複雑・ファジー小説

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月の秘密とさいごの誓約
日時: 2015/09/20 01:46
名前: 凪砂他 (ID: 0qnzCmXU)


**


「衣着つる人は心ことになるなり。物一言いひおくべき事あり。」

ーー今はとて天のはごろもきる折ぞ君をあはれとおもひいでぬる

(『竹取物語』より抜粋 )



〝果てしない年月と、
量りきれない罪の重み。

償わなければならない。

全てを知ったとき
彼女はそれに、耐えられるか。

全てを終わらせるとき
彼女の出す 答えはーー?〟


**


■Attention
・この作品は、凪砂、真冬、優による合作です
・荒らし、誹謗中傷は控えてください
・パクリはやめてください
・不定期更新です
・基本的に執筆順は凪砂→真冬(→優)です
・アドバイス、コメント大歓迎です!!

■News
→2015/8/6 執筆開始
→2015/8/11 参照100突破((ありがとうございます(T . T))

■凪砂
こんにちは、凪砂なずなです!
以後お見知り置きください^ ^
この度は初めての合作でかなり緊張しております。
頑張ります!!

■真冬
こんにちは。真冬です。
今回は初めてだらけで、拙いところも多いと思います。
ですが、精一杯頑張りたいと思います!
■優
こんにちは(*・∀・*)ノ
文章書くのは初めてでまだまだ下手ですけど精一杯
やらせてもらいます。
イラストも担当してます。

▽目次
*序章 >>1
*第1章
『流風の決意』 >>2-15
『荒くれ忠犬』 >>19
※登場人物紹介(随時更新) >>16


Re: 月の秘密とさいごの誓約 ( No.1 )
日時: 2015/08/07 16:06
名前: 凪砂・真冬・優 (ID: 0qnzCmXU)


*序章

それはひどく曖昧な感覚だった。

わたしは走っていた。
見知らぬ場所をただ、どこかに向かって走っていた。
何も知らない筈なのに、そこは何故か懐かしく感じた。

だけど心の中は荒れていた。
怒り、悲しみ、さまざまな負の感情が混ざり合って醜く、それらは冷静な思考を邪魔していた。

わたしはある襖の前で立ち止まった。
躊躇いなく開け放ち中へ入ると、遠くの方から複数の足音が聞こえてきた。

嗚呼、“あの人”だ。

たくさんある足音の中から、“あの人”のものはすぐにわかった。

それだけで、単純なわたしの心は、意図せず少しだけ和らいでいた。

ーーでも。

“あの人”は、そんなわたしを殴り罵った。
優しい言葉や償いの言葉なんてひとつも出てこなかった。

なんで?
元はと言えば“あの人”が全部悪いのに。

理不尽だ。理不尽だ。理不尽だ。

気づけばわたしは、怒りで我を忘れて、勢い任せに叫びだしていた。

「ーーーーーー!!」


暗転・・・

Re: 月の秘密とさいごの誓約 ( No.2 )
日時: 2015/09/05 01:00
名前: 凪砂 (ID: 0qnzCmXU)



ここは日本のどこか、
都心から遠く離れた田舎の村である。

誰もが溜息を吐くほどの美しい月夜と、
これまた浮世離れした風情のある風景が特長的な村。

その中枢部に、500坪は優に超える敷地と巨大な日本家屋を構え、
代々村を治めてきた一族が存在する。


その名をーーーー天下の月夜深つくよみという。





*第1章/1話『流風の決意』


平成21年12月31日。
大晦日の月夜深家は朝から大掃除におわれていた。


「……きったな」

視界に広がる黒い埃。カビのにおい。
わたしは咄嗟に両手で鼻と口を覆った。
背後から鋭い冷気が襲ってくるのをひしひしと感じながらも、その中へと歩みを進めていく。

生まれて初めて入った月夜深家の倉の中は、それはそれは凄まじい汚れようだった。

「お嬢。マスクしてください」

やたら背の高い男が呆れ口調でそう言い、わたしに白い布を渡してくる。
こいつはわたしの従者、新月 苦無(しんげつ くな)だ。
紺色の髪と瞳を持つ、俗に言うイケメンらしいが、腐れ縁のわたしにはいまいちよくわからない。

Re: 月の秘密とさいごの誓約 ( No.3 )
日時: 2015/08/09 15:57
名前: 凪砂 (ID: 0qnzCmXU)



受け取った布を、鼻口を覆うように巻きつけ、再び倉の奥へと進む。

とにかく埃がすごい。この一言に尽きる。

誰も立ち入らないから、埃は積もりに積もって何重もの層になっていた。
倉の鍵を見つけるために、3年間放置していた両親の書斎を探ってみて正解だったとつくづく思う。

というのも、わたしの両親は3年前、わたしが中学1年生のときに他界した。
月夜深家先代当主の父は使用人たちに甚く慕われていて、父の死に傷心しきった使用人たちはあえて書斎には近寄らなかった。
だから、痺れを切らした現月夜深家当主であるわたしがそのテリトリーを侵してやったというわけだ。

「新月、ハタキ」

ん、と手のひらを新月に向ける。

「相変わらず人使い荒いですね。……取ってきます」

新月は白く濁った溜息を吐きながら、嫌々という風に去っていった。
あいつはいつも一言多い。
あれが主に対する然るべき態度なのだろうか?

「…………」

まぁいい。
そんなことより今はこの臭い倉をどうにかしなければならないのだ。
気を取り直して、割烹着の袖を少しまくる。
埃が落ちてくるので、上の方からさっさと片付けてしまおう。




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