複雑・ファジー小説

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陰陽Master☆〜神々の眠る地で。
日時: 2017/06/20 11:07
名前: 長月★ (ID: RnkmdEze)

彼女と出会ったのは高校に入学して直ぐの昼休みの事だった。
性格が内向的な事もあったし、まだ一週間という事もありこれといって親しい友人が居るはずもなく、中学時代同様に昼休み時間は図書室で時間を潰すそうと思っていたのである。
図書室に入るなり
一人の女子生徒の姿が目に飛び込んでくる
彼女は透き通るような雰囲気を持ち
顔立ちは端整で女の子としては長身で思わずドキリとするくらいの容姿に、整ったプロポーション、アイドルといわれても良いくらいの美少女である。
乱れの一切ないその制服のリボンの朱色が最上級生である三年である事を示している。
話かけようにも今までまともに女子と会話をした事がない為にどうやって話かけようか悩み
結局図書室に通い始めて三日目経過しても挨拶すら交わせずにいる
ただ彼女が読んでいる本が何であるのか遠目に確認した事だけが進展したと言えば進展した事なのだろうか・・・・。

「土御門家文書(つちみかどけもんじょ)」
彼女が愛読している書物の背表紙にはそれだけ簡潔に記されているのみである。

『 土御門家文書?何だろうそれ?公家さんの家の記録・・かな?ずいぶん変わったものを読んでるんだなぁ・・・・・。』

本日も彼女が読書をしている所を自身も読書をするフリをしながら横目で眺めていた。
ある種の憧れを持ちながらも声さえかける事のできない日々から、まさかあんな事に巻き込まれるなんてこの時の僕には予想すら出来なかった。

この話は「僕」の終わりと「彼女達」との始まりの物語。




*駄文につき閲覧注意・またこの作品は以前掲載していたものを一部再編再構築したものです。
荒らし行為等もご遠慮下さい。






















Re: 陰陽Master☆〜神々の眠る地で。 ( No.14 )
日時: 2018/03/14 19:03
名前: 長月★ (ID: bzzu4..q)

[拾四]


「よっ!えらく遅かったな、まさか保健室で友妃ちゃんと二人っきりで楽しい事をしていたんじゃあるまいな!」

教室へと戻るなり、検討違いな発言を大声で投げ掛けてくるものだから男子生徒からの視線………嫌、殺気すら放っているクラスメイトさえ居るようで、改めて篁友妃の人気の高さを思い知る結果となったのである。

「ばか、ただ単に学校関係の事で呼ばれただけだ、それに二人っきりじゃなく、進路指導の新田先生も一緒だったし………。」

苦し紛れの言い訳に登場させてしまった、進路指導担当である新田七海(にった なつみ)先生には悪いと思いつつも進路指導担当教諭の肩書きに田神は納得しクラスメイトの殺気も薄れていったようであった。


「そう言えば話は変わるが、お前放課後時間あるか?よかったら付き合って欲しいんだが。」

田神は普段から話し声が大きいのがたまにきずであった。
田神が発したある一文に数名の女性が反応を見せたのである。

「付き合って欲しいだって。やっぱりあの二人はそういう関係だったんだ。」

「そう言えば登下校も殆ど一緒じゃなかったかしら?」

「この前、二人で駅前に居るのを見たけどまさか、通りの奥にあるホテルに行って………。」


耳にしたくない話し声に田神はわざとらしく咳払いをすると

「今の話しは無かった方向で、それと俺は女が好きだ!」

とアホな発言をすると鞄を片手に教室を飛び出して行ってしまった。

「おい〜まだ1講義残ってるぞ〜。」

田神が出るのと同時にクラスに入ってきた初老の古文担当教師である飯野喜三郎(いいの きさぶろう)が声を掛けると、クラス内では笑いが起こっていた。

Re: 陰陽Master☆〜神々の眠る地で。 ( No.15 )
日時: 2018/03/16 23:02
名前: 長月★ (ID: bzzu4..q)


(弐の壱)

「学校裏の駐車場に先に行って待っててくれるかしら。」

最後の講義を終えて保健室に行くと
篁先生はそう告げて職員室の方へと駆け足で行ってしまった。

駐車場?篁先生の実家は神社の近くにあるのでは?
そんな疑問を覚えつつも、駐車場へと向かうと奥から派手な黄色が印象的な外車が唸りをあげ近づいてきたのである。

「乗って、詳しい話は私のマンションでしようと思うから。」

そう言って篁先生は助手席を示して見せた。
ドアを開けて助手席へと座ると車はゆっくりと走り出したのであった。
車は学校から車で20分程の所にある、高層マンションの駐車場で停車したのである。

「先生が住んでるのって、此処なんですか?」

「ええ、そうよ神社の近くの家には住んでないの、あっちには弟が住んでいるしね。」

篁先生に弟が居たというのは初耳だったが、この高層マンションの外観から察するに結構な額が必要だと思うのだが、学校の校医というのはそんなに儲かるものなのだろうかと新たな疑問が浮かんでくるのであった。


案内された部屋は12階の3LDKの間取りであり、一人で住むには十分な広さの部屋で、室内は一見する分には整理整頓がなされていた。

「珈琲でよかったかな?」

そう言って篁先生はキッチンへと向かう。
一人取り残され、手持ちぶたさに部屋を見回すもこれといった発見はない。

「扉の閉まっている部屋は開けちゃだめだからね。」

キッチンの方からの声

開けてはいけないという言葉に興味が湧いてきてそっと椅子から立ち上がると、静かにドアノブを回す、カチャッ………。
小さな開錠音が鳴ったがおそらく篁先生の耳には届いていないだろう。
扉をゆっくりと開けるとそこは………どうやら寝室であるようだった。
十二畳程の広さの洋間の中央にふかふかで気持ちよさそうなベッドが陣取っていたのであるが、
そんな事よりも健全な男子学生である私が目を奪われたのはベッドの上に無造作に置かれた、黒や紫更には赤のほぼ布地が無いんじゃないかと思われる刺激の強すぎる下着達の方であったのである。

コト………。

何かが置かれた音がすると、何処からか禍々しい気の様なものが漂ってきている。
何処からであろうか………いや、これは自らの背後から感じる、これは殺気であろうか。

「見た?。」

Re: 陰陽Master☆〜神々の眠る地で。 ( No.16 )
日時: 2018/03/19 15:51
名前: 長月★ (ID: bzzu4..q)

[弐の弐]

「いえ、見てないです。」

背後を振り返る事すらせずに発した言葉は当然の事ながら嘘だったわけだが………。

「そっ、よかった、寝室は片付けてなかったから、人に見せるのはちょっと恥ずかしかったの。」

どうやら寝室内を観察していた所を直接見られたわけではなかったようで。
咄嗟に扉を閉めておいてよかった
と自らの瞬時の行動に胸を撫で下ろすのであった。
話をしましょうと言われ篁先生の座る椅子のテーブルを挟んだ正面の椅子へと着席を促される、テーブルには先生が煎れてくれた珈琲が良い香りを漂わせている。

「まず、最初に水森君の体に起こった異変についてなのだけれど、何等かの事が原因で私の様な陰陽師が水森君の体内に式神を寄生させたと言うのが一応の見解ね。
因みに式神というのは陰陽師が使役する簡単に言えば使い魔みたいなものかしら、水森君の体内に居るのは勾陣という式神で、かの大陰陽師安倍晴明も使役していたとされているは。あの〜聞いてる水森君。」

私の様な陰陽師?
式神?使い魔みたいなもの?
安倍晴明?
改まって聞いた所でやはり疑問符が浮かぶばかりで篁先生の話を聞きながらも半ば上の空状態であった。

「篁先生も陰陽師だと仰いましたが、取り憑いてる式神だか何だかは先生の事を安倍の娘って呼んでましたよね?それはどういう事なんですか?」

先生の話を理解したわけではなかったが、勾陣と呼ばれている式神が発した言葉の意味について先生に尋ねてみることにする。

「ああっ、その事ね、私の旧姓は安倍なの、今は篁家に養女として入ってるから姓は篁だけどね、それに安倍家と言ってもは分家だし、一応代々陰陽師を生業としてきたから、例外なく私も小さい頃から色々と教わってきたと言うわけ。」

そんな話をしていた時であった、篁先生の携帯から受信音が流れ出てきたのである。

「水森君ちょっとごめんなさいね。」

断りを入れて携帯を確認しながら何か思案している様子であったが何か思いついたのか

「実際に見てもらった方がいいかも、水森君これから陰陽師としての仕事が急遽入ったから水森君も一緒に来てくれるかしら?直接見てもらった方が理解しやすいと思うし、君は安全だからねっ。」


渋々ながら頷くと篁先生は準備があるからと私を一人残して寝室の方へと入って行ってしまったのだが、寝室に入る際に

「覗かないように。」

と念を押していた。
寝室内からはガチャガチャと何か探すような物音が聞こえたかと思うと急に静まり返り、今度は布が摺れるような音が響いてきたのである。

「よし!これでOK。」

そう呟いて寝室から出てきた篁先生は足袋、紫袴、白衣、烏帽子と所謂神主さんスタイルであった。

「似合うかしら?」

くるりと1回転しながらそう問う篁先生は遺憾無く自らのプロポーションの良さをアピールしていたが、その主たる要因は無意識にも自己主張してしまう豊満な胸部にあることは………先生には伝えないようにしておこう。


「似合ってますよ、先生、陰陽師のお仕事の時には必ずその格好なんですか?」


「そう、神社で作業する時と殆ど同じかなっ、神社ではこう言うのは使わないけどね。」

そう言って篁先生が懐から取り出したのは、手のひらサイズで金色の何に使用するのか分からない物であった。

Re: 陰陽Master☆〜神々の眠る地で。 ( No.17 )
日時: 2018/03/21 23:12
名前: 長月★ (ID: seUpyUpS)

[弐の参]

「それ何なんですか?」

そう問う私に篁先生は三鈷杵(さんこしょ)という法具である事を告げるとそれを私へと差し出す。

「これは水森君が持っておいて、私が加持祈祷してあるから御守り変わりにはなると思うわ。」

受け取った三鈷杵をブレザーのポケットへと仕舞うのを見届けると

「それじゃあ、行きましょうか。」

と私を促し、篁先生のマンションを出る
1階について駐車場へ車を取りに向かうと思いきや篁先生は徒歩でそのまま先に行ってしまう為

「先生、車は使わないですか?」

と尋ねると近くだから歩いて行きましょうかとの事、5分程先生と一緒に歩みを進めると、途中すれ違った外国の旅行者と思わしき人がスマホ片手に篁先生の写真を撮影していたようだったが、女性神主とでも勘違いでもしたのだろうか?
それともやはり篁先生が魅力的だったから………。
なんて事を考えていると

「着いたわよ。」

先生がそう言って立ち止まった場所は如何にも旧家であると主張した古く立派な門構えの屋敷の前であった。
表札には橘(たちばな)とある。
うん?………橘?聞き覚えがあるような。

そんな此方の考えなぞ露知らず、篁先生はインターホンを押して、来訪の目的を告げているようであった。

私達を出迎えたのは30代半ば位と思われる艶のある、着物姿の美しい女性であり、
屋敷内の十六畳程の応接間へと案内すると篁先生と私に妙齢の美女は次の様に語ったのである。

「私共、橘家は元々四国地方の出なのですが、その………何と申しましょうか、呪(まじな)いの方を昔から本業としてというわけではないのですが、お恥ずかしながら少なからず行ってきていたので御座います。
ですが、私共の先祖が行っていた呪いによる障(さわ)りが今頃になって私共を蝕み始めたわけで御座います。」

そう言って女性は恥じらいを見せつつも、私達に見える様に着物の裾を手繰って見せた、そこには色白で肉付きの良い綺麗な右足と何等かの原因かは不明であるが赤黒く腫れた様な痕が斑に広がる左足が見られたのであった。

Re: 陰陽Master☆〜神々の眠る地で。 ( No.18 )
日時: 2018/03/24 21:43
名前: 長月★ (ID: seUpyUpS)

[弐の肆]

「病院には行かれましたか?」

篁先生の問いかけに女性は色々な病院に通院し様々な検査を行ったのだが、一切原因が分からなかったのだそうであった。

「左足以外にはその症状は出ていますか?」

「いえ、左足だけです………でも、最初はこんなに大きな痕ではありませんでした、日に日に広がっているみたいなんです。」

「わかりました、お手数ですが、一応体全体を見せていただけますか?。」

「えっ………今此処でですか?お連れの方は席を外していただけますでしょうか?」


篁先生の今此処で着物を脱いで体を見せろ的な言葉にチラチラと私を気にしており、席を外す様に求めたのであったのだが………。

「彼なら助手ですのでお構い無く、さぁ、見せていただけますか?」

と学生とはいえ、一応男である私が居る事など、篁先生は全く意に介していない様子であり、早く確認させてくれとばかりに急かす様な有り様であった。

女性は相変わらず此方をチラチラと気にした様子であったが、意を決したのか帯留めそして帯締めへと手を伸ばすと帯を緩める、するとしゅるりと帯が畳みの上に落ちていき、着物は前がはだけ肌着等が垣間見れてしまう状態となったのである。

件の斑に広がる痕の広がる左足とは対象的な白く決め細やかで綺麗な肌が露出する、肌が少し赤く火照っているように思えるのは他人に肌を晒す羞恥故であろう、出来るだけ下着が見えない様に手で隠そうとする女性の表情もやはり羞恥の為に赤く染まっているようであった。

しかし、そんな事などお構い無しなのは篁先生である、此方は出来るだけ女性を見ないようにしているのに対し、篁先生は仕事なのだろうから当然の行為なのだろうがガン見していたのであった、そして一言

「すいません、羽織っている着物も全部脱いでもらえますか、全体を見ないといけませんから。」

「えっ………そのっ………下着も………全部脱ぐのでしょうか?」

篁先生の発言に女性は戸惑いを隠しきれずに動揺している様子であったが、篁先生が下着は脱がなくても大丈夫ですと言った事に腹を括ったのか羽織っているだけの状態である着物類と肌着を勢いよく脱いでいったのである。


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