二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ダンガンロンパN Brand New Despair
- 日時: 2016/03/01 17:12
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: cWF1aDDB)
みなさんこんにちはこんばんは 初めましての方は初めまして。バタフライと言うものです。
ダンガンロンパの続編の開発決定。そしてアニメーションも制作&放送決定と、
一時期とある事情により冷え込んでいたダンガンロンパ熱が回復したため、今回の小説を投稿致します。
この小説は、ゲーム「ダンガンロンパ」をモチーフにした小説です。
注意点がいくつか。
1 元ネタとなったゲームの都合上、グロテスクなシーンや殺人のシーンがある
2 ダンガンロンパシリーズ(特に1.2)のネタバレが多数入っている
3 「絶対絶望少女」はプレイしていないためそのネタは出せない
4 この小説自体が前作、「絶望の牙と希望の花」のネタバレ
5 更新停止した作品「ダンガンロンパ2 Lost memories」の設定も少しだけ踏襲
前作を見なくても一応楽しめますが、ついていけなくなっても、僕は責任を取れませんので悪しからず。
それでも大丈夫!という方はごゆっくり、お楽しみください。うぷぷぷぷ……
登場人物紹介
>>1
prologue ようこそ 地下都市ジェネシスへ
>>2 >>5-6 >>7-8 >>9 >>10-11 >>12
2016 1/26 タイトルの1部を修正
返信のRe:を含むとなると、なんとタイトルに30文字以内で入りません(滝汗
申し訳ありませんが、これからタイトルはNextの頭文字を取って「ダンガンロンパN」とさせていただきます。
……投稿する前に気付けって話ですよね。本当申し訳ないです……
コメント返信
風死 様>>4
- Re: ダンガンロンパNext Brand New Despair ( No.3 )
- 日時: 2016/01/26 14:19
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: B594orir)
こんにちわ、始めまいて。
超高校級メンバーが個性あって良いですね^^
さて、3の発売が決定しましたが、どのような超高校級が出てくるのか。
楽しみですね。
- Re: ダンガンロンパN BrandNewDespair ( No.4 )
- 日時: 2016/01/26 13:47
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: cWF1aDDB)
>風死 様
ご感想、ありがとうございます!
はい。初めましてですね。今後とも宜しくお願いします。
>超高校級メンバーが個性あって良いですね^^
手当たり次第に「何かいい才能はないかな〜」と思って選んだだけなので、そのような言葉をいただけるとありがたいです。
このキャラたちがどんなストーリーを描いていくのかをぜひ楽しみにしていただければ、と思います。
>さて、3の発売が決定しましたが、どのような超高校級が出てくるのか。楽しみですね。
公式サイトを見てもまだ何も載っていませんからね(汗
まぁ今年中に出るらしいですし、楽しみにしていましょう。
ご感想、ありがとうございました!
- prologue ( No.5 )
- 日時: 2016/01/28 08:59
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: cWF1aDDB)
「ところで……」
暗い道を歩いている最中、私はつい気になって聞いた。
「寺本と島津の{幸運}と{不運}とはどんな才能なんだ?」
「え?いやぁ。あたしはただ単に、なんの才能もないよ」
ん?と、私が視線を送る。
「単に数ある人の中から{寺本 遥}って言う女の子が選ばれただけ。
……って、女の子って年齢でもないか」
「希望ヶ峰学園の幸運枠っていうのは門外不出なんだ。選ばれた奴にしかわからないし、
それ以外の人物が幸運枠の素性を知ることはできない。
まぁ、俺は不運だから隠されることもなかったけどな」
寺本ははにかんだように笑う。
「そういや島津の不運ってどんなのなの?」
「簡単に言うと……」
その時だ。
バシーン!
「!?」
島津、顔面レシーブ。
「ごっめ〜ん!」
「……こんな……ことだな」
「ちょっ鼻血出てるわよ!しっかり!」
そこへ、背の高い体操服姿のやや明るめな茶髪のポニーテールの女が走ってくる。
「自分何しとんのや!やからこんな場所でバレーの練習とかやめとけ言うたんや〜!」
同じく背の高い銀色の髪の男も走ってきた。
「走り込みだけで済ませなさいよって言ったのに、またやってるの泉?」
「あはは……つ、つい……」
「なんべん言うても話聞かへんのよ……ま、無理もないかも知れんけどな。
こいつからバレー抜いたら……」
ジ〜……
「……」
バシッ!
「いだ!」
「おっぱい見るな!」
「あ〜、きっつ〜」
と、泉と呼ばれた女はこちらを見て。
「あ、その子は?はるはるが?」
「うん。ついさっき助けだしたの」
「ほぉ〜。女の子やったんか。んじゃ、自己紹介せなな。
わしは千堂 剛(せんどう つよし)ほいで、こっちのおっぱ」
バシッ!
またビンタ。
「ごほん……あたしは杜若 泉(かきつばた いずみ)。
{超高校級のバレーボール部}よ。よろしくね」
二人を見て、私は頷いた。
それにしても……杜若はものすごくスタイルがいい。
千堂が散々言ったとおりの大きな胸、引き締まった足にすらっと伸びた全身。
超高校級のバレーボール部といっても、特に違和感はないレベルだ。
と、杜若は右手を出してきた。
「え?」
「ほら、握手はスポーツマンシップの基本」
「あ、あぁ……よろしく頼む」
そして杜若の右手を握る。
「ま、泉は本当にすごいんだよ。廃部寸前のバレー部を再建させたし、
その強烈なスパイクはプロの男性選手でも受け止めるのが難しいって言われてるしね」
「ありがとはるはる。えっと……」
私の方を見つめる杜若。
「私は……ツバサと呼んでくれ。何も記憶がなくて、自分が誰なのかもわからないから……
寺本がつけてくれた、この名前で呼んでもらって構わない」
「うん。じゃあ……ばっさんでいい?」
「ばっさん……?」
「ニックネーム。その方が固くないでしょ?あたしはいずみんでいいからさ」
……何故か杜若が期待に満ちた目で見てくる……
「あ、あぁ……だけど私はあまり砕けたのは苦手だから、私は杜若と呼んでいいか?」
「うん。なんでもいいよ。じゃ、改めてよろしくね。ばっさん」
次に私は、千堂の方を見た。
「あ、わし?わしは一応{超高校級のストライカー}って呼ばれてます。なかよ〜したってや!」
ストライカー……つまりサッカー選手だ。
「まぁ……こいつはワールドカップのU15の優勝選手でもあるとおり、サッカーの腕は折り紙付きだな」
と、鼻にティッシュを突っ込んだ島津が言う。
「ツバサって言っとったなぁ。ツバサはスポーツとかやったことあるんか?」
「……」
「ちょっと千堂。ツバサは何も覚えてないって言ってたでしょ?」
寺本が呆れたように言うと……
「あ、す、すまん!わし……デリカシーなさすぎやな」
「いや、私は構わないが」
「ま、これから長い付き合いなりそうやし、またよろしゅうな」
と、挨拶もそこそこに、千堂は走り出した。
「どこに行くんだ?」
「筋肉フラストレーションたまっとるから、ちょっと走ろうかなって思うんよ〜!」
「あ、付き合うわ千堂!待って〜!」
……嵐のように、この二人は去っていった。
「……行こっか」
「あ、あぁ」
「悪い。まだ鼻血止まらねぇ」
「汚いわね!」
いや、そこは同情してやれ……
最初に見えた扉を開けると……
「なんだ?」
そこは書庫のようだった。
「……」
そこに、フードを目深にかぶった少女。……少女……で、いいんだよな?
とにかく、フードをかぶった少女が小説を読んでいる。
「……」
「まだここにいたのね。あきら」
「……」
無言だ……
「じゃあ、そのまま聞いてくれ。私はツバサ。……まぁ、この名前は寺本がつけてくれたんだけど……」
「……」
「ツバサ、ここへ来るまでの記憶を全部無くしてるみたいなの。だから、もしよかったら支えてあげてね」
「……」
こくりと頷いた。
「お前から自己紹介しないと、ツバサが困るだろ?」
と、島津。……まだ鼻血が止まらないようだ……
「……弓形 あきら(ゆみなり ー)……」
弓形という名前らしい。
「念のため聞くけど、女の子……だよな?」
「うん。色々な推理小説や恋愛小説なんでもかける、{超高校級の小説家}だよ。
{紅に染まる時計台}は全世界で500万部を超える大ベストセラーらしいわ。
まぁ、あたしは小説読まないから何とも言えないんだけどさ」
「俺は読んだことがあるぞ。眠くない時に読むと最適だからな」
それは褒めているのだろうか……?
「とにかく、これからよろしく頼む」
と、私が言うと、弓形は何も言わずこくりと頷いた。
どうやら、本を読むのを邪魔されたくないのだろうか……?
「……じゃ、次ね」
と、寺本が言うので、私はそれに従うことにした。
- prologue ( No.6 )
- 日時: 2016/01/26 19:44
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: cWF1aDDB)
書庫を出て、突き当たりを曲がると、わかりやすく……
HOTEL THE FUTURE
と、書いてある場所にやってきた。
「ホテル……?」
「うん。ここはさっきは調べてなかったけど……入ってみる?」
中に入ったが、そこはホテルと呼べるほど明るくなかった。
「おや?」
と、そこにスーツを着た青髪の男が座っていた。
「寺本様、島津様、またお会いしましたね」
「黒峰。そっちは何かわかったか?」
「いえ、先ほど千葉様、谷崎様と共にこのホテルを探索いたしましたが……
わかったことはただひとつ。まだ何もわからない。ということでございます」
「そっかぁ……しょうがないよね」
黒峰と呼ばれた男は、私の方を向く。
「ところで、そのお方は?」
「あたしがカプセルの中に入ってるのを助けたの。……でも、記憶をなくしてるみたいで……」
「……とりあえず、私はツバサと呼んでくれ」
私がそう言うと、黒峰は立ち上がり……
「わたくしは黒峰 渚(くろみね なぎさ)。どうぞお見知りおきを」
と、胸に手を当てて言った。
「葛城っていう超資産家の家で執事をしているらしくてな。
世界のベストオブ執事にも、5年連続で選ばれたんだそうだ」
5年連続……ということは、小学生ぐらいの頃から執事を任されていたということになる。
……確かに見るからに冷静そうだ。
「して、ツバサ様、喉はお渇きになっていませんか?」
「え?……あぁ。言われてみれば」
「どうぞ。先ほど紅茶を入れたところです」
「……どうしてわかった?」
「執事たるもの、常に敏感であれ。皆様の僅かな体調変化も見逃すわけには参りません」
出された紅茶を手に取る。砂糖、ミルクはいらないといい、そのまま飲み干した。
「寺本様、島津様もどうぞ」
続いて寺本と島津も受け取る。島津は……
「あ、砂糖余っているな。ついでに入れてくれ」
どうやら甘党のようだ。
「でもよく紅茶なんてあったわね。こんな場所に」
「紅茶以外にも、食料はちゃんとありました。わたくしたちがしっかり食べて生きるのに、遜色ないほどには」
「どういう意味だ?」
島津がそう聞くが、黒峰は二回首を振り、
「わたくしは申したはずです。{まだ何もわからない}と」
「だよね……」
紅茶を飲み干したあと、大食堂へ。
……確かに広い。
豪華な電飾もあり、今までの場所とは世界が違う印象を受ける。
「馬鹿者が。汝がごとき汚れた体で、神聖なる食材に触るでない」
「だ〜か〜ら〜!どういう意味か教えてくれよ!」
厨房から、言い争う声が聞こえる。
「どうした?」
私が厨房に入ると、
「貴様のようなものが食材を触るな。そう言っているのだ」
「わかるように話してくれよ〜!」
薄い水色のツインテールの女と、黒色のいがぐりのような髪の男が言い争っていた。
「どうしたのよ涼子。それに谷崎も」
「あぁ、寺本さん。それが……千葉さんと一緒に厨房に来て、いろいろ散策しようとしたら……」
「何故、我が忠告を聞かぬ。このまま汝は地獄へ飲まれたいのか?」
「だ〜か〜ら〜!」
谷崎と呼ばれた男は理解していないようだが……
「おそらく、{手を洗っていないのに食べ物に触るな。食べ物を大事にしない人は許せない。
そんな風に手を洗わずにいると、いつか腹を壊すぞ}と言っているはずだ」
(何故か)私には理解できた。
「ほう?我が言霊を理解せしものが、ついに現れたか」
「……!」
「かいつまんで意味を整理しただけ」
その時だ。
「君は!」
「えっ……」
「日本神話に登場する神、思兼命(おもいかねのみこと)を知っていますかぁ!?」
「なっ何を……」
私が言っても、谷崎はひたすら続ける。
「高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)の子とされるが、常世の神とする記述もある日本の神のこと!
あ、名前の{おもひ}は{思慮}って意味で、{かね}は{兼ね備える}の意味があって、
{数多の人々の持つ思慮を一柱で兼ね備える神}の意を持つ。思想や思考、知恵を神格化したものと考えられているんだ!」
「……そ、それがどうしたんだ?」
「君はその思兼命に見えたんだ!その優れた推理力と思慮、まさに……」
寺本が咳き込む。
「あのね、言い忘れてたけど、ツバサは今目覚めて間もないの。そんな子にいきなり何吹き込もうとしてるのよ」
「え?……あっあぁ。ごめん」
……地味に続きを聞きたかったのは内緒だ。
「自己紹介が遅れたな。俺、谷崎 翔馬(たにざき しょうま)よろしく。
あ、肩書きは{超高校級のオカルトマニア}だ」
「ふむ、汝は我が真の名を名乗るに足る相手だな。
我が名は千葉 涼子(ちば りょうこ)。{すべて超えし、食事を分け与える者}」
つまり、{超高校級の給食委員}ということなのだろうか。
「二人共、随分変わった性格の持ち主だな」
「まぁ……涼子は特にね。でも涼子、食事の腕は確かだし、栄養とかをちゃんと考えて提供するのよ。
不健康に喘いでるアフリカの村を救ったことだってあるらしいわ」
この姿からは想像もできないが……
「で、谷崎は……」
「……」
「ま、要するに物知りってだけだろう?」
「なんでそうなんだよ!もっとフォローしてくれよ!」
私も正直オカルトに興味はない……
「して、ツバサとやら。汝はどういった者を好み喰らう?」
「好きな食べ物……か」
じっと考える。
「ツバサ、大丈夫?思い出せるの?」
「え?思い出せるって……寺本さん、どういう意味?」
「実はツバサ……」
寺本が説明しているが、私の目の前に……
「?」
男……の影が、私にクッキーを手渡している姿が見えた。
「……クッキー?」
ついそうこぼしてしまう。
「ほう。クッキー」
「えっ」
「口調と違って女の子っぽい奴が好きなんだなツバサさんって」
すると千葉は笑顔になって、
「では、今から生成するゆえ、完成したらば汝に喰らうことを許そう」
「あ、あぁ。ありがとう」
先ほどの男は一体……そう、寺本や島津に聞くが、
「男?いや、谷崎と島津以外にここにはいないわよ?」
「俺も見ていないな。記憶の混同でも起こったんじゃないのか?」
「……」
その言葉にも一理ある。
千葉に「クッキーは後で貰う」と言ったあと、私たちは厨房から出た。
- prologue ( No.7 )
- 日時: 2016/01/30 22:46
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: cWF1aDDB)
食堂に戻ると……
「……?」
私はなにか気配を感じた。
「どうしたの?」
「気配?……さぁな」
「……」
私はゆっくりと、食堂のテーブルクロスをめくる。
「ちょっ何してるのツバサ」
すると……
「あっ」
「……」
中に少女がいた。まとまった焦げ茶色のショートヘアに、将校が着ているような服装でバッチリと決めている。
……バッチリ、という割には身長が足りないが。でも弓形よりは大きい。
話を戻す。その少女は私を見ると……
「……」
なぜか睨みつけるように、威嚇してきた。
「えっ?あの……」
「……あ、えっと……もしかして寺本氏の言っていた、女の子でありますか?」
「そうだが……」
「やっぱり!」
すると少女はテーブルの下から出て、いきなりビシッと敬礼をした。
「御手洗 茜(みたらい あかね){超高校級の参謀}であります!
ふつつかものですが、よろしくお願いいたします!」
声が大きい……
「こんなところで何してたんだ?」
と、島津が聞くと、
「え?先ほどからずっとここにいましたよ?」
「気配を消すのが得意なんだな」
「いえ、そんなこともありません。だって、今貴殿に見つかったばかりではありませんか。えっと……」
「ツバサ。そう呼んでくれ」
私が名乗ると、御手洗は……
「ツバサ氏、以後、よろしくお頼み申す!」
と、再び敬礼。
「御手洗、これでもかなり頭がいいのよ。参謀って言うほどだし。
多くの立てこもりとかの事件で、警察に進言して解決に導いたことがあるんだって」
「それにしても、この街を探索しても、わからないことばかりであります。
なにしろ連絡用の手段もないんで、報告も面倒なのです」
「電話はないのか?」
私が聞くと、寺本、島津、御手洗は3人とも手を横に広げた。
「あれば使ってるけどな」
「そもそも、こんな地下だと電波届かないんじゃない?
……それに、あたしが持ってきたカバンとかもないし……」
「……そうか」
しかし、なぜ彼女たちはこんな場所に連れてこられたのだろうか?
ホテルから出て、次はスーパーマーケット……のような店だ。
Market FUTURE
「……」
ここにも{未来}という意味の英語が使われている。
「ん……!?」
………………………たち未来…………望を……
なんだ?
今確かに、なにか聞こえた気がする。
「今度はどうしたの?」
「ん?」
寺本の言葉で我に返る。
「体調が悪くなったら言いなさいよ?無理しちゃダメなんだから」
「いや、大丈夫だ」
にしても……聞き覚えのあるような、声だった。
スーパーの中に入ると……
「おぉ!ジャパニーズせんべいにジャパニーズ緑茶!さらにジャパニーズ梅干もありますね!」
「確かに、ここにはなんでも揃ってるねぇ〜。地下であることを忘れそうだよぉ」
わかりやすい外人のような見た目の金髪の男。
のんびりとした……いや、むしろ気だるそうな紺色のサラサラヘアーの男。
「ワット?どなたデス?」
「その言い方は、ちょっと物騒だな」
島津が呆れたように言った。
「あぁ、さっき話してた女の子、目が覚めたのよ。名前はツバサ」
「……よろしく」
私が頭を下げると、二人は頭を下げた。
「ジャパニーズ白衣の天使に会えるなんて光栄です!光栄の至りです!」
「あ、いや、そういう意味で着ているわけじゃない……はずだ」
「そういう意味ってぇ、どういう意味ぃ〜?」
……正直この男の喋り方はイラッとくる……
「ワタシ、ワンダレイ・フォルキースでござる!フォルと呼んでくださいませ!」
「えぇ〜?ボクぅ?ボクは君塚 孝之ぃ(きみづか たかゆき)。よろしくぅ」
そして2人とも名乗った。
「ユナイテッドステーツオブアメリカから、日本文化に触れるためにやってきました」
「その割には日本語が堪能だな」
「えぇ!日本のドラマで日本語たくさん覚えました!」
フォルは立て板に水という言葉が似合うように、日本語をスラスラと喋る。
「そして日本のドラマに、自ら脚本を提供している{超高校級の推理脚本家}だ。
フォルが作る推理作品はどんなやつも引き込まれるそうで、
脚本の賞も多数受賞しているらしい」
「ワオ!ミスター島津にお褒めいただけるとハッピーです!して、ミスターツバサ!」
「私は女だ」
自分でも冷静に突っ込んだと思う。
「どんなドラマが好きですか?」
「え?……ドラマ……」
私が考えていると……
「ごめん。言い忘れてたんだけど、ツバサは自分が誰なのかとか、自分の才能はなんなのかとかがわからないの。
いわゆる、記憶喪失なの」
「WOW!それはミステリーによくある展開ですね!
記憶がない少女が次々と難事件を解決していく!おぉ〜!いいドラマがかけそうだ!」
「勘弁してくれ……」
このままいくと、本当に私を題材にした脚本を書きそうだ。
第一私役を誰がやるというのだ。私は、私だ。
よほどの美人じゃない限り……じゃ、なくて、今度は君塚の方を向く。
「あぁ。ボクの才能〜?ボクは{超高校級の測量士}だよぉ」
測量士……?測量士は確か、専門の大学をでないとなれないはずだ。
他にも条件はいろいろあったはず。それにこの間延びした喋り方……
本当に、君塚は測量士なのだろうか?
「測量士といっても、実際の測量士とは違う。
君塚は様々な場所の長さなどを推し量って、地図や案内板などの制作に役立っている。
こいつがはかる長さは、あらゆるものが1ミリも狂わないらしいぞ」
「なんだ。そういうことか」
島津の言うことに、納得しつつ、少しだけほっとした。
「しかしスーパーなのに売り場面積が狭いねぇ〜。レジもないしぃ、そもそもここ本当にスーパーなのかなぁ?」
「いや、表に{Market FUTURE}と書いてあったから、多分間違いないと思うが……」
「あぁ、そうなのぉ?ボク、てっきり何かの暗号だと思ったぁ」
暗号なわけがないだろう……
「……ところでさぁ、ツバサぁ」
「どうした?」
「大きいねぇ」
「な!?」
私の顔は、耳まで赤くなった。
「な、ななな、何を言っているんだ!」
「何って、足の事だよぉ?」
「……えっ?」
足を見る。そういえば君塚はずっと、私の足を見ていた。
「女の子にしたら靴のサイズが大きいなぁって思っただけ〜」
「……」
……断言しよう。
私は君塚とは仲良くなれない……
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