複雑・ファジー小説
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- どんな君でも愛してみせる
- 日時: 2016/10/01 01:04
- 名前: ミキ (ID: W5vVCrjS)
近頃、変な噂が流れ始めた。
「夜中に光が」だとか「能力者だ」だとかとうとう頭のネジが狂った人が増えだした。
ーーーそう思っていた。
彼女、いや彼、に会うまでは。
そんな迷信、信じる方が可笑しかった。
初めは、自分でもよくわからなかったんだ。
これは、俺ともう1人の人間の話。
- Re: どんな君でも愛してみせる ( No.10 )
- 日時: 2016/10/15 15:28
- 名前: ミキ (ID: j1BtfBJW)
翌日、リビングで向かい合う形でテーブルを挟んで座る。
気まずそうに笑ったり俯いたりしている彼女に切り出す言葉を告げた。
「で、何で追われてる?」
これまでは彼女が怖がらないよう、自分の話を話してくれるようにこちらから優しい口調で話しかけていた。だが、元は荒れた口調で、そちらの方がやはり体に馴染む。少し強めの口調で聞くと態度がいままでとは一変したから驚いたのか肩を上げて深く俯いて黙りこくってしまった。
はぁ、と重いため息をついて後頭部をかくと、小さい声が聞こえた。
「……信じてもらえないかも、しれないです」
「…それでもいいから話せ」
彼女に会ったのは一ヶ月前ぐらい。会ったときに謎の発火。その後も、彼女が苦手とするキッチンに立たせると有り得ないぐらいの火が上がり、周りにあった物がいきなり燃えて黒くなることもあった。
その火と彼女が関係しているかもしれない。彼女が意図的に燃やしているのかもしれない。けど、とりあえず話の続きを促した。
彼女は意を決したように顔を上げて俺の目を見ると震える声で続けた。
「私、火を扱う能力者なんです…」
- Re: どんな君でも愛してみせる ( No.11 )
- 日時: 2016/10/29 12:39
- 名前: ミキ (ID: pGxW5X.O)
「……なんとなく、少しおかしいなって気はしてた。普通じゃ有り得ないことが起こるからな…」
暫くの沈黙の後、静かに俺は言った。
彼女は目を見開いて驚いた。が、すぐに顔を逸らしてしまった。
「まだ、何か隠していることがあるよな?」
彼女から目を逸らさずに追求すると、戸惑っているようで、目が泳いでいる。
「……私を、追って来ている人達は、私達を実験台にする為に科学者に雇われた人達です。」
「…それで?」
「私の他にも、いました。…いたんです」
カタカタと震えながら小さく話す彼女に深く深く追求していくと、他にもいたと過去形に言い直したことに眉を寄せる。
「どういう意味だ?」
「何をしても能力が出てきて、恐ろしい化け物と思われてしまった人達は、次々に……」
それ以上続けることが出来ない彼女に、なるほど、殺されたってわけか、と俺は思うと、自然と気が落ち込みため息を吐く。
「で、どうやってそこから逃げ出してきたんだ?」
彼女の話を聞いていると、彼女達は何処かで隔離されていたと思え、そこから逃げて来たから今ここにいるのではないかと考えた男は問うと、彼女は、難しい顔をした。
「…それが、わからないんです」
「……は?」
- Re: どんな君でも愛してみせる ( No.12 )
- 日時: 2016/11/04 23:59
- 名前: ミキ (ID: rh5Dd4le)
「私……時々、記憶がなくなるんです。ある時間帯がすっぽり頭から抜けてて……」
「…そういう事は、実験台にされている時はなかったのか?」
「ありました。でも、睡眠時間などもあったので、いつ記憶が無いなんてことは、把握できません…でも、記憶が無いことはたまにしかなくて、他のことは細かく覚えているんです!」
彼女の話を聞く限り、少し奇妙だと感じる。真剣に話しているのを見て嘘ではないことはわかる。
「……他には何かおかしな点は無いのか?」
「うーん…あ、よく部屋が変わりました。…私だけは特別だと言われました」
男は考える。彼女が特別だと言われることは大したことではないと思う。それだけの可愛らしい容姿を持っているから惑わされる監視役は多くいたんだろうと思ったからだ。彼女は、記憶がなくなっている間に何かしているとしたらどうだろうか、所謂無有病も考えられると男は思った。
「…わかった……少し考えてみる。部屋に戻ってくれ」
だが、そういう事は本当かどうかはわからない。本当だと確信がつくなら彼女に伝えよう、と男は思い、彼女は部屋に戻っていいと告げてリビングに残り考えた。
そして一つの答えにたどり着く。「(彼女には悪いが、監視カメラを仕掛けよう)」と。
- Re: どんな君でも愛してみせる ( No.13 )
- 日時: 2016/11/07 23:15
- 名前: ミキ (ID: P4RGPyNJ)
後日、監視カメラ購入した。そして、彼女に内緒で部屋に仕掛けた。
これで、何も無かったら犯罪者だ。そして、立派な変態の仲間入り。
監視カメラを仕掛けようって考える時点で相手が誰であろうと考えが変態だよな、と自傷する。
彼女がここへ来て毎晩貸している俺の服(毎晩別の服)を着て風呂から上がった彼女は、肩にタオルをかけてリビングにいる俺の所に来れば柔らかい笑みを浮かべる。
「もう寝ますね、あまり無理なさらないようにしてくださいね。おやすみなさい」
「……あぁ」
短く返すと、彼女は二階の彼女の寝室としている所へ向かった。
俺は仕事がたまたま今日と明日、明明後日が三連休となっている為、時間はあった。オール出来る。
一刻も早く謎を解かなければ、モヤモヤが溜まるとイライラして周りにあたる性格だから、モヤモヤをとくためにもと、パソコンを開き監視カメラの映像が見れるモニターを映し出した。
- Re: どんな君でも愛してみせる ( No.14 )
- 日時: 2016/11/22 19:17
- 名前: ミキ (ID: caCkurzS)
ーーー…1日目、何も無かった。
「…カメラ、ですか?」
「…ああ、悪いな。お前が寝てる間に夢遊病みたいな現象が起こるかもしれないから念のためだ」
てきとうなことを言って、彼女に何を言われるか少し不安になっていたが、彼女は笑って頭を下げた。
「ありがとうございます!宜しくお願いします!」
ニッコリと笑ったその笑みに曇りっ気は無かった。
話を逸らすために、彼女に詳しく聞いた。
「そういや、実験所に居た時は何か言われてなかったか?」
「…何か、ですか…?」
「そいつらがもっと能力者を集めようとしてたかもしれないからな。何か手がかりになるもんでも…」
「あ!火を扱う能力者と、氷を扱う能力者が見つかって!…でも捕らえることが出来なかったって、話してました!」
「おお、そんな感じの、他にはないか?」
「えっと…破壊する能力者が居るはずだけど見つからない。からより広い範囲を探すって…」
「他には?」
「う、うーん…あ!治癒?能力者は、捕らえてるから、餌にするかって言ってました!」
「……まずいな…」
彼女の言う事を細かくメモ取りながら最後の話に頭を抱えた。