複雑・ファジー小説
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- 月の秘密とさいごの誓約
- 日時: 2015/09/20 01:46
- 名前: 凪砂他 (ID: 0qnzCmXU)
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「衣着つる人は心ことになるなり。物一言いひおくべき事あり。」
ーー今はとて天のはごろもきる折ぞ君をあはれとおもひいでぬる
(『竹取物語』より抜粋 )
〝果てしない年月と、
量りきれない罪の重み。
償わなければならない。
全てを知ったとき
彼女はそれに、耐えられるか。
全てを終わらせるとき
彼女の出す 答えはーー?〟
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■Attention
・この作品は、凪砂、真冬、優による合作です
・荒らし、誹謗中傷は控えてください
・パクリはやめてください
・不定期更新です
・基本的に執筆順は凪砂→真冬(→優)です
・アドバイス、コメント大歓迎です!!
■News
→2015/8/6 執筆開始
→2015/8/11 参照100突破((ありがとうございます(T . T))
■凪砂
こんにちは、凪砂です!
以後お見知り置きください^ ^
この度は初めての合作でかなり緊張しております。
頑張ります!!
■真冬
こんにちは。真冬です。
今回は初めてだらけで、拙いところも多いと思います。
ですが、精一杯頑張りたいと思います!
■優
こんにちは(*・∀・*)ノ
文章書くのは初めてでまだまだ下手ですけど精一杯
やらせてもらいます。
イラストも担当してます。
▽目次
*序章 >>1
*第1章
『流風の決意』 >>2-15
『荒くれ忠犬』 >>19 〜
※登場人物紹介(随時更新) >>16
- Re: 月の秘密とさいごの誓約 ( No.9 )
- 日時: 2015/08/19 20:34
- 名前: 凪砂 (ID: 0qnzCmXU)
元旦、わたしは新月の声で目を覚ました。
「起きてください」
いつも通り抑揚のない声音に若干イライラしつつも、無理やり瞼をこじ開ける。
薄っすらと開けた視界には、先ほどの声音とは裏腹に思いっきり破顔した新月が映っていた。
「お誕生日おめでとうございます、お嬢」
……なるほど。
普段ポーカーフェイスな新月がこんなにもニコニコしている理由は“これ”か。
あけましておめでとうより先に誕生日おめでとうを言うあたりが新月らしい。
でも正直なところ。
「仕事明けの熟睡を妨げられても嬉しくない」
正論だと思う。
- Re: 月の秘密とさいごの誓約 ( No.10 )
- 日時: 2015/08/19 20:27
- 名前: 真冬 (ID: 10J78vWC)
「そう思うなら時間通りにちゃんと起きてください」
時計を見ると、いつも起きる時間はとっくに過ぎていた。
新月はその後、慌てて支度をしたわたしを、大広間へ連れていった。
「おい!わたしはまだ朝食もたべていないぞ」
「わかっていますよ。と言うか、お嬢。まだ寝ぼけているんですか?」
「?……あっ、わたしの生誕祭」
「そうです。今日はお嬢の生誕祭ですよ。昨日準備したばっかりじゃないですか」
わたし逹がそんな話をしている内に着いた大広間からは、人の声がしていて、少し騒がしかった。
大広間に着くまで新月は終始笑顔で、それが少しキモいと思ったのは余談だ。
中に入ると、村に住んでいる人々が用意された席に座り、各々談笑していた。
テーブルの上には豪華な食事が並べられていたが、手を付けられた様子がなかったのは、わたしを待っていたからだろう。
わたしの姿が見えた途端、談笑していた声はなくなり、皆がわたしの方を向いた。
- Re: 月の秘密とさいごの誓約【修正中】 ( No.11 )
- 日時: 2015/08/20 16:27
- 名前: 凪砂 (ID: 0qnzCmXU)
その目は、もう“先代の娘”ではなく、きちんと“月夜深家当主”としてのわたしを見ていた。
ーーこの生誕祭は、わたしの誕生日の祝福と新年の挨拶を兼ねている。どちらにも、また今年も頼みますよという意味合いが含まれている。
わたしは、顎を少し引いてみんなを見渡した。
そんな、ガチガチに気合いの入ったわたしに、手前に座っている村のおじさんたちがふんわりと笑いかけてきた。
「当主様。お誕生日おめでとうございます。それと、新年明けましておめでとうございます」
「当主!今年もよろしく頼んます!」
その声を皮切りに、村の者たちが次々と言葉を掛けてくる。
嬉しいけど……さすがは烏合の衆。
我先にと言葉を飛ばしてくる村の者たちのせいで、わたしの耳がおかしくなってしまいそうだ。
「ふふっ……わたしは聖徳太子じゃないぞ」
緊張が解け、思わず笑ってそう呟くと、後ろに立っていた新月が手を叩いた。
再び沈黙が訪れる。
「それでは皆さま、お手元のグラスをお持ちください」
掛け声とともに、みんなが一斉にグラスを手に持った。
わたしも新月に促されて、上座に着くとグラスを持つ。
「では、月夜深家当主ーー月夜深 流風様、音頭を」
新月が耳元でそう言い、わたしは意気揚々とグラスを掲げた。
「今日はわたしのために生誕祭を開いてくれてありがとう。お礼に今日1日は無礼講とする。思う存分楽しめ。
ーー月下村の繁栄を願って、乾杯!!」
「「乾杯!!!」」
- Re: 月の秘密とさいごの誓約 ( No.12 )
- 日時: 2015/08/23 16:36
- 名前: 真冬 (ID: 0qnzCmXU)
そこからは、まさしく祭であった。
料理を楽しむ者もいれば、酒を酌み交わす者、無礼講の言葉を免罪符に、前にでて芸を始める者もいた。
行動は様々だったが、皆笑顔だった。
わたしは、始まってしばらくは話しかけられたりしたが、すぐに自分たちだけで盛り上がり始めたので、隅により、その様子を眺めることにした。
「皆楽しそうな表情をしているな」
小さく零した声に、ふと流凪のことを思い出した。
眠っていなかったら今頃、皆と一緒に笑っているんだと思うと、早く何とかしなければという気持ちが強くなった。
そうなると、やはり気になるのは巻物だった。
謎が多く、まだはっきりとしたことは殆ど分かっていないが、願いが叶う、それはとても魅力的だ。
だが、一年が何なのか、まずそれが分からなければ意味がない。それに、分かったとしても探すとなれば、わたしには当主の仕事もあるため、十分な時間をとれるか分からない。
と、そんなことを考えている時
「お嬢、こんなめでたい日にそんな難しい表情は合いませんよ」
「!……新月か。少し、考え事をしていたんだ。探すものも分からなければ、探す時間も無い」
「……何を考えていたのか詳しいことは分かりませんが、当主の仕事に関しては、少しくらい他の者に任せても問題無いと思いますよ」
「……時間はある、か」
「決めるのはお嬢です。どんな決断であれ俺はそれに着いていきます。まぁ、今は祭を楽しみましょう」
新月はそう言って、皆のもとに行ってしまった。
- Re: 月の秘密とさいごの誓約 ( No.13 )
- 日時: 2015/08/23 22:11
- 名前: 凪砂 (ID: 0qnzCmXU)
クセのないサラサラした紺色の髪が揺れる。
新月の後ろ姿を見ながら、ふと思いついた。
あいつはわたしより長く月夜深家にいる。
だったら、この家のことについてはあいつの方が詳しいんじゃないか?
……頼るのは少し癪だが、あいつにも一応話しておくべきか。
そんなことを密かに考えてから、数時間後。
結局祭りは昼を過ぎ夜まで続いた。
生憎わたしは月夜深家の仕事があるので途中で抜けたけど、夕飯の時間に部屋に戻ってみると子供が増えて朝よりどんちゃん騒ぎだった。
毎度のことだが、村のみんなの精力に呆れて物も言えない。
ありがたいとは思うけど、どうせこのままみんな酔い潰れて帰れなくなるのがオチだろうと考えると少し面倒だ。
その前に客間を用意させようか。
わたしは新月を捕まえて、月夜深家にある客間を全て開放した。
自慢じゃないが月夜深家の屋敷は相当広いので、一周するのにだいぶ時間と体力がいる。
新月はともかくわたしはもうヘトヘトだ。
「大丈夫ですか。……生きてますか?」
こんな失礼な言葉にもいちいちつっかかっていられない。
そうだ。そんなことより、体力が残っている今のうちにあの話を聞いておこう。
「新月……お前、この巻物に書いてあることで何か知らないか?」
懐から例の巻物を取り出しながら聞いた。