二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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【Fate】童話作家と出来損ないマスターの冒険譚
日時: 2017/04/28 02:19
名前: 霜月 (ID: RSjokvm9)

__これは、どこにでも居る出来損ないマスターの話だ。

...いや、ただの馬鹿マスターかもしれないが...まぁそこはいい。
そのマスターと俺のただの冒険譚だ。

あれは...初夏、だったか?
俺は争いをする為に呼ばれた。
そう、どんな願いも叶える杯を巡る...魔術師の戦争。
【 聖杯戦争 】に__

そんな馬鹿げた戦争に眠っていた故人を呼び出しやがって.....
...すまない脱線したな、話を戻す。
聖杯戦争に参加するのは7人のマスター、その一人の英霊に俺は呼ばれた訳だ。

...まぁそのマスターが出来損ないだったんだが。


さて、前置きはもういいだろう
不幸な童話作家と出来損ないマスターの聖杯獲得へと向かう物語を始めようか___




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

霜月と申しますw
初投稿です〜
何故Fateにしたのか、それはFGOやってて書きたいな、となったからです(震え声)
原作者様である奈須きのこさんほど面白い物は作り上げれないので...御手柔らかに....w

【注意事項】
荒らしや暴言はやめて下さい。
感想は大歓迎です!
更新は不定期かもしれないですがお許しください...



人物キャラクター紹介 >>1 >>10

プロローグ >>2-3

第一節 >>4 >>6 >>8-9 >>11-14

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Re: 【Fate】童話作家と出来損ないマスターの冒険譚 ( No.10 )
日時: 2016/11/10 00:47
名前: 霜月 (ID: nXlmokR.)

【登場人物(追加)】

フローレス・ナイチンゲール(Florence Nightingale)
聖杯戦争にバーサーカークラスとして呼び出された英霊。
クリミアの天使と呼ばれる奇跡の看護婦。
看護行為が認められずかなりの不衛生であった戦時医院の状態を見て彼女は私財を投げ打って物資を揃え、その地獄の場での死亡率を40%から5%まで押し下げたのだ。
兵士は言った「天使を見た。」と....
不屈の心を持ち、そして"その者の欠陥"を確実に見抜く"眼"を持つ。
殺してでも傷を病を治す、それが彼女の信念で"全ての傷と病を無くしたい"という想いの結晶であろう。

ジャック ・ ザ ・ リッパー(Jack the Ripper)
聖杯戦争でアサシンクラスとして呼び出された英霊。
19世紀のロンドンを震撼させた大量殺人鬼。
容姿は幼子だがその俊敏性は勿論、アンデルセンに引けを取らない頭の回転の速さを持つ。
彼女達(※)の殺人行為は生きるための糧であり手段であり回帰衝動なのだ。
決して嗜好ではない。

(※ジャックの一人称が私達であるため、彼女達と表記している。)

Re: 【Fate】童話作家と出来損ないマスターの冒険譚 ( No.11 )
日時: 2016/11/12 20:59
名前: 霜月 (ID: nXlmokR.)

【第二節:初陣】

__アンデルセンは瞬時に手を少女へ向けると蒼い火の玉のような弾を放った。
その弾はプロ野球選手が投げるような速さで少女へと向かっていく
常人では回避不可であろうその弾をいとも簡単に少女は避けた、そしてその回避先をアンデルセンは探し、辺りを見回す。
少女が居た場所は

「こっちだよ。」
背後だった。
咄嗟にアンデルセンは弾を後ろへ放つ、それと同時に振り返る。
少女はその弾を受けることなくまた避けた。

「っ___!」
すぐに後ずさる。
その速さから相手は"人間"ではない、つまり"英霊"なのだ。
「しかも、この素早さからすると...
奴はアサシンクラスか...!」

アサシンクラス。
七騎の英霊の中でも最速の素早さを持つ英霊。
しかし英霊としての基本ステータスは低い、隠密と素早さで敵マスターを狩る事が出来る唯一の英霊だ。

それが今この場の何処かに居る少女の正体。
アンデルセンはキャスタークラス。
相性としては優勢ではあるのだ、サーヴァントクラスにも相性がある。
アンデルセンのキャスタークラスはアサシンクラスに相性では優位に立てるのだが。
この場、"家の中では優位に立てないのだ"
キャスタークラスは魔術師、主に遠距離戦を得意とするのだ。
対してアサシンクラスは暗殺者、近距離も遠距離も可能。

"つまりクラスとしては優勢だが場所としては劣勢なのだ"
「くっ___!」
またナイフが襲いかかる。
アンデルセンは間一髪避けると文和へと叫んだ
「マスター!!
この場から1度撤退しろ!」
文和はその言葉に押されたように他の部屋へと逃げる。
アンデルセンは数秒後に周りを警戒しつつその後を追う。

幸い鈴崎邸には広い和室があった。
文和とアンデルセンはそこへ行き、押し入れに逃げ込むと一息をつく。
文和が口を開く
「アンデルセン...今のなんなの...?
いきなり女の子が来たり、魔法みたいなのが飛んでたり....」
アンデルセンは冷静に答える
「サーヴァント同士の戦いだ。
聖杯戦争の現実...それがさっきの出来事だ」

文和は怯えていた。
無理もない、ついさっきまで聖杯戦争を知らなかった彼女がいきなり狙われたのだ。
アンデルセンはその様子を見て冷静に文和の耳元で囁く
「お前は隠れていろ。
この広さなら俺も動きやすい、俺が死んでもお前が生きていれば釣りが来る。
いいな、此処に居ろ。」
告げるとアンデルセンは和室の中心へと歩いていく。

「来るがいい、暗殺者。
俺は此処に居るぞ!」
和室の中心で本を開き、声を張り上げると身構えた____

Re: 【Fate】童話作家と出来損ないマスターの冒険譚 ( No.12 )
日時: 2016/11/12 22:19
名前: 霜月 (ID: nXlmokR.)


__長い静寂。
いや、短かったのかもしれない。
だがアンデルセンにとってはかなり長かったであろう


静けさを裂いたのは刃物が空気を裂く音だった。
ヒュン、とアンデルセンへと放たれたそれはジャックナイフ
そう、ロンドンを恐怖に陥れた幻霧の殺人鬼、ジャック・ザ・リッパーの名が入っているナイフだ。
ジャックナイフは本当の名をフォールディングナイフといい、スイッチを押せば持ち手の先から刃が飛び出す、折りたたみ式ナイフだ。
暗殺や護身用として用いられる事が多く、普通は近接のみの使用なのだが...

今回は投擲されている。
それもかなりの速さで
「っ___!」
アンデルセンは回避すると放たれたであろう方向へと魔弾を無数に飛ばす。
少女は軽く身を翻しアンデルセンの前に現れた。

「やっほ、キャスター。
君は...誰か分からないけど解体するよ!」
ころころと楽しそうな声を発する少女がナイフを逆手に持ち、構える。
「ふん、お前はアサシンだな。
そして真名は...ジャック・ザ・リッパー。
違うか?」
手を構え、少し口角を上げる。

「へぇ、私達の名前を知ってるんだ。
でも知ってるなら尚更解体しないといけないなぁ...」
やはり楽しそうにジャックは言う
「解体...か。
もう童話の呪いで身体は散々なのだが。」
やれやれというようにアンデルセンは言った
日常のような会話だ、しかしその一瞬___



鉄の壁と刃が交わる音が響いた。
ジャックはナイフを切りつけ、それを魔術で作り上げた壁でアンデルセンは防いでいた。
勢いのある一撃だったからか壁と交わった瞬間に衝撃が辺りへと広がる。
ステータスが低いとはいえサーヴァントの一撃、その威力は常人以上だ。

その衝撃は文和の肌にも触れていた。
彼女は震えていた
目の前で起こっている潰し合いに自分は何もできない。
武器も戦う術もない。
そう役立たずで出来損ないのマスター。
「...嫌だ......。」
交わる戦闘音に耳を塞ぐ。
アンデルセンが、自分の英霊が戦っているのに私は。
私は閉じこもったまま。
これでいいの?アンデルセンがもし...やられたら。
次は、私が狙われるのに。
私の為にアンデルセンがやってくれてるのに私は何もしないで此処で死か勝利を待つだけなの?






「そんなの...絶対に嫌だ...!!」
押し入れから飛び出した。
何も策なんてない。
でも、それでも。
例え、死ぬとしても...

「何か、少しでも傷を負わせて死にたい!!!」
床を蹴り、飛び上がる
そしてそのまま宙で半円を描きながら蹴りを繰り出した_____

Re: 【Fate】童話作家と出来損ないマスターの冒険譚 ( No.13 )
日時: 2016/12/07 01:41
名前: 霜月 (ID: RSjokvm9)

___少女の足が蹴りにより空を切る。
その蹴りは目標であるジャックの頭部を確実に捉えていた。


............はずだった。
ジャックは突如としてその場から消えた。
文和の足が先程までジャックが居た場所を踏み付け、埃を舞わせた。

「えっ...?
居ない.....っ?」
文和が呆気に取られていたその背後に。

その者は居た、ナイフを構えて獣のように文和の首を掻っ切ろうとしながら
文和は気付いていない。

しかし、彼は気付いた。
そしてジャックのナイフへと的確に魔弾を当てる、すぐに駆け出すと文和に体当たりをして共に後退


下がるとアンデルセンは叫んだ。
「馬鹿かお前は!!
隠れていろと言ったに何故出てきた?
死にたいのかお前はッ!!!」

怒鳴っている、帰りの遅い子を叱る親の様に。
文和は重々承知である、アンデルセンがナイフを弾かなければ私は死んでいた....
しかし、自分の意見を言おうとする。
アンデルセンは相変わらず怒鳴っていたが気にせずに切り出す

「...私はっ、何もしないで居るのが嫌だったの!!
確かに死んじゃってたかもしれない、でもそれでも!
キャスターが頑張ってるのに私はただ怯えているだけなんて、結果を待つだけなんて嫌なの!!!」
目に涙を込めながらに反論する。
逃げたくない、自分もやれる...それだけを彼女は思い、行動したのであろう


アンデルセンは、大きく溜め息をついた。
こんな馬鹿がマスターなんて、つくづく報われない人生だ。っと思いながら笑っていた。
コイツの瞳は純粋だ、きっと大真面目なのだろう。
ならば応えてやらないとな

「...三流と馬鹿真面目マスターか。
駄作にも程があるな
.....まぁ、力は貸してやろう。
お前のサーヴァントとして、マスターを信じてな。」
初めて見せた少しの微笑み。
アンデルセンは本をとペンを持つ
そして詠唱すると、執筆を始めたらば

『貴方のための物語【メルヒェンマイネスレーベンス】』
と、言った。

文和の身体がヴェールのような光に包まれる。
文和は慌てていたがすぐに動きを止める
光に包まれた瞬間、彼女は奥から来る力を感じた。



「これは俺の宝具。
マスター、お前は今は魔術師としてSランクだ。
好きに暴れるがいい!」
そうアンデルセンが言い放つと文和はジャックを見て駆け出す。
ジャックは楽しそうに笑った
「強くなったんだ。
...なら、解体していいよね!」

ジャックも駆け出す。
人間と英霊が今、凄まじい速さで衝突する______

Re: 【Fate】童話作家と出来損ないマスターの冒険譚 ( No.14 )
日時: 2017/04/28 02:10
名前: 霜月 (ID: RSjokvm9)

___頬に傷を持つ少女は黒いローブを揺らせながら文和の首へとナイフを奮う。

「っ___!」
それを屈んで避ける、そして持ち前の運動神経で突進。
目の前に居たジャックはそれに直撃し、数m飛ばされた

「っ…あっ…ぁ…!」
丁度腹部へと肩が入ったのだろう。
少女は苦しそうに腹部を抑えながらもがく。

「ぅ……」
間髪入れずに追撃をしようとするが苦しむ少女を見て躊躇ってしまう。
そう、これは傍から見ればただの虐待…自分がして来なかった暴力。

文和の心は揺らぐ。

この少女は本当にアンデルセンの言うような危険な子なのだろうか。
ただの女の子ではないの?

___そんな事で悩んでいると。

「…痛いの……やだよっ…!」
そう怒声を交えた幼声で少女が立ち上がって文和へと切りかかってきた。

「なっ…!?」
咄嗟に後退、するが。

肉が切れる音と共に鮮血が散る。
あどけない少女の手に握られたナイフには。赤い液体がベットリと付いていた。

そして、その血の根本。

それは文和の腕。そう、後退したが切られたのだ。
切られた傷からは水が出されているように鮮血が溢れる。
文和がそれに気付いたのは後退した後であった。

「あぁあああっ!!いっ…ぅぁ…!!」
腕を抑え、倒れ込む。
腕から体全体へと電流のように流れ込む激痛。


それを見た少女は怖がりも喜びもせず。
次の一撃を入れようと構えていた。


……だが

「待て、アサシン。」
部屋の外、否。
窓の外から男の声がする。声質から見て青年であろうか。

その一言と共にアサシンと呼ばれた少女は止まる。
そしてこう返した。

「どうしたの?"おかあさん"」
おかあさん、と言われた青年声の主は
「今回は他陣営の確認だ。
それに此処の魔術師は生きても害はない、殺す意味が無い。
長居は無用だ、戻れ。」

と子を叱るように言うとジャックは"はーい。"と言ってナイフを納めてその場から消えた。




数分後、アンデルセンが負傷した文和の手当をしていた。

「馬鹿か貴様は、確かに強化はされたが本人が躊躇ったら元も子もないだろう!!」
「ひっ……すいません……」

腕に包帯を巻かれて怒られた文和は子犬のように縮こまる。
アンデルセンは溜め息をつきながら医療魔術で治していた。

「…まさか保険をかけてきたのがアサシン陣営とはな…
これはかなり厄介だ、どうしたものか。」
一人呟きながらに手当をしていく

文和は何も言わなかった。

初めて襲われて、初めて少女を突き飛ばし、初めてナイフで切られた。

様々なことを一度に経験した為に混乱し、疲れているのだろう。



「疲れているようだな、少し床につけ。
なに、明日からでもやり直せばいいんだ。

締切があるわけではないからな、そら鎮痛剤を飲んでさっさと寝ろ」
そんな文和へとアンデルセンが水の入ったペットボトルと薬を投げて霊体化する。

「うわわっ……と。
……アンデルセンの、言う通りか…まぁ、明日からでも頑張ってみよう。」
投げられたものを受け取り、飲むと。
布団へと入り、そう呟いて目を瞑る。


聖杯戦争の初日。
出来損ないと作家の冒険譚が始まる___


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