複雑・ファジー小説
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- 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1
- 日時: 2018/01/14 14:58
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
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昨日、夕焼けが魅入るほど綺麗だった。
今日、風が涼しくて町を散歩した。
明日、学校で部活をする。
明後日、どこで何をしよう。
一週間後、大切な人が死んでしまうかもしれない。
一ヶ月後、私は死んでしまうかもしれない。
一年後、世界は滅びるかもしれない。
いつか、また世界は生まれ変わるかもしれない。
あなたは自分の命と世界、どちらを選びますか?
自分の命?世界が滅んでしまっても良いんですか?
世界?あなたの命が尽きてしまっても良いんですか?
どちらを選んでもバッドエンドが待っている。
でも、ただひとつだけ分かることがある。
それはどんな物語にも有りそうなこと。
それは。
──どんなときだって独りじゃないってこと。
……ほら、もう一度戦うんだ。
全ては世界ノ存亡の為ニ。
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.1 )
- 日時: 2018/01/14 16:22
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
- 参照: .
第1章〈青天、地に降りしきる蒼空の涙〉
陽が西に傾き、蝉が鳴き合っている八月の上旬。
相変わらず教室の中は賑やかで、
それを静めようとする教師の声など
生徒には届きもしなかった。
やがてその時間さえも苦痛になり、
声がやっと静まった時の
「この教室が静かになるまで十分かかりました。」
という教師の言葉さえ頭の中に痛く響き残る。
どうせ今日はもう授業がない。
騒いでいた生徒らが怒られ終わる前に
私は帰ることが出来るだろう。
そう、安堵のため息をついた。
やがてチャイムが鳴って、
殆どの学生が席を立ち帰り出す頃。
私はいつも通り誰よりも先に帰路に着いた。
夕焼けが彼方へ沈んでいくのを魅入ったのは、
きっと一度二度所ではない。
小学生の時から今までずっと、
夏の季節は夕焼けに見とれていた。
……いつか、そんな暇もなくなって
私も下を向いて歩くようになってしまうのかな。
そんな私の不安なんて知りもせず夜がやってくる。
蝉の鳴き声に蛙の鳴き声が混ざり始めた。
明日は、きっと雨。
そう、また歩き始めた時だった。
『リリン、リリリン』
まさかのメール着信音が鞄の中から聞こえた。
急いでそれを取り出し、画面に目を向けると。
そこには
≪あなたは自分の命と世界、どちらを選びますか?
自分の命?それとも世界の存亡?
もうあまり時間が無いんです、決断はお早めに!≫
と差出人不明の文章が記されていた。
「…………?」
意味がよくわからない。
当然だ、急に自分の命と世界どっちか
選べと言われたら返事に困ってしまう。
でも、一体誰がこんなメールを送ってきたのだろう。
ただの悪戯だといいのだが。
- Re: 謳歌する世界ノ最期、戦ふ子供ら涙ヲ拭え。1 ( No.2 )
- 日時: 2018/01/14 16:41
- 名前: 咲葵 (ID: floOW.c4)
- 参照: .
その時。
涼しく優しい風が一つ吹いた。
瞬きひとつ、そこは夕焼けが良く見える
何処かのベランダだった。
否、学校の最上階のベランダだった。
誰も居ない、赤い光で染まった不思議な場所。
どうしてここにいるかも忘れて、
ただ夕焼けに見とれていた。
しかし、ふと携帯に目を落とすと
もうそこはさっきの道だった。
幻覚だったのかもしれない。
でも、やけにリアルな体験だった。
今までのどんな夕焼けよりも、
綺麗だったような、そんな気がした。
まるで世界が今すぐ死んでしまう事を
神様が惜しんでいるように。
今日は帰ったら日記にこの事を書こう、
そう私はまた歩き出した。
▼アト??日??時間??分?秒▼