複雑・ファジー小説

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ぶどうの恋とバラの花
日時: 2015/11/28 07:03
名前: モンブラン博士 (ID: 6HmQD9.i)

爽やかで甘めだけれど、心に残るような作品を書けるようにしたいです。
タイトルは夕凪泥雲さんに提案していただきました!

Re: ぶどうの恋とバラの花 ( No.11 )
日時: 2015/12/16 10:30
名前: 竜馬 (ID: luklZ16E)

チキンクリスプの再販を希望したいです
どうしたら再販されるか一緒に考えてください


ぼくはおこずかいが月1200円なので500円のセットだと
2回しか頼めません
でも

クリスプは安いので12個も食べれます

あと3角チョコパイもだいすきです
皆さんもだいすきですよね?


一年中アルトうれしいですよね

Re: ぶどうの恋とバラの花 ( No.12 )
日時: 2015/12/17 04:58
名前: モンブラン博士 (ID: akJ4B8EN)

大原の活躍で男は脱兎の如くどこかへ去ってしまった。
助けられた美少女は弱々しい微笑みを浮かべ、胸を撫で下ろす。

「助けてくださって、ありがとうございました」
「ああ」
「あなたがいなかったら私は彼の言いなりになっていたと思います。
あの……もしよろしければお礼をしたいのですが、家に来てくださいませんか?」
「礼なんて要らねぇよ。俺が好きでやっただけだから気にしなくてもいい」
「そうですか」

しゅんとなって猫のように俯く彼女。
けれど大原はそれに気遣う様子もなく背を向けた。

「どこ行くんですか」
「家に帰るんだ」
「あのっ!」
「どうした」
「せめてお名前だけでも教えてくださいませんか!?」
「……大原正平」
「大原さんですね。私は暮丘明(くれおかあくる)と言います」
「またどこかで会うかもしれねぇから、あんたの名前は覚えておくぜ」

彼女が引き止めるよりも早く人混みに紛れ、彼の姿はあっという間に見えなくなってしまった。明は人々を避けて彼の姿を必死で探したが、とうとう彼を見つけることはできなかった。
疲れもあってかぺたんと腰を下ろす美少女。一陣の風が吹き、彼女の長いツインテールを揺らす。

「大原さん……」

恩人の名を呟き、自らの胸に手を当てると、心臓の鼓動が大きく鳴っているのが聞こえる。
これがもしかして恋心というものなのでは?
暮丘の脳裏にそんな疑問が頭を掠めていき、彼女は不思議な感覚に包まれて、しばらくその場に佇んで動くことができなかった。





「ハァ…ハァ…ハァ……」

2週間後、やよいは食パンを口に加えて全力疾走をしていた。
目覚まし時計が壊れていたので、8時近くに目が覚めてしまったのだ。
残り15分以内に到着しなければ、遅刻してしまう。
スカートが風で捲れ上がるが、それを気にしている余裕などない。
ひたすら前だけを見て必死で足を動かす。
しかし、50メートル12秒という鈍足であるために、なかなか学校に到着しない。
息が切れて汗が額から流れる。
肌寒い風が横切り、彼女の髪をふわりと揺らす。
栄養補給と休憩を兼ねて口に挟んでいるパンを食べきり、彼女はようやく見えてきた遥か彼方に位置する高校を見据えた。

「早くいかなきゃ、遅刻しちゃう!」

けれど思いとは裏腹に足は鉛のように重くなり、全く動けない。
このとき彼女は童話などに出てくる「足が一歩も動けない」状態は本当にあると知った。
刻一刻と過ぎてゆく時間。
このままでは遅刻は免れない。
担任に叱責されるのをリアルにイメージした彼女は疲労と恐怖が合わさり、とうとう顔を手で覆って泣き出してしまった。
メンタルが非常に脆い彼女はちょっとしたことで泣き出してしまうのだ。
だが泣いたせいで余計に無駄な体力を費やし、とうとう両膝を地に付けてしまった。
ふっと目に入った腕時計の時間は8時10分。
やよいの心から希望の二文字が失われそうになった、そのとき。

「あの……どうかしましたか?」

声と共に彼女の顔を覗いてきたのは、ツインテールに整った顔、白い肌が特徴の美少女だった。見ず知らずの少女であるが、彼女の顔には優しさと心配の文字が浮かんでいる。
地獄に仏とはまさにこのこと。
藁(わら)にもすがる思いで彼女の両肩を掴む。

「遅刻しそうなの!!」

たった一言で現状を説明する彼女。
謎の美少女はほんの一瞬顎に手をあて考える仕草をしたが、手を差し伸べてふわっと笑う。

「この方角から推測しますと、あなたは私立飴丘高校の生徒さんと見ました。
それでしたら、私について来てくだされば大丈夫ですよ」

Re: ぶどうの恋とバラの花 ( No.13 )
日時: 2015/12/18 09:47
名前: モンブラン博士 (ID: CMSJHimU)

やよいは少女をじいっと無言で見つめる。
彼女の黒目がちの大きな瞳は澄んでおり、とても嘘をついているようには見えない。
それに見ず知らずの他人である自分に嘘をついたとして、一体何の得になるというのだろうか。
彼女はそのように考え、少女の言葉を信じてみることにした。

「どうぞ、私の手に掴まってください」
「ありがとう」

差し伸べられた腕を掴まえて立ち上がる。
そして深呼吸をいくつかして息を整えた。
彼女の調子が元に戻ったことを察した少女は口を開く。

「そろそろ、行きましょうか」
「うん、そうだね」

ふたり並んで、仲良く手を繋いで歩く。
女友達もいないやよいにとっては初めての経験であり、それがとても幸せに感じる。
どうして彼女は初対面の私に優しくしてくれるのだろう?
そんな主旨を伝えると少女は天使のような笑顔を見せて、

「私、困っている人は放っておけないんです」
「助けてくれてありがとう。あなたがいなかったら、あそこから動けなかったかも」
「喜んでいただけて、こちらこそ感謝いたします」
「礼儀正しんだね。なんだか、お嬢様みたい」
「お嬢様だなんてそんな……恥ずかしいです」

頬をピンク色に染めて照れる彼女がおかしかったのか、やよいはくすりと小さく笑った。

「えっと、自己紹介がまだだったよね。私は早乙女やよい、あなたは?」
「私は暮丘明(くれおかあくる)といいます」

それを聞いたやよいは少し視線を逸らして躊躇っていたが意を決して彼女に向き直り、

「あのっ……暮丘さん」
「どうかしましたか、やよいさん」
「もしよかったらでいいんだけど…………明ちゃんって呼んでもいいかな」
「もちろんです」
「ありがとうっ!」
助けられた恩に加え愛称で呼んでもいいと許可を貰ったことがやよいにとっては嬉しくてたまらなかったので、思わず彼女に抱きついてしまう。

「ご、ごめんね!」
「謝らなくてもいいですよ。女の子同士抱きしめあうのは、友情の一環としてよくあることですから」

慌てて離れたものの、その両手には彼女を抱きしめたときの体温が残っていた。

Re: ぶどうの恋とバラの花 ( No.14 )
日時: 2016/03/30 15:38
名前: こん (ID: IvmJM/UO)

こんにちは。
こん、と申します。
この間は雑談掲示板の私のスレッドにお越しいただきありがとうございました。

甘酸っぱい感じを受ける、優しい恋愛ものですね。
私の好みです。
文体も読みやすくていいと思います。

もう少し詳しい感想を雑談掲示板にて後で書きますので、良かったらお越しください。

それでは。

Re: ぶどうの恋とバラの花 ( No.15 )
日時: 2016/03/30 16:21
名前: モンブラン博士 (ID: MQ1NqBYl)

こんさんへ
わかりました。ありがとうございます。


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