複雑・ファジー小説

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死血誤惨
日時: 2017/10/14 00:14
名前: 梶原明生 (ID: 97SCsTUE)  

あらすじ

毎年10月11月と開かれる神社へのお詣り、そう「七五三」。我が子の幸福と無病息災を願って行われる行事でもある。今年も全国でいつもの七五三で賑わうはずだった。そう、あの時までは…鈴美、琴也、美弥は今年7歳5歳3歳になる三兄弟。電気工事士の父と主婦である母は、共に「真倉の光」教会の信者。二人はある恐ろしい、10年に一度行う儀式の真実を知る。「今年は黄泉の年。7歳5歳3歳の三兄弟を生け贄に捧げるだけではない。我等真倉の光信者が台風が来る十の月一五に自害いたし、真倉神の復活に魂を捧げるのじゃ。」二人はある男に助けを求めるものの、当日拉致されてしまう。そのある男の天宮竜也は途中、8人の男女の助っ人を得て、台風の中、警察も呼べない事態で一路親子の救出に向かう。「空手VSゾンビ」の飽くなき対決が今始まった。

Re: 死血誤惨 ( No.12 )
日時: 2017/12/08 17:14
名前: 梶原明生 (ID: ztXTCvg/)  

「第2段階 謎と激闘」

…天宮達はゾンビの再襲来に備えて通路に有りっ丈の机や椅子を各部屋から持ち出してバリケードを設置した。「気休めかも知れんがないよりはましだな。」汗を拭いつつ最後の椅子を重ねる。「天宮、こっちだ。」藤堂が食堂に来るよう促す。やはり奥には大食堂があった。「さっきから探したんだが、鍵らしきものは見当たらん。」「おかしいですね。ここのはずなんですが。」天宮が思案に暮れると、新堂が手に持った薙刀でカーテンを指す。「すみません、あそこのカーテンおかしくないですか。」確かにおかしかった。普通カーテンは中ほどで帯に巻かれているものだ。しかし奥のカーテンは4つだけ横巻きに巻かれてガムテープで中ほどに止められている。何かを見せないかのように。「確かに不自然だな。あんな巻き方する理由なんてないし。」岬が走り出した。カーテン前のテーブルを回転後ろ蹴りで窓辺に叩きつけ、一気に飛び上がった。ガムテープを片っ端から剥がしていく。「数字か。」赤いカーテンに白地で「7538」とある。「七五三は、か。ふざけやがって。」天宮が怒りを現にする。「厨房に来てください。」梅野が厨房から声をかける。「これは…」一同驚愕した。大型冷蔵庫の中に金庫が。「番号式か。もしかしてあのカーテンの番号か。」天宮は訝しげにしながらも「7538」を押した。「カチャン」と金属音がしたので開けてみると、講堂のカードキーが保管されていた。「やった。鍵ゲットか。」山崎が感嘆した。しかし「妙だな。カーテンといい、壁紙といい、まるでこちらに来てくださいと言わんばかりだ。」「罠なら罠でいいじゃねぇか。どうせ片っ端から探し回るんだ。邪魔を片付けるいいチャンスさ。」藤堂が拳を鳴らしながら言う。「うっ。」上村が何故かめまいで倒れかけた。厨房のボールや皿を落として大きな音がする。「大丈夫か上村君。咬まれた傷は応急処置したんだが、どこか他に具合でも…」天宮が上村を助け起こす。「だ、大丈夫だ。大したことない。少しめまいがしただけだ。元々偏頭痛持ちだからな。薬飲めば大丈夫。」新堂が薙刀を置いてコップに水道水を入れる。「ああ、すまない。ありがとうよ。」天宮は安心して立ち上がった。「それじゃ、講堂に行きますか。」「おうっ。」一同移動を開始したのだが…「待て、何か聞こえないか。」藤堂が立ち止まる。「ウガーッアアアア」食堂奥からまたもやゾンビの大群が現れた。しかも数は先ほどの二倍。…続く

Re: 死血誤惨 ( No.13 )
日時: 2017/12/16 19:22
名前: 梶原明生 (ID: YHJNwyuz)  

…「馬鹿な。講堂は閉まっているのに何故こんなところから…」驚愕する天宮だったがすぐに戦闘モードに切り替わる。「仕方ない。皆、やるしかないぞ。」「はい。」なんと今度は新堂が布に覆われた薙刀を現した。何と木製ではなく、銀色輝く合金製の刃の無い薙刀である。「こんな時のためにと特注した薙刀です。」「すっげ。」上村の驚く刈り上げた金髪姿が映るほど磨かれている。そうしている間にもゾンビは迫っている。具志上君、岬君、彼女を頼む。」「任しときーな。」三人は先ほどのバリケードに急いだ。「私も戦います。」岬が戻ってくる。「今は一人でも戦わないと。」「ありがとう。」天宮は構えながら答えた。「ウガーアアア。」ゾンビの雄叫びを機に一斉に戦いはじめた。藤堂が頭を抑えて前蹴りをゾンビに食らわし、その後ろのゾンビの頭二つをガチンコに両手でぶつけて挟みあわせた。新堂は薙刀八の字払いで無双状態。上村はワンツーパンチに回し蹴りで首をへし折る。山崎は衣服を掴んで投げ倒して頭に踵蹴り。長瀬は剣で相変わらず叩き切り、天宮は飛び突き、揚げ突き、足刀蹴りで倒していく。その中にあって岬は円心の技でかわしながら突き蹴りを入れて次々倒す。「やるーっ。さすが芦原会館。」「戦いながら山崎が驚嘆する。やがて苦闘の中、60体以上のゾンビを倒し、息を荒げながら全員が四方に構えて立っていた。「ハァハァ、終わったな。」「こりゃ意外にキツいな。まだ来るとしたら体力が持つかな。」山崎と上村がそう漏らす。「皆、行こう講堂に。」「おうっ。」息つく暇なく天宮が皆に叫ぶ。具志上と梅野に合流するとバリケードを開けて講堂を目指した。「これでどうだ。」天宮がカードキーを通すと赤ランプが緑ランプに変わる。鋼鉄製の扉がゆっくり開き、鼻を突く異臭が漂った。「うっ、何だこれは…」かなりの死臭があるものの、いきなり電源が入って換気扇が回りはじめた。「助かったな。しかしこれは…」たどり着いたその講堂は辺り一面血の海だったのだ。しかし人っ子一人いない。…続く。

Re: 死血誤惨 ( No.14 )
日時: 2018/01/09 00:04
名前: 梶原明生 (ID: MqiTTCa3)  

…「どういうことだ。」天宮は怒りと驚嘆の混ざった声で叫んだ。「恐らく、ここでゾンビ化する薬を飲んでいたに違いない。信者千人近くが死に絶え、苦しみもがき、そしてゾンビに。」「何てことだ。」長瀬の予想に山崎は唖然とする。そして、家族や恩人を助けに来た者達は絶望した。既に手遅れだということを。「クソーッ。」山崎は床を拳で殴りつける。「まだ希望はないわけでもないよ。見て、まだ飲まれてないワイングラスが3つ。まだ三人はゾンビ化していないかも。」長瀬がテーブルに置かれたワイングラスを発見した。「さ、三人か…」藤堂は力無く呟いた。「とにかく、何としてもその三人を見つけ出さないと。」天宮は皆を元気づけた。「一階二階はいなかった。なら三、四階が怪しい。今から向かおう。」その掛け声に皆足を進める。階段で二階を超えた所で天宮が話す。「皆、ここからは未知の領域だ。ゾンビが潜んでいるかも知れないから、離れないように、そして油断なく気を引き締めて行こう。」「おう、わかった。」藤堂達が応えた。やがて天宮を先頭に全員三階にたどり着く。「やけに静かだな。嫌な予感だ。大概こんな時はドーンとゾンビがお目見えするんだよな。」山崎が呟くと岬におんぶに抱っこの梅野が言う。「ちょっと、やめてくださいよ。怖いじゃないですか。」「うん、いやだってさ…ん。」山崎が廊下の向こうの異変に気づいた。…続く。

Re: 死血誤惨 ( No.15 )
日時: 2018/01/22 17:57
名前: 梶原明生 (ID: MCpQOwBr)  

…小さい男の子が廊下を歩いてくる。「何だ、子供か。」山崎はホッと一安心した。「僕、大丈夫かい。」山崎が手を差し伸べようとした時、いきなり天宮が男の子を前蹴りで蹴飛ばす。「ちょっとあんた、何てことを。」「そうよ、気でも狂った。」山崎、梅野は叫んだが、それが間違いだとわかった。「見てよ、こいつゾンビだ。」長瀬が指差す先の男の子は立ち上がり見る見るうちに肌が青くなり、赤い口を開けて牙を剥き出した。長瀬が始末する。「もうここから先は喋らない挙動不審なやつは皆ゾンビと考えたほうがいいな。」廊下の先を睨みながら天宮は拳を握った。ゾロゾロとゾンビが現れた。「行くぜっ。」勢いよく走り出す。入り乱れての乱闘が続き、大半のゾンビを劇的に撃退し、3階は制圧した。そして4階に突入。「子供ゾンビだ。」長瀬が剣を振りかざそうとしたが天宮が彼女の腕を握った。「待て、この子達が俺の探してた子供だ。」「ちっ。」「ん…」残念そうにする長瀬に天宮は何か違和感を感じた。…続く




Re: 死血誤惨 ( No.16 )
日時: 2018/01/30 16:20
名前: 梶原明生 (ID: ztXTCvg/)  

…「さぁ、もたもたしていられない。行くよ。」長瀬は率先して歩きだした。天宮は三人の子供を和ませる。「よく頑張ったな。怖かったろう、おじさんが来たらもう大丈夫だ。お父さんとお母さんは…」鈴美が答える。「それが怖いおじさんたちに連れられてどっか行っちゃった。」「そうか。じゃあ助けに行こう。」天宮達は子供三人を連れて通路を歩いた。各部屋を掃討するも、誰もいない。次の部屋で何やら気配を感じた。「皆、気をつけろ。」天宮は部屋に入り、布が掛けられている美術棚を剥いだ。拳を用意していたものの、中には男二人と女の子一人が隠れていた。若い男の方は飛びかかってくる。「この、坂上一派め。」「違う、やめろ。ん、この技空道…」勘違いした男は山崎を見て正気を取り戻す。「あ、兄貴…するとあんたら。」「そうだ。助けにきた者だ。それはそうとこの教団施設内に若い夫婦が連れ込まれなかったか。」三人の生き残りに聞く天宮。「そう言えば、待上の方々がそのような人を連れてこの階の奥にある、坂上様のところへお連れしているのを見かけました。」「待上とは…」「坂上様の側近の方々をそうよびます。教団ナンバー2です。」女の子が答えた。「ミック、妹のミックです。」薙刀の新堂が飛びつく。「お姉様。ごめんなさい、お姉様の言う通りでした、許してください。」「いいのよ無事で何より。」今度は芦原会館の岬が涙する。「お父さん。」「おお、由真。お前来てくれたのか。すまなかった。父さんが悪かった。」再会ラッシュの中、顔を曇らせる藤堂と上村。「感動の中すまないが、その坂上は奥の祈祷堂にいるんだな。」「はい。祈祷堂の奥は、離れに通じる通路があり、坂上の居住区となっています。」山崎の弟が答える。長瀬が割って入る。「その祈祷堂は教会並みの広さがあって、こちらからの通路と坂上への通路以外は袋小路状態。そこで籠城すればゾンビを防げる。」「やけに詳しいな。」長瀬に対し、天宮が疑いの謎かけをしてみた。「どういう意味。ハッキリいったらどう、兵隊さん。」長瀬は前髪で半分覆ってる目で天宮を睨みつける。「まあまあ天宮さん。ここまでこれたのも彼女のおかげじゃないですか。行きましょう。」山崎が仲裁に入る。やがて一行は祈祷堂に入ってバリケードをあしらえた。「頑丈なスチールドアか。暗証コードと指紋スキャナーでしか入れないとはな。」「どきな。私がやる。」長瀬がポケットから何やら端末を出した。…続く。


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