二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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聖剣伝説 レジェンド・オブ・マナ〜プロローグ(3)〜
日時: 2013/03/09 23:19
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: KZXdVVzS)

こんにちは〜〜!

もうひとつの二次板で、他の作品進行中ですが、ちょっと魔が差し、もう一本書いてみようかなぁ、と。。。

少し、というかだいぶ古いゲームです。1999年発売 by スクエア(スクエアとエニクスが合併する前!超重要)

たぶんこのサイトで知っている人殆どいないでしょうねぇ。

 タイトルはそのまま、サブタイトルはありません。
 オリキャラは、、、、いません。
 誰のストーリー書くのかといえば、『聖剣伝説 レジェンド・オブ・マナ』のゲーム中の物語そのままです。

 ゲームの進行にできる限り忠実に、物語を書いていく予定です。
 つまりゲームのノベライズという感じです。

 しかし、やはり原作がゲームなので、真っ正直にそのまま文章に落とし込むと、恐るべき短編になってしまうので、原作中でマナの愛が不十分と思われる部分は、拙者が盛大に妄想し、物語を補っていこうと思います。

 物語の時代考証に誤りがありましたら、気兼ねなく指摘してやってください。できる限り忠実に進めたいので。。。

 ってことで、最初にアップするのは、主人公選択直後に流れるオープニングムービーの部分です(そこからかよ、とツッ込んでいただけると有り難し)

ここは、台詞もないし、抽象的な場面ばかりなので、さっそく大いに妄想力が噴出しています。
 なので、LOMに特段の想いがある方は、世界観の相違について相当覚悟してお読みになるか、拙作を避けられたほうがよいかと思います。。。。


じゃっ!!


〜〜目次〜〜
プロローグ:(1)>>1-5
      (2)>>9-10
      (3)>>12-16

修正告知用SS その1:>>8

Page:1 2 3 4



聖剣伝説 レジェンド・オブ・マナ ( No.1 )
日時: 2013/01/26 17:20
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: KZXdVVzS)

聖剣伝説 レジェンド・オブ・マナ

〜プロローグ〜

 深更の夜空が俄かにあかく染まる。直後、無数の断末魔の叫び声が大地を轟かせる。巨龍に姿を変えた悪魔の王が星の消え失せた大空をゆっくりと羽ばたきながら旋回している。巨龍の円の真下には、数棟の尖塔が悪魔を突き刺さんとばかりに聳え立っている。
 巨龍は尖塔の群れの周囲に微塵の隙間もなく張り巡らされた結界が弱まる瞬間を虎視眈々と窺っていた。結界の外は数日のうちに地の果てまで焼き払われた。山は崩され、湖は透き通った水の代わりに人間と魔物の血が溜まっていた。結界の張られた尖塔の群を遠巻きに取り囲むように無数の小高い丘があった。だがその丘は大地の精霊を生み出す土ではなかった。どの丘もところどころに赤や茶色の水たまりのようなものができている。丘の正体はうず高く積み上げられた僧兵達の骸であった。

 世界の信仰の聖地ガトは今、崩落の瞬間ときを迎えようとしていた——。


「私があの人のもとに参りましょう。そうれすれば——」大地が吹き飛ばされる轟音の隙間を巧みにすり抜け、しゃがれた老婆の声が彼女の前を固める瑠璃色の防具を身に付けた僧兵の大きな耳に伝播する。
「だめよ!あなただってわかってるでしょう?あいつはあなたを奪うだけでは満足しない。あいつの目的はこの世界のあらゆる信仰を消滅させること。そうしなくては、あなたを束縛から解放できないと思い込んでる。こんなときに!騎士団が帰ってこない。どうしたっていうのよ!」

 先ほどの声とは好対照な、突き刺すような響きが、間髪いれず老婆のもとに返ってきた。ガトの寺院のテラス仁いる二人の遥か下では、寺院に張りめぐらされた結界を破ろうと、小さな尖塔と肩を並べんばかりの巨木の姿をした魔物たちが突進を繰り返すかたわらで、妖しげなオーラを放つマントに身を包む魔導師たちが無数の巨大な火の玉をつくり出しては、引っ切り無しに投擲をしている。

 悪魔の王アーウィンが引き連れてきた夥しい魔獣どもの軍勢は、一騎当千と誉れ高いガトの聖騎士単騎の能力を鑑みても、聖騎士団全軍の戦力をはるかに超えている——斥候の兵士らの情報から騎士団団長が出した結論だった。それでも、ガトの信仰に対しことさらに敬虔な聖騎士団は、神の御加護による勝利を露ほども疑うことなく、寺院に迫る眷属の群れを前線で壊滅させようと息巻いて飛び立っていったのである。
 だが、聖騎士団が未だに帰還せず、代わりに魔王の軍が大挙をなして押し寄せてきている。この事実の意味するところはただ一つ、そのひとつ以外に疑いようがなかった。
 総本山への侵攻を食い止めようと、寺院のほぼ全ての僧兵が出撃したが、ガトの創成期から総本山の近衛を任されてきた精鋭の聖騎士団を打ち砕いた魔王の軍に手も足もだせず、急遽僧兵たちを退却させ、寺院全体を結界で覆い、籠城を決めこんだのである。だが、辛くも寺院に帰還した僧兵たちもほとんどが満身創痍、上空の巨龍には気づかれていないが、僧兵たちの張る結界は既に所々に小さな穴があき始めていた。

——だめだ、もう、結界が持たない。

 老女を守る僧兵が思わず唇を噛み締め、天を仰いだ。祈りを遮らんとばかりの漆黒の曇天は、さらに重たさを増し、下界との距離をつめている。双眸の目尻から悔恨の塊りが小さく煌く。
「なぜ、何故我々がこのような報いを受けなくてはならないのですか!我々の信仰に、一片の曇りがあったのでしょうか…。マナの女神よ、どうか、お答えください!そしてふたたび我々をお導きください!」
 その瞬間、僧兵の後ろで何かが動いた。
「アーウィン!…私は、ここにいます!もう無益な殺生はおやめなさい!」
 老女が到底上空の巨龍に届くとは思えないかすれるた声で天に向かって叫ぶと、突如老女と巨龍を隔てている青みがかった半透明の結界の層に波紋のようなゆらぎ広がり、直後に大きな穴がぽっかりと口を開けていた。
 神がガトを滅ぼそうとしている、そう思い込んだ僧兵が声を失い、呆然と空を仰いだのも束の間、弾けるように僧兵が後ろを振り返ると、赤茶色のベールに覆われた銀髪が数分の歪みのない半円を描いて広がっている。双眸は周囲の惨状を忘れたかのように静かに閉じられ、穏やかな笑すらうかべている。
 ガトの信仰を統べる聖女、マチルダの思いもよらぬ暴挙に、瞬く間に僧兵の顔か蒼白になる。
「マチルダ何を!」
 僧兵が駆け出すのと、巨龍が垂直降下を始めたのは同時だった。巨龍が左の眼球をぐるりとまわし、蒼い防具を身に付けた僧兵を認めると、すかさず僧兵と聖女の間のわずかな隙間に閃光を墜とし、彼女を牽制した。閃光に反応し、僧兵が真横に飛びのき地面に倒れ込んでいく。涙をいっぱいに湛えた大きな瞳は片時も老女から離れることはなかった。老女の名を絶叫する声が、大気を切り裂いた。
 上空で何かが煌めいた。奈落の雷か——。
 左の頬から否応なしに石畳の冷たさが伝わってくる中、助かるはずも無いにもかかわらず、一撃に備えるように体をちぢ込ませ、大きな耳を閉じた。だが、すぐには雷鳴が聞こえなかった。
 尼僧が再び目を開いた。
 巨龍は既に結界の内側に入りこみ、聖女を奪い去ろうと勢いを保ったままガトのテラスに突っ込もうとしている。さきの天空の煌きが一気に大きさを増す。光に続き音がする。人の声だった。それは尼僧、聖女、そして悪魔の王までもが幼き日から何度となく聞いたことのある声だった。
「アァウィーン!」
 光の点が円になり、白き彗星のごとく長く壮麗な尾をひいている。彗星は一気に巨龍との差を詰めた
。尼僧が目を瞠った。彼女の大きな瞳が煌めきで埋め尽くされ、溢れた。
「エスカデ!」
 二人の声に反応し、巨龍が体を翻したときには既に決着がついていた。ガトの聖騎士エスカデが、白銀の鱗を纏うスカイドラゴンを駆り、上空から垂直降下させると、結界に突っ込む手前でスカイドラゴンが離脱、エスカでは背中の大剣を下につきたてたまま、魔王の背中に突っ込んでいったのだ。
 体の正面を顕にした巨龍の胸の中央に剣の柄が埋もれるほど、深々と突き刺さっていた。聖なる光が巨龍の全身を覆う分厚いうろこの隙間から漏れだし、ついには巨龍の深紅の瞳からも光が漏れだすと、悪魔の王の魔力が急速に失われていった、ドラゴンの変身が解け人の姿に変わるのと、老女と尼僧のいるテラスに激突したのは同時だった。
「エスカデ、アーウィン!」
 駆け寄る尼僧と老女を一瞥だにせず、先に立ち上がったエスカデが、悪魔の王の胸から乱暴に聖剣を引き抜く。激痛にアーウィンの目玉が裏返んばかりにぐるりとまわり、絶叫が空気を圧倒する。尼僧が老女の目を背けさせようと、彼女の胸に抱き寄せる。それでもなお、エスカデの憤怒の相は微塵も崩れることはなかった。
 悪魔は胸を突き刺したくらいでは死なぬ。決して消滅させることはできぬ。人間にできることは、首と胴を断ち、崇高なる信仰を以て奈落に封印するまでが限界だ。
 まだ気を失っている悪魔の頚をめつけ、エスカデが聖剣を振りかざそうと、おもむろに右腕を持ち上げる。

聖剣伝説 レジェンド・オブ・マナ ( No.2 )
日時: 2013/01/26 17:22
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: KZXdVVzS)

「マチルダ…」僧兵の声に、アーウィンの喉元に釘づけになっていたエスカデの視線が動いた。
 僧兵の介抱から解かれた老女が、エスカデに近寄ると、聖剣をもつ彼の丸太のような右腕に、枯れ枝のような細い左手を静かにあてた。重たく被さる左右のまぶたをかすかに押し上げ、若者を諭すようにゆっくりと頸を左右に振った。
 エスカデが地鳴りのようなうめき声を上げ、暴発しそうな感情に腕を打ち震わせつつも、慎重に聖剣を下ろす。それを見計らったかのように、悪魔が落ち着き払った表情で瞳を開き立ち上がる。
「なぜだ、マチルダ」
 エスカデが問い詰めるように睨みつけるが、老女はエスカデの瞳を見据えたまま頚を横に振るばかりだった。再びうめき声をあげるエスカでを横目に、アーウィンがまだ虚ろな意識のまま、よろめきながら立ち上がった。だが、そのあかい眼は、歯がゆさに歪められた聖騎士の顔をしかと捉えていた。人の姿を為す悪魔の王が老女を引き寄せる。
「行くぞ、マチルダ」
「待て!」
 聖剣を突き出そうとするエスカデに、魔王が自身の手前に老女を出す。
 卑劣極まりない仕打ちに、エスカデが怒りのあまり、持ち上げた剣を下ろすことも忘れ、立ち尽くした。これみよがしに魔王が満面の笑みを浮かべた。
 燃え盛るような炎の色の体毛に覆われた悪魔の左腕が老女の左肩に伸びる。対峙する二人のやりとりをじっと見届けていた尼僧が、密かに右腕を後ろに回し、腰に携えたダガーに右手を忍ばせた。
——あわよくば刺し違えても…。
 老女が左肩をしなやかに手前にわますと、魔王の左手をやんわりと拒否した。アーウィンが瞠目し、ベールに覆われたマチルダの頭を見た。老女がそのままくるりと体を翻し、魔王と向き合う形になる。伏せていた顔を持ち上げると、ベールの奥の彼女の顔があらわになった。老女の目は見開かれた悪魔の王の瞳を見つめたまま、皴に覆われた顔をさらに皴で覆い、平和に満ちた、穏やな笑みを浮かべた。魔王のあらゆる感情を包み込んでしまうかのように。そして、子供に囁きかけるように悪魔の王に訊ねた。
「私が一緒に奈落に参ります。そうすれば、皆さんを、いえこの世界に手を出さないと誓っていただけますか」
 聖女がたおやかに頸を右にかしげる。齢のあまり、彼女の声もたたずまいも力がなく、魔王と対等な駆け引きなど、望めることではなかった。
「俺は俺の思ったままに動くだけだ。誰の束縛も受けぬ」
 老女が困惑したように唇を固く締め、少し視線を落とす。そして彼女の視界の上の方に被さるベールの奥から、深緑の瞳で悪魔の王の瞳を串刺しにするかのように睨みつけた。幼少のころから朴訥でおとなしかったマチルダが時折見せる、強気意志の彼女。聖女マチルダの意識が魔王の眼前に佇む老婆の上に舞い降りていた。
「だめです」
 急に語気を強めた彼女の声に、魔王が訝しげに眉を寄せる。
「いまここで、私とエスカデ、そして——」
 しなやかに左を一瞥する。
「ダナエの前で誓ってください」
 アーウィンが顔を引きつらせ、乱暴にマチルダの両肩を掴む。小さな悲鳴とともに、老女の体が柳の枝のごとくゆらりと魔王の胸のなかにうずもれる。
「マチルダを放しなさい!」
 叫び声とともにダナエが突進してきた。アーウィンが瞬時に結界を張り、尼僧を枯れ葉のように吹き飛ばした。
 ダナエと入れ替わり様、聖剣に全体重をのせたエスカデの突撃し、アーウィンの結界を破った。アーウィンが咄嗟に頸の前に左手をかざしたがそれさえも貫かれた。だが聖剣の切っ先が悪魔の王の頸の皮に小さな傷を刻んだところで、エスカデの突撃は止められた。そしてエスカデもアーウィンの魔力によって弾き飛ばされた。
 アーウィンが改めて胸の中の老女を見下ろすと、恐怖で冷え切った彼女の右手が、小刻みに震えながら己の右腕を掴んでいる。赤茶色のベールに遮られ、マチルダの表情をうかがうことはできないが、ベールからややはみ出た彼女の毛髪は、輝きを失った白髪ではなく、かつて、アーウィンが彼女から魔力を奪い去る前のあかがね色をしていた。
 俺の魔力に触れ、マチルダが本来の姿を取り戻したか。
 アーウィンが口角を持ち上げ、輝きを取り戻した豊かな髪をベールの上から愛おしそうに撫でると、彼女の体を優しく胸に抱え込んだ。
「マチルダ、行こう」
 何もなかったはずのアーウィンの背中から漆黒の翼が姿を現し、飛び立とうと腰を落とした。その瞬間、マチルダの右手の震えが止まった。未だに胸にうずめている少女の様子を窺うことができない。悪魔の王の脳に直接、透き通るような声が響き渡った。
「アーウィン、誓っていてだけないのなら、わたしは——」マチルダがそう言い放つと、彼女の右手が不穏な光を帯び始めた。風もないのに俄かにベールがはためき始めた。
 途端に悪魔の全身の骨が軋み、肉が裂けるような激痛が彼を襲った。アーウィンが激しく呻きながら、少女の右手を引き離そうとする。だが彼女の右手が己の右腕にこびりついたように密着し、引き離すことができない。光が強くなるほどに苦痛が苛烈さを増していった。まともに言葉を発することもままならない中、声を絞りだす。
「マチルダ!何の真似だ!」
 顔一面にしわを刻みうっすらと開いた瞼越しに少女を睨みつける。その眼球も今にもまぶたを越えそうなほどに飛び出している。
 少女を包んでいるローブが壮麗な円を描き、激しく音を立ててばたついている。ベールは完全にはだけ、あらわになったマチルダの顔は蒼白で左右の深緑の瞳は激情に震え、燃え盛るような眼光を放っていた。「わたしは、友を、信仰をそして世界をこれほどまでに壊してしまったあなたを許しません」
 聖女の右手が力を増し、さらに残酷な光が迸る。アーウィンの絶叫がガトのの一帯を埋め尽くした。
「さあ、奈落にお戻りなさい。そして永遠に奈落から出られぬよう、あなたは自らの魔力をもって封印されるのです」
 皿のように見開かれた悪魔の王の眼球に網目のように無数のどす黒い血管が浮き出ている。悪魔の王の全身から力が抜けていくにつれ、聖女がかつてないほどに強烈な輝きを帯びていくのを、否応なしに見せつけられた。

「謀ったな、マチルダァ!」

 一層激しさをます悪魔の王の悲鳴に混じり、ほかの轟音が四人の周りに響いた。そして彼らの居る地面が小刻みに震えた。
 アーウィンの一撃で意識が朦朧としているエスカデとダナエがかろうじて上体を起こすと、マチルダたちに細心の警戒をはらいつつも周囲を見回した。最初はガトの寺院が崩落を始めたのかと思ったが、寺院の外壁に大きな変化は見当たらなかった。入口を固めている僧兵の結界もなんとか魔物たちを堰止めている。テラスの付近にいた何人かの僧兵は、上方のテラスの異変に気付き、聖女とダナエの名前を叫びながらこちらに向かっているようだった。


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