二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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プリキュア・コア
日時: 2016/11/02 14:35
名前: モンブラン博士 (ID: CMSJHimU)

私と彩都さんの合作です!

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Re: プリキュア・コア ( No.7 )
日時: 2016/11/08 21:42
名前: 彩都 (ID: Jhl2FH6g)  

「やぁやぁやぁ、お久し振り、博士君──いや、数日振りだったかな?」
 私こと、戸新真空は、博士の別荘である、十畳程のリビングで両腕を開けながら自分が来た事を示す。
「やぁ、君か──ソファに寝かせているよ、早くコアを取って貰いたい」
 博士がソファに指を指す、指した方向へ私はソファを確認する、だがその前に何なんだ、この清潔さは!? 一人で住んで、一人で別荘として扱って、数日居ない事もあるのに! 清潔過ぎる、埃一つ落ちていない程、清潔な一室は──そんな余計な事を考えてしまう程、綺麗な部屋、今はそんな事に気を使っている場合では無い、目の前に存在するプリキュアをコアにしなくては──
「このプリキュアは──『キュアフォーチュン』だね? ふむ、だがその前に医者としてしなくてはならない事が有る──」
 自分はそう言って、台所にある、木製の俎板を縦に割って、その後、形を整えてから、キュアフォーチュンの綺麗な足に添えて、包帯を巻いていく、簡易添木の完成だ。
「……真空、君は何時、『私が、添木をする為に、木製の俎板を割って、使用していい』、と言った?」
 呑気に紅茶を飲んでいたが、そのカップを『カチャン』、と音を立てて、静かな怒りを私に教える、だが、私だって言うべき言葉がある。
「博士君、流石に『傷は作らずにプリキュアを気絶、もしくは失神させてくれ』、とは言った事は謝ろう、だが、『骨折や内臓への傷害をしてもいい』、とは言っていないよ? 私だって、本職は医者である──まぁ、闇医者だけどね──プリキュアであれど、私は治療する、そしてコアを回収──」
「仕方無い、反抗するものだから、足を折ってでも、静かにする必要があったからね──」
 私の言葉を遮って、博士君が私に言う──だがもっと他に方法は無いのだろうか?
「待ってくれ、流石に他に方法はあった筈だ! 例えば、クラッカー等のパーティーグッズで驚かせて相手を気絶させるとか……」
「真空、それを『外でして、本当に有効なのだろうか』? 答えは簡単だよ、『否である』──『室内より室外の方が効果が薄い』だろう? 後、君が反論しても正論で返す力は有る」
「くっ──」
 無駄か、と私は判断して、キュアフォーチュンから、『プリキュア・コア』を取る行動へ移る。
「ふむ、時間は軽く十分、だな」
 自分がそう言うと、博士君が私に向かって言葉を吐く。
「十分──ね、真空、君はどう考える? 『十分間で何が出来る』のかを──」
「おいおい……博士君は何を言って──」
 瞬間、目の前に銀色の拳が放たれる、だがその銀色の拳は虚空を殴って、私の顔面ぶつかる寸前で止まった。
「簡単だよ、私はこの計画を降りる事にする──もうすぐプリキュアも居なくなる──と言う事は、『私の戦う相手が居なくなる』、と同義だからね」
「…………」
 そう言う事か、だったら逆に考えたら良いのだ。
「な、何を言っているんだ、博士君は? 中々面白いジョークだねぇ──」
 私がそう言うと、もう片方の銀色の拳が私の鳩尾にクリーンヒットする、私はあまりにも痛いので、その場で倒れこむ。
「カッ……ハッ! な、何をするんだい? まだ、計画は、『最終段階』に来たんだ、もう少し待ってくれよ」
「ん? 『最終計画』? 何だそれは?」
「矢張り食い付くと思ったよ、いいねぇ、最高に面白いよ、君は──まるで餌に群がる鯉の様だ──」
 私はソファを支えにし、腹部を押さえながら立ち上がる、そして『最終段階』の内容を話した。
「簡単だよ、『最終段階』はそのまんまの意味なんだよ──と、ここで『大きな誤算』が現れたんだ」
「『大きな誤算』? 何だい、それは?」
 博士君がそう言うと、私は言った。
「簡単に言えば、この『計画』の後、君は『自分の肉体が滅ぶ迄好きなプリキュアと戦う事が出来る』んだよ──この『計画』は少し誤算交じりの始まりだったんだ、だけど、本当にコアを集めて実感したんだよ、『自分が想定していたパワーを超える、最悪何人か余るのでは無いか?』とね──」
 自分がそう言うと、博士君は少し笑いながら呟く。
「ま、待ちたまえ、それは……コアの力を使って、『気絶したプリキュアでさえ、気絶する前迄元に戻す』事も可能、という可能性もあるのかい?」
「あぁ、そうだよ、『機械さえ作れば』、ね──」
「…………」
 無言、それもその筈、『自分が好きなプリキュアを無限に戦う事が出来る』からだ──すると博士君が私に聞いた。
「真空、私は君に、『プリキュアを倒してくれ、君の仕事はこれだけだ』、と聞いた、だから聞こう、『君が行いたい計画』は何だ? 少しは教えてくれないか? 私だって君を手伝っているのだ、こんな両手にコアを入れたグローブを貰って、『プリキュアを倒すだけ』では何か申し訳無い、だから『君が行いたい計画』は何なんだ? さぁ、私に君の計画を聞かせてくれ!」
 …………、沈黙、私は暫く考えた後、仕方なく、『計画』を話す事にした。
「私がしたい『計画』──それは『世界を崩壊させて、偽善者ぶる』事だ──正確に言えば、私はこのコアを使用して、世界を破壊する、更に、自分が救世主の様に振る舞い、食事と水を渡す、これで、私は世界を独占する──完璧な『計画』だろう? 勿論、この『計画』の内容を知ったのは、君が二人目なんだけどね──どうだい? 参加している『計画』の内容を知れた気分は……?」
 私がそう言うと、少し震えながら博士君は言った。
「……けるなっ! 巫山戯るな! 何が、『偽善者ぶる』、だ! お前がしようとしているのは、独占でも、支配でも何でもない! ただの『世界征服』だ!」
「単純に言えばそうだけど?」
 あっけらかんに言う、自分、すると博士君は顔を青白くして言う。
「真空……君は『何か可笑しい』ぞ……? まるで、悪魔が人間の皮を被っている様な人間だ……」
「そんなぁ……『世界征服』して、何が悪いの? 戦争を止めたいし、数年前のプリキュア同士の戦い、それをもう起こさない為にプリキュアを仮死状態にして、止めているのに──」
 今の博士の心境は、『恐怖』──完全に狂っている、気付くのが遅かった、『真空はもう狂っている』、そう気付いた時にはもう遅い! そう思いながら博士は真空から離れる。

Re: プリキュア・コア ( No.8 )
日時: 2016/11/08 21:43
名前: 彩都 (ID: Jhl2FH6g)  

「真空──君は狂っている、いや、壊れている! 君は分かっているのか! 『世界征服』をしていない理由が!」
 博士君がそう言うと、私は簡単に、淡々と述べる。
「何を言っているんだい博士君? そんなの簡単さ、『巨大過ぎて誰も成し遂げられなかった』だけだろう? だが今はどうだ? 『プリキュア・コア』という、最強のエネルギーも有る、と言う事は私でも簡単に世界を征服する事が出来るんだよ、分かるかい? 戦争や飢餓がどれだけ深刻かを!? どうせ君には分からない! 日本の食べ物を飢饉している国に渡したらどうだ!? どれだけの人間が幸せになれるか!? 戦争も! 戦争も『争う理由』を排除してしまえば和解出来るじゃないか! 私はただ単に、『プリキュアと言う遠回りをして、『世界征服』をする』だけだ! 悪いも思わないし、悪い行為とも思わない」
 唖然……何なんだ、この人間の考えは!? 何なんだ、何なんだ、何なんだ!? 体が反応する、『早くこの人間から離れろ!』と、肉体が警報を鳴らしている、だが博士はまだ拭いきれない部分があった事を思い出して、私に聞いた。
「真空、一つだけ聞こう──君は言った、『大きな誤算』、と──そして『自分が想定していたパワーを超える、最悪何人か余る』と──もしも、もしもだ、『余ったプリキュアはどうするんだ』……?」
 これが拭いきれない部分だった、そう、この回答で、私と真空の溝が決まる──博士はそう思いながら深呼吸する。
「そうだなぁ……逆に聞くが、博士君はどうしたい?」
「そうじゃない、先に自分の質問に答えろ、その後に答えよう、質問を質問で返すのは失礼だ」
 博士君が強めに言った、さぁ、どう返答してあげよう? 自分はそう考えながら、回答する。
「そうだな、簡単だ、『余ったプリキュアもコアにしたい』、全部全部、何もかも、コアにして、封印する──」
 私がそう言うと、博士君は口を開いた──
「そうか──私は闘いたいな、伝説のプリキュアなんだよ? もっと闘いあいたいじゃないか!」
「そうか、そうか……だったらそれで良いんじゃないの? 余ったプリキュアを君に上げよう、あぁ、そうそう、研究所にいるプリキュアでも良いよ? 一応は仮死状態、コアを元に戻せば、仮死状態から、蘇生する、これも研究の中で知った事だ」
「…………」
 無言のまま、博士君はその場に立ったまま、動かない、悩んでいるのか、もしくはそれ以外か。
 するとゆっくりと博士君は口を開いた。
「真空、君は『世界征服』を『誰の為にやっている』んだい?」
 博士君がそう言うと、柔らかな笑みを浮かべて、私は答えた。
「誰の為──それは私とプリキュアと弟の為だよ、数年前の『ゲーム』さえなければ、私はこんな事を考えずに、弟を救えたかもしれないってね──欲って本当、醜いよね? 『どんな願いでも一つ叶えられる『ゲーム』』さえあったから、私は『弟を救う』という欲に塗れてしまった──プリキュアをあんな道具にしない為、私はプリキュアを救う事にしたんだ──」
 私はそう言うと、博士君は不思議そうに顔を浮かべる。
「ん? どうしたんだい? グローブに異変かい?」
「いや、違う、その前に真空、君の弟の名前を聞いていなかったな、と思い出してね、聞いた話では、その『ゲーム』に苦しんで、死んだらしいね? その過去の事を思い出すのは苦しいかもしれないが、出来れば、弟の名前を教えてくれないか?」
 確かにそうだ、私はあまり『ゲーム』の事件を思い出さない為に、弟の名前は言ってはいなかった、まあ、別に言いたくなくて、言っていない訳では無いので、弟の名前を言う事にした。
「弟の名前かい? 弟の名前は、『戸新米久(とあら よねひさ)』、享年二十歳だよ」
「成程、若いんだね、ご冥福をお祈りする」
 博士君は胸に手を当てて、黙祷する、まぁ、兄としてはもう終わった事だし、やらなくても良いと思うが──すると博士君は不思議そうに私に言った。
「ん? 待ってくれ、真空──確か君の学生時代の渾名はトニーやマークだったよね? なら弟君はトニー、マークの様な渾名が出来るのかい?」
 博士君がそう言うと、『良い線を突いて来たなぁ』と思う、自分は弟の事をもう少し話す。
「あぁ、あるよ、米久、『よね』はお米の米、『ひさ』は久しい、の久、そして米は『まい』とも読め、久も、『く』とも読める──意味は分かったかい?」
 自分がそう言うと、博士君は頷きながら答える。
「成程、マイクって事だね? 良い渾名じゃないか、英語名の渾名なんて──ジャックやジョニーみたいな清潔感があるね」
 博士君がそう言うと、私は博士に向かって言う。
「そうかい? まぁ、基本、弟も、トニー呼びが多かったようだけど」
 私が頭を掻きながらそう言うと、博士君は少し笑いながら言う。
「あぁ、戸新、が苗字だから、トニーの方が、『苗字を読んでいる感』があるのかもしれないね」
 博士君がそう言って、自分が紅茶を飲んでいた席に戻った、何だ、もう言い合いは終了なのかな? とそう思った瞬間だった、急に警報の様な音を出して、コアを回収する機械の唸りである、回収完了音が聞こえた、約十分も会話していたのか、何だろう、何時間も会話した気分を感じてしまう。
 そして私はコアを回収した後、博士君に向かって言う。
「後、博士君、コアは回収し終わったから、後は彼女を研究所迄運ぶのを宜しくね?」
「……あぁ、分かったよ、今日中にしておくよ、それじゃあ、また今度」
 自分を素っ気無く扱われて、私は少し困ったが、まぁ、言い合いをしたのだ、気まずくなるのも仕方無い、私はアタッシュケースを持って、博士君の別荘を出る──そして一人になった博士が一人ごちる──
「……真空の計画から抜けようかなぁ? あんな『計画』を聞いて、私は少し恐ろしいよ──」
 博士はそう言って、カップの中の紅茶を全て飲み切る──紅茶を飲む姿も優雅であった──

「今日はコア回収が早めに終わったな、この後は特にやる事も無いな、少し研究して時間を潰そうかな?」
 私はそう呟きながら、今日の予定を考える、そうだな、この移動時間を使用して、昼ご飯、夜ご飯の献立でも考えようか、そう思いながら、手帳に思い付いた料理を書いていく──そして今日の晩ご飯は『カレーライス』に決まる──

Re: プリキュア・コア ( No.9 )
日時: 2016/11/11 21:55
名前: モンブラン博士 (ID: dY5SyZjq)

博士は加音町に来ていた。
目的は調辺アコことキュアミューズと闘い、プリキュア・コアを奪うことである。
彼はメロディを倒したときとリズム、ビートと対決した際の二回この町に足を運んでいる。
そのときこの町の風景と音楽に魅了され、すっかりファンになってしまっていた。
二度目の対決時にはリズム、ビートだけでなくミューズもいたのだが、衝撃波で軽く吹き飛ばすだけにして、それ以上の追撃はしなかった。
小学生という体の小ささを活かした俊敏で身軽な動きで翻弄し、衝撃波以外の攻撃を食らうことがなかっただけでなく、年齢の割に冷静沈着で大人びており、リズムやビートにも彼女が指示を出していた。つまるところ、スイートプリキュアというチームの実質上の頭脳というべき存在である。
他の四人が感情に走りやすいこともあってか、博士には彼女の賢さが際立って見えた。
このプリキュアは自分にとってライバルに相応しい。
確信した彼は彼女との一騎打ちを望んであえて見逃したのだ。
小さな公園のベンチに腰かけアコが通りかかるのを待つ博士。
ここはアコの自宅となっている調辺の館から近く、学校からの下校後にアコが仲良しの奏太とよくここに訪れることを、小さな蜂型のカメラロボットを使って調査していた博士は知っていたのだ。
けれど、一時間待っても二時間待ってもアコが現れる様子はない。

「おかしい。なぜ来ないのだろうか」

不思議に思った彼が腕時計の時刻を見ると、まだ午後一時。
小学校一年、二年はともかく三年生は午後の授業が始まったばかりの時間帯である。
彼は時計を見るまで、そのことをすっかり忘れていたのだ。
このままアコが通りかかるまで待つか、それとも自らが直接学校へ赴くか。ここで待っていては、待ちくたびれて苛立ちのせいもあり判断能力が鈍って敗北する可能性が高まる。さりとてシルクハットに燕尾服という服装の自分が学校に足を運んだら不審者として警察に通報されて面倒なことになる。両者を天秤にかけて思案した結果、彼はその中間の妥協点を見つけ出した。
軽く指を鳴らすとドーム状の光のエネルギーが周囲を包み込んでいき、範囲を拡大していく。
光に飲み込まれた人々は次々に動きを停止する。

「騒がれては闘いに集中できない。こういうときは時間停止をするに限る。もっともこの技はプリキュアは干渉を受けないようになっているので、彼女は自由に動き回ることができるが……さて、どう出るか」

口元に不敵な笑みを浮かべ、光に飲み込まれていく市立加音小学校を見据える。彼は居ても立っても居られくなり、瞬間移動で小学校の校門前に現れる。すると、校舎の入り口からひとりの少女が飛び出してきた。
ショートボブに赤い伊達眼鏡、ピンク色のシャツの上から青のオーバーオールを着た少女——それは紛れもなくキュアミューズの変身者である調辺アコの姿だった。
アコは博士にある程度近づくと腕組をして冷めた目で言った。

「いい年した大人が、小学生と闘うために時間を停止させるって恥ずかしくない訳?」
「流石はアコちゃん。私が一目置いただけあって、もう時間を停止させたことに気づくとは」
「そんなの教室を見ればわかるでしょ」
「いいねぇ! その冷めた返事! あぁ、君の声を聞いているとゾクゾクするなぁ!」
「知ってる? あんたみたいな人を世の中では『変態』って言うのよ。小学生相手に興奮するなんてどうかしているわ」
「君みたいな可愛い娘は男子なら誰が見ても興奮すると思うんだけどね」
「そんな言動ばかりしているから、あんたはいつまで経っても友達ができないのよ」
「私のことを理解してくれない友達など、必要ない」
「友達が自分のことを理解して共感してくれたら確かに嬉しい。でも、友達が間違った道に進んでしまったら、厳しい言葉をかけたり、それを止めたりするのが本当の友達だと思う」

無表情で博士を見つめるアコ。
嬉しくてたまらないと言いたげ満面の笑みを浮かべる博士。
しかしながら口元とは対照的にその瞳は冷たい。
音という音が静まり返り、辺りは無音に包まれる。
一分間の沈黙の後、最初に博士が口を開いた。

「もし君が私との勝負に勝ったら、仲間とプリキュア・コアをお返しする」
「……ほんとね?」
「約束は守るためにある。私は約束を守る男だ。だが、君が私に勝てるかな」
「じゃあもし私が負けたら?」
「プリキュア・コアを奪い、日本中に君の正体を明かす」
「日本中に正体を……!?」

アコの瞳孔が縮み、先ほどの様子から一変して動揺する。
基本的にプリキュアの正体を明かすことは禁止となっており、これまで歴代で正体を自ら明かしたのは、フレッシュ、ハピネスチャージ、GOプリンセスプリキュアの三チームのみ。
それがいかに正体を明かすのが大変なことかを表している。
当然ながら正体が判明すれば敵が積極的に家族を狙ったり、プライバシーにも関わってくる。
彼女が動揺しているのを察した博士は続けてこんなことを口にした。

「そうだ、対等の条件にするために私も自らの正体を明かすことにしよう。
実はこのモンブラン博士というのは偽名でこれとは別に本名がある。
この服装、外見も全て変装によるものだ。どちらかというと世間的には君よりも私の方が真の姿を知ったらひっくり返る可能性があるけどね。
さあ、どうする? 
挑戦を受けなければ仲間は戻ってこない。でもリスクも高いから無理に挑戦しろとは言わないよ」
「……この勝負受けて立つわ」

いつもよりドスの利いた声に博士は少し驚いたものの、すぐに高笑いして、

「素晴らしい! やはり私が見込んだプリキュアだけのことはある。
では、今週の土曜日、加音大ホールの特設リングで会おう。
試合方式は反則自由のマスカラ・コントラ・マスカラ——通称覆面剥ぎデスマッチ!大観衆の前で、白いリングを君の血で真っ赤に染められると思うとわくわくもんだよ」

そう言い残すと彼は指を鳴らして時間停止を解除して、瞬間移動で消えてしまった。

Re: プリキュア・コア ( No.10 )
日時: 2016/11/11 22:20
名前: 彩都 (ID: ae8EVJ5z)  

 綺麗な花園、そんな花園の真ん中にテーブル、紅茶が入ったカップが二つ存在していた、両方、机の端に置かれており、まだ湯気が出ている。
 そんな何とも高貴な場所に私こと、戸新真空は椅子に座って、待機していた。
 そして車椅子に座る黒色の格好の少女が運ばれる、体には色々な管が繋がれている──そんな彼女に対し、私は言葉を紡いだ。
「ほぅ……何とも美しい管だねぇ、キュアブラック──」
 黒い格好の少女こと、キュアブラックが私に向かって怒号を上げる。
「ホワイトは何処だ! 他のプリキュアも! 何で私は管に繋がれているんだ! 答えろ!」
「…………」
 自分は無言になる、さて、どこから説明すればいいだろう?
「えーと、キュアブラック、話を聞いてくれ、私は、『世界を救う為』に君にこんな事をしている、私は君達を救いたい、だから拘束させて頂いている」
「巫山戯るな! 拘束!? そんな事をするから私は暴れてるんだ!」
 少しは落ち着いて話を聞いて欲しいものだ、と私は思いながら、深呼吸をする。
「私は君達プリキュアを尊敬しているよ、だからそうやって拘束しないと暴れてしまう、だから話を聞いてくれ」
「……分かった、話位聞いてあげるよ」
 キュアブラックはそう言って、暴れる事を止める、そして私の話を聞く事にしたようだ。
「さて、私は君達の力を信じて、『世界を救おう』としているんだ、この力があれば、戦争も止める事が出来、尚且つ、餓死する少年少女も止められる! だから、私に力を貸してくれ──!!」
「……それはプリキュアでないといけないの?」
 キュアブラックがそう言うと、自分は少し溜息を吐いて答える。
「はぁ……そう来たか、そうだよ、プリキュアの変身するエネルギー、これが大事なんだよ、だから、私の『計画』に君の力を使わせて欲しい」
 自分がそう言うと、キュアブラックは言う。
「私の力を使った所で、『私』はどうなるんだ?」
「君は本当に洞察力が凄いなぁ、怖い怖い……どうなるか、答えよう──『君は仮死状態になって、永遠に眠り続ける』、という事だ」
 …………、無言、確かにそうだよね、仮死状態だもの、ほぼほぼ死んでいる、と言っても過言でもない。
「……それでも、世界を救う為なら、命の一つや二つ、捨ててもいいだろう、プリキュアよ?」
 自分がトドメを刺す、さぁ、反論するかな?
「…………アンタの言う通りだ、確かに私達プリキュアは世界を救う為に頑張ってきた──だけどあんまりじゃないか! 命を捨てるなんて!」
「飽きた、さよなら」
 そう言って、自分は隣に置いてあるボタンを押す、するとキュアブラックは気を失って、そのまま倒れる。
 そしてボタンの近くにキュアブラックのコアが現れる。
 こんな不毛な会話をしていて、結論なんて出るものか、だったら強制的に動くしかない、プリキュアに賛同を得るなんて言う、愚かで愚考な事をしなければ、話し合いがこんなに面倒になる事は無かったろうに。

 やっぱりプリキュアと会話するのは面倒だな、話を理解してくれない、私は正義を行おうとしているのに皆はそれに賛同してくれない──『世界を救う』為にプリキュアの一人や二人、死んだって構わないじゃないか、何で死にたくないんだろうね? 少し不思議だ。
 自分はそう思いながら紅茶を啜る。
「あっつ! 何これ!? 熱いんだけどぉ!?」

Re: プリキュア・コア ( No.11 )
日時: 2016/11/12 18:20
名前: モンブラン博士 (ID: dY5SyZjq)

プリキュアはみなとみらい市でフュージョンを退けて以来、国民的なスーパーヒロインとして知られるようになり、彼女達を特集する『プリキュア・ウィークリー』なる番組が誕生したほどだ。
キュアミューズVSモンブラン博士の正体バレデスマッチが行われることを嗅ぎ付けた『プリキュア・ウィークリー』が番組内で大々的に放送したので、加音大ホールには試合を一目見ようと長蛇の列ができる。
試合開始まで残り三時間。
調辺アコは緊張や恐怖を紛らわすために、友達の奏太を誘って公園に遊びに来ていた。隣同士でブランコを漕いでいると、奏太が言った。

「アコ、今日のプロレスの試合見に行かねぇの?」
「うん。プロレス興味ないし」
「そっか。俺は見に行くけどな。加音町に住む小学生は無料って書いてあったから」
「勝手にすれば」

素っ気なく返してブランコを降り、振り返ることなく歩く。

「おい、待てよ!」

急な行動に驚いた奏太が追いかけ肩を掴もうとする。
けれどアコはその手を振り払い、一目散に走り出した。

「どうしたんだ、アイツ……」

首を傾げ不思議がる奏太。しかし彼は気づいていなかった。
走っているアコの瞳から涙が溢れていることを。



公園から調べの館に帰ってきたアコは、自室に引き籠り、思案していた。
モンブラン博士はメロディ、リズム、ビートの三人を倒した強敵。
自分が倒されてしまえばスイートプリキュアは全滅、メンバーも取り戻すこともできない。
彼女にとってメンバーは、父親であるメフィストを正気に戻してくれて恩人であると共に、かけがえのない大切な友達だった。

(みんなは私が助け出してみせる!)

強く決心したものの、不安が拭い切れない。
過去二回の対決で自分は皆の力になることが出来なかった。
体格、経験、実力、頭脳。全ての点で博士は自分より勝る相手であることをアコには分かっていた。もしかすると今回の闘いで正体を明かされるばかりか、大好きな人——おじいちゃんや奏太とも永遠の別れになるかもしれない。
できることならこのまま何もせず、平穏な日々を過ごしたい。
けれど、それでは響、奏、エレンの三人は戻ってこないのだ。
何もせずに諦めるより、何かを変えるために行動する。
どんな変化が起きるかはわからないが、確実に状況は今より変わる。
腰かけていたベッドから立ち上がり、窓辺で寝息を立てているピーちゃんの頭を撫でて部屋を出る。

「おじいちゃん」
「アコ……」

祖父である調辺音吉はパイプオルガンを演奏していたが、アコに気づくとその手を止めて孫娘に歩み寄り、優しく彼女を抱きしめた。

「どうしても行くのか」

彼の問いにアコは真剣な顔で頷く。

「皆を助けるには、罠だと分かっていても行くしかないの。少し怖いけど、やっぱり、何もしないで諦めるより行動したい。だって、三人はいつだって私を助けてくれた大切な友達だから……今度は私が助けたい!」
「そうか。お前がそう言うのなら、ワシは止めはせん。行って奴を倒し仲間を救うのじゃ!お前にはいつだってワシが付いとる。ワシも応援しに行くから、安心して闘うのじゃぞ」
「うん! 行ってきます、おじいちゃん!」

嬉しそうに微笑むと、彼女はオーバーオールのポケットからモジューレを取り出しドリーを呼んで叫んだ。

「レッツプレイ! プリキュア・モジュレーション!」


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