複雑・ファジー小説
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- 99%のボクと1%のキミ
- 日時: 2018/01/13 21:29
- 名前: わたあめ (ID: cdCu00PP)
目が覚めた時、見えたのは真っ白な天井だった。
少しぼやけて見える。
いや、ほぼぼやけていて白いことしかわからない。
そこに何人か、顔を覗き込んできた。
驚いたが、体は何も反応しなかった。
動けない。
手が、足が、すべてが言うことをきかない。
なぜだ。
ここは一体どこなんだ。
俺はここで何をしているんだ?
こちらを見ているのは誰なんだ。
そんなことを考えただけでもの凄く疲れた気がした。
瞼が重い。
今にも目を閉じてしまいそうだ。
だが不思議とここで目を瞑れば、もう二度と同じ風景は見れない気がした。
目を覚ますことができなくなりそうな気がした。
あれ、俺は一体?
【登場人物】
#三島 椋 (みしま りょう)
高校2年生。夏に心臓移植に成功するも人格が180°変わってしまう。
元は大人しく読書が好きな青年だったが移植をしてからは口数が増える。
#藤井茉里(ふじい まり)
高校2年生。椋と同じ学年の女子。
移植前の椋と話すことはなかったが移植後に話すようになる。
#有明翔太(ありあけ しょうた)
高校2年生。移植後の椋と仲良くなる。
爽やかで誰にでも優しい。
#土屋健人(つちや けんと)
高校2年生。翔太と同様、移植後の椋と仲良くなる。
チャラついていて女子からの人気が高い。
#森山芽以(もりやま めい)
高校2年生。茉里と同じクラス。
口が悪くはっきりした性格。
#蛯名秀雄(えびな ひでお)
椋の主治医。
#四宮洸(しのみや こう)
#芹沢飛鳥(せりざわ あすか)
【ストーリー】
#01 【 春に 】 01~05
#02 【 ずっと君のことを 】 06~10
#03 【 ひそかな気持ち 】 11~14
#04 【 助けて頂いた者です 】 15~
- Re: 99%のボクと1%のキミ ( No.4 )
- 日時: 2017/12/15 23:51
- 名前: わたあめ (ID: cdCu00PP)
「花見?いいね!」
翌日、昨日の雨が嘘だったように晴れた日だった。
つっちーの花見に行こうという提案に、翔太は微笑んだ。
「椋も行くだろ?」
つっちーに言われ、「いくいく!」と答える。
「よっしゃー、来週行っちゃう?金曜日にでも。そしたら夜まで遊べるだろ」
「いいね。そうしよ!」と翔太。
「決まりだね」と俺。
すると休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴り、授業が始まった。
国語の授業の内容はつまらない。
移植をしてから初めて、この二人と出会ってから初めて遊ぶことになった。
今から楽しみになる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
昼休みになり、午後の授業のため着替えることになった。
そのとき、袋の中にジャージがないことに気づき、昨日神社にいた女の子にジャージを貸していたことを思い出した。
「あっ」
俺がそう呟くと、「え?どした?」とつっちー。
「俺、ジャージない…」
「嘘つけよ。昨日も体育あったから持ち帰ってねーだろ?」
「昨日着てたよね」と翔太。
「いや、昨日神社で濡れてた子に上貸しちゃったんだよね。制服同じだったから同じ学校っぽいんだけどさ」
「濡れてた子ってなんだよ…?クラスとか知らねーの?てか女の子?やるじゃん」
つっちーは少しニヤついたように言った。
「いやだって寒いって言ってたから…」
「昼休みだし、食堂とかに行けばいるかもね。行ってみよっか」
翔太にそう言われ、3人で食堂に向かった。
食堂は相変わらずの混みようで、この中から見つけるのはさすがきつい気がする。
「てか名前もクラスもわかんねー子と何で喋ったんだよ」
つっちーに言われ、「えーと」と考えてから答える。
「俺傘もってなくて、雨酷かったから神社で雨宿りしようと思って神社に行ったらその子もいて…みたいな?」
「へえー。名前くらい聞けば良かったのに」と翔太。
ほんとだ。
ジャージのことを忘れていた。
結局彼女は見つからず、3人で大人しく廊下を歩いていると、「あの!」と声をかけられた。
振り返ると、そこには昨日の彼女がいた。
ドクンーーーーーーーーーーー。
まただ。
彼女を見た瞬間、心臓が叫ぶ。
「あ、昨日の…」
俺がそう言うと、つっちーと翔太は「この子が」
と呟く。
彼女は「あの、これ、ジャージにクラスと名前書いてあったからいまから行こうとしてたところだったの」と言って袋を差し出した。
「あ、ありがとう。いまから体育だから助かった」と俺が受け取る。
「そうだったの?ごめんね遅くなって。というか、貸してくれてどうもありがとう。三島くん?」
彼女はそういって微笑んでから思い出したように言う。
「あ、わたしB組の藤井茉里。本当にありがとう」
彼女はもう一度微笑んだ。
藤井茉里の笑顔を見ると、さらに心臓が高鳴った。
「いいえ」
俺がそう言ったところで、後ろから「あ、茉里ー!」と声が聞こえた。
声のする方向を見ると、華奢な女の子がきた。
「探したんだよー、急にいなくなるから」
女はそう言って藤井茉里の前で立ち止まった。
「ごめんごめん」
藤井茉里はそう言って微笑んだ。
すると、女はこちらを見て「…だれ」と呟く。
「あ、俺たちはその…」
翔太が答えようとしたとき、女は睨みつけるように言った。
「またナンパ野郎?茉里別れたばっかなのに狙いにきたの?」
女にいわれ、つっちーが「そうなの」と食いつく。
「あ、いや〜。メイちゃん…」
藤井茉里は困惑したように言った。
メイと呼ばれた女は「あ、ごめん」とハッとした顔をする。
「あ、こちら森山芽以ちゃん。今の深い意味はなから気にしないで」
藤井茉里がそう言い、つっちーは「芽以ちゃんって言うんだ〜可愛いね〜。暇な時遊ぼうよ」と微笑んだ。
「きもい」
芽以は一言、そう言うと「茉里、行こー」と言って去っていった。
つっちーは微笑んだまま固まる。
茉里は去り際「あ、うん。じゃあまたね!三島くん」と言って手を振った。
「え、俺きもいって言われた?女の子に?あんなに可愛いのに?あの子きもいって言った?」
二人がいなくなったあと、つっちーは不思議そうにこちらを見て言った。
「言ったねえ」と翔太。
「つっちーでも女に拒絶されることってあるんだな」と俺。
つっちーは女子からの人気が高い。
しょっちゅうナンパしているようだが、告白も受けているようだ。
「…なんだあの女!全っ然かわいくねえ」
つっちーは不機嫌そうな表情で言った。
さっきは可愛いと言っていたのに。
と、そんなことよりなぜ藤井茉里を見るとこんなに胸が高鳴るのかが気になって仕方がない。
彼女は昨日が初対面だったし、確かに可愛いと思ったが一目惚れとかそんな簡単なものではない気がする。
それに口ぶりからして藤井茉里も俺とは初めて会ったようだったし。
一体なぜ。
俺の知らない【三島椋】がいる。
三島椋は俺自身のはずなのに、俺は自分がわからない。
もう一度、彼女と話したい。
ただそう思った。
一度だけでいい、とは言えないがせめてもう一度、話がしたかった。
確認がしたかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「え、なにそれ、じゃあつまり、移植する前の椋が茉里ちゃんと何かあったかもーってこと?」
その後の体育の時間、バスケの試合を見ながらつっちーに藤井茉里のことを話すとつっちーは不思議そうに言った。
「うーん、そうとも言えない。藤井も俺のこと知らなかった反応だったし」
「確かにな、自己紹介してたもんな。じゃああれだ、ただ単にお前が一目惚れでもしたんじゃね?」
「ちょっと適当じゃん?それ。そうは思えないんだよなー」
二人でそう話していると、試合を終えた翔太が「なになに?なんの話?」と言って隣にきた。
「椋の好きな人の話」
つっちーはヘラヘラと笑いながら答えた。
「ちがうって〜」と俺。
翔太は不思議そうに言う。
「なになに、椋ちゃん好きな子いたの?」
「ああ違う違う。藤井の話」
「藤井って、さっきの?」
「そう」
「なに?好きなの?藤井さんのこと」
「だから違うって」
そう言うと、つっちーが言う。
「だったらもう茉里ちゃんに直接聞けばいいんじゃね?それが早い」
「あ、それだ!」と翔太。
「バカかよ。『君と話してるとドキドキするんだけど何か知ってる?』って聞くのか?まさか」
俺は呆れるように言う。
「いいじゃん、ストレートで」とつっちー。
「いや、遠回しにうざい告白みたいになってるじゃん」
俺がそう言うと、翔太は「確かにうざいかも」と言って微笑んだ。
「うーん、でもそれって椋ちゃん以外答えわかんないよねー」
翔太はボールをいじりながら言う。
「確かにな。俺らも前のお前とは仲良くなかったわけだしなー」
とつっちー。
「それだよ。前の椋ちゃんと仲良かった人を探せばいいんじゃない?」
翔太にいわれ、俺は肩を落として言った。
「いや、たぶんそこまで仲良かった人はいなかったように思える」
「ふーん、そっかあ。となると難しいね」
翔太もそう言って肩を落とす。
「まあでもとりあえず、もっと話してみれば?」
つっちーはそう言ってボールを指で回した。
「でも用件もねーし」
俺がそう言うと、「お前は女子か。用件なんていくらでも作れんだろーが」とつっちー。
「つっちーはナンパ師だもんね」と翔太。
「ナンパ師じゃねえよ!ナンパはするけど」
「まあ、さっき完全に玉砕してたけどな」と俺。
「あんな女対象外だ。あれは女じゃねえ」
「言い訳が苦しいね〜。森山さん怖かったもんね」
翔太はそういって微笑んだ。
「怖くねえよ。愛想も愛嬌もないつまんねー女」
つっちーはそう言って口を尖らせた。
「藤井さんは話しやすそうだったし、話しかけてみたら?」
翔太にいわれ、俺は「そうだなー」と頷いた。
「あ、花見!藤井さん誘ったらどう?その時に軽く前話したことあるかとか、そんなようなことだけでも聞けばいいんじゃないかな」
「急に?」
「急にだよ椋ちゃん。それにみんなで行った方が楽しいしね」
翔太に言われ、それもそうだと思った。
- Re: 99%のボクと1%のキミ ( No.5 )
- 日時: 2017/12/19 09:47
- 名前: わたあめ (ID: cdCu00PP)
「お花見?わたしと?」
その日の放課後、さっそく藤井茉里の所に行き、花見のことを話すと藤井茉里は不思議そうに言った。
そりゃそうか、突然すぎるもの。
「うん」
俺は頷くと彼女の耳元で「ふられたんだろ、慰めってことで」も小声で呟いた。
「な、大きなお世話!」
茉里に言われ、俺は微笑んで「うそうそ」と言ってから続ける。
「ただみんなで遊んだ方が楽しいかなって思っただけ。嫌なら無理にとは言わないよ」
俺がそう言うと、藤井茉里は少し考えてから言った。
「あ、じゃあ1ついい?」
「なに?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「何でお前がいるんだよ、帰れ」
花見に行く日、下駄箱では藤井茉里と森山芽以が待っていた。
つっちーは芽以を見ると不機嫌な顔で言った。
芽以もつっちーを睨みつけるように言う。
「茉里が行こうって言うから待ってやったんだよ。あんたが帰れば」
芽以に言われ、つっちーは「あぁん?元々俺と椋と翔太で行く予定だったんだよてめーが帰れ」と言い返す。
「じゃあ茉里のことナンパしてないでバカ3人で行けよ」
芽以がそう言うと、翔太が苦笑しながら「まあまあ二人とも」となだめる。
茉里が言ってきた1つだけというのは、自分一人では気まずいので芽以も誘っていいか、ということだった。
俺は「突然ごめんな」と茉里に言う。
茉里は微笑みながら答えた。
「ううん!…本当はヘコんでたからちょっと嬉しかった。何か遊びたかったんだ」
茉里にそう言われ、俺は「なら良かったけど」と微笑んだ。
ふられたんだろ、とか軽率に言っていたことを本当は後悔していたが大丈夫だったようだ。
ああ良かった。
つっちーと芽以は未だ何か言い合いをしているようだが気にせず出発することにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
会場につくと、まだ4時なだけあって人がたくさんいた。
というより、これから夜桜を見るため人が増えていく一方か。
「わあー…すっげー人混み」
つっちーはだるそうに呟いた。
「すごいね!満開だ〜」
翔太は楽しそうに。
「何か買いに行こうか」
俺がそう言うと、翔太が言った。
「先に場所取っておかなきゃ。そしたら半分に分かれて買いに行こうよ」
「おっけー」と俺。
「ここでいいんじゃない?」
翔太はあまり人がいなかった芝生についたとき言った。
シートとか用意するほど頭が回らなかった俺たちはとりあえずそこに座ることに。
「じゃ俺何か買ってくるよ」
俺がそう言って立ち上がると、「あ、わたしも行くよ」と茉里もついてきた。
「え、じゃああたしもーーーーー」
芽以が立ち上がろうとしたとき、隣にいたつっちーが芽以の腕を掴んだ。
「は、何。触んないでよ」
芽以がムスッとしてつっちーをみた。
つっちーは「お前はフラフラすんな。そんなに大勢で買いに行ったら迷子になるぞー」と言って立ち上がり、芽以を座らせた。
「迷子になんかならないよ!」
芽以はそう言い放つとつっちーの腕を叩き、立ち上がる。
「痛っ!てめー何すんだよ!」
「あんたが掴むからでしょ!」
と、二人が喧嘩してる間に俺たちは既に歩き出していた。
ありがとうつっちー。
俺に話す時間をあげようと気を遣ってくれたんだろう。
「桜、きれいだね〜」
辺りを見ながら茉里が言った。
「だなー」と俺は相槌。
今はなんて聞こうかと考えていてうまい返しが思いつかなかった。
「三島君は有明君と土屋君といつから仲良いの?」
向こうから質問がきた。
「ああ、今年に入ってから。なんで?」
「ううん。去年土屋君のことは見たことあったけど、土屋君他の人といる所をよく見かけたから」
なるほど。
「なんでつっちーのこと知ってたの?」
「ああ、本当に偶然。球技大会のとき、わたしのクラスの子が告白したって聞いたことがあって」
「つっちーに?」
「うん。その子、ふられて泣かされたってクラスで言ってたの覚えてる」
茉里はそう言って思い出して微笑んだ。
「そうだったんだ。つっちーは女扱いうまいからね」
「うん、そう見える」
茉里は吹き出すように笑った。
この流れなら、話しやすい。
今だ、今聞こう。
「藤井、あのさーーーーー」
俺が話そうとしたとき、茉里の動きが止まっていることに気がついた。
「…藤井?」
茉里の視線の先をみた。
そこには、1人男がいた。
どこかで見たことがある。
「藤井」
もう一度、名前を呼ぶど茉里はハッとしてこちらを向いた。
「あっごめん…」
茉里の目には涙が浮かんでいた。
もしかして。
「あいつなの?お前のことふったのって」
そう言うと、茉里は静かに頷いた。
もう一度男を見ると、男の横には背の低い女がいた。
彼らは楽しそうに笑っている。
こんなとき、どうすべきなのだろうか。
部外者の俺がわざわざ話しかけにいくのはおかしいような。
すると俺の心情を察したかのように男がこちらに気づいた。
男は少し嘲笑うかのようにしたあと、横にいる女に何か言ったあとこちらに来た。
「茉里」
男がそう言い、茉里は愛想笑いを浮かべた。
男は俺の方を見てからもう一度茉里に言う。
「…あんだけ嫌だーとか言ってたわりには、新しい男出来るのはやいんだな」
男はそう言って微笑んだ。
茉里は何か言おうとしているようだが、言葉が出てきていない。
「ああいや、俺は別にそういうんじゃなくて」
俺がそう言うと、男は笑いながら言う。
「お友達、か?」
「…そういうあんたこそ、あそこにいる子彼女なんじゃないの?」
「そうだけど?何か問題?」
男はシラッと答えた。
「何か問題って…。だったら藤井のことは放っておいたら」
「別に。別れるときに友達に戻りたいって言ったのは茉里の方じゃん。だから話しかけてやったのに。なんだよ」
言われ、茉里は俯いていた。
「あんたさーーーーーー」
俺が文句を言おうとするとイライラしているのが見えたのか、茉里が服の裾を掴んできた。
俺は掴まれた裾を見てから茉里の顔を見た。
茉里は俯き、静かに「いいから」と言った。
「わたしは大丈夫」
茉里は顔を上げて微笑んだ。
「先輩、話しかけてくれてありがとう。じゃあまた」
茉里はそう言って微笑むと俺を引っ張って歩き出した。
てか先輩だったんかーい。
おもいっきしタメ口を使ってしまったじゃないか。
「藤井」
しばらく歩き、河原についたところで立ち止まる。
茉里は振り向き、少し涙目だった。
「ごめんね、三島君まで変なことに巻き込んじゃって」
茉里に言われ、俺は首を横に振ってから河原の石に腰を下ろした。
「俺はいいけど。ってかこないだ雨の日泣いてるところ見てしまった時点で巻き込まれてるし。いや、てか誘ったの俺だし。かえってごめんな」
俺がそう言うと、茉里も隣に座ってきた。
まただ。
心臓がバグバクする。
「ううん。そうだよね、ふられたとか言った時点で巻き込んでるよね、はは」
茉里はそう言いながら微笑んだ。
俺も微笑みながら答える。
「そうだよ、ばか。でもあんなやつのどこが良かったの?俺にはさっぱり」
「うーん、向こうから告白されたんだけどね、最初は断ったの。でもそれでも何度も告白してきてくれて、何か好きかもーって思って付き合うことにして。最初は良かったの。優しくて、かっこよくて。けど付き合ったらあの人は私のことなんか見なくなった。そして今に至る…」
「それでも好きなの?あいつこと」
「…恥ずかしながら」
茉里はそう言って苦笑した。
あんなののどこがいいんだか。
「でもあいつ既に新しい女いたぜ?」
横にいた背の低い女のことだ。
あれはきっと恋人であろう。
なんとなくそんな感じがした。
「うん…でも、ちょっとは信じてたんだけどな〜」
「信じてたって?」
「もしかしたら、またより戻そうとか言われるんじゃないかって。無駄だったけど」
「戻さなくて正解だろ、あんなの」
「わかってる。でも、好きなの」
茉里は笑ってはいるがどこか悲しそうだ。
やはり心が痛い。
今すぐ彼女を抱きしめたくなった。
なぜこんなことを考えてしまうんだろうか。
今すぐこっちへおいで、と手を引いてしまいそうだった。
「…泣いてもいいけど」
俺は少し冗談を言うようにそう言って茉里を見た。
茉里は笑いながら言う。
「泣かないよ!三島君にはもう泣き顔見せられない」
「さっき涙目になってたくせに」
「うるさいな。もう泣きません」
「神社で大泣きしてたくせに」
「あの日は仕方ないでしょ。三島君だって失恋くらいしたことあるでしょ?そんな感じだよ」
失恋か。
そもそも恋をしたことすらあるのだろうか。
誰かを好きになったことなんてあったのだろうか。
「俺は…わかんねえや」
俺はそう言って微笑む。
「なにそれ」茉里も微笑んだ。
「まあでも、泣きたいときは泣けばいいと思うぜ」
「だから泣かないって!」
「じゃあ次泣きたくなったら胸かしてやるから喜べ」
「結構です」
「あっそ。まあ俺にとは言わないけど、森山さんとかに相談したら」
「うん、そうする。…でも何でだろう、三島君といると何か安心する」
茉里はそう言うと俺を見て微笑んだ。
茉里の笑顔を見たとき、心が握りつぶされているような感覚に陥った。
何かで強く、ぎゅっと締め付けられているような。
同時にとてつもなく胸が熱くなる。
鼓動が早くなり、体中が熱い。
これが【三島椋】としての俺なのか、三島椋の【心臓】なのか、俺にはわからなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翔太たちのところへ戻るとなんやかんや3人は楽しく待っていたようで、飲み物を飲んで話している様子が見えた。
「あ、おかえり」
先に翔太が気づき、缶ジュースを飲みながら微笑んだ。
「ちょっとどこ行ってたのよぉお。あたしこんな奴と一緒にいるの辛かったんだから!」
芽以は立ち上がって不機嫌そうに言ってきた。
こんな奴、とは恐らく翔太ではなくつっちーのことであろう。
「ああ、ごめんごめん」
俺はそう言って苦笑し、つっちーを見た。
つっちーは口パクで「話せたか?」と言っている。
あ、本題をすっかり忘れていた。
俺がポカンとした表情を浮かべると、つっちーは呆れるように目を細めて芽以に話しかけ、殴られ、また言いあいをしていた。
あの話はまた今度話すことにしよう。
- Re: 99%のボクと1%のキミ ( No.6 )
- 日時: 2017/12/22 19:41
- 名前: わたあめ (ID: w4lZuq26)
#02 【 ずっと君のことを】
その日、俺は病院に来ていた。
「うん、異常はないみたいだね。何か体に変わったことはある?」
俺の主治医である蛯名先生の定期検診を受けに来たのだった。
俺は苦笑しながら答える。
「ああ…いや、既にわかってると思うんですけど性格が変わっちゃったみたいですね俺」
「随分と明るくなったようだね」
蛯名はそう言って微笑んだ。
「うーん、これって良いことなんですかね」
「それは君次第なんじゃないかな」
「俺次第?」
「うん。君が今が楽しい、生きていたいって思えてるならそれは成功。もし死にたい、楽しくないって思ってたら失敗。どう?」
言われ、俺はここ最近の生活を思い出してみた。
優しい家族、きれいな家、いい友達、そしてーーー。
思いついたのは藤井茉里のことだった。
「…成功ですね」
俺は微笑んだ。
蛯名も微笑み、「それは良かった」と言って立ち上がった。
「体の調子も良さそうだし何よりだよ」
蛯名に言われ、俺は何だか嬉しくなった。
反面、少し不憫な気も来た。
前の自分を殺していることに、誰になのかはわからないが少しながら罪悪感を感じている。
「先生、ひとつ聞いてもいいですか」
「なんだい?」
「…俺のドナーになった人ってどんな人だったんですか?」
そう言うと、蛯名は一瞬固まって見えた。
表情は硬く、目には光が宿っていなかった。
「…どうして?」と蛯名。
「これは俺の勝手な想像ですけど、今ここにいる、今喋ってる俺が、ドナーの性格だったんじゃないですか?」
言うと、蛯名は吹き出すように笑った。
「どうしてそう思うのかな」
「先生が一番よくわかってると思います。さっきも言いましたけど、学校へ行ってみて俺がこんな性格じゃなかったことはわかってます。だからこれは、俺の【心臓】なんだって、そう思いました」
「以前の三島くんらしいところもあるんじゃないか?」
そう言われ、俺は藤井茉里と会ったときのことを思い出した。
わけもなく胸が踊り、鼓動が激しくなるあの感覚。
「…どうして、こんなことが?」
俺がそう訊くと、蛯名は「それは私にもわからない」と答えた。
「ただ新しい症例だからね、予想のつかないことが起きても不思議ではないんだ。以前の君も、君の家族も、そのことを承知で私の手術を受けた」
確かに家族から、手術の旨を記した書類に俺が拇印を押している書類は見せられたことがある。
俺の病気の進行状況は深刻で、救えるのはこの方法しかない、と説明を受けたらしい。
蛯名は続ける。
「だから三島くんの99%が君で、1%が以前の三島くん、ということが起きているとしても、私にはわからない。研究はしていきたいがね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
蛯名とわかれ、俺は病院の中庭のベンチに座っていた。
蛯名に分からないことが、俺に分かるわけがない。
医療のことはよくわからないし、何より以前の記憶がない以上何を言われても俺は何も言えない。
移植手術をするとドナーの心が少し反映される、というのは聞いたことがあった。
だがこのパターンは聞いたことがない。
恐らくではあるが、ドナーの俺が表で、本物の三島椋が裏なのか。
こんなの聞いたことない。
これでいいのかも、よく分からない。
そのとき、中庭の木の陰からこちらを見ている男を見つけた。
なんだあれは?
俺は静かに立ち上がり、ゆっくりとこちらを見ている彼のところへ向かった。
男は驚いたような表情で慌てている。
「…君は?」
男の近くになり、立ち止まって声をかけた。
男は慌てている。
「俺のこと知ってるの?」
俺がそう言うと、男はハッとしたような顔で答えた。
「…椋くん?やっぱり椋くんだよね!」
男はそう言うと笑顔になり、そのまま飛び出してきた。
「えっと…君は?」
俺が困惑しながら言うと、男は俺に抱きつきながら「やっぱり覚えてないんだね」と静かに俯く。
「やっぱりって?」
男は俺から離れる。
「僕、沢村類。わかんない…よね」
沢村類はそう言って少し低めの背で、一生懸命に俺の目を見てくる。
「ごめんだけど、わかんない」
俺は静かに言葉を返した。
沢村類は「だよね」と言って苦笑を浮かべた。
沢村類は側にあったベンチに腰を下ろした。
俺も隣に座る。
まさかこの男は。
「あの、沢村くん、もしかして俺のこと知ってるの?!」
俺は必死に彼に問いかけた。
沢村類は「知ってるよ」と答える。
「ほんと!?色々、聞いてもいいかな」
俺がそう言うと、沢村類は微笑んで「もちろん」と答えてくれた。
聞けば、沢村類は俺が入院してたときに一緒の病室だったらしい。
それで仲良くなったのだ、と。
「じゃあ君も心臓を?」
俺がそう言うと、類は「うん」と静かに頷く。
「僕はドナー待ち。椋くんが手術成功したって聞いて、病室に行ったんだ。でも先生に止められた。術後間もないからって。それで気がついたらいなくなってた。連絡もなかったから会いたいと思ってたんだ」
「そうだったんだ。何か、ごめんね。俺実は記憶がなくなって…」
「知ってるよ。蛯名先生から聞いた。だから連絡がないことにも納得した」
沢村類はそこまで言うと、微笑んで続けた。
「でもびっくりした!今日こうして椋君に会えたから。僕のこと覚えてないみたいだけど、何か前よりかっこよくなっててそれにもびっくりした」
「昔の俺は、どんなだったの?」
「そうだなあ〜。なんか、真面目で大人しいけど一緒にいて楽しい人だった。何よりとっても優しい人だったことは確かだよ」
沢村類の説明はアバウトではあるが褒めてはいるようだ。
「僕が椋君と同じ病室に来た時、一番最初に話しかけてくれたのは椋君だった。年上なのにとっても話しやすくてさ」
年上?
「沢村君は何歳なの?」と俺。
「僕は今中3だよ。受験生なのに病院にいる」
沢村類はそう言って微笑んだ。
自虐しているがリアルすぎて笑えないジョークだった。
「そっか。じゃあそれから沢村君と俺は仲良く?」
「そうだよ。病室で話してからはすっごく仲良くなって、色んな話をした」
「色んな話?」
「そう、本当に色んな話だよ。好きなこと、好きな物、嫌いなこと、嫌いな物。あとは家のこと、学校のこと。とか色々だね」
言われ、彼なら知っているかも知れないと思った。
「…あのさ、俺なにか女の子の話とかってしてなかったか?!」
少し食い気味にそう言うと、沢村類は思い出すように上を見てから微笑んだ。
「ああ、あった」
「ほんと?」
「うん」
「どんな話してた?」
沢村類ならこのおかしな気持ちの正体を知っているのではないか、仄かに期待していた。
「椋くんは、病院で出会った子に恋してた」
病室で出会った子?
「…それって、どんな子?」と俺。
「1年くらい前かな。確かその時期骨折かなんかで入院してた子だったかな。リハビリの時に転んだところ助けてもらって、それから」
入院、となると藤井茉里ではないか。
なぜだか少しホッとした。
反面、少し残念でもあった。
「それからその子とは?」
「病室で何回か見かけたけど話しかける勇気がなくて悩んでた。で、やっと話しかける気になった時に彼女は退院したみたいで」
話しかける勇気がないって中学生か、俺は。
「じゃあそれからはなにも?」
「それがびっくり。その女の子、椋君と同じ高校に通ってたんだ」
瞬間、胸がズキっとした。
「話したのか?」
「いや、学校でも話しかけられなかったって言ってた。しかもそのあとすぐ調子が良くなくて椋君はまた入院したんだ。だからその後のことは分からないなあ」
ということはその彼女は俺のことは覚えていない。
もし覚えていたなら病室で会った時に話しかけてきてたはずだ。
数ヶ月気づかないことはそうそうないだろう。
「…その女の子の名前、わかるか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「え!じゃあなに、やっぱ昔のお前が茉里ちゃんのこと好きだったから心臓がキューーンってなるわけ?」
昼休み、つっちーはカレーを食べながら言った。
「…そうみたい、です」
俺もそう言ってカレーを食べる。
翔太は「へえー、なんかロマンチックだね」と微笑んだ。
「笑い事じゃねーよー」と俺。
「なんでだよ、だって謎が知りたかっただけだろ?ならもうスッキリじゃんか」
つっちーは不思議そうに言う。
「いや、まあ確かにそうなんだけど…なんか…あー!もうわかんねえ!」
俺はそう言ってスプーンを置き、立ち上がる。
水を取りに行こうと立ち上がると、椅子を引いたところで誰かにぶつかった。
「あ、すいま…せん」
振り返るとそこには茉里と芽以がいた。
「あ、藤井…」
俺は愛想笑いを浮かべる。
茉里は「おはよう三島くん。ってもうお昼か」と言って笑っている。
俺はつい茉里から目を逸らしてしまう。
顔が熱い。
「三島くん?」
茉里は顔をのぞにこんでくる。
俺は「え!なに?!」と言ってオーバーなリアクション。
「どうしたの?具合でも悪いの?」
「ああいや、全然そーゆーんじゃなくて」
一生懸命微笑む。
「よー芽以ちゃーん」
つっちーは悪戯な顔で芽以に話しかける。
芽以は「なんだよ。きもい」とあからさまに嫌な顔。
「会ってそうそうきもいってなんだよ。かっこいいだろ、俺」
「そういうのがきもいんだよ!ナルシストきもすぎ」
「しょうがねーだろカッコイイんだから」
「まじできもちわるい!」
2人がそんな会話をしている横で、茉里は心配そうに俺を見つめる。
「全然大丈夫!…じゃあ」
俺はそう言ってコップを手に水を汲みに行く。
ーーーーー茉里の顔が見れない。
直視できない。
なんというか、とりあえずすっごく可愛い。
とか思ったり。
そんなことを考えながら水を汲んでいると、「溢れてるよ」と声がした。
ハッとして振り返るとコップを持った翔太の姿。
「ああ、ごめん」
俺はそう言ってコップをとり、水の前をどいた。
翔太は水を汲みながら言う。
「椋ちゃん何か恋すると丸くなるんだね」
翔太はそう言って微笑み、俺の方を見た。
「は?!」
俺はまたもあからさまなリアクション。
「いいな〜俺も憧れる」
「そーゆーんじゃないって」
「でも意識するよねー、前好きだったなら尚更」
「…まあそれは。でも前の俺は今の俺じゃない」
「そうだけど、椋ちゃんの心臓は椋ちゃんでしょ?」
「うん…そうなんだよな〜」
俺がそう言うと、「あの」と声がした。
声がした方を見ると見知らぬ女子が二人いた。
「…あ、えっと」
俺が言葉を詰まらせてると、1人が喋り出す。
「あ、あの三島くん」
「はい」
「…あの私2年A組の佐伯ゆりって言います。その、携帯、良かったら教えてもらえないかなって…」
「え俺?」
「は、はい!」
結構可愛い子。
「あの、なんで?」
「あ、いや!その、前からかっこいいなって思ってて…だから…。ねえ、ミサも言いなよ!」
佐伯ゆりはそう言ってもう一人の女子の背中を押す。
もう1人の方は俺ではなく、翔太を見て言った。
「わ、わたしは有明くんに携帯教えてもらえたらなあって…良かったら、ですけど…。えっと、わたしも前から有明くんかっこいいなって思ってて…。ちょうど今、有明くんと三島くんがいたから…その…来ちゃいました」
言われ、翔太は困惑気味に「ああ、別に教えてもいいけど…」と愛想笑い。
「本当ですか?!」とミサ(恐らく)。
俺と翔太は顔を見合わせる。
断るのも可哀想なのでLimeを教えてあげることにした。
二人は嬉しそうに帰っていく。
「良かった、のかな?」
と翔太。
「こーゆーのは俺疎いしつっちーいれば良かったな」
と俺。
「まあ、とりあえず椋ちゃんファイトだよ〜」
翔太はそう言って微笑んだ。
笑顔も爽やかだなこいつは。
「うるせーよ。別にまだ好きとかじゃないし」
俺はそう言いながら席の方へ歩き出す。
「"まだ"ってもう、椋ちゃんわかってんじゃん〜。俺応援するよ。つっちーも応援してくれるよ」
「別にいらねーし」
俺はそっぽを向いた。
「またまたあ〜」
翔太は微笑んで俺を見た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あちゃー…」
中間テストの結果が並んだ用紙を見て翔太は呟いた。
むろん翔太のではなくつっちーの答案用紙のことだ。
つっちーは数学12点、国語36点、科学22点、英語49点、日本史39点。
あまりにも悲惨な結果に絶望しか見えない。
「見事に英語以外全部赤点だな」
俺は答案用紙を見て言った。
この学校の赤点基準は40点だ。
40点ならギリギリセーフ。
「本当やばいね〜」
翔太は笑いながら言った。
つっちーはムッとした顔をして言う。
「うっせー!翔太、お前だって1個赤点のくせに!」
「そうなの?」俺は翔太を見る。
「科学が苦手でさ〜39点」
翔太は参ったように笑う。
「再試かお前ら」
俺はそう言って二人を見た。
つっちーは頭を抱える。
「やだ!これ試験合格しなかったら夏休みないんだぞ!俺そんなの嫌だ!」
今は6月の中旬。
翔太は一科目だから大丈夫だろうがつっちーはかわいそうに。
「再試いつなの?」
俺がそういい、翔太は通知の紙を見て答える。
「えっと、来週の月曜!」
今日は金曜日。3日か。
「ふーん、まあ、土日で勉強するしないな」
俺がそう言うとつっちーは「そうだ!今日と明日3人で泊まろうぜ」と閃いたような顔をして言った。
「勉強会ってこと?」と翔太。
「そう!な、いいだろ椋!」
つっちーは必死な顔で言う。
「いいよ」
こうして明日から勉強会が決まった。
帰り道、下駄箱で靴を履き替えていたとき、「あ、三島くん」と茉里が話しかけてきた。
隣には芽以もいた。
ドキドキするのは置いといて、「あ、藤井。今帰り?」と聞く。
「うん。今日から勉強しなきゃなの」
茉里はそう言って落胆したように俯いた。
まさか。
「…再試?」
恐る恐る聞いてみると、茉里はコクンと頷いた。
頭良いイメージがあったが、そうではなかったようだ。
「どうせお前も再試なんだろ〜」
つっちーは芽以をバカにするように言う。
芽以は不機嫌な顔をしてカバンから結果用紙を出した。
芽以の結果用紙には、数学94点、国語91点、科学98点、英語84点、日本史80点という見事な成績が。
つっちーは口をポカンとあける。
「再試なのはあんたでしょ」と芽以。
「おまえ頭良いのかよ…なんだよ、科学98点って…1問しか間違えてねえじゃん…ありえねえよ…」
つっちーは力なく呟いた。
「芽以ちゃんが頭良いから勉強教えてもらおうと…」
茉里はがっかりした様子で言った。
「俺たちもつっちーのために勉強会」
俺が言うと、茉里は「そうなんだ」と答える。
すると翔太が口を開いた。
「へぇ!森山さん頭良いんだね!俺科学苦手だから教えてよ!」
妙なテンションの高さ。
「は?!なんであたしがあんたに教えなきゃいけないのよ」
芽以は不機嫌に言う。
翔太は微笑んで続ける。
「いや〜俺科学再試になっちゃってさ。椋ちゃんだけでつっちーの面倒みるの大変だろうし何なら森山さんと藤井さんも一緒にやろうよ!」
「やだ」「ほんと!?」
声が混じっている。
やだと言ったのはもちろん芽以。
嬉しそうにしているのが茉里。
「ちょっと茉里!」と芽以。
「お願いしようよ、わたしバカだし芽以ちゃんだけじゃ大変だと思うし!」と茉里。
「あたしは茉里には教えるけどこいつらには教えたくない」
芽以がそういうも、翔太は「じゃあ決まりだね」と微笑んだ。
むしろ教える相手が増えているが茉里が一緒の方が俺的には。
- Re: 99%のボクと1%のキミ ( No.7 )
- 日時: 2017/12/27 02:06
- 名前: わたあめ (ID: cdCu00PP)
「じゃあ荷物持って翔太んち集合な!」
つっちーが言った。
この日金曜日から泊りがけでの勉強会。
茉里と芽以は土曜に来て夜は帰ってしまうらしいがそれでも構わない。
休日に一緒にいれるなんて…とか考える。
金曜は俺とつっちーと翔太の3人。
果たして彼らが勉強するのだろうか。
「え、なんだこの家…」
翔太の家を見るなりつっちーは今にも目が飛び出そうな顔をして呟いた。
翔太の家はレンガ造りで門が恐竜1匹通れそうなくらいでかい。
敷地も市の公園かと言うくらいあるではないか。
インターホンを押すと、「はい」と女性の声がした。
お母さん?
「…あ、えっと翔太くんのクラスメイトですけど息子さんいらっしゃいますか」
俺が慌ててそう言うと、女性は「少々お待ちくださいませ」と言って門を開けた。
門が開き、俺はつっちーと顔を見合せてから中へ足を踏み入れた。
そして玄関につくと、中年の女性が出てきた。
「坊ちゃんのご友人ですね、どうぞ」
と言って中を指した。
坊ちゃん?え?お母さんじゃないのか?
「あ、いらっしゃい!」
奥から翔太が出てきた。
「翔太…あの、この人は…」
俺がそう言って女性を見ると女性は「わたくし、家政婦をしてとります、中村と申します」と微笑んだ。
言われ、俺たちは静かに会釈。
「俺の部屋こっち」
翔太はそう言うと長い廊下を歩き出した。
「翔太んちって両親なにしてるの」
俺が恐る恐る尋ねる。
翔太は廊下を歩きながら当たり前かのように話す。
「言ってなかったっけ?父さんは有明物産の経営、母さんはその会社の秘書だったかな。俺もよくわかってないんだよね」
翔太はそう言ってハハハと微笑んだ。
「ってことはなに、お前いわゆる御曹司ってやつ?」
つっちーが言うと翔太は「そんな格好の良いものじゃないけどね」と笑った。
「翔太がボンボンだったとは」と俺。
「やめてよ〜。ついたよ、ここ俺の部屋」
翔太は微笑みながら茶色の扉を開けた。
中に入ると思いの外狭い部屋だった。
いや狭いというのには語弊がある。
さっきまでの廊下や玄関を見てから見たから狭く感じているだけで、20畳くらいはあるだろうな。
「俺狭い所が好きなんだよね〜。そこらへん適当に座って」
翔太はそう言って白いソファに腰を下ろした。
俺とつっちーも翔太の斜めにあるソファに座る。
「すげえ…いいなあ金持ち。全然狭くねえだろ」
つっちーは辺りを見渡しながら言った。
「やめてってば〜」と翔太。
「翔太何で俺らと同じ高校通ってんの」
俺は素朴な疑問を問いかける。
「何でってー、うーん。家から近いから?」
「いやそんな近くねえだろ。ってまあ二駅だけど」
「父さんには最初反対されたけどね。でも中学まで私立でさ、高校は普通に過ごしたかったんだよね。成績が落ちたのもあるし」
「科学できないもんな」とつっちー。
「つっちーは全部だけどね」翔太はそう言って微笑む。
「てか!てか!俺のナイスアシスト!褒めてくれないの?二人とも」
翔太が突然言い出す。
「ナイスアシスト?」とつっちー。
「ねえ椋ちゃん?」
翔太に言われ、すぐに茉里のことだとわかった。
こいつは余計なことを…。
「うっせ」と俺。
「え、なになに何か俺の知らない所でなにか進んだわけ?」
つっちーは面白そうにこちらを見る。
「別に何もないって」と俺。
「さては茉里ちゃんだなー?」
「藤井さんだよ」と翔太。
「おいっ」と俺。
「森山さん誘えば来てくれるかなって思ってさ。森山さんは嫌がってたみたいだけど」
翔太はそう言って苦笑した。
「そうだよ何であの女誘うんだよてめえ」
つっちーは不機嫌な口調で翔太にいう。
翔太は少し驚いたような表情で返す。
「え、だってつっちーなんだかんだ言って森山さんと気が合うと思って。頭良いみたいだし、彼女」
「合わねえよ!」とつっちー。
「まあでも頭良いんだし教えてもらうべきだね」
俺がそう言うとつっちーは「俺は椋に教わる!」と宣言。
「だめだよー、俺とつっちーは森山さんから教わるんだよ」
翔太に言われ、つっちーは「なんでだよ!」と突っ込む。
「だって椋ちゃんと藤井さん二人きりで話させたいし。気を遣うとこだよつっちー」
「くうー…そう言われたらしゃーねーな」
二人の会話を聞き、俺は「いや何か俺が藤井のこと好きみたいな流れになってるけどさ」と必死の言い訳をした。
「いやもうバレバレだよ。顔に出てる」と翔太。
「お前すぐ赤くなるもんな」とつっちー。
「まじ!?いや、別に好きとかじゃないから。あいつが頭悪いから教えて〜とか言うから」
※言ってない
「まーとにかく、そんな重く考えないでみたら?わかりやすすぎだよー?」
翔太に言われ、何も言い返す言葉がない。
「てかつっちーは?珍しいよね女の子とあそばないの」
翔太はつっちーの方を見て不思議そうに言った。
「俺の夏休みが懸かってるからには勉強するんだよ。夏休みがなかったら元も子もないだろ?」
「可哀想に」
「うるせ!言っとくけどお前もだからな!」
「俺は今回たまたま赤点とっちゃっただけだから仮に今回の再試がだめでも夏休みは確保されてるよ」
「しねお前」
「日頃の行いだね」
とかなんとか言ってる二人を見ていると携帯が鳴った。
茉里からだった。
控えめに言って死ぬほど嬉しかった。
『三島くん!明日12時でいいんだよね?』
Limeの内容はこうだった。
ただの用事だったが嬉しいものだな。
「なーにニヤニヤしてんだよ」
つっちーはそう言って俺の携帯を覗いた。
「あーおめー、いつ茉里ちゃんとLime交換したんだよ」
「ああ、こないだの花見のとき」
帰り道に交換したのだ。
「まじかよー、何気やるな」
「うっせ」
その時、もう1件Limeがきた。
茉里かと思ったが相手は『佐伯ゆり』だった。
『Lime教えてくれてありがとう!よろしくね』
ゆりからのLimeを見るとつっちーは「…だれ?」と聞いてきた。
すると「俺もきた」と翔太。
翔太が見せてきた画面を見ると『狩屋美砂』と書いてあった。
内容が同じなところ見ると今現在二人は一緒にいて一緒に送ってきたのだろう。
「まってまってなにそれなにそれ!俺知らない!お前ら俺のことハブきすぎじゃね?」
つっちーに言われ、俺が答える。
「昼休み、食堂で話しかけられたんだ。連絡先教えてくれってさ」
「おまえも?」
つっちーはそう言って翔太を見た。
翔太は「うん」と答える。
「え〜…やだやだずるい!」
つっちーは子供のようにムッとした表情を浮かべた。
「ずるいってなんだよ」
俺は呆れたように彼を見た。
「俺だって高2充実したい」とつっちー。
「つっちーは十分モテるくせに〜」と翔太。
「モテるのは当たり前だろ!でも俺のは何か、違う」
「なに違うって」と俺。
「んーなんつーか、俺が本気になる恋愛じゃないっつうか」
「普通に失礼だね」
翔太は苦笑した。
「とか言ってるけど翔太もその美砂とか言う子のこと好きになる予定なのかよ」
「好きになる予定ってなに。んー、俺はこういう始まり方は向かないなあ」
翔太は考えるように答えた。
「始まり方なんてどうでもいいだろ」とつっちー。
「自然に始まるのがなんかいいよね」
「始まりは自分から作らなきゃ始まんねーんだ、仕方ない」
二人の会話をひと通り聞いたあと、俺は「二人とも、恋話するのはいいんだけど、本題」と言ってカバンから教科書を出して二人に見せた。
二人は露骨に嫌そうな表情で「…はい」と俯いた。
- Re: 99%のボクと1%のキミ ( No.8 )
- 日時: 2017/12/29 22:33
- 名前: わたあめ (ID: jBbC/kU.)
勉強を始めて30分。
つっちーは疲れ果て机に突っ伏している。
翔太は問題を解いている。
「いやさ、1番の問題はつっちーなんだけど」
俺はそう言ってつっちーの頭を教科書で叩いた。
つっちーは「痛ってえ!」と言って顔をあげる。
「痛てえよ!」
つっちーは頭をおさえながら俺を見る。
「夏休みなくなるぞ」と俺。
「あああああそれは嫌だ…」
つっちーは今にも泣きそうな顔をしている。
「高2の夏休みとか人生で1番楽しいじゃねえか、なくなるとか…」
つっちーは頭を抱える。
「今日と明日さえ勉強すればその人生で1番楽しい夏休みが待ってるよー」
翔太はペンを置いてつっちーに一言。
「それはわかってる、わかってる…」
つっちーは今にも死ぬんじゃないかみたいな顔をしながら呟く。
「何教科赤点とったら夏休みないの?」
俺がそう聞くと、つっちーは「教科っていうか...科学と数学と社会」と力なく呟いた。
「いやバカか。だったらその3教科重点的にやろう。3教科くらい楽勝だよ」
「楽勝じゃねえ!俺からすればそんなの…」
「ま、嘆いたって仕方ないしやりなよ」と翔太は微笑みながら言った。
「翔太はいいよなあ、1教科だけ…」
つっちーは口を尖らせて言う。
「今まで勉強してこないからだよつっちーは」
「だって中学までは勉強しなくてもどうにかなったからつい」
「高校受験は?」と俺。
「この学校たいして勉強しなくたって入れただろ」
そうだったのか。
「まあ確かにね〜」と翔太。
その時、ピロンと携帯がなる。
俺のだ。
藤井?
携帯を見た瞬間、俺はあからさまに笑顔を消した。
期待通りの藤井ではなく、今度は唯からだった。
『お兄ちゃんさっきサワムラさんって人から電話来たよ!』
という内容だった。
沢村類のことだろうか。
「藤井さん?」と翔太。
「いや、妹」
俺はそう答えながら携帯をいじる。
「えっ椋って妹いたの?」
つっちーは過剰に反応する。
俺は目を細めてつっちーをみる。
「ばか、手出したりしねえよ」
俺の言いたいことを察したのか先に言ってきた。
「ならよろし」と俺。
「でも顔見てみたい、写真とかないの?」
翔太はそう言って携帯を覗いてきた。
俺は「どうだろ」と言って唯のLimeの画像を拡大した。
画像には唯と唯の彼氏であろう男が楽しそうに映っていた。
「なんだよ、男いんのか」とつっちー。
「可愛いね、妹さん」と翔太。
「男いなかったらどうするつもりだったんだよ」
俺はそう言ってつっちーを見た。
「名前なんて言うの?」
翔太はそう言いながら再びペンを持つ。
「唯。可愛いだろ」
俺がそういうとつっちーは「シスコンかよ」と引いた目をする。
「ちげえよ」と俺。
と、本題は唯のことではない。
類は一体なんの用だろうか。
『なんて?』と返しておいた。
するとすぐに『連絡先教えて欲しいってさ!』と来た。
さすが女子高生。打つのが早いのなんの。
『今度病院に行くよ』と返信した。
「唯に手出すなよ」
俺は携帯を見るつっちーに言った。
つっちーは「出さねえよ!」と答える。
と、こんなくだらない話をしているうちに金曜日は終わってしまった。
何も進歩はない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おはよう」
翌日、俺が目を覚ますとこちらを覗きこんでいる茉里がいた。
え、え、え!
俺はガバっと起き上がり、驚いた表情で茉里を見る。
茉里は「髪の毛ごしゃごしゃ」と微笑みながら俺を見た。
言われ、俺は頭を触る。
辺りを見渡すと、奥の部屋で寝ていた俺の隣には腹を出して寝ているつっちーの姿。
ソファの辺りを見ると翔太と芽以の姿。
そして目の前には茉里の姿。
うわあ、私服もかわいいとか思っちゃう。
白いブラウスの上にピンク色のカーディガンを羽織り、ミニスカートを履いている。
細くて白い手足が映えているではないか。
「おはよう三島くん。起こしちゃった?」
茉里はそう言って微笑んだ。
朝から天使だ。
「お、おはよう。いつ来たの?」
俺はそう言いながら立ち上がり、翔太たちの方へ。
茉里も俺のあとをついてきながら「1時間くらい前かなあ」と答える。
現在時刻は午前10:00。
こいつら何時起きだ。
「翔太ー、起こしてよ」
俺は茉里に寝顔を見られたことと最悪の寝相を見られた出来事に関して不機嫌な表情で言う。
翔太は微笑みながら「気持ちよさそうに寝てたから」と答える。
「しねおまえ」と俺。
「つっちーは?起こさなくていの?」
俺がソファに座ってそう言うと、芽以が「いいよあいつうざいから起こさないで永遠に」と言う。
「は、はい」と俺。
「森山さんどうしてそんなにつっちーのこと嫌いなの?あ、嫌いではないか」
翔太がそう言うと、芽以は「嫌いだよ!」と言ってから続ける。
「ああいういわゆるチャラい奴が嫌いなの、あたしは」
「まあそういう子はいるよね」と俺。
「あ、でも土屋くん面白いよね」
茉里が言うと芽以は「えー茉里…」と口を尖らせた。
すると噂をすればつっちーが目を覚ました。
「…あれ、みんな来てたの…」
つっちーはそう言って、あくびをしながら起きてきた。
「げ、起きたの」と芽以。
つっちーは「お、バカ女、おはよー」と言いながら芽以の隣に座り、芽以の肩に腕を回す。
芽以はつっちーの腕を振り払い、「朝からきもいんだよ、てかバカなのはお前」と言い放つ。
「んだよ、寝起きの俺の顔見れるとか最高じゃん?」
つっちーは相変わらずナルシスト全開に言う。
「じゃみんな起きたことだし、勉強はじめよっか」
翔太がそう言い、俺とつっちーが「えー!」と叫ぶ。
「まった!俺らまだ起きたばっかだぞ!風呂、行ってきます」
つっちーはそう言いながら敬礼すると部屋から出ていく。
俺も敬礼するとつっちーに続いた。
廊下を歩きながらつっちーはあくびをしながら言う。
「朝っぱらから勉強とか死んじまうよな」
「いや、俺は別に勉強する必要ないんだけど」
俺がそう言うと、つっちーはムッとした表情で「んだよ頭良いからって」と言う。
「事実だろーが、バカ」と俺。
「うっせ!お前は茉里ちゃんが来てウハウハだろうけどよ」
「別にウハウハしてねえよ」
「してんだよ。起きた時顔真っ赤だったぜ」
「俺起きたときつっちー隣で爆睡してたでしょ」
「さー風呂入ろうぜー」
風呂場につき、つっちーは服を脱ぎ始める。
翔太の家の風呂はまるで銭湯のように広い。
体を洗うとつっちーと共に湯船に入る。
2人入ってもかなりの広さ。
あと20人には入れそうだ。
「ふあーっ、気持ちいいー」
つっちーはそう言って微笑んだ。
「毎日こんな風呂入ってんだな、翔太って」と俺。
「かー、羨ましい。俺んちなんかめっちゃ狭いのに」
「俺んちだって全然狭いよ」
「次は椋の家だなー」
「唯がいない日なら来てもいいよ」
「はっ、なんでだよ!狙わねーってば!」
つっちーは俺の方を見て焦り気味に言う。
どんだけ唯が気に入ったんだか。
「ならいなくてもいいでしょ」
「別に狙ってるとかじゃねーけど唯ちゃんってどんな子?」
狙ってるだろ。
言われ、俺は少し考え込みながら答える。
「うーん、唯は…明るくて、優しくて、たまに意地悪で、バカで、可愛い?」
答えると、つっちーは「やっぱシスコンだなお前」と笑う。
「シスコンじゃねえよ。ただ、俺はやっぱりここ数ヶ月の唯しか知らないから、本当は俺の知らない唯がいるんだと思う。唯からしたら、俺は他人みたいなもんだからさ」
俺に記憶があった時の唯のことは何もわからない。
今は病み上がりの俺に気を遣って明るく振舞ったり、優しくしてくれたり、話しやすくしてくれているだけで、本当は無口な妹だったのかも知れない。
今でこそ唯とは仲良くやっているが、以前は一体どんな感じだったのだろうか。
「そっかあー。でも俺は、お前が手術受けて性格変わってなくても、仲良くなってたと思うぜ」
つっちーに言われ、つい微笑みが零れた。
「どうだか。前の俺はきっと、暗くて友達がいなくて、周りからは空気みたいに思われてたんじゃないかな」
俺がそう言うと、つっちーは微笑んで言う。
「そうか?お前を見てて、話しかけてくるやつがいたりしてるし、きっと周りの評価は悪くなかったと思うぜ。たまたま俺や翔太と出会ってなかっただけで、去年出会っててもこうして仲良くなってたって思うけど」
「そうかな。だったら嬉しいんだけどね。けど、今の俺がいていいのかなって時々思う」
「なんでだよ?」
「藤井のこと好きだったのは前の俺なんだよ。今の俺は前の俺に左右されてるだけの人形。なのに藤井と話したり、藤井に触れたりできるのは今の俺。俺はただの【心臓】なのに。三島椋は俺が乗っ取ったみたいなもんだよ」
そう言うと、つっちーは「うーん」と考え込むようにしてから顔をあげた。
「俺バカだから難しいことはわかんねえけどさ、今の椋と茉里ちゃんが神社で出会ったのは偶然じゃなくて、必然だったんだよ。前の椋が、今の椋と茉里ちゃんを引き合わせた。それが前の椋の願いだったんじゃねえかな…とか思う」
「そう…なのかな…」
「俺や翔太を引き合わせたのも、椋自身かも知れないぜ。それが運命だろ?お前はただの【心臓】なんかじゃねえ。お前は【三島椋】だろ」
言われ、俺が「…うん」と言うと、つっちーは「え、まって?」と言って俺をみた。
「え、なに」
俺がそう言うと、つっちーは「俺今めっちゃ恥ずかしいこと言ったくね?」と真顔で言う。
つっちーをみて、俺はふっと吹き出した。
「確かに。まともな人間みたいなこと言ってた」
「なんだよそれ!いつもまともだわ俺は」
つっちーと出会えたこと、こうして隣にいることは必然だったと考えることにしよう。
とか、ロマンチックに話をきれいにまとめてみる。