない』>>2
2話『飛べない不遇』>>3
3話『ツーチ・ノッコォー』>>7
4話『ゴーレムの集落が見レーヌ』>>15
5話『曰くつき物件:サンドワームの巣後』>>18
6話『巣を作る その1』>>19
7話『巣を作る その2』>>20
8話『巣を作る その3』>>21

幕間『消えた戦利品』>>22


二章<そうだ、飯を食おう>

9話『俺はゴーレム達の英雄になった』

Re: 這竜は白銀と浪に踊る。 ( No.1 )
日時: 2015/08/02 21:21
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 儚い人生だった。

 優秀でも無く劣等でも無く、ただ平凡に、平和に、目立たず生きて。
 捉えどころのないベターな人生。

 それでも、悪くはなかった。


 ふと、テレビで、命の価値は長さじゃないとか言ってた哲学者を思い出す。
 
 そうなのだろうか?

 もし、そうだとしても…………



 少なくとも俺は、もっと長く生きたかった。



 薄くなっていく意識の中で、暗く冷たい死の床に一筋の光が射し込むのが、ぼんやりと見えた。

 天国とやらへの道だろうか。
 地獄行きにはならないようだ。

 淡く、白い光は徐々に俺に近付く。

 これが<死>だとしたら、案外悪くないないのかもしれない。

 意識はさらに薄れていくどころか、ぼんやりと見えていた光ははっきりと、明確に見えるようになった。

 死んだはずの肉体には違和感こそ感じるものの生きていた時の感覚が、温もりが、確かに戻ってくる。


 あれ、俺死んでるんだよな?




 光が俺を包み込んだ時。




 「グァガゥギャオォォォ!!!」


 〝激しい咆哮と共に、俺は再び目を覚ました。〟

Re: 這竜は白銀と浪に踊る。 ( No.2 )
日時: 2015/08/02 21:26
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 「喰らえ這竜! 電光ライトニング!」

 砂と灼熱以外何も無い広大な砂漠の中。

 女剣士が叫ぶと、天から電撃が、俺の岩のような不揃いな鱗がビッシリと連なった背中に降り注いだ。
 鱗に直撃し、いい感じに腰に電気が流れる。
 「あ〜効く効く。最近腰痛酷いんだよね」
 別に、這竜の俺は蛇と同じように、そもそも腰なんて存在しない。もちろん腰痛も無い。
 ただ、女剣士を挑発する為に放った言葉だ。

 「な、なんと…………うぬぬ、これだけの魔法を喰らいながら平気な顔を! やはり這竜といえどドラゴン。必ずや私が倒すぞ! ドラゴンの腰痛解消をした女剣士と言われるほど情けない話は無い!」
 一人で大声を上げ宣言すると、女剣士は再びわちゃわちゃと剣を振り回し始めた。

 こんな長ったらしい台詞、戦闘中によく言えるもんだ。

 うーん……剣士の中ではなかなかの腕前なのだろうが、そもそもがドラゴンの特異な肌はそこらの剣では傷ひとつつかない、ということをいい加減わかってほしいものだ。
 ドラゴンに傷をつけられるのはドラゴンだけである。

 たいてい俺を倒しに来る奴はそこに気付いて帰ってくれるのだが、コイツは昨日からテントを張って泊まり込みをしてまで俺を殺しにかかるのだ。
 やる気は認めるが、こっちまで気が滅入るからそろそろご退場願いたい。

 「そういえばお前、テントは何処へ行ったんだ?」
 「這竜よ、貴様は今から私に殺されるというのに、最期の一言がそれか? 私のテントならそこに…………って、無い!無いぞ!」
 女剣士は元あった場所にテントが無いことに気付き、キョロキョロ辺りを見回した。
 「な! 貴様いつの間に!」
 女剣士は俺が尻尾にテントをぶら下げていることにようやく気付き、自分のテントに向かって走り出した。
 テントを無理矢理引っ張り、返せと嘆く女剣士。

 「さよならだ、ドラゴンの腰痛解消をした女剣士よ!」
 俺は尻尾を一振りし、女剣士を元来た日の出の方角へテントごとふっ飛ばした。
 女剣士は最後に何か捨て台詞を吐き、空の彼方へと消えた。

 ちょろいな。



 二度目の生誕から一ヶ月。

 日本で平凡な人生を歩み、その生涯は一瞬にして幕を閉じてしまったが…………ドラゴンとして異世界に転生したこの人生も悪くない。

 ただ、ひとつ言いたいことがあるとすれば。



 俺、ドラゴンなのに飛べないんだよなぁ。

Re: 這竜は白銀と浪に踊る。 ( No.3 )
日時: 2015/07/12 15:57
名前: 睡魔 (ID: EEo9oavq)

 今の俺は、岩のようなゴツゴツとした鱗を纏った大蛇に、竜の三角頭と二本の腕を付け足したような姿をしたドラゴンだ。

 人間だった頃とは違う、最強の竜である。

 しかしながら、翼が無く飛べないドラゴンというのは、この世界において暫し不遇を受ける。

 俺が卵から孵って誕生したとき、人間や魔物は恐れをなして逃げていくどころか、辺りは人間や魔物は疎か、虫けらのひとつもいない砂漠だった。
 偶に通りかかる魔物も、翼が無い俺をドラゴンと気付かずにスルーし、しまいには、土っぽい地味な体の色のせいで、岩と間違えられて旅人の休憩所にされた。

 そして一番不快なのは、そこそこ腕に自信のある冒険者たちが、飛べないドラゴンなんぞ討伐出来るだろうと舐めて掛かることだ。

 ドラゴンが人間の手に及ぶ訳なんて無く、本来はドラゴンに近寄ろうとする奴はまず居ない。
 だが、飛べないだけでドラゴンの中の最下層と位置づけられた俺は"這竜"と呼ばれ、それなりのベテラン冒険者の討伐ターゲットとなった。

 まぁ、俺が砂漠に来る冒険者たちを殺さずに返してしまうのも悪いのかもしれないが、それはいささか仕方が無い。
 何人か見せしめに殺してしまえば、俺を倒しに来る冒険者も少なくなるだろう。
 しかし、前世の俺は人間。平凡で平和な日本人である。その前世の記憶を持ってドラゴンとして転生した俺が、人を殺すことなんて出来まい。

 「な、なんと…………この真なる魔剣でもドラゴンの肌に傷ひとつ付かないだと…………もう私には倒すことは出来ないのか」

 そして今日も、かの女剣士は剣をわちゃわちゃ振り回し、俺の討伐を試みている。
 ようやくそこらの剣で戦える相手では無いと気付き、いろんな武器を用意して来たようだが、それでも俺の鋼鉄の肌と鱗は全ての攻撃を弾いた。
 他の冒険者は一度や二度で諦めるのに、コイツは何度俺に挑むのだか。

 「もうダメかもしれん……私は無力だ」
 しかし、今日はいつものような勢いが全く無い。彼女もいよいよ諦めを考えているのか。
 「お前、今日は随分としおらしいな。らしくないぞ」
 「這竜よ、悩みがあるのだ」
 そう言うと女剣士は座り込み、ため息をついて項垂れた。

 「私は、ギルドで一番の実績を持っていてな…………つい這竜くらい倒せると言い張ってしまったのだ。ところが、私は無力だった。やはり上には上がいて、決して超えられない壁があるということを思い知らされた。しかし、ギルドの輩の期待を裏切るわけにもいかないだろう? もうどうすればいいのかわからなくてな」

 わかる。
 できる奴は勝手に皆から期待され、どんどん追い詰められてゆくのだ。けれど自分のプライドも許さなくて…………。
 俺も、前世は何度もあった。何度も何度も先輩や後輩から期待され…………いや、これ以上考えたくない。

 「どうすれば……どうすれば私はお前を倒すことが出来るのだ、這竜よ。いいや、もう倒せなくてもいい。お前から背中の皮一枚でも持って帰れば、皆の期待を裏切らずに済むのだ」
 とりあえず倒せなくても、戦利品さえ持ち帰ればそれでいいらしい。
 それならば、早く言って欲しかった。
 「戦利品くらいならやるぞ」
 今まで、何度もしぶとく俺に挑んで来たのだ。がんばったで賞くらいくれてやってもいいだろう。
 「本当か!」
 女剣士は急に顔を上げ、歓喜の声をあげた。
 クリクリとした翡翠色の目を輝かせ、満面の笑みを浮かべている表情が愛くるしい。よく見たらいい顔立ちである。
 「ほれ」
 俺は手から鋭い爪を引っこ抜き、地面に投げ捨てた。爪はドラゴンの再生力のおかげで、引っこ抜いた部分から一瞬でまた生えるので問題ない。

 「這竜よ、本当に感謝する!」
 女剣士は爪に飛び付き、ペコペコと頭を下げた。
 とりあえず、これで彼女のプライドは守られたらしい。
 「ドラゴンに頭を下げて戦利品を貰う方がプライド無い!」とかは決して言ってはいけない。
 彼女は今まで頑張った。ドラゴンの腰痛解消をした女剣士である。

 「それと……這竜よ、そなたを見くびって、愚かにも無力な私が討伐しようと試みたこと、すまなかった!」
 「いや、お前の剣筋は悪くない。武器が武器だから仕方がないだけだ。ドラゴンの肌を斬れるものなんてまず無いからな」
 「そ、そうか……ありがとう」
 女剣士はまたひとつ頭を下げた。

 「何か、礼をさせてくれないか?」

 礼、か。
 ドラゴンに出来なくて人間に出来ることは特に思い付かないが、やりたいことならある。
 頼んでみてもいいかもしれないな。


Page:1 2 3 4 5 6



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。