複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

世界は残酷で優しい
日時: 2018/04/11 19:23
名前: アイカ・マーブル ◆85qvGhCCNc (ID: rBo/LDwv)

 いつからだろうか。息苦しさを覚えたのは。

 いつからだろうか。煩わしく感じるようになったのは。

 秩序を守るためには、確かにルールが必要だ。

 だが、そのルールが縛りとなった。

 十人十色と、いっただろうか。確かに、人其々の考えはあるだろう。それは、分かる。

 だが、それは決して自由にしていいわけではない。自分に自分の考えがあるように、また相手にも相手の考えがある。

 人は、所詮は自分が一番可愛い。それは、否定しない。かくいう、私もそうである。

 相手への尊重のハズが、いつからか自分の自由になっていった。

 息苦しい。人一人違うと言いながら、人は人を人括りにみる。

 そして、その勝手な考えで縛りが増えていく。自由と尊重は違うと叫びたい。

 所詮は夢物語だった。私の考えは。

 夢物語のハズだった。私の考えは。叶うことのない夢だった。

 平凡、平穏に過ごしたいと、ある人が言った。だが、言いたい。平凡とは、平穏とはなんだろうか。と。

 十人十色。人それぞれ考えが違い、尊重を自由と履き違える馬鹿がいる世の中で、それは何になるのだろうと。

 だとしたら、私は思ったのだ。思うのだ。

 ここではない何処かに行きたいと。生きたいと。

 

 








ーーーーーーそして、叶うはずのない願いは叶えられた。紛れもない、馬鹿共によって 

 「ようこそ、歓迎しよう。勇者たちよ」








          to be continue ?





◆◇◆◇◆◇◆◇

*注意事項 (御手数ですが、はじめにお読みください)
 >>1

*世界観、用語等の設定 (随時、更新予定)
 「用語等」 >>5.>>11-12.>>14-15

*登場人物
 「第一部、登場人物等ーネタバレあり」 >>

*目次
 >>2

*注意事項2 (本作の構成等、プロローグお読み後、推奨)
 >>4






Re: 世界は残酷で優しい ( No.16 )
日時: 2018/04/09 17:13
名前: アイカ・マーブル ◆85qvGhCCNc (ID: 9yNBfouf)

 彼等を見送る時、私は己の無力さを痛感する。

 私は軍医である。負傷した彼等を治療するのが仕事である。そこに、私事を入れてはいけない。私は医者であると同時に軍人であるからだ。

 ただ淡々と彼等を治療していく。しかし、時に考えてはいけない問いかけをしてしまう。

 治したところで、また死地へと向かわせてよいのかと。一度、生き残れたとはいえ、次も生き残れるとは限らない。

 ありがとう。そう礼を言われても、次に会えるとは限らない。

 私は——我々は軍人である。上の命令は絶対である。

 上が死ねと言えば、喜んで死ななければならない。

 果たして、それで良いのかと。いや、良いのだと言い聞かせ働く。また死地へ旅立つと分かっていても、私を含めた軍医は治療しないという選択肢は存在しない。ただ、死ぬな死ぬなと呼び掛け治療を行うのだ。




◆◇◆◇◆◇




 この世は理不尽出てきている。

 あの戦いで、生存者はいなかった。いや、間に合わなかったのだ。

 彼等は、何かに怯えていた。

 はたして、何に……?













     ————ある軍医の日記より(日記は最後まで書かれず終わっている

Re: 世界は残酷で優しい ( No.17 )
日時: 2018/04/11 23:34
名前: アイカ・マーブル ◆85qvGhCCNc (ID: kXLxxwrM)

 Cardという組織を書くにあたって、必要な情報は何か。それは、全てだろう。情報がないということは、あるということだ。情報がないのも、立派な情報であるといえよう。

 少なくとも、いくつかの国は意図的に情報を規制しているのは間違いない。それが疚しいことなのか、あるいは契約なのかは分からないが。

 もっとも、面倒事を頼んできた旧知の彼は

 (Cardを知りたいわけではなく、広めたいようだが)

 Cardを知りたいなら、秘密裏に調べろで事足りるであろう。だが、あえて本という————物語を書けと選んだ意図は何か。

 (民衆に大々的に広めたい)

 いや、そうすることで起こるであろう事を目指しているのかもしれない。

 そこまで考え、ふと足を止めた。真っ先に浮かんだ感情は煩わしさと後悔である。主従の契約を結んでいる彼を、贅沢に連絡鳩代わりにしなければ、わざわざ相手にしなくてすんだものをという感情だった。

 自分の空間に人が——異物が入る不愉快な気分がした。それだけなら、まだ気にせずにいられた。だが、明らかに後をつけられていた。ましてや、

 (実力が中途半端な奴ほど)

 ————煩わしい。

 隠しきれていない気配に、ため息を吐く。自分の存在を気付かれていないと、考えているのだろうか。だとしたら、ひどく

 (バカにしている)

 少なくとも、気配がわかる時点で三流以下である。少しお話をしたところで、たいして実のある話はできない。それは、経験から判断できた。

 だからこそ、腰に付けていた銃を二挺取り出した。一つは、杖としての役割を持ち、もう一つは魔道具である。昔から私と一緒に過ごしている相棒たちだ。

 上に銃口(杖)を向ける。私は魔力を込め——二度、魔法を放った。

 普通では、あり得ない速度で周囲に結界が張られていく。そして、結界が張り終わると同時に、魔力の電磁波が広がった。

 私は、あえて後ろに振り返り、きちんと彼等の瞳を見つめた後に口パクをした。

 「—・—・—・—・—」

 驚きに目を見張る彼等を見つめる。なんだ

 (多少の技術は持っているのか)

 とはいえ、利用価値が一ミリもない不愉快なモノを生かす道理はなかった。私は、魔道具を向けスペルを1つだけ唱え、引き金を引いた。

 水は、人が思う以上に凶器である。水を勢いよく出すことで、鉱物をも削ることが出来るほどには。

 銃には、風で勢いや狙いをより正確につけられるようスペルを刻み、弾には水のみのスペルを刻み込んでいる。魔法というのは、範囲的あるいは純粋な強さ、また正確さ等を求めれば求めるほど発動に時間が掛かる。それはどんな方法で使ったとしても、覆ることはない。ゆえに、魔道具は如何にスペルを簡略化出来るかが勝負である。もっとも通常の魔道具は簡略化すればするほど、戦闘に利用できるほどの威力は出せない。その為、多くの魔道具がランプ等の生活用品として作られる。そう通常ならば。

 だが、視野を広げてみれば違うのだ。一つの固定概念に縛られると見つけられない。いや、

 (魔法は便利すぎる)

 ゆえに、他の使い方を見出だそうとしないのだ。

 跡形もなく、不愉快な気配が消えたのを確認して、今度は声に魔力を込めスペルを紡いでいく。

 もう跡形もなく肉塊となっている身体を劣化させていく。殆ど、原形を留めていなかったからか、想定していた以上に早く終わった。

 それを風で一箇所に集め、燃やしていく。こんなのでも

 (肥料ぐらいには、なるだろう)

 よし、一石二鳥だなと頷きながら、Cardが初めて表に出たとされる荒野を目指した。













 『さ・よ・う・な・ら』

Re: 世界は残酷で優しい ( No.18 )
日時: 2018/04/11 23:37
名前: アイカ・マーブル ◆85qvGhCCNc (ID: kXLxxwrM)

 眼前に繰り広げられる光景に、彼は歪に笑った。

◇◆◇◆◇◆

 土色の岩肌しか見えないそこに、崖とはいえ明らかに怪しい黒いローブにフードを目深く被っている二人組。本来なら戦闘中とはいえ————いや、戦闘中だからこそ注意が向くであろう。しかし、彼等がいる箇所は、あたかも始めから存在していなかったかのようにあやふやであった。

 一人は左耳上辺りに、四角い————カードにも見える刺繍が銀色で施されている。座るのに調度よい岩肌に腰掛け、僅かにフードからこぼれ見える髪は、色を認識することが出来ない。

 もう一人は、そんな一人を付き従うように後ろに立っている。やはり、左耳上辺りにカードのような刺繍がしてある。一点だけ違うとすれば——四角い中は刺繍がされておらず、ダイヤの図形にKという文字が施されている点だろうか。

 彼等は、目の前で繰り広げられる戦いを眺めていた。

 魔法が飛び交い、人の形をしていたものが、秒単位で肉塊に変わっていく。風に運ばれ、離れている彼等の鼻にも血臭が届く。

 「どちらに転ぶと思われますか」

 疑問系ではあるが、己の中で出た答えを確かめるような言い方に、座っていた方は後ろに立っている人物を見上げた。

 「答えはわかっているだろう」と。そして意味ありげに微笑んだ。

 「どちらにしろ、やることは代わらないさ。問題はあるのか」
 「いえ、特には」

 そう、彼等からしてみれば今回の事は想定内であった。ゆえに、特等席まで用意していた。

 人間側の後方より、放たれた魔法を合図にダイヤのKは駆け出した。

◆◇◆◇◆◇

 「ックソ、たれっ」

 分かりきっていたことだった。あの瞳は、私達を道具としてみていたなど。道端の小石だということは。無機物をみる眼差しだったのは。

 悪態をつきながらも、手を振るうのを、足を動かすのを止めない。止められない。どちらにしろ、ックソッタレな彼等を頼らなければ、此方では無知で無力な私達はあっという間に死んでしまうのだ。

 我知り顔で、やつらを挑発した馬鹿を殴りたかった。始めから、私達の殺生権は彼等が握っているのだ。対価もクソもない。また、勇者など下らない言葉に踊らされる馬鹿も殴りたかった。

 お陰で、行動範囲を狭められ、縛りが強くなった。連帯責任なんぞクソくらえだった。

 第一

 (魔王とやらを倒したところで)

 本当に帰れるかどうかさえ、怪しいのだ。ここに来て学んだ。魔法は万能のようで、使い勝手が悪い。大きい力ほど、対価は大きいのだ。例えば詠唱時間。魔力の消費。挙げればキリがない。はたして、私達を喚ぶのだけにどれだけの対価を払ったのか。

 ましてや、明らかに自分達は使い捨ての道具であろう。道具に、それだけの事をするのだろうか。

 「ッチ」

 嫌な予感がして、横に避ける。魔法は強力なほど発動に時間が掛かる。ゆえに肉の壁が必要だった。勿論、彼等は魔法が此方に当たろうがどうでもよいのだろう。

 隣にいた奴が巻き沿いをくらい肉塊になった。

 最前線にいるのは、使い捨ての駒である私達と平民である人間。

 前、後ろともに意識を向けなければ死ぬ。ただ、それだけのことだった。

 剣を振るい、魔法を切り捨てる。そしてまた、女の機械的な声が響く。耳障りだ。非常に

————一定の条件をクリアしました。スキル《剣舞》を取得しました。————

————《危険察知》レベルMAXになりました————

 不愉快だ。眼前に広がる魔方陣の山に、避けきれないことを確認すると、足で味方であった死体を蹴りあげ盾にする。

————スキル《並列思考》を取得しました。————

————称号《味方殺し》を獲得しました————

————称号《殲滅者》を獲得しました————

 きりがなかった。そして、明らかにマズイ気配に気がつけば無意識に魔力を暴発させ、その風に乗り後ろに跳んでいた。

————スキル《反射神経》を取得しました————

————スキル《野生のカン》を取得しました————

 先程までいた場所は、魔法による攻撃で消し飛んでいた。空中で上手く身動きがとれない。しかし、敵さんは関係がない。むしろ狙いが増えるのを肌で感じる。

 一か八かであった。成功率は確実に一割を切るだろう。しかしながら、大人しく死ぬよりは良いだろう。直接的死因の原因ではなくとも、戦場で怪我をすれば死ぬだろう。壊れた道具は迷わず捨てる。そして新しいのに変えるのだ。

 スペルを唱えながら、迫り来る魔法を切り捨てる。また、不愉快な声が響いた。そして空間が歪むと同時に、私は地面に立っていた。転移魔法である。魔力を大量に消費し、残りの魔力量に眉をひそめる。幸いなことに、身体も欠けずにすんだ。

 私の使っている剣は、魔剣と呼ばれるもので、切ったものから魔力を吸い己の魔力に変換するものである。しかし、回復する魔力より消費する魔力の方が多かった。

 (じり貧だ)

 どうするか、思考する前に、眼前の空間が弾けとんだ。

 (ヤバイ。ヤバイ)

 圧倒的強者。立っているのもやっとな威圧。武器を手放せば、座り込んでしまえば死ぬだろう。だからこそ、意地であった。後ろを背を向ければ死ぬであろう。

 ただ、気が付かなかった。相手が手刀したと気が付いたのと、私が地に倒れていくのは、ほぼ同時であった。

























             ————「Card」瞳にうつすは より一部抜粋 ————

Re: 世界は残酷で優しい ( No.19 )
日時: 2018/04/13 18:45
名前: アイカ・マーブル ◆85qvGhCCNc (ID: xV3zxjLd)

 目次の仕様を数字に変更しました。

 ちなみに、
 ※マークは、手記等。
 *マークは、「Card」等。
 マークなしは、本編。

 また、総合掲示板の方に「Card」のオリキャラ募集をしています。

 スピンオフ(公開日未定)の募集も行っています。覚え書きも含めポンッとあげているので、若干のネタバレありとなっています。また、時代でいうと、第一部の前あたりになっています。携帯で更新しているのですが、何故か0を修正しようとするとエラーになってしまい、修正が出来ていませんがシートはあげてます。(時間をみて、なんとか修正はしたいと思ってます)小説(第一章は書き上げているので)あげたいですが、本作の第一部をちまちま書いている時点であげ、掛け持ちすると自分の首を絞める行為な気がするので、ある程度更新したらあげようと考えています。



 本作の登場人物の更新について

 本作で未だに名前という名前が出ていません。というのも、主人公の存在や、周りの存在もあやふやに書いています。
 少しずつ、主人公や周りの人物等の情報も出していきますが、登場人物をあげてしまうと盛大なネタバレ(大体推測はついたとしても)になってしまうので、ある程度情報が出た人物からあげていきたいと思っております。
 つまり、主人公が最初にあがるとは限りません。


 長々と失礼しました。

 後程、本編一話は確実にあげます。二話あげれるといいな。

Re: 世界は残酷で優しい ( No.20 )
日時: 2018/04/13 21:35
名前: アイカ・マーブル ◆85qvGhCCNc (ID: KG6j5ysh)

 (あぁ、悪くはない)

 先程別れた主君を思い、悪魔である彼は笑う。

 近年では悪魔は魔族ではなく、精霊に等しい存在だ。あえていうなら対であるなどと言われ始めているが、彼を含め悪魔からしてみれば他者が自分達をどう思おうが興味がなかった。

 彼等の多くは、享楽的で快楽的な出来事を甘美に感じるのだ。無論、何に感じるかは個々に差が生じる。彼は瞳に映る感情を好んでいた。

 (何年たっても、変わらぬ瞳が)

 本当にいとおしい。悪魔は約束を重んじ、また自分の欲に忠実である。彼もまたそうである。

 未だに色褪せることのない思い出に浸りながら、彼は目的地に向かった。

◇◆◇◆◇◆

 悪魔は欲に忠実である。ゆえに、欲により喚ばれた場合は気紛れに応じる。彼等は永久に等しい時を生きる種である。永久に憧れを抱くもの——多くは人族ではあるが、彼等からしてみれば、永久など退屈でつまらないものだった。

 だからこそ自分の欲に忠実なのだ。彼等の思い出は快楽的で享楽的で、狂喜——狂気的であればあるほど色濃く残り、永久も生きていける。

 だがやはり、長い時間が経つとソレも色褪せていってしまうのだ。ゆえに彼等の多くは、気紛れに人の喚び掛けに応じる。

 長い退屈を、僅かでも抜け出すために。

 彼もまた、その一つであった。

 その日は狂気を感じるほどに、血のように赤い満月の夜であった。彼が喚び掛けに応じた時には、彼を喚んだであろう主——赤子が殺されかけていた。

 いや、永久を生きる彼からしたらみな赤子であろう。5〜6歳ほどの幼女と、その幼女に似た10歳前後の少年である。いや、幼女が少年に似ていた。おそらくは、兄妹というものなのだろうと彼は納得する。

 興味深かったのは、それだけではなかでた。人の時間で考えても、二人は子供であり庇護する存在であるといえよう。————にも関わらず、二人は相手を害するのに————殺害というものに慣れていた。

 首を絞められもなお、視線を相手から外すことない幼女。瞳に怯えの色は見えず、また冷静であった。そして気配を消し、男の背後にまわる少年。少年の瞳に映る感情は冷酷であった。面白い。実に面白い。喚んだのが赤子に等しい人間というのも、兄妹で彼を喚んだのも、二人の瞳に映る感情も、面白くまた同時に興味深かった。

 そしてそれは、一瞬であった。息をのむと少年は握っていたナイフを、男の首めがけ振り上げた。心臓を狙わない点に、彼は評価を上に修正する。そして、男の体勢が崩れた瞬間、幼女が動いた。首を絞められ酸欠状態であっただろうが、素早い動きでいつの間にか手にしていたナイフで心臓をひとつき、ふたつき。手慣れた動きに、彼は笑みを浮かべる。彼の喚んだであろう気配は二人で間違いなく、また楽しい日常を送れそうだと。

 悪魔という種を、喚ぶのは二つの方法がある。一つは、特殊な魔法陣である。無論、それだけでは多くの悪魔は喚び掛けには応じない。ゆえに多くのものは、大量の生け贄を捧げるのだ。

 もう一つの方法は、曖昧で多くのものは意図していない。偶発的召喚である。多くの血と死体、瘴気とまではいかないが濃度の高い魔素。そして、強い思いである。

 二人から漂う狂気に、彼は正しく酔っていた。また、素直に称賛を込めて拍手を贈っていた。

 場違いな拍手の音に、四つの瞳が彼に向けられた。

 「だれ……」

 問いかけながらも、警戒体制を解かない二人に、彼はまた評価を上に修正する。

 (面白い。非常に、面白い)

 彼は、気紛れに二人と主従の契約を交わすことにした。契約を交わし分かったことといえば、二人は彼の想像以上に歳を重ねており、妹は12歳で兄の方は15歳であった。

 二人は珍しい外見をしており封鎖的な村では、忌み嫌われていたようだ。ただ二人は気にすることなく、だからといい依存しあうことなく協力していた。

 人は未知に憧れを抱き、また未知に恐怖を覚える。二人の村は、恐怖が優ったのだろう。そして、山賊が襲った。村人は二人を生け贄に生き残ろうとしたが、一人残らず山賊に殺されたという。

 もっとも、彼からしてみれば本当に山賊が村人全員殺したのか怪しいところだったが。






◆◇◆◇◆◇

 一年が経ち、二人は彼と会話をするようになった。

 二年が経ち、二人は彼に助言を求めるようになった。

 三年が経ち、二人は彼に教えを請うようになった。

 四年が経ち、二人は年相応の外見に成長した。

 そして、五年が経ち

◇◆◇◆◇◆

 ふと異物を感じとり、彼は思考の海から抜け出した。

 どうやら異物と感じたのは、目的地に張ってあった結界であったようだった。精密で完璧ともいえる結界に、彼は少しずつ自分の力を流し込んでいく。

 結界全域に力を渡らせたのを確認して、徐々に結界を自分の支配下に置き換えていく。

 「うむ」

 そして、結界は彼を受け入れた。


Page:1 2 3 4



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。