複雑・ファジー小説
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- 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1
- 日時: 2018/01/14 14:58
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
- 参照: .
昨日、夕焼けが魅入るほど綺麗だった。
今日、風が涼しくて町を散歩した。
明日、学校で部活をする。
明後日、どこで何をしよう。
一週間後、大切な人が死んでしまうかもしれない。
一ヶ月後、私は死んでしまうかもしれない。
一年後、世界は滅びるかもしれない。
いつか、また世界は生まれ変わるかもしれない。
あなたは自分の命と世界、どちらを選びますか?
自分の命?世界が滅んでしまっても良いんですか?
世界?あなたの命が尽きてしまっても良いんですか?
どちらを選んでもバッドエンドが待っている。
でも、ただひとつだけ分かることがある。
それはどんな物語にも有りそうなこと。
それは。
──どんなときだって独りじゃないってこと。
……ほら、もう一度戦うんだ。
全ては世界ノ存亡の為ニ。
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.3 )
- 日時: 2018/01/16 19:28
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
- 参照: .
昨日見た夕焼けが忘れられなくて、
教室でずっと絵を描いていた。
でも思った通りの紅黄色が出せなくて、
少し気が沈んでしまう。
色鉛筆でもコピックでも無理だ。
きっと、まだ表せないほど綺麗だったんだ。
結局、あのメールの正体はわからなくて、
決断とやらも出来ていない。
でも、あの夕焼けとメールは関係ある。
証拠なんて何処にもないけれど。
グダクダな一日が今までよりも早く感じた。
暖かい教室も段々と涼しくなってきて、
やがてまた昨日と同じ夕方がやってきた。
昨日勝手に自分で予報した雨は今も降らず、
ただ蛙の鳴き声が蝉と掛け合っているだけだ。
誰も居ない教室がこんなに寂しく感じるのは、きっと気のせい。
甘い飴を舌の上で転がした時のように、
甘い匂いが私を包んだ。
何の匂いなのかよくわからない。
そしてカーテンが風で揺れ、赤い光が
教室の中に差し込んだ時。
「待って、君はまだやるべき事を──。」
女の子が誰かを呼び止める声がした。
でも辺りは暗闇で、何も見えない。
やるべき事って、何だろう。
まだ頭の中で女の子の声がリピートされている。
誰に向けて言っているんだろう。
……私?
「──諦めないでまた、何処かで逢おう。」
何を諦めないで逢うのか。
……そんな事、今の私には分かりゃしなかった。
また昨日のように、いつのまにか帰ってきていた。
結局謎が深まるばかりで、頭が痛くなりそうだ。
窓に映った紅い目、暗い蒼色の太ももまであるストレートヘア。
茶カーディガンに黒スカート姿は考えるまでも無く私だ。
まるで時空が歪んだような体験だった。
いつの間にか自分が他の場所に居て、
それは数分で終わってしまう。
その体験ができるのは夕方。
もしかしたら、明日も?
そんなことを考えながら、学校を出た。
やがて空は黒くなってきた。
雲が空を覆ったのだ。
暫くして雨が降ってくる。
私はカバンが濡れないように、
古家の屋根の下へ入った。
『ザー……』
ノイズの様な雨音。
蛙の鳴き声が何処かから聞こえてくる。
「ヤッバ……何で雨なんか降ってくんの……。」
近づいてきた誰かの独り言。
駆け足で隣まで来た様だ。
横目でそれを見ると他校の男子学生らしかった。
「…………あ、こんにちは……。」
初めに挨拶をしたのは向こうからだった。
「こん、にちは。」
あまり人と話しなれていないせいか、
少し冷たい印象を与えてしまったのではないだろうか。
少し、不安になる。
相手は青い目をしていて、黒髪だった。
少し髪が跳ねている。
でも少し雨に濡れてしまったようで、
髪先からは雫が滴っていた。
…………風邪、引かないのだろうか。
数分、そこには沈黙が流れた。
でも、それを破ったのはやはり向こうだった。
「……何校の生徒?俺静弥高校だよ。」
「……私は蔦ヶ丘高校。……風邪、大丈夫?」
私は普通に高校を答え、向こうに風邪引かないか聞いた。
すると向こうは少し恥ずかしそうに
「そうなんだ。……え?お、おう……大丈夫。」
と笑った。それから話は絶えず
「……名前は?……あ、俺は蓮ノ宮翔(ハスノミヤ_ショウ)。」
名前を聞かれて、慌てて
「私は……焼瑞稀零藍(ヤイミズキ_レイラ)。」
と焦りを隠しながら言った。
「ふーん……。にしても雨、止まないな。」
「そうだね。」
初対面にしてタメ口、私にしては珍しい。
しかも他校の生徒に。
……相手は携帯を取り出し、その画面をじっと見ている。
そして。
「……あのさ、初対面にこんな事聞くのもアレだけど……
零藍って、自分の命と世界、どちらを選ぶか聞かれたらどっちにする?」
昨日散々頭に浮かんだ言葉が相手の口から出た。
この人も、あのメールを……?
「……それは……分かんないけど、
でもどちらを選ぶか決めろってメール来た……よ。」
とりあえず、そう返しておく。
そしたら相手は私を見てこう言った。
「……俺も。それが届いてから変な事が起きるんだ。
……例えば、夕方にいつの間にか一時的に他の場所へ
瞬間移動してる、とかさ。…………信じないか。」
最後の言葉だけ、諦めかかったような声音だった。
分かるよ、だって私もだから。
「…………私、も。同じ事が起きる。」
相手の言っていることは私の考えている事と
完全に当てはまっていた。
何だろう、どんどんパズルが出来上がっていく……そんな感じがする。
「…………怖いんだ。本当に世界が滅んだらって。でも自分が死ぬのも怖いんだ。なぁ、お前は…………」
相手の声が震えている。
そりゃそうだ、世界が滅ぶのと自分の命が尽きるの、どっちを選ぶかなんて無理難題なのだ。
「…………怖いよ。でもね、まだ時間は少しだけでも残ってる筈。まだどうにか出来るよ、きっと。」
私は時間がある筈なんて根拠もない事を言うと、空を見上げた。
もう、晴れている。
「……そうか。……あっあのさ!」
「……何?」
何かを思いついたかのような顔を相手がした。
「…………また、明日……此処で会おう。」
「……うん。」
それだけ言って、相手は行ってしまった。
蓮ノ宮翔……覚えておこう。
きっと、これから何かいい事がある……
そんな気がしたんだ。
▼アト??日??時間??分??秒▼
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.4 )
- 日時: 2018/01/20 16:22
- 名前: 咲葵 (ID: CPXaMj9a)
一昨日から変な事ばかり起きる。
それは変なメールだったり、瞬間移動だったり、
又は偶然の出会いだったりする。
でもこのまま私が何も行動を起こさなければ、
いつかメールの通りに世界は滅ぶのかもしれない。
でも逆に、私が何か行動を起こせば世界は滅ばずに済むのかもしれない。
もっと深いことを言えば、全て仕組まれているのかもしれない。
翔君だって、私だって。
もしかしたら他にもメールを受け取っている人達がいるかもしれない。
そう考えると、頭が痛くなってきそうだ。
そんな空想に浸っていた放課後、昨日のあの場所。
「おーい。」
遠くからまた昨日の声が近づいてきた。
「……こんにちは。」
私は微笑んで、そう挨拶する。
「……今日は、さ。
……紹介したい奴らが居るんだよ。
そいつらも俺らと同じで、メール受け取ってんの。
……歳も近いし丁度いいだろ。
そいつらが居るのは蔦ヶ丘広場なんだけど、行く?」
携帯を弄るのをやめて、私を見るとそう相手は聞いた。
「うん。もしかしたら……、
他にも情報持ってるかもだし。」
そう答えた私に、相手は
「じゃ、行くか。」
と歩き出した。私もそれについていく。
きっと、歳も近いと言うことは学生なのだ。
いい人達だと、良いけれど。
「ね、ねぇ。」
「ん?」
私に背を向け、歩く相手に話しかけた。
「その……どんな所に瞬間移動したりするの?」
と。
「そうだな……、
夕焼けが見える場所が多かった。
あと、知らない女の子が居た。」
「知らない、女の子?」
「そうそう。俺らくらいでさ、可愛かったな。
紅目で、黒髪の……そう、お前と同じ色の目だよ。」
「ふーん……。」
その子がすべての鍵を握っているのだろうか。
話が進んでいくうちに、目的地へあっという間に着いた。
「着いたなー。おーい、蓮弥!連れてきたぞー!
それと、花桜李も!二人とも来い!」
翔君は広場の中へ入り、
その中の人達の名前を呼んで駆け寄った。
男の人と女の人だ。確かに若い。
「……初めまして、凪丘蓮弥(ナギオカ_レンヤ)です。
静弥高校二年です。
……その、宜しく。」
男の人の方は、翡翠色の目に黒い髪だ。
美形、と言うべきなのか、顔立ちが整っている。
「私は都桜花桜李(トザクラ_カオリ)。
まぁ宜しく、ね。くれぐれも皆の邪魔しないでよ。あ、静弥高校二年だから。」
女の人の方は、黒目に朱色の巻き髪だ。
肩までの長さで、吊目。
黒いブレザー黒スカートで制服姿。
「私は焼瑞稀零藍。……蔦ヶ丘高校二年。宜しくね。」
こちらも二人に挨拶をする。
どうやら私以外静弥高校らしい。
「あー……っと、終わったな自己紹介。
これは一応メールを受け取ったメンバーだ。
あのメールが届いて以来、俺らには
変な現象が起きるようになった。
もし、あのメールが本当だとしたら?
俺らには何が出来るんだろうな。
今からそれを話し合う。」
翔君が状況説明をしてくれた。
「滅びる訳ないじゃん。」
花桜李ちゃんがそう口を挟んだ。
「……そう言いきれるのか。」
蓮弥君がそれを呆れたように返した。
二人は前から知り合いだったのかな。いや、三人とも?
「……ま、とりあえず……作戦会議やろう。」
翔君が二人に言った。
それを聞いて二人はやっと我に返り、
話を聞く気になったようだ。
「……じゃ、まず初めに───。」
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.5 )
- 日時: 2018/01/16 22:28
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
「・・・・・・じゃ、まず初めに・・・・・・
皆はどんな所に瞬間移動するようになった?
俺は────。」
翔君から順に皆で一時的に瞬間移動する場所を
言い合っていった。それを私はメモしていく。
────────────
私
・夕焼けのよく見える学校の何処かのベランダ
・分からない暗闇
暗闇では女の子の声がした
翔君
・夕焼けがよく見える海岸
・人が居らず蔦だらけになってしまった静弥町
静弥町では紅目に黒髪の女の子が居た
蓮弥君
・夕焼けがよく見える草原
・覚えていない
何故か二回目の記憶が消えている
花桜李ちゃん
・夕焼けがよく見える鉄格子の部屋
・誰かが泣き叫んでいたが、私とは逆で辺りが真っ白で見えなかった。女の子の声だった。
──────────
ざっとまとめてみた。
皆一回目は夕焼けが見えたらしい。
しかし二回目はその場所が何を
意味しているかわからない。
すると蓮弥君がこう言った。
「・・・・・・まだ今日はあの現象起きてませんね。」
と。
私達は「そういえば」と答える。
もう昨日と一昨日の瞬間移動時間を
過ぎてしまっている。
・・・・・・その時、あの音がその場に鳴り響いた。
『リリ、リリン』
「メール・・・・・・。」
どうやら皆にも届いたようで、
それぞれの着信音が鳴った。
≪どうも皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
世界の終わりが来るなんて、
まるで信じてもいなかったりして?
・・・・・・信じてくださいな、
だって私はあなた方の_味方_なんですから。
証拠?勿論ありますよ。
だってあなた方は『一時的空間移動』に
遭っているじゃないですか。
ほらほら、のんびりしてないで
もう少し緊張感を持ちましょうよ。
ところで決断はしましたか?
世界を裏切るのか、世界を救うのか。
決断はお早めに。
全てハ神が廻した歯車ノ通りニ。≫
「・・・・・・何が味方だよ、ふざけんな。」
その文章を見るなり翔君は拳を強く握った。
蓮弥君は無表情だ。何かを考えている?
花桜李ちゃんは今にも泣きそうなのを
堪えて目を閉じている。
・・・・・・世界を救うと言っても、
私達は何をすればいいのかな。
きっと『一時的空間移動』とは
あの瞬間移動の事だと思う。
世界が終わる事でその前兆として
時空が歪んでいる・・・・・・?
もう一つは最後の文字化けしかけている
あの一文。神とは誰の事?歯車って何?
謎は深まるばかりだ。
「明日、また此処で会おう。
本会議はそこからだよ。」
私は三人にそう声を掛ける。
青ざめた三つの顔は、私を見た。
「・・・・・・そうだな。」
「そうしますか。」
「私少し疲れたし、そうしよ。」
と。
そして四人は自宅へと別れる。
明日が絶対あるかなんて、
そんなの証明できはしないけれど。
でも、それでも前に進まないと。
出来たばかりの大切な友達を護る為に。
▼アト??日??時間??分??秒▼
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.6 )
- 日時: 2018/01/16 23:20
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
また昨日と同じ夕方がやってきた。
あの広場へ、足を前へ前へと進めていく。
既に広場のベンチでは翔君と花桜李ちゃんが
座って話をしていた。
「……あっ零藍ちゃん。……全く、零藍ちゃんは
まだ良しとして蓮弥は遅過ぎ。
まだ来てないんだよ?何してるのかな……。」
開口一番、花桜李ちゃんはそんな
文句を言いつけてきた。
「ま、まぁ、蓮弥君もしなきゃいけない事が
あったんじゃないかな?」
私がそう花桜李ちゃんを宥め、
それを翔君がぽかんと見ていた。
『リリ、リリン』
またあのメールだ、
私は携帯を鞄から取り出した。
≪終末ライフはいかがお過ごしでしょうか。
今、あなた達のお友達が危ないんです。
完全に世界が崩れてきている。
時空が歪みすぎて、
お友達が空間移動したまま
帰ってこられません。
……どうしましょうか?
私はただ見ているだけの身、
なーんにもお助けはできません。
困りましたねぇ、
あなた達には何もできませんもの。
見てて愉快ですよ。
さぁさぁ、どうします?
こうしてる間にも
時間は過ぎていきますよ?
……さぁ、ご決断をどうぞ。
残酷な運命ハ美しイ。≫
「…………ッ!」
私は、自分が何も出来ないのに
腹が立って、携帯を握り締めた。
「お、おい、どうしたんだよ。」
翔君が私を心配した顔で見ている。
あれ?二人には届いていないの?
「……これ。」
私は静かにメール画面を二人に向けた。
「……はぁ!?れ、蓮弥が
危ない目に…………!?
……そんなのどうしようもないじゃない!」
「…………クソッ!」
二人も深刻な表情で俯いた。
……私に、出来ること。
「………………。」
私は頭の中の全ての考えを
蓮弥君を助ける方法と繋ぎ合わせた。
でも、それらはまるでパズルの様に
当てはまらない。
そもそも蓮弥君がどこへ
空間移動してしまったのか。
私はメモを鬼の様な鋭い目付きで読み直していった。
「…………わから、ない。」
助ける方法なんて、
そこにあるはずが無い。
誰かの掌で踊らされているような感じがする。
「……もうすぐで、あの時間だ。」
私は翔君のその言葉にハッとして携帯の時計を見る。
丁度夕焼けが一番綺麗に見える時間だ。
私は、ひたすら祈る。
蓮弥君の居る場所に連れていって、と。
目を閉じて、風を感じながら。
大丈夫、今なら本当に行ける気がする。
目を閉じ、視界を遮断すること僅か数秒。
目を開けるとそこは人気のない静弥町だった。
建物はヒビが入り、蔦で覆われている。
「……蓮弥君!何処にいるの!?」
私は大声で叫んだ。
「……君は、誰?」
私の後ろであの暗闇の中での声がした。
「…………!」
私は振り返り、一歩半足を退く。
相手は、翔君の言っていたような
紅い目、黒い髪をした私よりも
何cmか身長が小さい女の子だ。
「……ごめんね、驚かせちゃったかな。」
私は声が出せずただ女の子を見つめている。
「…………私はね、
雨百合夢(アマユリ_ユメ)。君は?」
その自己紹介に、
私は考える間もなく
「……私は、焼瑞稀零藍(ヤイミズキ_レイラ)。」
と声を振り絞った。
本当にこんな所に蓮弥君が居るのだろうか。
「…………ねぇ、君は外から来た人なの?」
夢ちゃんは私にそう問う。
「…………それは…………。」
私はなんと答えようか迷った。
空間移動してきた、なんて言っても
夢ちゃんは信じないだろう。
しかし、私が答えを出す前に
相手が先に口を開いた。
「きっと、外からの人だよね。
此処はもう私以外誰も居ないの。」
夢ちゃんの言葉に私は少し驚いた。
もしかして、いや気付くのが遅いけど
翔君の言ってた女の子がこの子で、
私は今世界が終わってしまった後の
静弥町へ来ているんじゃないか。
「……どうしたの、零藍ちゃん。」
夢ちゃんは私に問い掛ける。
「……う、ううん。
でも……ここで何かあったの?
例えば……世界が滅びて
人類は殆どいなくなった、とか。」
私は試しに聞いてみる。
「……ええと、
多分この街の外は大丈夫だと思う。」
……?どういう事だ?
静弥町は滅びて他の地域は無事?
世界が滅びたんじゃないのか?
いや、そもそも世界が滅びたら
全部跡形もなく消えてしまうか。
私の頭は混乱してきた。
すると段々視界がぼやけてくる。
まだ、聞きたいこと
たくさんあったのにな。
私は瞬きを一つした。
「どう、して?」
私はその状況が上手く飲み込めず
ただひたすら目を擦った。
それでもその光景は変わらず
私はやっとこれが現実であると認識した。
そう、そこは完全に雲の上、
居酒屋や焼肉屋などの飲食店が立ち並ぶ
変な場所だったのだ。
そこから出てくる人は老若男女問わず、
ただ幸せそうな顔をしている。
そこも夕暮時で、
赤い光がそこを照らしている。
向こうの柵まで行くと、
陽の上半分が見えた。
風が強く、暖かい。
「…………。」
下を見ると、それは
階段状に層になっていて、
ここが最上層らしい。
下も変わらず飲食店ばかりだ。
しかし、勿論のこと地面は見えず
雲に隠れていた。
こんな場所があるなんて、知らなかった。
私はただそう思い続けながら目を閉じた。
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.7 )
- 日時: 2018/01/17 22:11
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
- 参照: .
数秒経ち、目を開ける。
「…………ふう。あ、お前らも帰ってきたのか。」
翔君がほぼ同時に目を開け、私達に話しかける。
横には花桜李ちゃんも居た。
「…………でも、蓮弥はまだ……」
「…………ッ……アイツは、
絶対に俺らで助け出す。
……だって仲間だろ。」
翔君の言葉に、私達は頷いた。
そうだ、私達は仲間だ。
だから、蓮弥君は絶対に助け出してみせる。
『リリ、リリン』
またメール受信音が鳴った。
≪さて、皆さん空間移動はいかがでしたか?
それに、蓮弥君を助け出す以外にも
しなきゃいけない事はあります。
明日から夏休みですよね?
ほら、世界を救う為に何かするべきでしょう。
え?何をするべきか?
そんな事、言うわけないじゃないですか。
ほら、前を向いて進みなさい。
先にある『未知』へと。
世界の最期、そこニあるノは希望カ絶望カ。≫
「その何か、を考えないとね。」
私は画面を見つめながらそう呟いた。
「……たくっ、いつもいつも
謎ばかり残していきやがる。」
みんな疲れてしまっているようだ。
まぁ明日から夏休みだ、
そこから少しずつ考えれば良い。
私達は明日の午後一時に
広場で集合と約束し、
家へと別れてった。
蓮弥君は、何処へ行ったんだろう。
▼アト?日??時間??秒▼