複雑・ファジー小説
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- 戯構築世界ノ終末戦線
- 日時: 2023/03/18 07:52
- 名前: htk (ID: 7gGQw8LV)
作者にはほぼオンラインゲームの知識がありませんが、VRものです
ダークの方でもう一作品掲載させて頂いておりますが、今の所向こうの世界観とは特に繋がりはありません←たぶん?
内容は主に、NPC側の視点を主題とした物語にしようとは考えていますが、プレイヤー視点の話もよく挿話で挟まれたりして、読み手を選ぶ構成かもしれません
作者の稚拙さもあって、まだまだ作中内のゲームの設定が煮詰まっていないので、場合によってはいつの間にか大幅改訂される場合があります
なるべく読み返さなくても良いような修正に留めようとは考えていますが、そのあたりは先々の展開によって左右されてくると思いますので、予めご了承して下さると助かります
尚、当作にはプレイヤー視点の掲示板回がありますので、アンカー(>>)が含まれるレスが時折見られますが間違って押しても見当違いのページに飛ばされるか、まだ何の投稿もされてないページへ送られる場合がありますので、読者様はお気を付け下さい
※10、11話目の補足ですが、たぶん何かの伏線だとは思うんですが、実は作者にもよく分かっていません
なので、先の展開の都合で後で書き直す可能性があります
※17話目から20話目ーー4話一気に投稿しました
以降、書き置きの修正等で暫く更新止まります
以下、目次
1話目=>>1
2話目=>>2
3話目=>>3
4話目=>>4
5話目=>>5
6話目=>>6
7話目=>>7
8話目=>>8
9話目=>>9
10話目=>>10
11話目=>>11
12話目=>>12
13話目=>>13
14話目=>>14
15話目=>>15
16話目=>>16
17話目=>>17
18話目=>>18
19話目=>>19
20話目=>>20
- Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.11 )
- 日時: 2023/03/11 17:20
- 名前: htk (ID: Mr.8bf9J)
1章〜〜第1幕、8話ーー副題(未定)
「もう大丈夫よ?
、、さあ、目を開いて」
柔らかな感触が離れたかと思うと、渡し守にそう言われた。
俺はゆっくりと目を開けーー先程とは別の光景を目にする。
あの川岸では無いーー。
ーーだからと言って何処なのかというと、何処だとも言えないような場所だった。
真っ白だ。
生前、俺は豪雪の年に一面積もった雪景色を見た事があるがーーそれと比べてすら、こちらの方が白く眩い。
いつの間にか脇に佇んでいた渡し守が、全てが真っ白な世界のある一点を示す。
「向こうへ真っ直ぐ進みなさい
、、上手くいけば、あなたは彼女に会えるわ?」
「……上手くいかなかったら、どうなるんだ?」
「それは訊かない方が良いわね?
、、覚悟が定まったなら、先へ進みなさい
此処から先の世界は一方通行よ?
もし、ここで怖気付くなら川岸に戻してあげられるけど、、」
若干、こちらを案じるように言ってきた。
上手くいかなかった場合ーーどうなるかを教えてくれるつもりは無いらしい。
俺はやや考えるが、心はもうーー定まっていた。
あの川岸に戻るかを訊ねてきた渡し守に、首を振る。
「……いや、良いんだ
ご親切にありがとう
ところで、あなたの名前は……?」
「いずれ、世界の行く末に携わる御使いが番物と手を携えるならば、その刻、、名乗る機会があるかもしれないわね?
、、それじゃ頑張って!」
そう言って彼女は強めに背中を押してきた。
蹈鞴を踏みそうになりながらも振り返ると、渡し守は真っ白な世界に溶け込んでいくーー。
ーー最後に微笑を浮かべ、拳を握り込んで示してきた。
激励だろう。
それを見送る俺は一礼し、身を翻す。
ただただ白く、足場が本当にあるのかどうかもよく分からないがーー俺は純白の世界で歩みを進める。
上手くいかなかったらどうなるかは知らないが、此処から先ーー退路は無いと思って良いだろう。
戦では、時に敵の追討を絶つべく誰かが殿を務めなくてはならない場合もあれば、無慈悲な上官の命によって死に兵にされる事もある。
それを思えば、退路があったって無くたって同じだ。
前を進まなければ道は開けないし、後ろを振り返っている時間が時にーー多くの喪失を生む事だってある。
これは戦場で寝起きするにつれ、醸成されてきた俺の考えだ。
確信を持って、前進しなくてはならない。
迷える将官の姿を見れば兵達は不安に襲われ、やがては末端の兵にまでそれが波及した時ーー戦場では敗北を喫する事となるだろう。
国軍で若くして頭角を現した俺はそう教わり、ほんの短い期間だったがーー近衛師団副団長まで上り詰めた。
それが喉元に傷を受け、ただの夜番に降格した頃にーー彼女は城に仕え始めたらしい。
貴族の子女だった。
いずれは爵位持ちの誰かの目に留まり、嫁いでいくに違いない。
よく居る使用人の身の振り方は、大概にしてそんな所だった。
彼女も同様ーーいつかは誰かに嫁ぎ、子を成して一門の為に一生を捧げるに違いない。
そう思ったのが最初で、それから数年ーー。
ーー彼女はまだ、王城務めを続けていた。
理由は何だろうーー?
ーー器量が悪いとは聞かないし、話に聞く限り目立った失敗や粗相があったとも考えにくい。
それなら何故ーー彼女の容色ならとっくに何処かの貴族に貰われていっても不思議じゃなかったのに、疑問だった。
もし訊ねる事が出来た身なら、俺は訊ねただろうかーー?
「……何故、君はたかが夜番の為にこうして飲み物を運んできてくれるんだ?」
自然と、口から漏れる。
気付けば、いつもの中庭だ。
まだ賊共に襲われる以前ーー。
ーー踏み荒らされる前の王城に、俺は居た。
あの真っ白な世界は跡形も無く、〝この日〟は珍しくーー共に夜番を務める相方も居ない。
いつか見たーー覚えのあるような記憶だ。
トレイに二つカップを乗せた〝彼女〟は、俺にその一つを渡しながら言う。
「、、たかが夜番だなんて言わないで下さい、副団長様
あなた様はあの日私を助けてくれた、勇敢な騎士様なのですから」
「……騎士様?
それはどういう?」
分からないーー。
あの日、と言われてもーー。
ーー俺が彼女と会ったのは、彼女が王城務めを始めてから間も無くだった筈だ。
まったく覚えが無い。
怪訝そうなこちらを見、彼女は溜め息を吐く。
「はあ、、
、、何でもありません」
「……いや
何でも無くは無いだろう?
気になるんだが……」
「ご自身の胸に聞いてみて下さい」
つれなく、そう返答が返ってきたがーー俺が頭を悩ませていると、怪訝そうに訊いてくる。
「、、本当に覚えていらっしゃられないのですか?
副団長様がまだ、クアノッキのスラムで生活していらした頃です」
「……うん?
随分と昔だな、、というか、俺が孤児だったなんて君に言ったか?
あ、、!さてはあいつ、喋ったな……」
此処には居ない相方に向かって、俺は毒吐いた。
あいつも時々口が軽いから困るーー。
ーー夜番の片割れをどう問い詰めようかと考えていると、彼女は話題を変えた。
「今度、クアノッケル領内で軍事指南を務めるそうですね?」
「……ああ、その話か
1日だけでも良いとのお貴族様のお達しなんだが、、
、、何故俺なのか、まったく分からん……」
「副団長様の名声が伝わったからでしょう
、、先のリトワール国との戦いでのあなた様のご活躍は、王都のみならずマルトワ辺境にまで知れ渡ったと聞いておりますから」
「……うん?そうなのか
そう聞くとむず痒い気もするな
ところで、なんだが……」
「はい、何でしょう?」
こちらの言葉を待つ様子の彼女に、俺はやや沈黙した。
いざこうして話してみると、どうにも切り出しにくいーー。
ーー何故、死した筈の彼女とこうした遣り取りが出来るのかは疑問だが、此処は死後の世界の筈だ。
俺は意を決し、まだ名前も知らない使用人に訊ねる。
「……その、君の名前を
いや、知らなくてだな?
済まないが、教えてくれないか……?」
覚悟を決めて言ったが、返ってきたのはーー無言だった。
改めて彼女の顔を覗き込むが、楚々とした顔がいつも以上に無表情だ。
いやーー。
ーーどちらかというと手に持つトレイをカタカタと震わせ、どうやら怒らせてしまったらしい。
「……あ!いや?
その、まだ名前を訊ねた事が無かったと記憶しているんだが、、
、、君の名前を知りたいんだ」
「ふう、、」
長い溜め息を吐き、気分を落ち着かせているように見えた。
不味い事を言ったかもしれないという自覚は、多少はあるーー。
ーー本来なら、こうして喋れる身なら真っ先に訊くべき事だし、自身の至らなさとか情けなさを突き付けられている気分だ。
彼女は長い沈黙の末、ようやく口を開く。
「初めて城務めになった折に申し上げましたが、、
、、アンネリです」
「……アンネリ、か
いや、初めて城務めになった時?
悪いがちょっと記憶に無いんだ、本当に済まない……」
「はあ、もう良いですよ、、
今度は忘れず、確と覚えて頂きたいものです
エドゲル様」
「……あ、ああ
分かった」
名前を呼ばれ、俺はカップの中身を飲み干した。
正直、居た堪れない。
温度を下げた彼女の視線を真横に、夜風が一層冷え込んだ気がした。
次話=>>12
- Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.12 )
- 日時: 2023/03/13 16:50
- 名前: htk (ID: 2WPGd65I)
1章〜〜第1幕、掲示板その3
《NPCについて語ろうぜ!》
・
・
・
1:名無しのNPC語り
立ててみた
とりあえずナビ役務めてくれた幼馴染みとイイ感じなんだが
2:名無しのNPC語り
ウチのナビ役は男だったorz
サクセスチュートリアルでプレイヤーによる序盤の格差(主にソッチ方面)が拡大してる件について
3:名無しのNPC語り
>>1
自慢ヤメろし
4:名無しのNPC語り
俺なんかな!?
女は女でも……
100歳超えの婆さんだったんだぞ?
何が悲しくてババアなんかと……ウォェ
5:名無しのNPC語り
1は自慢したいだけか
ゴミスレ
6:名無しのNPC語り
こっちも100超えだったよ
因みにエルフだったけど
7:名無しのNPC語り
スレ的に勝ち組は>>1と>>6かな?
8:名無しのNPC語り
エルフで100歳超えならピチピチの幼女
何が不満なんだ?
9:名無しのNPC語り
お巡りさん
こいつです↑
10:名無しのNPC語り
いや、幼女じゃないし
普通に甘やかし系のお姉さんだったよ
次いでにいうと今、隣で寝てる
11:名無しのNPC語り
なぬ?!
12:名無しのNPC語り
は?
13:名無しのNPC語り
嘘こけ!?
いくら昨今のエルフが尻軽だからって、そんな簡単にヤらせてくれる訳無いだろ!?
14:名無しのNPC語り
いや、隣で寝てるのは本当
隣のベッドだけどね
誘ったらパーティ組んでくれたしワンチャンありそう
15:名無しのNPC語り
まだなのかよ!?
ホッとしたけど
16:名無しのNPC語り
ナビ役エルフ♀だったがウチも♀
いっそのこと一緒に寝てみようかな
17:名無しのNPC
あ、そういうの無しで
18:名無しのNPC語り
別に良いじゃんか
次いでだけど俺もナビ役男だった、しかもドワーフの
19:名無しのNPC語り
腐と付く方々が喜びますね
20:名無しのNPC語り
喜ばねーよ!?
あの方々は美しいもの同士の心の交流を求めてるだけなんだぞ!?
たぶん……
21:名無しのNPC語り
男か女かなんてどうでも良いけど、死なれるよかマシだよね
小間使いちゃん可哀想……
22:名無しのNPC語り
いや、個スレで話せよ!
わざわざこっち出てくんな!
23:名無しのNPC語り
別にスレチではないと思うが
みんな忘れてると思うが、NPCだって死ぬぞ?
プレイヤーと違ってな
24:名無しのNPC語り
それ考えると安易にパーティ誘っていいのか……
悩む
25:名無しのNPC語り
その点こっちのナビNPCはドラゴンだったから問題無し
でもせっかく魔物倒しても経験値ほとんど持ってかれてる気がが
未だにステ値一度も上昇してないし
26:名無しのNPC語り
トドメは自分で刺した方が良いらしいよ?
てか、ドラゴン……?
27:名無しのNPC語り
なあ
俺のナビしてくれたNPCがリトワール国の姫様だったんだが……
28:名無しのNPC語り
は?リトワールの?
29:名無しのNPC語り
初期地点の一つだな
リトワールの姫様って確か、オーデュリエ姫だったか?
公式発表キャラの
30:名無しのNPC語り
違う違う
オーデュリエ姫の腹違いの妹らしい
そんで、俺に姉ちゃんの暗殺を命じてきたんだが……
31:名無しのNPC語り
え、マジ?
32:名無しのNPC語り
またイベントか
あっちもこっちも忙しいな
33:名無しのNPC語り
いや、イベじゃないと思うぞ?
イベならアナウンス出るだろ?たぶん
34:名無しのNPC語り
このゲームって……
いやまあいいか
ところで自分トコのナビさんはメモリアル・クリスタル見れんのに、他のNPCは見えて無いっぽい
どういうこと?
35:名無しのNPC語り
へー
初耳だな
36:名無しのNPC語り
あ、それ私も思ったわ!
世界観的には天地ノ柱の欠片?
とかナントカ呼んでる爺さんが居たんだけど、それメモリアル・クリスタルの事言ってるんかな?
とりあえず謎
37:名無しのNPC語り
あれ?どっかで聞いたな?あまつちのはしら、って読むんだっけ?
オープニングだったか……?
38:名無しのNPC語り
メモリアル・クリスタルってセーブポイントだったよね?
そういえばキャラメの後にそんな映像あった
39:名無しのNPC語り
天地ノ柱?
それよりさー、早く幼馴染みちゃんと結婚したいな
子供も3人は欲しい
35:名無しのNPC語り
え、子供?
てか、会話の流れ……
《世紀の小間使い!?トトリーちゃん・Part1》
・
・
・
235:名無しの語り豚
ぶひィイ!
236:名無しの語り豚
ぶ、ぶひぃ?
237:名無しの語り豚
ブヒブヒうるさ!
何なのさ?このスレ
238:名無しの語り豚
>>237
終戦オンラインの新たな偶zo……じゃなかった
マルトワ襲撃事件で一躍ヒロインの座に躍り出た小間使いちゃんこと、トトリーちゃんを応援するスレです
今なら彼女が木馬に啖呵切る部分だけ切り取った編集版も町の掲載版で配信中
是非見て!
239:名無しの語り豚
何回見てもスカッとするし、ほんのりジワる
だって、前作で散々やらかした木馬の連中黙らせたんだぜ?
オーマイガっソフトのPRゲストに呼ばれないかな?
240:名無しの語り豚
使用人さんの臨終で踏み出せなかった一歩のあの感じ……
痛い程分かる
NPC騎士とナビ先輩の間に遠慮するトトリーちゃんは空気読めるイイ子
241:名無しの語り豚
>>238
いや、動画は見たから知ってるんだけどさ?
そのブヒブヒ言うのはどうなの?
それに本人非公認スレなんじゃない?
242:名無しの語り豚
小間使いちゃんに蔑まれながら踏まれたい
243:名無しの語り豚
>>241
あの名セリフを君も見た筈だ
ぶひィイッ!?
まさかこの私が平民以下の賊めらに
ぶファア?!
244:名無しの語り豚
火術使いのお大臣www
ただ、ブヒる時のヒが一つ少ない
正確にはこう
ぶひヒィイッ!?
まさか、この私が平民以下の賊めらに
ぶファア?!
245:名無しの語り豚
いや、あのね?
君ら、あんまし調子に乗って本人に迷惑掛けるんじゃないよ?
場合によってはBAN案件かと思ってさ
246:名無しの語り豚
ぶ、ぶひぃ?
(さてはアンチのフリしたトトリーちゃんファンの匂いをそこはかとなく感じた)
247:名無しの語り豚
はあ
まあ、私も前作で木馬の連中には散々ヤラカサレタ口だからさ?
君らの気持ちも分かりはするけど……
248:名無しの語り豚
ここにまた一人
新たな同好の士が増えたようだな
とりあえず乾杯!
249:名無しの語り豚
乾杯!
こうやって小間使いちゃんの教えが広まっていくんですね
使用人さん
君の犠牲は無駄にしない
250:名無しの語り豚
しんみりし過ぎ、いや分かるけど
それにしてもNPC騎士様は何処行っちゃったのか……
251:名無しの語り豚
あの手のキャラはきっと無駄に責任感じたりして、ここは俺に任せて先に行け!
とか考えてたんだろうな、と
252:名無しの語り豚
つまり、エドゲル氏はもうこの世には居ないと……?
簡単に倒せるとは思わないが、もしそうだったらあんまり過ぎる
木馬の奴ら許さん
253:トトリー
あの
ちょっと相談したいんですけど
254:名無しの語り豚
ぶファア?!
255:名無しの語り豚
ぶ、ぶひぃ?!
え?ご本人降臨キタ?
256:名無しの語り豚
と、とと、トトリーちゃん?!
257:名無しの語り豚
掲示板でのコテ入力で他ユーザーのネームは使用出来無いらしいから、まさかの本人……?
258:トトリー
なんだか恥ずかしいですけど
あのですね?
皆さんにちょっとお願いがあって
259:名無しの語り豚
ほら見なよ
ご本人さんが非公認ならちゃんと削除依頼出しなよ?
BAN喰らわないようにさ
260:名無しの語り豚
え、マジ?
どうしよう……
でも別に暴言とか吐いてないしセーフですよね?
なんかごめんなさい
261:トトリー
あ、えっと違うんです!?
262:トトリー
今日書き込んだのはですね?
皆様にお願いがあって
263:トトリー
マルトワを助けて欲しいんです
私もあれから色々と考えて、NPCだからって簡単に殺したり酷いことしたり、そういうのは良くないんです!
私達はプレイヤーだからその気になれば戻って来られますけど、先輩……アンネリさんとか、町で襲われた人とかはもう戻って来られないんです
だから、まだ具体的には何も決まってませんけど、皆さんに助けて欲しいんです!
お願いします
264:名無しの語り豚
あー、そういう話ね
確かにトトリーさんの言う事はいちいち頷けるんだけどさ?
そう考えない人達が居るのは君も既に知ってるよね?
このゲームというか、ここの制作会社のコンセプトって究極的自由じゃない?
265:名無しの語り豚
おい!止めろよ
俺は全面的にトトリーちゃんに賛成
マルトワ遠いから行けるかどうかちょっと微妙ではあるが……
266:名無しの語り豚
俺も
ついでに言ったらたぶんだけど3日で行ける距離だぜ?
パーティメンバーと相談してくる
267:>>264
まあ、別に良いけどさ?
私だって特に反対とかしたいわけじゃないし
まあ、行けそうなら私も行くよ
ちょっとリアルの時間と相談してからだけど
268:名無しの語り豚
俺も行く
つか、マップ見たけど割と近そうだしな
269:トトリー
皆さん、急なお願いで申し訳ないですけどありがとうございます
何か進展があったら報せますね
270:名無しの語り豚
>>264から漂うそこはかとない姉御臭……
済まんがこの流れで言い辛いけど自分は行けそうにないが応援はしてる
271:名無しの語り豚
じゃ、とりあえず近辺のプレイヤーに呼び掛けようぜ!
自分も行けないかもだけどな←人任せ
272:名無しの語り豚
ところでこのゲームって割とプレイヤー間の連携重要だよな
じゃないとPK共に足元掬われる
273:名無しの語り豚
確かに
次話=>>13
- Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.13 )
- 日時: 2023/03/14 19:20
- 名前: htk (ID: LH/LPtL4)
1章〜〜第1幕、挿話その1ーーコノミの話
《終末戦線オンライン》ーー。
ーー略して終戦オンライン。
あんまり略せてないよねーーって内心突っ込んだけど、特に誰も気にしてない。
わたしはやらないジャンルだから知らなかったけど、有名なシリーズみたいだった。
夕陽の差し込む窓際を背に、男子生徒が言う。
「終戦オンラインどうする?
買うのか?」
「え?難しそうなゲームはちょっと、、」
そう聞かれて答えたのは、自分で言うのも何だけどーープリティカルな女子生徒だった。
プリティーとクリティカルを掛け合わせたんだけどね。
わたしはどちらかというと格ゲーとかアクションはよくやるけど、RPG要素の強そうなゲームは基本的にやらない。
某国民的人気RPGの魔王を倒す冒険物語も中途で手付かずだったから、きっと向いて無いんだと思う。
仲間内で何かーーオンラインゲームでもやろうって相談してて、この会話の下りだ。
「でもコノミん……格ゲーだと強過ぎて敵わないし、ハンデは必要……」
「そうだそうだ、お前格ゲー強過ぎなんだよ
、、つっても終戦もなあ?
前作の《崩壊都市オンライン》もアクション要素強かったから、プレイヤースキルでちゃっかり上位陣に喰い込めそうなんだよな、お前」
他の何人かも頷いていて、それがわたしに対する共通認識みたいだった。
次いでにいうと、今ここはーー放課後の学校だ。
時々部活の掛け声とかが聞こえてくるけど、わたし達は特に部活動らしい部活はやってない。
一応、ゲーム愛好会なんて学校非公認の活動はしてるけど、それも自宅活動が主だった。
プレイヤースキルが通用するーーって聞いたわたしは、ひとまず頷いておく。
「ならいいかな?それで」
「うっしゃ!決まりだな!
愛好会のみんなは出来るだけサービス開始初日に間に合わせること!」
愛好会会長を務める男子生徒が言った。
そこに同じく会員の女子が補足するように言う。
「事前情報だと……確か、初期地点選べるみたいな話……どうする……?」
「みんな好きな場所選んでその内全員集合で良いだろ?
、、よし、決まりだな!
じゃ、解散だ」
会長の言でその場はお開きになった。
事前情報は特に調べて無いけど、それでも聞こえてくる評判はーー良くも悪くも話題性があるゲームなんだって。
だから、最初は流されて頷いたわたしも、発売日が秒読みに入るとすっかりその気になっていた。
そして、約束通りサービス開始初日ーー。
ーーVRゴーグルを付けたわたしは横たわり、ゲームを起動した。
スタート画面を視線の操作ーーアイプッシュで押して、サポートの声が丁寧な挨拶をするのを聞く。
ふうん、こういうものなんだーー。
ーー昔ながらのRPGをイメージしてたわたしは、少しだけ意表を突かれた。
思えば、かの国民的人気RPGもうんと小さい頃遊んだだけだったから、こうして始めてみると新鮮だ。
サポートは細々とした内容を告げ、こう切り出す。
〈ーー/
それでは、これよりキャラクターメイキングを行いますが、《終末戦線オンライン》ではユーザー様の情報をスキャンした最適作成の他、全てをご自身の手によりメイクする任意作成、各項をこちらの随意により斡旋する自動作成がございます。
/ーー〉
「どう違うの?」
〈ーー/
まず、ユーザー様の情報をスキャンする最適作成は《終末戦線オンライン》を遊んで頂くのに最も合理的なアバターを算出し、現実での後遺症もほぼ出ない事が証明されています。
/ーー〉
現実での後遺症ーーってゆうのは聞いた事があった。
人の頭は長い時間をVR空間内で過ごすと、現実との間に齟齬が生じーーとか何とかで、何年か前からニュースで取り沙汰されている。
そうした問題をほぼ解決済みで発売前から評判だったのがこの《終末戦線オンライン》で、どうたらこうたらーーってゆうのがあの愛好会会長の言だった。
それで、最適作成ーーってゆうのがオススメで、サポートの説明によると他に、任意作成はユーザーが各項を好きに弄れて、顔や体型、種族や性別も変えられるって話。
それから、自動作成はユーザーに危険性の無い範囲で、サポート側から適性のある種族とか職業を更新する毎に提示してくれる作成方法だった。
「早くゲームしたいし、最適作成で良いかな?」
こういう時ーー。
ーー焦らされてるみたいで、少し急かしたくなる。
〈ーー/
では、ユーザー名ーーコノミ様の情報をスキャンさせて頂きます。
暫くの間、お待ち下さいーー。
/ーー〉
そう言われる前に個人情報がどうとか、何かの確認の書類とかが表示されたけど、わたしはほとんど読まなかった。
これを逐一読んでられるなら、わたしはきっと毎テストで90点台をキープ出来てると思う。
サポートの声を待ってる間、何かーーデジタルな流線型が段々と人型になっていく映像が流れた。
出来上がった姿はーーわたしそっくりだ。
鏡写しのような顔が、その息遣いから瞼のちょっとした動き、肌の質感まで余す事なく伝えてくる。
〈ーー/
コノミ様のアバターの作成が終わりました。
任意で髪色や目、肌の色等を変更出来る他、年齢や身長、体型等を無理の無い範囲で修正可能です。
/ーー〉
「ううん?非の打ち所がないと思うんだけど?
あ、でも髪の毛の色は黄色にしてみよっかな?
それから、目の色は赤、、ってゆうより緋色?」
〈ーー/
このような色調でよろしいでしょうか?
/ーー〉
これもわたしの脳波を検知して向こうが判断してるみたいで、すぐに結果が出る。
「うん、良いよそれで」
〈ーー/
それでは、次に職業ーー。
/ーー〉
「ぅああっもう!?
そうゆうのは終わらせて、そろそろゲームしたいんだけど!?」
〈ーー/
それでは、職業選択無しのフリーチュートリアルから、拠点か野外のどちらかをスタート地点に選べます。
尚、職業選択に消費されなかった割り振りポイントはゲーム中のメニュー画面からステータスウィンドウを表示する事で、割り振る事が出来ますのでご了承下さい。
/ーー〉
サポートの声がそう言うと、別のウィンドウが表示される。
〈ーー/
・拠点
・野外
/ーー〉
「どう違うの?」
〈ーー/
拠点をお選びになられますと、央陸大地のいずれかの町をスタート地点に選べます。
野外をお選びになられますと、央陸大地のいずれかのフィールドからランダムに抽選された地点からのスタートとなります。
/ーー〉
ってゆう事は、つまりーー野外を選ぶとすぐに戦闘が始められそうな気がする。
「それなら、野外でお願い」
即決だった。
〈ーー/
ではこれにて、キャラクターメイキングを終了します。
コノミ様の意識はこれより《終末戦線オンライン》の世界へコンバートされます。
それでは、良き終末ライフをーー。
/ーー〉
サポートの声に送られ、キャラクターメイクを終えたわたしは、《終末戦線オンライン》の世界へダイヴした。
次話=>>14
- Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.14 )
- 日時: 2023/03/14 22:33
- 名前: htk (ID: rCT1hmto)
1章〜〜第1幕、挿話その2ーーコノミの話
ダイヴしたわたしの視界に、モノトーンの映像が流れ始める。
オープニングかなーー?
大地に根差す柱ーー。
ーーそれを取り巻く誰かが次々と立ち消え、怪物らしい姿が映る。
昔話みたいだ。
そんな映像と一緒に、昔語り風の音声が聴こえてきた。
〈ーー/
触レ人ーーそれは來たる日、突如として世界に現れ、世に終末を齎す者也。
まだ、神々が世界を分割統治していた時代ーー。
ーー方陸大地を支えた天地ノ柱は砕かれ、世に災いが齎されたり。
大地の其処彼処へ散りし欠片より、幾多の魔物が世界を脅かさん。
神々、これに伐ち克つべく、御使いを創り給う也。
彼の御使いは幾多の魔物を平らげ、世に再び平穏が取り戻されたり。
しかし、神々は地上を去り、世界の命運はいずれ尽く。
厄災也。
天地ノ柱より砕かれし欠片ーー。
ーーそれらは方陸大地の各地に根差し、未だ数多の魔物を生まんと欲し、最期に触レ人來たらむ。
終末也。
欠片より生ずる彼らが來たるその刻ーー。
ーー五つに分割されし方陸大地は未曾有の危機に見舞われ、その悉くは泡沫と帰らむ。
地に蔓延りし諸種族はどう抗わんやーー?
或いは争乱を逃れ、無為の日々の末にただ滅びを受け容れんやーー?
ーー神々の去りし方陸大地に、終わりの刻近し。
されど、触レ人らの中にーー御使い在り。
世界の存続願わんば種を超え、ヒトの垣根を超え、手を携えられたし。
さすれば、未曾有の危機に抗い、世の終末を乗り越えられん。
汝らの命運を委ねられしは古の神々が創り給う、御使い也。
斯くなるは、触レ人らより生ずる〝其方〟だけーー。
ある終末文書の文に曰く、狂人の戯言
/ーー〉
俯せた姿勢で、目が覚める。
ベッドで横たわっていた筈のわたしの目には、別の光景が映っていた。
丈の短い草が並び、その向こうには林が見える。
草の葉先が、鼻先を撫でた。
ボーっとした頭でそれを眺めてると、何処からともなく声がする。
「アラアラんっ?いつまで寝ているのです?
、、随分と呑気な勇者様ですことっ!?」
寝覚め際の最中に、突然話し掛けられた。
あれーー?
ーーわたし、何してたっけ?
そう思って周りを見渡すと、そこはーー林の中でこの場所だけ整えられたような、木々の広間だった。
誰かの声を聞いたような気がしたわたしは、キョロキョロとする。
するとーー。
「こっちですよっ!」
声が聞こえた方に注意を向けると、キラキラと光が舞った。
多彩な光子が徐々に人の形を象り、小さな人形さんが現れる。
そうだったーー。
ーー此処は今、ゲームの世界だ。
わたしの前でふわりと浮かんだのは、妖精に違いない。
「ワタクシはエイミー!
アナタの、ええと、、?そうなのですっ!
〝なび〟役を務めるよう女王様に言われて来ました」
「ナビ役?
わたし、そういうの要らないから」
言い、くるりと背を向けた。
その場を離れようとすると妖精ーーエイミーはわたしの前に回り込んでくる。
「もうっ!?いきなり何なのですか!?
こっちがお行儀良く挨拶したら、まずは平伏して名乗りなさいっ!
ヒューム風情の分際で無礼なっ!?プンプンっ!」
「うるさいし、耳元で喋らないで!」
キンキンしてきた。
わたし、ゲームは好きだけどまずは一通り自分で試してみて、それから情報を集める方だ。
その為に出来るだけ事前情報には触れないようにしてきたし、せっかくの努力が無駄になる。
だから急にナビ役って言われて妖精が出て来たって、それはありがた迷惑ーー。
「ちょっといいかな?
始めだから言うけどわたし、ゲームは事前情報無しで楽しみたい方だから
、、少し黙ってて」
早くも仲良くなれない気がしたわたしは、多少キツく言った。
この手のタイプはつけあがらせると、後々面倒を起こすーー。
ーー別のゲームとかで見てきた、これまでの経験則なんだけどね。
本当の所は実際、この妖精がどうなのかは分からないけど、一目見て単純にウマの合わなさは感じた。
エイミーはプイッと面白く無さそうに距離を取り、遠巻きにこちらを見つめてくる。
そんなのは今はーー放っておこう。
少々キツく言い過ぎた気もするけど、人との関係は最初が肝心なんだよね。
そういえば、寝てる間に見たオープニングらしい映像でも種族がどうとかーー。
ーーそんな事言ってた気がするから、あの妖精がNPCだとしても、扱いには気を付けた方が良いのかもしれなかった。
でも、過ぎた事だからしょうがないし、謝れば赦してくれるかもしれないしーー。
ーー言い訳じみた考えを浮かべたまま、軽く木々の広間を回ってみる。
草を踏み締める感触や音ーー。
ーー地面から生えるその一本々々が微妙に形が違うのも、しゃがんでみると分かった。
その一本を、手に取ってみる。
〈ーー/
雑草:|耐久値:8/10|:価値:0G|
ただの草。スキルがあれば鑑定可能。
/ーー〉
「ふうん?鑑定?
持ってるのかな?」
わたしはそれを仕舞おうと思って、自分の身体を見下ろした。
簡易な格好だ。
腰に木剣が差してある他は、如何にもなファンタジー世界の服装だった。
膝まであるチュニックみたいな上着に、同じく膝程度のハーフパンツみたいなズボンーー。
ーーそんな格好の腰に木剣の差してある鞘の他、ポーチがぶら下がってる。
わたしはそれに今取った草を仕舞うと、何か無いかと思って探した。
RPGの経験はほぼ0に近いけど、拾えるアイテムは拾った方が良いことぐらい、いくら経験が浅くっても知ってる。
他にも何かないかと、ぐるりと周りを見渡した。
すぐに目に付くのはーー誰が見ても、木々の広間の真ん中だと思う。
その部分を避けるように、林で囲われたこの場所ーー。
ーー此処の中心にある、他の木々より一回り大きな樹が目に入った。
わたしはその根本に、何かを見付けるーー。
ーー近付くと、紫と緑の色合いが気持ち悪いキノコだった。
次話=>>15
- Re: 戯構築世界ノ終末戦線 ( No.15 )
- 日時: 2023/03/15 16:15
- 名前: htk (ID: Wp/04zaT)
1章〜〜第1幕、挿話その3ーーコノミの話
「毒キノコかな?気持ち悪っ、、!?
あんま触りたくないし、、?」
手に取ろうとして、止めた。
でもこれって、何かのアイテムだよねーー?
たぶん敵を毒状態にするとか、そういう感じのーー。
ーー手を止めていたわたしは少々迷った末、その動きを再開した。
貰えるものはひとまず貰っておくのが、ゲームの定石だ。
後で何かの役に立つかもしれないし、って思ってるとーー。
「ちょーっと待ちなさっーい!?」
向こうでそっぽ向いてたエイミーが、超々高速で飛んできた。
いきなり来られてもびっくりするよねーー?
「それはワタクシのっ!ワタクシが女王になる為に必要なものなのですっ!
勝手に採らないで下さいっ!?これだから野蛮なヒュームは、、プンプンっ!?」
「あ、そうなんだ、、
、、女王?」
悪趣味なキノコは無視して、訊いてみた。
ひとまず怒りを収めたエイミーは、不満そうながらも口を開く。
「そうなのですっ!ワタクシには叡智のキノコを食し、この妖精の森の次期女王となる重大な務めがあるのです!」
「なら、今食べとけば良いんじゃないかな?
、、どうしてこんなところに放っとくの?」
「それは、まだまだ生育に時間が掛かるからなのです!
叡智のキノコは大きければ大きい程、女王になった時の恩恵が増す偉大なキノコなのですっ!
だから、間違っても食べたり盗んだり紛失したりはしないで頂きたいのですっ!」
「そ、そうなんだ、、?
、、へえ」
偉大なキノコって、何だろうーー?
ーー何となくいかがわしいものを感じながらも、その話題から引いた。
このゲームってそういえば、ソッチ系の要素も充実してるーーって聞くし、案外この妖精もそういう生態なのかもしれない。
わたしが目の前の小さな姿に想像を逞しくしてると、エイミーが言う。
「ところでそろそろ説明を始めたいのですが、いつまで次期女王たるワタクシを待たせる気なのですっ!?」
「あ、待ってたんだ、、
さっきはちょっと言い過ぎて、ごめん、、謝るよ」
「急にしおらしいことですねっ!まあ、次期女王たるワタクシの覚え目出度くば、騎士に取り立てて差し上げても良いのですよっ!フフんっ!」
急に機嫌が良くなった。
まるで話に聞くーーヨイショされるとすぐ増長する会社の上司みたいだ。
勿論、わたしは学生だから例えとしてそれが適切なのかは知らないし、たぶん微妙に違うような気もする。
そんな事を思ってると、エイミーがまた言ってくる。
「そうっ!アナタの想像通り、ヒュームと妖精には種として隔絶した開きがあるのですっ!
ワが妖精族を上位の存在と見て取るその感性、なかなか悪くありませんよ?褒めて仕わしますっ!」
まだヨイショもしてないのに増長してきた。
そのあたり、やっぱり話に聞く会社の上司とは別物だ。
ってゆうか今、心読まれたよねーー?
読心術かなーー?
ーーわたしが戸惑ってると、したり顔で上位存在とやらの妖精が言う。
「フフんっ!身の程を知り狼狽えるそのザマっ、ヒュームの小娘如きにはなかなかお似合いなのですよ?」
「どうしてそうマウント取るのかな?
、、そういうNPCなの?」
何気無く訊いたつもりだった。
でも、その発言は少し迂闊だったように思う。
ほらーー?
よく海外で日本人がジ〇ップなんて呼ばれるのは、馬鹿にされてるからだって聞くよねーー?
ーーこのゲームの世界でもそういう設定、ってゆうか文化なのかがあるとは思わなかった。
つまり、今ーー。
ーー激怒に顔を染めた妖精が見る見る内にそのサイズを大きくしていく。
「よくも、、
、、よくもまあっ!?〝えぬぴいしい〟などと古来っ、土民を意味した暴言が吐けましたねっ!?
己の矮小さを知り、潔くその身を冥陸大地へ沈めなさいっ!
、、愚鈍で野蛮なヒュームの分際如きがっ!?」
言われたわたしはこうーー。
ーー巨大化したエイミーの足裏でプチっとヤラレタ。
ドスンっとーー。
ーーこういう経験は誰にとっても一生に一度きりの筈だけど、うっかり失言したわたしは生まれて初めて死を体験した。
「ごめんなさい、、」
まさか一生に一度の経験をするとは思って無かったけど、このゲームーー割と理不尽だ。
わたしは今ーー土下座の体勢で元のサイズに戻った妖精を伺ってる。
窺うーーじゃなくて伺う、だ。
このあたりに言葉のニュアンスを感じて欲しいぐらいには、わたしはこの妖精にビビってた。
辛い姿勢に耐えたその甲斐もあってか、やっと機嫌を直したエイミーが言う。
「、、まあ、良いでしょう」
いつものキンキン声じゃないあたりにこの妖精の内心が伺えるけど、そのあたりには深く突っ込まない。
次いでにいうと死んだ筈のわたしはついさっき、少し離れたところにあるメモリアル・クリスタルーー所謂、セーブポイントで復活した。
死に戻る仕様らしいーー。
ーーこれで、一度死んだらキャラクターロストするとかそういうタイプのゲームだとお終いだったけど、その手のタイプじゃなくて良かったって思う。
せっかく作成したアバターがいきなり使えなくなるとか、流石のゲーム好きのわたしでも暫くは立ち直れそうに無いしーー。
ーー頭の中でグダグダと考えてると、エイミーは元の調子を戻して言う。
「まあっ?そう畏まらなくてもよろしいのですよ?
何せワが妖精族は数多居る諸人種の中でも上位種に包括される種族なのですから!フフんっ!
、、だから心に妖精の偉大さを認めた者には、寛容であれと母様も仰っていたのですっ!」
「そ、そう?
、、ならお言葉に甘えて」
ようやく足が痺れて動けなくなりそうな姿勢から解放されると、わたしはその上位種に訊く。
「それなら、その説明とか?
、、なんかそういうの始めて欲しいかな、みたいな?」
「フフんっ!これでようやくワタクシも役目を果たせるのですねっ!
まずは古えの呪言、〝すていたす〟と声高に叫ぶのですっ!」
「す、ステータスっ!」
言われた通りにした。
ここでまた機嫌を損ねて、死に戻りしては無駄も良いところだ。
若干の気恥ずかしさを抑えて、その古えの呪言を口にするとーー。
〈ーー/
名前=コノミ
種族=ヒューマン
年齢=15歳
資格=《勇者》《蹴士》
称号=〈初代勇者〉
〈妖精の弟子〉 new!
職業=【無職】
生命値(LP)=66/66
通力値(TP)=35/35
在命値(PP)=??/??
膂力値=28
頑強値=19
知性値=15
精神値=23
敏捷値=29
技量値=20
運命値=34
主幹コマンドスキル=
《勇者道》┳〈聖装決壊氣〉
ーーーーー┣〈人助け〉
ーーーーー┣〈勇者の徴収〉
ーーーーー┣〈勇気への誘い〉
ーーーーー┣未開〈?〉
ーーーーー┣希少〈妖精師事〉 new!
ーーーーー┗固有〈天剣技〉
《蹴士道》┳〈蹴術〉
ーーーーー┣未開〈?〉
ーーーーー┣未開〈?〉
ーーーーー┗未開〈?〉
派生コマンドスキル=
〈聖装決壊氣〉━表示 off
〈天剣技〉━表示 off
〈妖精師事〉━表示 off
〈蹴術〉━表示 off
/ーー〉
目の前に半透明の表示が浮かんだ。
これぐらいはRPG初心者のわたしでも、何となくは知ってる。
何かの小説を原作にしたアニメでも似たようなの見た事あるし、これが定番ーーってゆうものなんだと思う。
それにしてもなんか、スキル多いよねーー?
職業も勇者だし、プレイヤーはみんなそうなのかなーー?
ーーちょっと疑問に思ったけど、何か他にも色々と突っ込みどころが多かった。
〈妖精の弟子〉とか〈妖精師事〉とか、内心言いたい事はある。
でも、今はまだーー雌伏の時だ。
どうしてゲームでこんな情けない思いをしなきゃいけないのか分からないけどーー。
ーー少しデキる人がみんな、実は隠れてコッソリこれ系をプレイしてたのか、って思い至ったわたしはその後もキンキン煩い妖精の話を聞いた。
こっちが浮かべた疑問に逐一、まだ訊いてもいないのにエイミーが答えるの繰り返しーー。
ーーって言ってもそれは最低限で、詳しい事はメニューから閲覧出来る掲示板で探れ、って事だった。
何故かある某チャンネルみたいなものでの情報収集を勧められ、その通りにする。
そうーー。
この時のわたしはそれが波乱の始まりとも気付かずにーー。
次話=>>16