複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

白線お流れ〜迷想奮闘記〜
日時: 2019/08/18 00:04
名前: 梶原明生 (ID: VlfYshYD)  

清純な田舎の女子高生の物語。優秀な開業医を父に持ち、何不自由なく一人っ子の箱入り娘として生まれた。長野県松本市内の優等校に通い、将来に迷っている三年生。…じゃなくて……………………同市内の底辺校に通い、ドラッグストア薬剤師兼レジ係りの父を持ち、精肉工場のパート勤めの母を持つ高校三年生、八倉園美のお話し。7人兄弟の三番目、次女として生まれて毎日醜い兄弟ゲンカを繰り返し、外面は一人っ子の清楚な女子高生を演じて回りを辟易させる。そんな彼女がある日、父が借りてきた「白線流し」というTVドラマDVDをたまたま視てしまってからが大変。回りを巻き込んで主人公、七倉園子になりきろうとドタバタ騒ぎを展開する。しかし意外な結末が待ち受けていた。ハートフル?青春コメディが幕を開ける。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.41 )
日時: 2019/11/22 18:40
名前: 梶原明生 (ID: NOqVHr1C)  

皆で歩いて玄関に到達もしないうちから。すぐ玄関にいた香が戸を開けて答える。「ありがとう皆。園美、見つかったって…」「良かったーっ。」抱き合うまきと夏とおばあちゃん。やがて近くの総合病院に移されたと聞いて、全員が朝早くに向かった。病院に到着するや否や、雅春が冗談混じりに言う。「まさか記憶喪失になってないよな。ドラマなら磯山がそうなる設定だが。」「まさか〜っ…ありえるな。おう、皆。合わせてやろうぜ。何せ設定だしな。」皆に笑みが戻ってきた。「オバサン。」「あら まきちゃんに皆、来てくれてありがとう。」美和子が開口一番に出迎えた。「それで、そのちゃんの具合はどうなんですか。」夏が聞いてくる。「それがね、乗鞍岳の高山付近で見つかったんじゃなくて、ハイキングコースの低山で見つかったらしいのよ。警察の人が見つけた時には低体温症の処置が施されててね、誰がしたのか皆目見当がつかないらしいのよ。一応命には別状はないらしいんだけど、今日1日検査入院してどうもなかったら明日には退院ですって。でも、処置してくださった登山者には感謝だわ〜。」美和子は安堵した心地で天を仰ぎ見る。かくしてまきを始めとした6人のメンバーは園美と面会できた。「そ、そのちゃん。」「誰…ですか。」慎二が叫ぶ。「ホラーッ、言った通りだろ。…八倉、もう皆お前のこと許したし、記憶喪失のフリなんかしなくていいんだぜ。白線流しの七倉園子になりたかったんだろ。」「七倉…誰ですかその人。」「おいおいまだしらばっくれるのかよ。」「待って。」少しは医療知識を持つ夏が慎二を制した。「これを見て。七倉園子の動画。ほら、こっちは酒井さんの写真。」夏がスマホで色々見せるのだが…「これ間違いない。本当に記憶喪失。あれほど憧れてた七倉園子を見せても瞳孔が開かない。まるで景色にしか見えてない。間違いないよ。」「ええ〜っ。」慎二達は思わず驚いた。後に医師から聞いた話では、若年性健忘症だとか。「ドラマのまんまじゃねーか。」慎二が呟く。「私のせいだ。私が絶交するみたいなこと言ったから。」「言うな飯塚。お前の、…せいじゃない。思いつめるな。」まきの両肩をつかんで説得する。叶が口火を切った。「でも…」「え。」「確かに彼女のせいで色々あったのは事実だよ。でも、もし彼女が白線流しに夢中にならなかったらどうだったろう。僕も、君達も、こうして繋がらなかった。僕はずっと失恋の傷を背負ったまま卒業してた。何もない…続く

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.42 )
日時: 2019/11/26 16:09
名前: 梶原明生 (ID: u7d.QD9m)  

…高校生活を送って、ただ大学に進学するだけで終わってた。皆もそうじゃないのか。こうして皆巡り会えたのも皆園美ちゃんのおかげじゃないかな。」しんみりする面々。その後各自家に一旦帰り、各々思い出の品やアルバムを持って病院に駆けつけた。「そのちゃん、ほら、ラプンツェル好きだったでしょ。」「ほら、去年の私達。覚えてるよね。」色々見せるも彼女は「へー、ふーん、覚えてない。誰…」を繰り返すのみ。愕然とする皆は美和子に促されてとりあえず帰宅することになった。まだ見ていないドラマ白線流しの動画を数話見ていたら、夏のスマホに電話が。「あ、なっちゃん。園美を知らない。」「え、どうしたんですか。」「いないのよっ、病院を抜け出してどっかへ行って。まっちゃんにも電話したけど出ないし、親御さんも出掛けて知らないって言うし。」「と、とにかく落ち着いてください。」夏は連絡網を回し、叶達も含めて集まった。「まっちゃんだけ連絡取れないのよ長田君。」「待てよ、この流れどこかで見たような…そうだ、ドラマじゃ確か飯塚の役柄が磯山を車椅子に乗せて学校に行くはず…」「それだっ学校…」全員同じ言葉が出た所で走り出した。案の定、園美を車椅子に乗せたまきが西山高校内を案内する。「ほら、ここ。よくバカ話したよね教室で。…」「ほら、体育館。ディアボーイズの哀川になりきったよね。楽しかったな。…何で思い出さないのよそのちゃん。思い出してよ、もう一度私を白線流しの登場人物にしてよ。お願いだから。」彼女自身も何故だかわからず涙が溢れ出ていた。困惑する園美。「いた、やっぱりだ。」慎二が真っ先に駆けつけた。夏達も体育館に入る。「そのちゃん。」「八倉っ。」各々叫んで走り寄る。「み、みんな…」まきは泣きはらした目を拭う。その時突如、叶がバスケットボールを園美に投げつける。「園美ちゃん、カッコつけんなよ。」「そうか、あのドラマのシーンか。思い出すかも。…ほら、八倉、これ覚えてるだろ。俺が本当はボール投げつけられる。」慎二が園美の両肩を持って揺さぶるも、驚愕するばかりの園美。「ちょっと叶、やめなよ。いくらドラマ通りしたって無理だよ。まきちゃん…だったよね。半分は私が悪いんだ。彼女が白線流しの真似事してるってバラしちゃったから…」「ううん。お姉さんはただ、知らなかっただけだし。…」まきがそう言うものの佳乃の今の言葉で記憶の断片が園美の中で覚醒しはじめていた。「バラしちゃったから…続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.43 )
日時: 2019/11/26 21:13
名前: 梶原明生 (ID: wh1ndSCQ)  

…白線流し…」走馬灯のように次から次に記憶が蘇る。「佳乃さん、別に気にしてないから。…それにまっちゃん。色々ごめんね。なっちゃん、フォローありがとう。磯山君、答えられなくてゴメンね。長田君、本当にゴメンなさい。そして…叶さん。会いたかった。」「そのちゃん、思い出したの。私がわかるの…良かった〜。」飛びついて抱きつくまきと夏。「痛いよ二人とも。」「ああ、ゴメン。」慎二が横槍を入れてくる。「まるでドラマ通りだな。あ、設定だから間違いないか。」「ハハハハッ。」皆一斉に笑いが起こる。体育館扉裏に隠れていた五島が無線通達する。「指揮車へ継ぐ。やはり八倉園美は記憶を取り戻した。これより兄の八倉武豊と共に交渉に入る。」「え…」冷や汗を掻いた兄の武豊は緊張状態になる。「そう強張るなよ。何も消すわけじゃないんだ。秘密保護法を適用するだけだ。ただ…適用の仕方まで指示されてるわけじゃない。君の妹さんは大変ロマンティックだ。非常に興味深い。」ニコリとしながら武豊と共に体育館に入り拍手する五島。「いやいや素晴らしい。」「五島さん。…」「小河君、また会ったね。あ、申し遅れた。私は小河君の恩人にして友人の五島良太。こちらは彼女の兄で武豊君だ。」「えーっ。」一斉に驚いた面々。「お、お兄ちゃん…」乗鞍岳の記憶も蘇る。「しーっ。それについては後日。ところで皆さん、彼女が白線流しの七倉園子になりきろうとしていて色々あったんだよね。そこで私から提案だ。昔、あるテレビ番組で、未来を予定するプレイングゲーム的な企画があった。予め行動予定をフリップに書き出し、出演者が試行錯誤して予定された未来通りにしていくという内容だ。それを彼女の好きなドラマ、白線流しになぞらえていくというのはどうだろう。」慎二が第一声を放つ。「おお、何だか面白そう。皆やろうぜ。」「賛成っ。」全員一致でこの青春企画は始まった。…次回「青空に咲いた友情の輪」に続く。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.44 )
日時: 2019/11/28 02:47
名前: 匿名 (ID: Xr//JkA7)

 作品自体はいいとは思いますけどスレッド多すぎますね。他の人の作品がどんどん下に埋まります。少々迷惑なので作品を纏めてみては如何でしょう。お邪魔しました。

Re: 白線お流れ〜迷想奮闘記〜 ( No.45 )
日時: 2019/11/28 19:50
名前: 梶原明生 (ID: u7d.QD9m)  

「青空に咲いた友情の輪」…………………………………………「そ、それは行き過ぎなんじゃ…」日産Xトレイルの助手席で武豊がまたもや驚愕する。「な〜に、心配はいらない。ある日正義の新聞記者が現れて長田建設社長を救う。筋書き通りさ。しかし…」次の瞬間、五島はハンドルの手に乗せていた顎を上げて姿勢を正した。「これも運命かな。俺が自衛隊に憧れたのは今井さんを見てからだ。まさか、その俺が記者の役を…」連なる山々を平眼で見ながら武豊も更に驚く行動に出る。敬礼したのだ。「あなたの役柄。精魂込めて果たさせていただきます。」その頃、雅春は二階の部屋から駆け降りていた。「父さん、何だよニュース。市の建設談合に加担したって。嘘だろ。嘘って言ってくれよ。」「雅春。お父さんに何て口きくの。」母親が制する。「お前は黙ってろ。これは大人の世界の話だ。お前にはお前の勤めがあるだろ。大学受験だけ考えてればいいんだ。」「父さんっ、」無視するように家を出ていく父親。仕方なく、大学のセンター試験に向かう。「えっ、嘘でしょ。設定で私に嘘ついて…ないみたいだよね。」試験会場に雅春と歩いて向かっていた園美とまきと夏。あまりにも悲壮な雰囲気に芝居でないのは見てとれた。「当たり前だよ。いいよな、八倉には美味しい話だよな。ドラマみたいになって。…」「ちょっと雅君。言い過ぎだって。」夏がたしなめた。やがて試験は開始され、落ち着かない雅春は何度も鉛筆を転がす。「小河来たか。」武豊と門前で張り込んでた五島が白い息を切らして走ってくる叶に声をかける。「な、ハァ、何で、五島さんがここに…」「長田に会いに来たんじゃないのか。」「そう、ですけど…」「君は力不足だからね。私が加勢しないと。さっ、行こうか。」趣に歩き出す五島。「ああ、受付ご苦労様。予約入れてた長野新聞の五島でして。」またいつから新聞記者になったのかと驚愕するが、彼の背中についていく。「さぁ、叫びたまえ若者よ。ドラマじゃ君の役柄は叫んで長田君を呼ぶ設定だろ。さぁ。」「ええ〜っ。む、無理無理です。」「ほらね、たがら地声が大きい空挺団のお兄ちゃんに来てもらってたわけさ。頼んだよ。」「了解しました。」まるで応援団みたいな姿勢で大声を出す。「頑張れ〜っ頑張れ〜っ長田っ長田っ。西山高校の長田雅春〜っ。」二階の試験会場の窓にぴっしり貼りつくギャラリー。「あれ、長田君のことだよ。」「えっ…」落ち込んでいた雅春が飛び出す。…続く


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。