複雑・ファジー小説

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シークレットガーデン-殺戮人形と呼ばれた少女の物語-
日時: 2019/09/08 08:51
名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: 9nuUP99I)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16274

彼女の手は汚れていた。 彼女の身体は穢れていた。 彼女の心は——。
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御観覧ありがとうございます。姫凛と申す者でございます。

こちらの作品は私は現在執筆中の《シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜》の本編に書ききれなかった零れ話ブルー様よりいただきました《ヒスイ》ちゃんの主人公と出会う前、半生を綴ったもの物語となっております。


※表層はトサカ君視点で贈る物語り
 裏層はとある新米研究員の物語り

 ネタバレ要素を含みます。グロ/残酷描写などござますので苦手な方はご注意くださいませ。


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-殺戮人形と呼ばれた少女の物語-table of contents↓
prologue:血肉を啜る童女>>01
用語解説>>05
◆罪の花散る時>>06-09 >>12

[表層 旅の記録-モノローグ-]>>13-25
登場人物>>04
第一階層[ドラゴンとドラゴンネレイド] >>13-15
第二階層[ウサギとドラゴンネレイド] >>16
第三階層[カジノでのドラゴンネレイド] >>17
第四階層[ウラギリのドラゴンネレイド] >>18
第五階層[カイラクゾクとドラゴンネレイド] >>19-23
第六階層[ナミダを流すドラゴンネレイド] >>24
第七階層[アンサツ者ドラゴンネレイド] >>25

[breaktime-解説-]>>26-27

[裏層 死の秒読み段階-カウントダウンデス-]
登場人物>>28
第一階層[新米研究員の日常] >>29-32…執筆中
第二階層[特別なキャンディ] >>
第三階層[少年R] >>
第四階層[いなくなった実験動物] >>
第五階層[消え半減したモルモット] >>
第六階層[そして誰もいなくなった] >>
最下層 [堆く積まれた木偶人形] >>

-殺戮人形と呼ばれた少女の物語-Completion!
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-感情のない少女の物語-table of contents↓

prologue:人形に感情は否か
登場人物
用語解説
◇人形に感情は応か >>

第一階層[売られてゆく娘] >>
第二階層[娘の品定め] >>
第三階層[光を失った娘] >>
第四階層[娘の決意] >>
第五階層[娘の犯した罪] >>
第六階層[娘の贖罪] >>
最下層 [娘に感情は] >>

-感情のない少女の物語-Completion!
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[殺戮人形と呼ばれた少女の物語]
【第九章 荒くれ者の最期】で狂犬との熾烈な戦いを終えた主人公達。
依頼主である王に報告を済ませ仲間の実家で一休み、そして一晩明けた次の日、主人公が発見したのは眠るように冷たくなっている仲間の姿だったという。

[感情のない少女の物語]
【第六章 裏カジノ編】にてカジノオーナーとの熾烈な戦いを終え仮面の国にある宿で一休みしていると人形が主人公が泊る部屋に訪れこう言った「——人形に感情なんてないよ」と。
彼女は本当に人形なのだろうか——? 人形に感情はいるのだろうか——?

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*その他作品*全て複ファ板です。

*シークレットガーデン 〜小さな箱庭〜
本編。ただの村人だった少年ルシアと愉快な? 仲間達の冒険ファンタジー。

*Secret Garden ~小さなの箱庭~
↑を新な登場人物、物語、設定など追加し始めから書き直したもの。

*シークレットガーデン -魔女と呼ばれた少女の物語
第一章〇〇の封じた過去編を選り抜きしたもの。完結済み。

*「シークレットガーデン-椿の牢獄-」
第四章 監禁・脱走を○○様目線で書いたもの。完結済み。

*美しき雌豚と呼ばれた少女とおくびょう兎と呼ばれた少年
第五章○○封じた過去編の続きを書いたもの。完結済み。

+シークレットガーデン-感情のない少女の物語-
三年前くらいに書いていた元ネタ。

+シークレットガーデン-殺戮人形と呼ばれた少女の物語-
新しく書き直した新ネタ。
執筆開始日2017/11/17〜
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第五階層[カイラクゾクとドラゴンネレイド] ( No.23 )
日時: 2017/12/23 17:14
名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: B0dMG1jJ)

泣き叫び走り去って行くランファの背中を呆然と見つめていると

『……二人きりだな』

 ぼそりとリアさんが呟いた。独り言を言うように小さな声で囁くように呟いた。

『……そうだね』

 リアさんの左斜め後ろ、彼の腕を掴んでいたヒスイもまた独り言のように小さく呟いた。こくりと微かに頷いて。

 二人のやり取りを見て、

「キタキタキタキタキタッキタァァァァァアア!!!」

 シャアアッ!! と、ガッツポーズをして叫んでいるパピコさん。彼女の大きな瞳は、まるで新しいおもちゃを買って貰った子供みたいに光輝いて……正直ちょっと引いてます。

「ヒスイさま、ここに極めりです!」

 大きな声で大きな独り言を言いだしました……。ヒスイを指差すと血走った目で興奮気味に息を荒げて、

「色欲魔とのフラグ建設展開! これはもう詰んだも同然!
 二人はこのまま順調に愛を深めて行くのです。そしてやがてヒスイさまのお腹には新たな命が……ですがそれが運の尽き!
 色欲魔の目的は若い女と寝る事、子供が出来た女には要は無いとボロ雑巾のように捨てられればいいのです!!」

 …………なに言っているんだろう、この人。
声高らか自信満々の声を大にして言っているパピコさん。笑い声は勝ち誇った人みたいにご満悦なもの。

「あのね、パピコさん。リアさんはそんな酷い人じゃ——」

 言葉を遮るように突如、疾風が巻き上げた。それは竜巻のような強い風であり、嵐でもあり……吹き飛ばされてしまいそう!

「な、何事ですかっ!?」

 近場に合った掴まれそうなものを掴み、反対側の手はパピコさんを掴んだ。砂を巻き上げて砂嵐が起きているから、いまいち状況がよくわからない。いったい何が起こっているんだろう……ここで。

「…………ッ」

 砂嵐を作った竜巻は少しずつその大きさを変えながらどこか遠くへ進んで行った。良かった、進行型タイプで。そのままずっといるタイプだったらどうすることも出来いまま……ってことになる所だったよ。

 危なかった。過ぎ去って行く竜巻を見つめ、ほっと胸をなで下ろす。でもこれはただの始まりだったみたい。言うなら、戦前に吹く一陣の風のようなものだった。

『チッ、外したか』

 突如風が吹き荒れた場所から聞きなれた声がする。

『下手くそ』

 最初に聞こえた声から少し離れた場所からも、聞きなれた声がする。

「……ぇ」

 ずっと竜巻ばかり気にしていたから気が付かなかった。竜巻の中に人がいたなんて……自分とパピコさんの身の安全を守るだけで精いっぱいで二人がどうなったなんて気にしている暇がなかった。

 大地震が起きたかのようにひび割れて、めくれ上がり地層が見えて深く埋められているはずのパイプが浮かび、引き裂かれてしまった地面に向かい合うように立って睨み合っているのはよく知った顔。

『うるせ。人に殺してくれって頼んでおきながら、攻撃を避ける奴に言われたくねーな。
 死にたいんなら、大人しく俺に殺されとけよ。ドラゴンネレイド』

 眉間にしわを寄せて、苛立ちを露にしていつもは絶対にしない乱暴な口調で話すリアさん。

『殺刃(さつじん)を放たれたら誰だって避けると思うけどな、だってそれが動物的本能というものでしょう?
 そうじゃないとしても私は殺気を感じたら、瞬時に避け始末するように"プログラム"されているの、だから一瞬で終わらせてくれないと——下手くそな壊楽族さん?』

 無表情で淡々と機械的に喋るヒスイ。あまり自分の感情を表に出さないタイプだけどこんな人形のような喋り方を彼女は絶対にしない。
こんな血が通っていない人形みたいな表情を彼女はしたりなんてしない。

 いつも杖代わり使っていた刀はリアさんの足元に転がっていた。つまり今のヒスイは武器を持たない丸腰の状態、なのにリアさんは剣をヒスイに向けている。

『お前が死ねないのは俺が悪いとでも?』

 横に剣を振るうとまた風が吹き荒れ上昇気流がうまれた。風はさっきの暴風で破壊された民家や建物の瓦礫を噴き上げて、

『俺達、壊楽族がお前らドラゴンネレイドに劣るとでも?』

 指揮者が振るう指揮棒のように剣を振るうと、風は八の字ダンスのように揺れ吹き荒れ、不規則な動きをする瓦礫がヒスイに襲い掛かった。

「危ないっ!!」

 すぐに空中を飛び交う瓦礫を叩き落とそうと剣を抜いたのだけどそれは、

『…………ッ』

 余計なお世話だったみたい。ただひっそりと立っているだけだと思っていたヒスイが一瞬力むと彼女を中心とした竜巻が生まれた。

『……貴方には失望したよ』

 見捨てるように、憐れむように、呟く。
竜巻はリアさんの作った風を押し返すように、ぽんっと空中を飛び交っていた瓦礫を全て遠くへ吹き飛ばしてしまった。

 リアさんが瓦礫を舞い上げて一分も経たない間に起こった出来事、これはまるで打ち上げ花火のような一瞬の出来事だった。

『………クソがッ!!』

 またも攻撃をかわされてしまったリアさんは、自暴自棄になってしまったかのようにがむしゃらに剣を振るった。
がむしゃらに振るわれる、剣の切っ先はヒスイの肌にかすりもしない。疲れるのは汗だくのリアさんばかりで、飛び散るのは彼の汗の雫ばかりで、涼しいげな汗一つなく、立っていた場所から一歩も動かないまま華麗にかわすヒスイは人形のような機械的な口調で

『この程度の実力でドラゴンネレイドを殺せるとでも思っていたの?
 私一人簡単に殺すことが出来ないのに"あの人"に復讐することが出来るとでも思っているの?』

『————ッ!!』

『自惚れさん』

 袖の中に隠していた刃渡りが十センチにも満たないぎらりと銀色に輝く切っ先をリアさんの喉仏に突き刺した。……ように見えた。実際は薄皮一枚分刺しただけだったみたい。
だけどがむしゃらに、無茶苦茶に剣を振り回すリアさんを止めるにはこれだけで十分だった。

 後ろへ引き下がる事も、前へ行く事も、呼吸をすることだって躊躇われる。僅かでも動けば刃はリアの喉を突き刺し、頸動脈を斬って血が淋漓(りんり)のように流れて最終的に——死んでしまうから。

 死にたくない理由なんて人それぞれ。僕にも、パピコさんにも、誰にだって一つは絶対にあるもの。
リアさんにどんな過去があったのか、なんて僕は知らない。ヒスイが言っていたあの人とか、復讐とか、意味なんてわからないし、何も知らないけど、ここで死ぬわけにはいかないという気持ちだけはわかる。

 悔しそうに血が出るまで歯を噛みしめている彼を見ていれば、誰だってわかるよ。
心が締め付けられるように痛いんだ。頭の中に見たことのない映像(記憶)が流れているようで痛いんだ。


——前にも僕はこの光景を観ていたような、前にも僕はこれを体験したような、そんな気がするのは……何故?














 鉄を打つ金槌(かなづち)の音が仲で鳴り響くように痛い。頭を抱え押さえていると、さらに痛くさせるようなハイテンションの食う血を読まない明るい声が辺り一帯に響き渡った。

『もーーーーうっ!! いつになった追いかけて迎えに来るんだよー。
 知ってる? ウサギさんとランファちゃんは、ほっとかれると死んじゃうんだよっ!?』

 ぷくーと頬を膨れ上がらせて怒っているランファの姿が視界の端に入った。相変わらずの空気を読まない発言。ランファはいつでもどこでも変わらないな……。

『勝手に死んどけよ、チビガキ』
『なんだとー!?』

 ランファをからかうのは、ひょうきんとした話し方をしてまるで悪戯っ子のようにニカッと笑ういつものリアさん。

『ランファちゃんはウサギさんだったんだね?』
『そうなんです! ぴょんぴょん跳ねちゃうよー』

 近寄って来たランファの頭を優しく撫でてあげているのは、いつもの優しいお姉さんのような母性を感じさせる優しい微笑みのヒスイ。

「……いつも通りの二人だ」

 さっきまでのは……幻? 白昼夢? そう勘違いしてしまう程に、二人はいつも通りだった。でもあれは現実に起こった出来事。その証拠に地面はひび割れて、大きくめくれ上がったままだし、リアさんは汗だくで首には薄っすらと血が滲んでいる。

『何かあったの? なんかリア、ボロボロ−』

 周りを見ながら、少ししょんぼりとした表情で答えた。
ランファが空気を読むなんて珍しい……。って思ったらいけないのかな、やっぱり。

『ああ……ちょっとな』
『うん……ちょっとね』

 苦笑いして二人は視線だけ合わせ。

『お前が立ち去った後、俺達の前にコンクリートマフィアが襲ってきたんだ』
『こんくりーとまふぃあ!?』

 なにそれなにそれと目を輝かせるランファに、どうどうと落ち突けと宥め。

『いやー本当驚いたぜ。まさか白ブリーフ一丁の変なオッサンの集団が突然目の前に現れて、

「チミタチはトランクス派か、ブリーフ派か?」

 って聞いて来てなー、トランクス派だって答えたらいきなりだぜ?』

 え……そんな愉快な人たち居たっけ?

『頭の毛もないつるてか集団ですっごく驚いたよね』

 白いブリーフ一丁で、頭の毛もないつるっつるっのてかりと光っている人たちで結成された集団なの!?

『まだこの辺にいるかもしれねえ。おいっ、チビガキ。危ないからお前は先に店に入ってろ』
『えっでも……リアとヒスイさんは?』

 心配そうな声を出すランファにリアさんはぐっと親指を立てると

『安心しろ。ヒスイは命を懸けて護り店まで連れて行くからよ!』
『うんっ!』

 瞳に涙で潤ませてランファは大きく頷くと、身体を翻してお店に向かって走り出した。

「なんでしょう……戦場で負傷した兵士が仲間に俺に構わず先に行け! 大丈夫だ、俺は後から追いかけるから、って言うの臭い場面を思い出してしまいました」

 隣にいたパピコさんが何か言っているけど、何を言っているんだろう。……よく聞き取れなかった。
走り去って行くランファの背中を呆然と見つめ。

『チビガキは単純だな』
『ランファちゃんだからだよ』

 呆れたような口調で独り言のように呟いき、リアさんは歩き出した。その後を追いかけるようにヒスイも歩き出す。途中、落とした刀を拾い上げて。

『諦めたよ』

 ぼそっと囁いた。

『何が』

 振り返らないままリアさんは訊ねる。

『貴方じゃ私を殺せない——だから自分で決着をつけることにするよ。
 短い間だったけどありがとう、殺す為に頑張ってくれて。……どれも無駄だったけどね』

 俯せ静かに淡々とした口調で喋るその表情はやっぱり人形みたいに、何も感じさせない無表情なもので。

『待てよ』

 黙々と歩いていたリアさんの足が止まった。

『キミが死のうが、死ぬまいが、俺を裏切ろうが、どうしようが関係ない。とゆうよりキミに興味がない。だけどな——』

 くるりと振り返った彼の顔は、まるで人の過ちに怒った悪魔のようなもので。

『ルシアの気持ちを裏切るような事は絶対に許さねえ』

 吐き出された言葉はまるで地の底に住まう魔王のような地を振るえるような重たいもので。

『アイツは人を疑うって事を知らないお人好しの大馬鹿者で、困っている奴がいるって聞けば善人でも悪人でも助けてしまうようなどうしようもない大馬鹿者なんだよ』

 ……あれ? 僕すっごく散々な言われようされていない? ふと、隣に居るパピコさんを見ると「そうです。そうなのですよ。色欲魔の癖によく見ていますね」と、リアさんの言葉を肯定するように大きく頷いていた。首ががくんがくんなっているけど、痛くはなにのかな……。

『アイツの気持ちを裏切り、悲しませるような事は絶対にするな。
 もしそんな事をするって言うんなら——この身の全てを失ってでもキミを』

 最後の言葉を敢えてリアさんは言わなかった。それでもヒスイには伝わったみたいで彼女は小さく

『そう。好きにすればいいと思うよ』

 囁くと、リアさんの横を通り歩いて行った。

 残されたのは舌打ちをする悔しそうなリアさんと、こつんこつんと鳴り響くヒスイの持つ鞘が地面を叩く音のみだけ。

(ここでの記録は濃厚的なものでしたね。まるでこってり豚骨ラーメンを食べた時のような不快感です。……あぁ、気持ち悪い。
 まあこのような事ご主人様に言えるわけもありませんけど。あの方は優しすぎますから。
 ……ですが、ここだけ記録が濃厚と言うのもまた興味深い事象なのもまた然り。"あの方"なら嬉々として調べ上げそうなものですね。いえ、もうお調べになられているのかもしれません、あの方はそうゆう人でしたから)

「パピコさんがぼうっしているなんて珍しいですね」
「えっ? ええ……ってなんです、ご主人様? 私だって物憂げに考え事だってしますよ。ぷんぷんっ」

 ぷんぷんって口で言う擬音だったけ?

「さあ、変な事言っていないで、次の階層へと参りましょう」

 変な事って、言いだしたのはパピコさんさんの方なんだけどな……。僕は目の前に差し出されたパピコさんの手を掴んだ。肉質ある温かいすべすべとした手は、周りにいる女の子たちとはやっぱり違う感触がする。さすが大人の女の人だなって気がする。

 なーんて、どうでもいい事を考えながら僕とパピコさんは第六階層へと続く扉をくぐり抜けた。


第六階層[ナミダを流すドラゴンネレイド] ( No.24 )
日時: 2017/12/30 22:55
名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: vevJKpiH)

『じゃあ……行って来るね』

 窓の外から茜色の夕日が差し込む部屋で"僕"は振り返りそう言った。

『大丈夫、シルちゃんの事は私に任せて』

 振り返った先にいる彼女は優しく微笑んだ。振っている手は、ヨナを思い出す。外にお仕事で出かけるときに、痛いのを我慢して玄関まで来て「いってらっしゃい」と言ってくれた、あの笑顔を思い出させる。

『………ありがとう』

 この声は彼女に届いているかな? "僕"は聞こえるか、聞こえないか、くらいに小さな声でそう囁き、手に持っていた水色の石を正面にあるベットの上で、死んでいるかのように目を瞑り(つむり)横たわっているシルの胸元へと近づけた。
石は温かく眩い光を放ち、"僕"の身体を包み込んだ光はシルの身体の中に入って行くようにスーッと、消えた。

 部屋に一人取り残されたヒスイは布団からはみ出ていた、シルの左手を掴み

『……貴方は愛されているんだね』

 そっと布団の中に戻した彼女の表情は

『私も愛されたかったな……』

 とても哀しそうで—— とても苦しそうで——

『人形に感情などいらぬ』

 背後から聞こえる。地の底から出すような低い声。聞き覚えのある声。絶対に忘れるわけの無い声。憎くて憎くて気が狂ってしまいそうなくらいに憎い声の持ち主。

「どうしてお前がここにッ!!?」

 驚いた。振り返った先に怨敵(おんてき)が居たことに。
白い肌に牛のような鋭い角、裂けて大きな口と鋭く尖った牙、恐ろしい般若のお面で顔を隠して、返り血で赤黒く汚れた見るだけで吐き気のする汚い鎧で身を汚し、汚れきった手でヨナを攫った憎き騎士。僕は彼の事を"紅き鎧の騎士"と呼んでいる。

 怨敵を前に怒り露にして、腰に下げた剣を振り上げ紅き騎士に襲い掛かろうとした僕を、パピコさんが止めた。これはヒスイが見た過去の記憶であって現実のものじゃない。今ここであいつを斬ったって、現実のあいつに何も害を及ぼさないからって……そんな事言われたって、あいつのせいでヨナは!!

 カチャリ。抑えるパピコさんの腕を払いのけようと暴れる僕の耳元で聞こえた軽い音。留め金のような物が外されたような音。ゆっくりと音がした方向を見てみると……。

「……ッ!」

 息を呑んだ。

 茜色の夕日が眩しい窓の傍にある、ベットの前に置いた丸椅子に座りシルの寝顔を見つめるヒスイの後頭部に、黒い銃口が突き付けられいた。突き付けている犯人はもちろん紅き鎧の騎士。銃口を突き付けたまま、無言で立っている。

「あいつ、ヒスイを殺すつもり!?」

 剣をもう一度振り上げる。

「……狙いは本当にヒスイさまなのでしょうか?」

 僕を抑え込んでいたパピコさんの腕が離れた。……どうゆうこと?
振り上げた剣をあいつに振り下ろすことなく、剣の先を床に向ける。ここは様子を見た方がいいと思ったから。

『何故殺らない』

 地響きのような低音の声。

『自分の失敗を拭えないのがそんなに心配?』

 無邪気な子供のようなあどけない声。ヒスイが喋ったの?

『意味の解らない事を言うな。貴様はメシアと雌豚、両方を殺れる好機を無駄にするつもりか』

 無機質な銃口でこつんとヒスイの頭を小突いた。
僕の事をメシアって種族名で呼ぶのは構わない。でもシルの事を雌豚って呼ぶのはやめてほしい。彼女は豚なんかじゃない、れっきとした人だ。可愛い女の子なんだ。

『……血の臭い』

 クスッと小さく笑い彼女は答えた。

『この臭いはユウの。それに火薬の臭いも……そういえば闘技場(コロシアム)の地下には大量の爆弾が隠されているって噂があるんだよね?
 負けず嫌いのあの子なら、きっと転んでもただは起きないはず。全てを巻き込んで自爆の一つや二つしそな物なのに——どうして私達は生きているのかな?』

 歯を食いしばり分が悪そうな顔をしている彼の姿を愉しむように。

『ドルファに敗者はいらぬ。足手纏いになる者など王に必要ない』
『だから殺した? 放って置けば勝手に死んでくれたのに?』

 後ろに立っている僕からじゃ、彼女が今どんな顔をしているのか見えない。回り込めばその顔を見ることは出来るけど、足が動かない。根がはっているみたいに、重くて持ち上がらない。

『メシアも雌豚も邪魔者も、何もかも全部消す事が出来たのにどうしてそれをしなかったか……』

 ゆっくりとこちらを振り返った顔は……。

『それはルシアを助けたかったからでしょ?』

——バンッ。一発、部屋に鳴り響く爆発音。
紅き鎧の騎士が撃った弾はヒスイの頬を掠めて、窓枠に当たった。

『ほざくな人形が』

 般若のお面の下にある鋭い眼光がヒスイを睨み付ける。

『もしかして図星だった?』

 あはっと嗤うヒスイ。こんな……嫌な顔をする彼女を見たのは初めてだ。胸の辺りがざわざわして気持が悪い。

『ぅ……うぅ……』

 小さな呻き声。それはシルが発したもの。彼女の胸元が光り輝いている。"プリンセシナに行った僕"が返って来るんだ。

『時間切れか』

 紅き鎧の騎士は構えていた銃を下し

『次は無いぞ』

 鎧の中へとしまう動作のなかヒスイを睨み付けそう言った。

『もしかして脅しのつもり? それとも命令?
 どちらにせよ、そんなの聞くつもりなんてないよ。私の雇い主は貴方じゃないもの。
 "今の雇い主"はナナ様だから』

 それにね——と、背を向けて立ち去ろうとする紅き鎧の騎士を呼び止めるようにヒスイは言葉を続けた。

『言われなくても、メシアの生き残り……ルシアは殺すよ。お墓には貴方の首を供えてあげるから安心して?』

 にこりと微笑んだ彼女の顔からは生を感じなかった。どちらかというと、能面のような、無表情でなんの感情もない——人形のような笑みだ。

『それは楽しみだ』

 捨て台詞を吐いた後、紅き鎧の騎士は光に包まれて僕たちの目の前から姿を消した。
ベット以外何もない部屋には、僕とパピコさんとヒスイだけが取り残された。それはなんだか、世界にたった三人だけ取り残されたような、孤独感を感じ、

『……貴方は愛されているんだね。私も愛されたかったな……。
 だから、私が終わらせてあげる。貴方の幸せで楽しい人生を』

 頬に一筋の雫が垂れるその姿は胸が締め付けるように痛く、苦しいもので真っ直ぐ見る事が出来ず目を背けてしまった。



 ヒスイ……君は一体……どんな人生を歩んで来たの? 君の事を知れば知る程、僕はッ!

 誰かに握り潰されるように痛くて苦しい胸を押さえ、身体を引きずるようにして僕は次の階層への扉を探し出し、倒れるようにして中へ飛び込んだ。

 この間、パピコさんは何も言わなかった。何も答えてはくれなかった。遠慮していたのか、あえて何も言わなかったのか、全部知っていながら黙っているのか、どれが正解なのか、違うのか、それは分からない。僕に出来るのはただ観ているだけだから——

第七階層[アンサツ者ドラゴンネレイド] ( No.25 )
日時: 2017/12/31 10:14
名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: Yt9nQPKm)

 鉛のように重たい瞼を開くと、目の前いっぱいに広がるのは赤の世界。それは厭と言う程見て来て血の赤じゃなくて、紅葉した紅葉の並木通り。傍に建ち並ぶ桧(ひのき)で造られた建物から出入りし、行き交う人々は絵画のように幻想的で、美しいと見惚れてしまうそんな景色が広がっていた。

 さっきまで感じていた胸を締め付ける痛みがすーと、どこかに溶けてなくなってしまった。息が出来なくなるほどに痛かったのに。

『…………』

 すれ違う人々はみんな可笑しな見た目をしている。
普段僕達が着ている洋服じゃなくて、和服と呼ばれる独自の文化で生まれた衣装を着て、下駄と呼ばれるサンダルをもっと歩きづらくさせたような靴を履いて、住人の殆どが二本足で立って歩いている"毛の生えた"動物たちのような見た目だ。

 人の姿をしている人たちはみんな変な髪形をしている。
男の人はちょんまげと呼ばれる、頭のてっぺんが少し寂しいヘアスタイル。女の人は丸くてもっこりと盛り上がった髪に、櫛(くし)や簪(かんざし)を刺して豪奢な感じだ。

「ここは和の国だ。動物人みたいな見た目の人たちの国。
 他の国との交流を一切遮断することで、独自の文化を持って発展していった国だ」

——ヒスイと初めて出会った国でもある。

 なんとなく紅葉の並木通りを歩いていたはずだった。だけど僕の足は吸い込まれるかのように、とある一本の路地裏へと赴いた。そこに行けば何かがあるような気がして。

 そこは薄暗く、ドブネズミがはうゴミだらけの汚い場所だった。無法に放置された黒いゴミ袋からは腐った生ごみの悪臭が漂っている。左右にある家の壁も、長年掃除されていないんだろうな、スプレーのような物で落書きされたままになっていて、さらにその上から何か食べ物がかかったような跡が付いている。ここに長居すると身体に何か悪影響を及ぼしそうで怖いと、思いながらも路地裏を進んで行く僕の足は止まらない。

『時間丁度。面白くないくらいに正確ね』

 曲がり角に差し掛かった所で誰かに声をかけられた。声は曲がった先から聞こえた。若い女の人の声、まだ二十代前半の僕とそんなに変わらないくらいだと思う。声の人は僕に話しかけたのかと一瞬変な誤解をしてしまった。

『……今回の任務は』

 真後ろから聞こえた、聞きなれた声に納得した。
振り返った先にいるのは、もちろんヒスイ。その顔は無表情で何も感じさせない人形のようなもの。第五階層で見せたあの無機質な顔だ。淡々と機械的に話す彼女の声に一切の感情を感じない。

『この男を殺しなさい』

 曲がった角の先に居たのは和服が似合う綺麗な女の人。麦色の綺麗で長い髪をうなじの所で一つに纏め(まとめ)緩く大きな三つ編みで結んでいる背の高い凛とした顔の人。口は緩み口角が上がっているけど、上にある目は緩んでいない。鋭く吊り上がった目尻は、恐怖を感じさせ身体が震えた。

『……』

 差し出された手のひらサイズの紙を受け取ったヒスイの横から覗き見てみた。本当はこんな事したくはないのだけど、ヒスイの事を知る為にはしょうがないことなんだ、と自分に言い聞かせる。

「……え」

 紙に書かれていたのは一人の青年の絵。それは良く知っている青年の顔で、ずっと一緒居た青年の顔であり、

『名前はルシア。あのメシアの最後の生き残りだそうよ』

 その青年は僕の事だった。

『ルシア……ッ』

 一瞬、ヒスイの顔が歪んだ。声が震え、驚きと恐怖の感情が出ていた。

『どうしたの? 標的(ターゲット)に動揺するなんて珍しい……もしかして知り合いだった?』

 可笑しそうに女の人は扇子で口を隠しくすりと微笑んだ。

『知らない、初めましての相手よ。……じゃあ私は行くから』

 背を向けて立ち去ろうとしたヒスイを「ああ、待ちなんし」と女の人は呼び止めた。
ヒスイは頭だけ振り返った。

『先輩の小話くらい付き合ってくれてもいいんじゃないかしら?』

 その言葉に、ヒスイは無表情で何も答えない。でもそれが答えだったらしく、女の人は嬉しそうに微笑み言葉を続けた。

『その男、般若の騎士のコレらしいわ?』

 小指を一本立てた。

『戦いにしか興味無いって言っていた戦闘馬鹿が恋だなんて、あー可笑しい!
 そんなら後輩として、真っ赤な花束くらい贈らないとねえ?』
『そうね。身体は綺麗に斬り飾ってあげないとね』

 何この会話……どうして二人は"人を殺す"話をこうも嬉々として話していられるの? なんでこんなにも楽しそうな口調で話しているのに、どうして君たちの顔はそんなにも無表情なの?

『今度こそ行くから。必然的な出会いより、偶然的な出会いの方が運命めいたものを感じるそうだから、男って生き物は』

 再び前を向いた彼女の顔は、自嘲するような笑みだった。









                        †






 なんとなく。本当になんとなくだったけど、プリンセシナ内に鍵(ロック)がかかったような気がした。それはまるでこの階層で観れる記憶はここで終わりだと伝えているようなものであり、ヒスイのプリンセシナ内部に閉じ込められてしまった合図のようなものに感じられた。

 記憶の終わりはいつもパピコさんが教えてくれた。始まりも終わりも
、次が最下層のシークレットガーデンに続いている事とか、何もかも、全部案内人のパピコさんの指示に従って動いて来た——今までずっと。なのに今回はそれを教えてくれなかった? 

「あれ? 待って……パピコさんはどこにいるの?」

 いつもすぐ傍にいるはずの人がどこを見渡してもいない。かわりにあるのは吸い込まれそうな常闇。

「ここは……どこ?」

 聞いても誰も答えてはくらない。自分の質問の声が反響するだけ。

 慌てちゃ駄目だ。落ち着け、落ち着け、落ち着くんだ僕。瞑り胸に手を置いて暴れる心臓を押さえ、冷静になろうと頑張った。

 まず先に思い出されたのは、ここで観た記憶の数々。
海の国の王様に頼まれて僕たちは、海の中に沈んだ王国アトランティスに行ってそれで……二匹のドラゴンと出会い、時渡りの聖樹の下ではリリアンとドラゴンネレイドの間にある埋めたくても埋められない溝の深さを見せつけられて、裏カジノでは全てを知ってしまった彼女の絶望するさまを見た、工場地帯では死を願いながらも死ねない苦痛、殺人を日常的に殺らなくてはいけない楔(くさび)を打ち込まれた彼女の心——その悲鳴が頭の中で反響し激しい頭痛を催す、だけど僕にはその悲鳴の原因となったものが理解できなかった。

——僕にヒスイの闇を浄化することはでき…………ザザッザザザッザザザザッザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッ……目の前は壊れた液晶画面のように砂嵐となり何も映さなくなったザザザザッザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッ……。



                                   -To be continued- 
 

[breaktime] ( No.26 )
日時: 2018/01/07 12:39
名前: 姫凛 ◆x7fHh6PldI (ID: AnKpKfSC)


◇初めに。
 「シークレットガーデン〜小さな箱庭〜」番外編(スピンオフ/本編に書けなかった零れ話)である「殺戮人形と呼ばれた少女の物語」をクリックして頂きありがとうございます。
物語の前半戦[表層 旅の記録-モノローグ-]読了おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。
 ヒスイちゃんから見た、トサカ君(ルシア)達との旅の記憶巡りは如何だったでしょうか。大幅なネタバレを避けた為少々味気ない物になってしまっている部分については面目ないです。物書きとしてはまだまだ修行中の身なので温かい目で見ていただけると有り難いです。
 前半戦も終わりすぐにでも後半戦[裏層 死の秒読み段階-カウントダウンデス-]を読みたいと言う読者様の声も聞こえなくはないですが、今日はあえてその声を無視しまして←え。
物語り内で書ききれなかった事への補足説明や、本編とのリンクなどを解説していきたいと思います。
 そんなものいらんよ。興味ないよ。と言う方は右上の×をクリックして頂き消しておいてくださいな。





-各層の解説-


*第一階層[ドラゴンとドラゴンネレイド]
 今までトサカ君達が旅して来た精神世界(プリンセシナ)は幼い頃の記憶、過去の記憶から現在の記憶へと進んで行くパターンだったのですが、此処は初めての最近あった出来事からスタートの記憶でした。
 本編でいうところの「第九章 荒くれ者の最期」書かれている話なのでカットされた部分はそちらで補完していただけると。

*第二階層[ウサギとドラゴンネレイド]
 第一階層から少し時間が過去へ戻ります。本編でいうと「第八章 からくり遺跡」でトサカ君達と別れて一人留守番をしていたヒスイちゃんの話です。
少しだけリリアンとドラゴンネレイドの間にある深い溝について触れていますね。
 ヒスイちゃんと彼らに直接的な関係はありません。ですが、過去に受けた傷は治らないのです。時間が経てば解決する問題もありますが、今はまだ無理なようです。

*第三階層[カジノでのドラゴンネレイド]と第四階層[ウラギリのドラゴンネレイド]
 此処は同じ場所が舞台の記憶でしたね。本編でいうと「第六章 闇と欲望の国」の裏カジノ編の話です。
此処の話はかなりカットしております。あまり詳しく書き過ぎると重大なネタバレになってしまう恐れがあったからです。ヒスイちゃんが裏切り者だったと言う事は避けられなかったネタバレです……。

*第五階層[カイラクゾクとドラゴンネレイド]
 この階層での話は完全にオリジナル展開でしたね。上と同じ第六章の「アルトの封じた過去編」であり、トサカ君も知らなかった話です。
仮面の国と言う名前の国なのにあまり住人達が可笑しな仮面を付けている事にふれていなかったな……と反省し付けている理由を付け加えました。後国の風景も。工場地帯の所為でかなり空気が汚染され動植物は普通に暮らすことのできないある意味死の大地となっています。
 ランファとパピコさんが阿呆なのは標準なので放置。リアさんとヒスイちゃんの戦闘シーンは頑張りました。まだまだですが。
 以前壊楽族の人々がどうしてドラゴンネレイドを侮蔑(ぶべつ)しているんですか? と質問があったのでそれについて少しだけふれてみる事にした回でもあります。深く掘り下げきれなかった事はごめんなさい。

※ヒスイちゃんがリアさんに向かって言った『諦めたよ』と言う台詞は「罪の花散る時」で小瓶に入った透明な液体を飲んだ理由に続いています。自害すること出来ないヒスイちゃんはリアさんに【自身の殺害】を依頼します。でも力量に差がありすぎてリアさんではヒスイちゃんを殺せませんでした。【ただの一般人であるリアさん】には【プロの殺し屋であるヒスイちゃん】を亡き者にすることは無理でした。

※そしてリアさんにも不思議な点が多々残されていますよね。上で【一般人】と書きましたが、死体の処理に慣れていたり、復讐したい相手がいたり、最後の方にリアさんがヒスイちゃんに言いかけた台詞とか、仲間であり友人であるトサカ君を命を懸けてでも護りたいと言う気持ち、それらは本編の「第十章 殺戮人形ト色欲妖怪」の伏線となっています(回収されるのはリアさんが主人公の中編で、ですけどね)

※パピコさんも何気意味深な台詞を吐いていますがそれは「感情のない少女の物語」の伏線となっています。
味方として当たり前のようにトサカ君の傍にいた彼女ですが、果たして本当に味方なのでしょうか?
——見る物だけが真実とは限らないのです。






第六/七階層は後日。

[breaktime] ( No.27 )
日時: 2019/08/27 13:33
名前: 雪姫 (ID: 9nuUP99I)



◇一年と半年ぶりの【breaktime】大変ながらくお待たせいたしました。
リアルの方で、こちらの方でも、色々ありまして……しばらく創作活動からなりを潜めておりました。
またいつ更新がストップするのか、またいつスタートするのか分かりませんが、気長にゆるゆるとお楽しみいただけたらな、と思う次第であります……。


-各章の解説-


*第六階層[ナミダを流すドラゴンネレイド]


 この回は[第五章 美しき雌豚と呼ばれた少女]の[シルの封じた過去編]のルシアくんがシルちゃんのプリンセシナに行っている間に起きていた出来事のお話ですね。
基本ルシアくんメインで話が進んでいるのでルシアくんが居ないところでの仲間達の会話って珍しいかな? そうでもないかな?

 そして出ましたね。"紅き鎧の騎士”ルシアくんにとっての怨敵ともいえる相手ですね。
彼(彼女)は"ドルファフィーリング"と呼ばれる敵の巨大組織に雇われた用心棒兼後処理などの雑務をこなす始末屋的な役職についています。



*第七階層[アンサツ者ドラゴンネレイド]

 この回も上と同じ第五章のお話で[コロシアム編]の冒頭部分。ルシアくんとヒスイちゃんが出会う、前の話になります。
実は初登場の先輩カタリアさん。綺麗系の美人さんなんですが、裏社会で育ち生きてきたためその美貌はハニートラップでしか生かさせていません。

 出会いは偶然的なものではく、必然性なものだったんですね。希少な種族の生き残りだという事でみんなから狙われるルシアくん。そして紅き鎧の騎士のコレ(子指をあげる)ってドウユウコト??


 しかも最後! ルシアくん壊れちゃったぁぁああ。えぇ〜どうなるの〜〜〜。




年相応の笑みを見せてくれる ヒスイちゃん


人形のような能面の笑みの ヒスイちゃん


無邪気な童のような笑みを浮かべる ヒスイちゃん




 果たして本当の彼女とは——




[裏層 死の秒読み段階-カウントダウンデス-]へどうぞ!


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