二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- Fate/OS -繰り広げられる新たな聖杯戦争-
- 日時: 2017/11/16 12:29
- 名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)
時は西暦2×××年…
日本の冬木市で行われた聖杯戦争の聖杯はとある魔術師によって解体された。
…それから数年後、同じような聖杯がアメリカのとある都市…
クロック・グロウ(C.G)と言う都市に聖杯が出現した。その聖杯は後に『新聖杯』と呼ばれることになる。
…新聖杯に選ばれ、令呪が宿った魔術師達はC.Gの最も大きな教会である『アルト教会』に集められる。
アルト教会の神父シス・アルトは新聖杯戦争のために聖堂教会や魔術協会とは別の集団、『新杯教会』というものを立ち上げた。
シス神父は集めたマスター達をその場で召喚させ、新聖杯戦争の開始を高らかに宣言したのだった…。
…こちらでは新しい小説、Fate/OSを書かせていただきます。
この物語は私の創作により書かれたもので、原作の設定などを無視や勝手に創作している場合があります。サーヴァントもマスター達も完全オリジナルです。
そのあたりは暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。
…ちょこちょこともしオリジナルサーヴァントがカルデアに召喚されたら…とかやるかも知れません。
…では、どうぞお楽しみください…。
───────────────────
【0日目】
第1話 召喚(監督役&ランサー陣営初登場)
>>1
第2話 開戦前夜(セイバー陣営初登場&セイバー真名判明)
>>2
第3話 夜に咲く1輪の炎(バーサーカー陣営初登場)
>>4
第4話 凛とする兄弟(ライダー&キャスター陣営初登場)
>>5
【1日目】
第5話 2人の暗殺者(アーチャーvsアサシン&アーチャー陣営、アサシン初登場)
>>6
第6話 最優秀と落ちこぼれ(セイバーvsランサー&ランサー真名判明)
>>8
第7話 燃え上がる信念(バーサーカーvsライダー)
>>9
第8話 死神と災厄(キャスターvsアーチャー&アーチャー真名判明)
>>11
【2日目】
第9話 二つの道(日常1)
>>12
第10話 同盟(剣狂陣営顔合わせ)
>>13
第11話 侵略王 前半(ランサーvsライダー&ライダー真名判明)
>>14
第11話 侵略王 後半(ランサーvsライダー)
>>15
【3日目】
第12話 山の翁(アサシンのマスター初登場&アサシン真名判明)
>>16
第13話 銃手(日常2)
>>18
第14話 対戦前(日常3)
>>19
第15話 雪夜の狙撃手(セイバーvsアーチャー)
>>20
第16話 炎の支配者(セイバー&バーサーカーvsアーチャー)
>>21
【4日目】
第17話 仕事(アサシンの過去)
>>22
第18話 策略(日常4)
>>23
第19話 紫電(日常5)
>>24
第20話 雷切(アサシン&バーサーカー 臨戦態勢)
>>25
第21話 氷結使い(アサシンのマスターvsアーチャーのマスター)
>>27
第22話 制裁者(日常6&ルーラー初登場)
>>28
第23話 幼い大人(日常7)
>>29
第24話 作戦準備(ルーラー真名判明)
>>30
第25話 謀反(バーサーカー真名判明)
>>31
第26話 共同戦線(アサシンvsセイバー、バーサーカー、ランサー、ライダー)
>>32
【外伝】
外伝1
>>3
外伝2
>>17
- 第13話 銃手 ( No.18 )
- 日時: 2017/07/19 18:18
- 名前: kuzan (ID: HWQyDP4e)
蓮はまた一人で街に駆り出していた。
セイバーは付いてこようとしたが、出来るだけ体力を温存してもらうため家で待たせている。
それだけではなく料理を振舞いたいと思ったので、食料調達などであり、生活品を買い揃えるためであった。
「やっぱ和食は避けた方がいいよなぁ…セイバー、日本人じゃないから口に合わないかもしれないからな…
まぁ、日本じゃないから和食なんてほぼ無いけど…」
苦笑しながらそう呟く。
そしてパンや肉、サラダなどを手に取って会計をする。
「Thanks.
…英語も慣れてきたなぁ…ま、聖杯戦争開戦前からここにいたし無理もないか…」
ボソボソと呟きながら街を歩く。
すると、ふと一つの店が目に付いた。
ガンショップ。
銃を販売している所であり、また銃を撃てる場所だ。
「…これこそアメリカって感じだよな…。
…うん、せっかくだしやって見るか。金は下ろしてるし。」
少し頷き、そちらに足を運ぶ。
…店に入った途端、とても不思議な感覚に囚われた。
そしてその感覚はお金を払い、射撃場に入った途端に感じた。
「…」
いや、まず店の店員が固まっている。
銃の扱いに離れているはずの店員たちが。
「…百発百中急所を狙うとは…
貴様本当にニホンの者か、バーサーカー。」
「ええ、日本のものですとも。
そういうあなたはとても腕が効くスナイパーに見えますね、流石はアーチャーと言うべきでしょう。」
バーサーカー、アーチャー。
そう、それは聖杯戦争参加中の二人のサーヴァントだ。
2人はハンドガンを構え、遠く離れた的を狙っていた。
その的はバーサーカーのものもアーチャーのものも急所を捉えており、通常の人間ならばすでに死んでいるだろう。
「___。」
何も言わずに二人の動きを見る。
バーサーカーは笑みを浮かべながら銃を発砲していた。
遠目に見るその顔はとても綺麗に見えた。
それに対しアーチャーは真顔で発砲していた。
それは銃撃に慣れているかのような手つきだった。
「…あら、近山さんではありませんか。」
弾が尽き、一息ついたバーサーカーはふと周りを見渡すと突っ立つだけの蓮を見る。
蓮ははぁ、とため息をついて
「何してるんだよバーサーカー。
すげぇ楽しんでるじゃねぇか。お前の主は?」
「ええ、私の主は現在家におられます。街の様子を偵察してこいと命じられ、アーチャーを追っていればここに行き着いたのでございます。なのでマスターから預かったお金でこちらで銃を撃っている訳でございます。」
相変わらずバーサーカーは不気味とも感じられる笑みを浮かべながら呟く。
アーチャーと呼ばれた男も手を止め、蓮のことを見る。
「…サーヴァントも連れずにこんなところに来たのか。
文句は言わんな。昼間の戦争はご法度だからな。
私もよくそのことを知っている。」
左頬に大きな傷跡があるその弓兵…?はその傷跡を擦りながら呟く。
服装は白いコートで体はそれで隠れている。
「…アーチャーだ。
近山という名を聞いたところ君はセイバーのマスターだな。」
小さい。
蓮は思わずアーチャーを見てそう思ってしまった。
アーチャーは成人男性としては小さすぎる身長だ。
見下ろしたら殺されてしまう、とでも思ったのか近くの椅子に腰掛け
「そうだ、俺はセイバーのマスターだ。」
と答えた。
するとすぐ横で
「あっさり白状したのね。
セイバーのマスター。私というマスターがいるのに気が付かなかったのかしら。」
という声が聞こえた。
すぐ隣を見ると一人の少女が座っていた。
金髪の長い髪を持ち、肩のあたりで髪飾りで髪を括っている。
…彼女もマスターだというのか、と蓮は思った。
「…アーチャーのマスター…ミヤ・アリベータ。」
そしてそう呟く。
するとミヤは少し不服そうに
「ご名答。
情報力はいいじゃない。
でも魔力量はまるでダメね。」
と返してきた。
蓮は少しむっとして
「ほっとけ。
お前とは敵だ。特に交わす言葉はない。」
と、敵意を剥き出しにしてそう言う。
「…言ってくれるわね近山 蓮。
…いいわ。あなたのその発言、私達に対する宣戦布告として取っといてあげる。今夜22時にC.G中央公園に来なさい。
そこで私達は待っといてあげる。バーサーカー達は連れてこないこと。来るのはあなたとセイバーだけよ。
どっちが格上かって言うのとアーチャーの力を見せてあげる。覚悟して首を洗って待ってなさい。」
えらく流暢な日本語でそう言いながらお金をカウンターに叩き込みながら店から出ていく。
蓮は少し頷きながら射撃場に入る。
そして銃を撃った結果は___
「…これは、お世辞にも美味いとはいえませんね。」
「ああ、全くだ。まずフォームがなっていない。」
掌を口に当て、クスクスと笑うバーサーカーと未だその場所に腕を組みながらその様子を見ている残っているアーチャーがそう評価するほど酷かった。
- 第14話 対戦前 ( No.19 )
- 日時: 2017/07/28 12:32
- 名前: kuzan (ID: WqZH6bso)
「はぁ!?アーチャー陣営との勝負を買った!?」
家に帰り、報告するなり蓮はセイバーに怒られていた。
彼は床に正座で座り、少し下を見ている。
「全く、だから連れていけと言ったんだ…!!
まぁ、霊体化できない私も悪いけど…それでも服を買ったんだから見せびらかしに…いや、失敬。私も偵察に行くべきだったぞ…!?」
「…すみません…。」
今、見せびらかしに、という言葉が聞こえたが特に触れずに蓮はそのまま謝った。
どうやら色々な人の目に止まったのが結構嬉しかったようだ。
「…まあ、受けてしまったものに二言はない。
今更断ってももう遅いだろうしな。私もそろそろ戦いたいと思っていたところだし、丁度いいっちゃ丁度いい…。」
考え込むようにブツブツと呟き続ける。
最終的にはあ、と大きくため息をつけば
「…仕方ない。22時だな。それまで時間があるがどうする、戦いの練習か?作戦の話し合いか?それとも___」
「いや、飯にする。」
話を遮り、そう言い放つ。
何を言われるか分からない状態でそう言うと
「___。」
固まった。
セイバーが石像のように固まったのである。
「なんだよ、セイバー。
腹が減っては戦はできるって言うだろ?
…あ、言わないか…。」
苦笑しながらそういえば台所に向かい、エプロンをつける。
そして昼間に仕入れた食材を手際よく切っていく。
「…ま、待て!
正気か…?」
ようやく動き出したかと思えば少し焦った様子でこちらに駆け寄ってくる。
蓮は思わず「あ、こんなセイバー、レアだな」と思いながら
「…ん、そうだよ。
美味しいの、食べたいだろ?」
と答える。するとセイバーは渋々と言ったように
「…分かった、好きにしろ。」
と言って机に顎を載せ、不貞腐れたような態度をとる。
蓮はそんなセイバーを横目に笑みを浮かべながら料理を作る。
そして約一時間かけでできた料理を皿に移し、不貞腐れているセイバーの前に置く。
ホワイトシチューとパンの組み合わせだ。
シチューには程よく野菜やウインナーなどの具材が乗っており、パンも焼き加減はバッチリである。
それに思わずセイバーは少し反応し、パンを一切れちぎってシチューと一緒に食べる。
すると今までの態度と変わってパッ、と明るい表情になり、それを早々と食べ始めた。
…それからはと言うとお代わりラッシュで鍋の中身をほぼひとりで食べきってしまった。
「これは、これから大変になりそうだ…」
そう呟けば苦笑して戦いの準備をし始めた。
- 第15話 雪夜の狙撃手 ( No.20 )
- 日時: 2017/08/01 14:32
- 名前: kuzan (ID: 3MzAN97i)
夜22時、蓮達は時間ぴったりにG.C中央公あへとむかっていた。
「…来たわね、近山 蓮!!」
公園の中心部にはミヤが立っており、こちらにビシッと指を指している。
「…アーチャーのマスターか。」
セイバーは蓮の前で2対の剣を構える。
いつでもアーチャーが姿を現してもいいようにだ。
「その通りよ、セイバー。
…へぇ、これが最優とされる剣士のサーヴァント…。
対峙するだけでも迫力があるわね…!」
「…ふ、それはそうさ。私はセイバーのクラスの名前に恥じない最優の騎士だからな。
セイバーとして召喚されて当然だ、さて、アーチャーはどこかの高い位置にいるな。
見たところアーチャーは現代に近い英霊と見る。なれば、スナイパー、という奴じゃないか?」
「…へぇ、なかなかやるわねセイバー。
ま、わかって当然か。そう、私のアーチャーはね、残念ながら現代の英霊。基本的に見れば外れよ。
基本的に見れば、ね。」
ミヤは口元に笑みを作る。
その次の瞬間、セイバーの額を撃ち抜かんと銃弾が飛んでくる。
セイバーは直感スキルにより、後ろに二、三歩下がり回避する。
「…回避不可の銃弾を避けた。
なるほど、セイバー、あなた直感とか持ってない?」
パチン、と指を鳴らしながらセイバーに向けてそう聞く。
セイバーは弾丸を躱しながら
「…そうだ。この攻撃はすべて直感によって回避されている。」
と呟く。
「…やっぱりね。
そうじゃないと宝具のこもった1発1発を交わせるはずがないもの。」
「…宝具?あの弾丸がか?」
蓮はセイバーの様子を見ながらそう言う。
「そう、宝具。
アーチャーの第1宝具、『殺戮の丘』。
その効果が乗ったものがあの弾丸1発1発なの。
そして___」
とミヤが言うと空を見上げる。蓮もつられて空を見ると、雪が降ってきていた。
セイバーはその場に一度立ち尽くしている。
「…第2宝具、『白い死神(ベーヤラ・スメルチ。)』
敵のステータスのランクダウン及び、自分のステータス、スキルの1部がランクアップ。
さてこれでアーチャーの有利な状況が整ったわね…!!」
「…待て!?なるほど、さっきの基本的に見れば外れ、の意味がわかった…!!そうか…殺戮の丘、白い死神…アーチャーの真名は…白い死神、シモ・ヘイへか…!!」
蓮が声を上げる。
そしてセイバーの方を見ると肩に攻撃を受けていた。
「セイバー!!」
「く、気にするな…!!かすり傷だ…!!」
肩を抑えながら苦しそうに剣を構え直す。
「姿を表わせ!!アーチャー!!隠れてばかりではつまらん。
正々堂々と正面からやり合おうではないか。」
セイバーが木々を剣先で刺してそう言う。
しかしアーチャーは
「…ふん、正々堂々と出てくる奴がいるか。
俺は元々アサシンの方が適性があるんだ。
そんな奴のやり方なれば、こんな戦法でも良かろう。どうしても戦いたいというのであれば、俺を探すんだな。」
木々の間からそう聞こえる。
「…く…!」
少し歯を食いしばると足を踏み出そうとした。
だが
「いいえ、あれの相手は私が致しましょう。
幸い本日どんなものかと隣で見ていたものですから、大体の筋はわかります。
…ああそれと、これは私達は何も打ち合わせはしていませんでしたので、連れてくる、ではなく、来た、となりますね。」
「バーサーカー!?」
「何故ここに…。」
いつもの笑みを浮かべながらバーサーカーがセイバーの前に立つ。
バーサーカーの手には剣と火縄銃が握られている。
「…っふふ。ええ、援護です。文句は、言わないでくださいませ?
ふふ、反撃開始と行きましょうか、セイバーさん。」
クスクスと笑いながらバーサーカーは木々を見る。
セイバーは渋々と言ったように
「…分かった。でもどうするんだ。
この状態じゃ飛んで火に入る夏の虫だぞ。天候のせいでアーチャーの方が有利なんだ。」
「…ええ、では、崩せば良いのです。
雪の代わりに、灰を降らせましょうかねぇ!!」
とバーサーカーが言うとバーサーカーの周りから炎が放出され、木々に火が移っていく。
「…な…!?」
セイバーは驚愕した顔でバーサーカーと炎を見る。
バーサーカーはそんなセイバーに振り向き
「…どうしましたか、セイバーさん。
行きましょう?」
といい炎の奥に消えた。
- 第16話 炎の支配者 ( No.21 )
- 日時: 2017/08/20 11:27
- 名前: kuzan (ID: gfjj6X5m)
「…チィ、バーサーカーのヤツ、木々に炎を放ったか…!
卑怯な…!煙と炎のせいで全く見えん…!」
アーチャーは様々な所に向けて銃を向け、バーサーカーとセイバーを見つけようとするが、辺り一面は炎に包まれ、視界が悪くなっている。
「こちらでございます…!!」
アーチャーから見て右から声が聞こえ、さらに炎の中を突っ切ってくる炎の支配者は笑みを浮かべながら刀をアーチャーの首めがけて横薙ぎする。
アーチャーは苦難の表情を浮かべながらなんとか銃で防ぐ。が、バキリ、という音を立ててしまった。
「…!!スオミがやられたか。
やはり、最後はこいつか。頼むぞ…モシン・ナガン。」
今持っている銃を捨てれば、背に背負っていた小銃を取り出す。
モシン・ナガンM1891/30である。
しっかりと狙いを定め、炎の中を目を凝らして色々な方向を見る。
そして、ゆらりと炎の中で影が揺らいだ。
「そこか…!!」
トリガーに手をかけ、その方向に向けて狙撃を行う。
「…はっ!!
く、ぅ…!!」
その影の主はバーサーカーだった。
バーサーカーは刀の持っている肩に銃弾を受けてしまった。
地面に手をついたバーサーカーを見下ろすように見て、モシン・ナガンを構える。
「終わりだ、狂戦士。
お前の狂いっぷりはバーサーカーその者だった。」
そう言ってトリガーに手をかけた。
そして次の瞬間、どさり、と音が聞こえた。
「侮ったなアーチャー!!
もう一人ここに貴様の敵がいることを忘れるな。」
そう、セイバーが背後からアーチャーを切り伏せて見せたのだ。
アーチャーは不意をつかれ、バランスを崩し、木から落ちてしまった。
「…ふ、その通りですともアーチャー。
戦では背後をとった方が勝ちなのです。背後を取られてしまっては生存の可能性は多く下がります。分かるでしょう、アーチャー?」
くすくす、と全て予想通りだったと言わんばかりにバーサーカーは笑い、刀を反対の手に持ち帰る。
「…ふ、なるほど、それが俺の敗因か。
セイバー、アーチャー。また違う戦乱の世に生きた者達の力、か。
その下に敗れたと考えれば悪くは無いな。」
アーチャーの体から青い光のようなものが現れ始める。
そう、退却が始まっているのだ。
「…バーサーカー、お前の真名はなんだ…?」
アーチャーが最後に、と言ったようにバーサーカーに問う。
バーサーカーはセイバーの方をちらりと見たあとに、アーチャーの方を見る。
「ふふふ、なら教えて差し上げましょう。
私の真名は___。」
バーサーカーは告げる。セイバーには聞こえず、アーチャーにしか聞こえないように。
「…なるほど、それが貴様を狂戦士に捉える理由か…。」
そう呟けばアーチャーは完全に青白い光となり、夜に解けてしまった。
この事実は、アーチャー陣営の敗退を意味する。
それと同時に役割を遂げた炎は納まった。
___
「うそ…私のアーチャーが…。」
炎の方を呆然と見つめていたミヤはその場に膝をつき、自分の令呪があった場所を見つめていた。
決着がつき、自分の敗北が決定したと分かった瞬間だった。
「…協会になんて説明すれば…
私、合わせる顔がない…。じゃあ監督役のシス神父のところに行く…?でも、私は協会の人間。新杯教会なんかの力は借りたくない。」
ブツブツと一人で壊れたようにつぶやく。
「…協会…?聖堂教会がヒャッチだから…お前が魔術協会からの派遣者か!!」
蓮は声を上げてそういう。
そういう彼をミヤはキッ、と強くにらみ
「ええそうよ!
私があんた達の戦争を邪魔しに来たもう一つの存在よ!仕方ないじゃない、聖杯は…いや、何でもないわ。とにかく私はあれを回収したかった。なのに…なんでこんな素人に負けるわけ!?」
苛立った様子を見せるとその場から立ち上がり、公園の出口に向かって歩き出した。
「お、おい…どこに行くんだよ。」
蓮は相手の背中にそう声をかける。
「決まってるでしょ、私ひとりで続けるの。聖杯戦争を。」
と振り返っていえばまた歩き始めた。
- 第17話 仕事 ( No.22 )
- 日時: 2017/09/01 21:52
- 名前: kuzan (ID: r3UXBQ7u)
___夢を見る。
それは、そう。英霊になりきれなかった男の話。
それは小さな小さな村だった。平和で、何の変哲もない村。
その村に一人の少年がいた。彼は暗殺教団である山の翁に憧れていた。
当時の山の翁は呪いの腕を持つ「呪腕のハサン」と呼ばれた男だった。
彼は呪腕のハサンに憧れ、山の翁を目指すようになった。
そのために彼は自身の力に電撃を流し始めた。最初のうちは静電気などで徐々に慣れて言ったが、どんどんエスカレートしていき、最終的には落雷直後の湖に飛び込むという仕打ちまでした。電撃を流し続けた仕打ちでか、彼の髪色は白く染まった。
そこまでして、彼は電撃を操る力を得た。
しかし、彼は報われなかった。彼は選ばれなかったのだ。
その事実に直面した彼は、絶望し、悲しんだ。
今までこれだけ努力したのに、何のために自分を捨てたのだ、と。
しばらく絶望した後、彼は一つの答えにたどり着いた。
なれなかったのであれば、無理やり名乗ればいい、と。
彼は次の日、村から出た。黒いコートに帽子、口元に黒い布を巻き、靴まで全身黒くした。
そして黒塗りの短剣を持ち、自分こそが次の代のハサン・サッバーハ、「紫電のハサン」だ、と名乗った。
彼は不要な人物と思われる人物を手に入れた能力で殺して殺して、殺し尽くした。
自分こそがハサンだと証明するために。
だが、彼は本物の山の翁に危険視され、殺害対象に設定されてしまった。
そして彼の最後は、呪いの腕で殺されてしまった。それが自分の本当の名も忘れてしまった殺人鬼の話である。
…そこでアサシンのマスター、フィマは目を覚まし、ゆっくりと起き上がる。
「…酷い話ね。」
ボソリと呟けば髪の毛を整える。
その最中、不機嫌そうに彼女の後ろで霊体化しているアサシンに声をかける。
「全く、酷い内容だったわ。
どっかの誰かさんと契約しているせいね。人が死ぬ夢なんて、胸糞悪いわ。」
そしてちらりと鏡を見る。
そこには夢で見た服装と全く男が現れる。
「…あー、なんとなく察したわ。あれだろ?オマエ、オレの生前の夢を見たな。
まァ、胸糞悪ィ話だとは思うけどよォ?
まァいい。3日目の報告だ。
まずアーチャーの脱落。勝者はセイバーとバーサーカーの同盟だ。ったくよォ、あっさりと脱落するような器じゃねェと思ったんだがなァ。
…それで、面白いことにそのマスター、ミヤ・アリベータはサーヴァントを失ったにも関わらず、聖杯戦争を続けると宣言した。更に、奴こそが魔術協会からの派遣者だった。」
指をピン、と立てアサシンは自分のマスターに報告する。
それを聞いたフィマは目の色を変え
「…仕事よ、すぐに始末しなさいアサシン。
昼でも構わないわ。できるだけ人目のつかないところで敵を殺しなさい。」
冷静に、的確にそう支持する。
アサシンは分かりきってたかのように溜息をつき
「はいよォ。ま、任せとけや。」
と言って霊体化をし、街へと繰り出した。
それと同時にフィマは修道服に着替え、自室から教会の祭壇の方へと歩き出した。
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