二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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Fate/OS -繰り広げられる新たな聖杯戦争-
日時: 2017/11/16 12:29
名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)

時は西暦2×××年…
日本の冬木市で行われた聖杯戦争の聖杯はとある魔術師によって解体された。
…それから数年後、同じような聖杯がアメリカのとある都市…
クロック・グロウ(C.G)と言う都市に聖杯が出現した。その聖杯は後に『新聖杯』と呼ばれることになる。
…新聖杯に選ばれ、令呪が宿った魔術師達はC.Gの最も大きな教会である『アルト教会』に集められる。
アルト教会の神父シス・アルトは新聖杯戦争のために聖堂教会や魔術協会とは別の集団、『新杯教会』というものを立ち上げた。
シス神父は集めたマスター達をその場で召喚させ、新聖杯戦争の開始を高らかに宣言したのだった…。

…こちらでは新しい小説、Fate/OSを書かせていただきます。
この物語は私の創作により書かれたもので、原作の設定などを無視や勝手に創作している場合があります。サーヴァントもマスター達も完全オリジナルです。
そのあたりは暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。
…ちょこちょこともしオリジナルサーヴァントがカルデアに召喚されたら…とかやるかも知れません。
…では、どうぞお楽しみください…。

───────────────────

【0日目】

第1話 召喚(監督役&ランサー陣営初登場)

>>1

第2話 開戦前夜(セイバー陣営初登場&セイバー真名判明)

>>2

第3話 夜に咲く1輪のはな(バーサーカー陣営初登場)

>>4

第4話 凛とする兄弟(ライダー&キャスター陣営初登場)

>>5

【1日目】

第5話 2人の暗殺者(アーチャーvsアサシン&アーチャー陣営、アサシン初登場)

>>6

第6話 最優秀と落ちこぼれ(セイバーvsランサー&ランサー真名判明)

>>8

第7話 燃え上がる信念(バーサーカーvsライダー)

>>9

第8話 死神と災厄(キャスターvsアーチャー&アーチャー真名判明)

>>11

【2日目】

第9話 二つの道(日常1)

>>12

第10話 同盟(剣狂陣営顔合わせ)

>>13

第11話 侵略王 前半(ランサーvsライダー&ライダー真名判明)

>>14

第11話 侵略王 後半(ランサーvsライダー)

>>15

【3日目】

第12話 山の翁(アサシンのマスター初登場&アサシン真名判明)

>>16

第13話 銃手(日常2)

>>18

第14話 対戦前(日常3)

>>19

第15話 雪夜の狙撃手(セイバーvsアーチャー)

>>20

第16話 炎の支配者(セイバー&バーサーカーvsアーチャー)

>>21

【4日目】

第17話 仕事(アサシンの過去)

>>22

第18話 策略(日常4)

>>23

第19話 紫電(日常5)

>>24

第20話 雷切(アサシン&バーサーカー 臨戦態勢)

>>25


第21話 氷結使い(アサシンのマスターvsアーチャーのマスター)

>>27

第22話 制裁者(日常6&ルーラー初登場)

>>28

第23話 幼い大人(日常7)

>>29

第24話 作戦準備(ルーラー真名判明)

>>30

第25話 謀反(バーサーカー真名判明)

>>31

第26話 共同戦線(アサシンvsセイバー、バーサーカー、ランサー、ライダー)

>>32

【外伝】

外伝1

>>3

外伝2

>>17

Page:1 2 3 4 5 6 7



第6話 最優秀と落ちこぼれ ( No.8 )
日時: 2017/06/19 10:35
名前: kuzan (ID: 1T0V/L.3)

「…セイバー、先程アーチャーと思われるサーヴァントとアサシンが戦闘を行ったみたいだ。
結果はアーチャーの勝ち。アーチャーは宝具を開帳し、アサシンの肩を射抜いた。
アサシンは状況的に不利と読んだのか、その場から霊体化で撤退した。
これが使い魔からの情報だ。」

家のリビングで全ての電気を消し、蓮はセイバーと話をする。
セイバーは顎に手を当てて考え込んでいる様子だ。

「…なるほど、しかし、何故アーチャーはこんなにも早く宝具を開帳したのだろうな。
…アーチャーは三騎士とも言われる優秀なサーヴァント…つまりアサシンに遅れをとるとは思えない。
…早く終わらせたかった?いや違うな、なら普通に戦って勝てばいい話だ。
…アーチャー、か。少し考えておこう。もしかすればこの戦争、厄介な敵のひとりになるかもしれん。」

顎から手を離せば蓮の方を見る。
蓮は目が合うと思わず目を逸らす。

「…?どうした、蓮。
私の顔に何かついているか?」

少し首をかしげ、少し近づく。
蓮は目を逸らしながら

「いや、何でもない!!
と、とにかくだ、まずは情報収集を優先させよう、な。」

慌てた様子でセイバーに声をかける。
セイバーは不思議そうにしながら

「…まぁ、私としては早く戦いたいところなんだが…
厄介なことにマスターという存在がいる。好きに動けないし、私は君に従うよ。」

やれやれと言った様子で目を瞑り、蓮に言う。
そして目を閉じたと思えばすぐに目を開け、窓の外を見る。
すると、窓に槍が突き刺さっており、亀裂が走る。
槍が消えたと思えば次は足が亀裂の入ったところに蹴り入れられた。

「蓮!!下がれ!!
ランサーだ、君が集めた情報にあっただろう!!このサーヴァントは…この戦争で最も優秀と言えるマスターと組んでいると!!」

「…ほう、マスターはそんな評価なのか。まあいい。セイバー、私とやり合おうではないか。私はマスターを殺すなどという卑怯な真似はしない。
幸い、私のマスターにも口止めをされているわけだ。」

冷静な様子でランサーが窓から入ってくる。
槍は赤く、先が捻るようになっており、槍先は尖っている。

「…───!!その、槍は…!!」

セイバーが驚いた様子で声を上げる。
そしてランサーは少し眉を動かし

「ほう、知っているのか、この槍を。
聖槍とも魔槍とも言えるこの槍を。」

ランサーが槍を掲げ、また構え直す。
そして目を鋭く光らせる。

「…セイバー、知ってるのか、この槍を。」

何も知らない蓮はセイバーとランサーを同時に見、セイバーに声をかける。

「ああ、知っている。
…たしかにこのサーヴァントはこの戦争で最強レベルとも言える。
…グランドの適性もあるかも知れない。それほどの槍使いと槍だ。」

セイバーは頬に冷や汗を浮かべながらつぶやく。
そして双剣を顕現させる。

「…ほう、呪いの類がかかっているな。
呪いの剣そしてこの聖槍を見て驚愕。
セイバー、お前は…ベイリン卿だな。」

「…!!」

連はぞくりとし、ランサーを見る。
ベイリンを知っている…?ならこのランサーはベイリンにゆかりがある人物かも知れない。
そして聖槍とも魔槍とも言える槍。
…生前、ベイリンはぺラム王の城に訪れた際、短剣しか持っていなかった彼が武器代わりとして城にあった聖槍ロンギヌスでペラム王を撃退することに成功した。しかし、触れてはいけない「聖具」を扱った反動、嘆きの一撃により城と周囲の土地を破壊し、自身も生き埋めとなった使用したという逸話がある。
…つまりこの、ランサーは…

「…ロンギヌス…
聖ロンギヌスか…!?」

思わず声を張り上げる。
それに対しランサーは今まで通り冷静に対応する。

「いかにも。私こそイエス様の生死を確かめるためにその左脇腹に槍を突き刺したローマ人の百卒長。
ロンギヌスである。これを知ってしまったセイバー、お前には死んでもらうぞ。これもマスターと主のためだ、いざ…!」

そういえばランサーがセイバーに迫り、槍を突きつける。
セイバーは咄嗟に剣を合わせる。その場にはキィン、という甲高い金属音と衝撃が走る。
蓮は飛ばされないように顔を覆い、戦闘を見守る。
そしてふと、後ろからの気配を探知した。

「…あら、気づいたのね。
残念、楽に終わらせてあげようと思ったのに。」

後ろを向き、視線の先にはランサーのマスター、ニィナがいた。その手には短剣が握られている。

「…っ…!!
投影、開始(トレース、スタート)!!」

咄嗟に投影を行い、ティナの短剣を咄嗟に作る。

「…投影魔術。
効率の悪いことをするのね。それに、本来のやり方とは違う。何、トレーススタートって。まさか、独学でそれを生み出したの?
ふふ、馬鹿ね。そんなこと、自分の魔術回路と寿命を傷つけるだけなのに。」

クスクスと笑いながら斬り合う。
それは小馬鹿にしている様子だ。

「ふふ、飽きちゃった、ランサー、撤退するわよ。
セイバー陣営は私が手をくださなくても敗退するわ。」

「承知。」

頷けばニィナを抱え、窓から出る。

「ランサーの真名を当てれたのは褒めてあげるわポンコツさん。じゃあね。」

嫌な笑顔を浮かべながらランサーとニィナは撤退していく。蓮とセイバーは渋い顔をし、見守るだけだった。

第7話 燃え上がる信念 ( No.9 )
日時: 2017/06/26 10:14
名前: kuzan (ID: UPSLFaOv)

ごうっ、と火の柱が夜の街の中央公園に上がる。
その炎はまるで来いという合図や挑発の意味が込められていた。
その炎を起こしたのはバーサーカーだ。
バーサーカーは魔力を放出し、各陣営に合図を出したのだ。

「ふふ、さあこれで私の誘いに応じない者はいないでしょう。こちらは強力な魔力を放出したので、これほどの脅威は、放っておくわけないでしょうし、ね。」

くすり、と微笑を浮かべる。
炎の灯に照らされるバーサーカーの横顔は美しくもあり、どこか狂気的だった。
ヒャッチは渋い顔をしながらバーサーカーを見る。
この前日、ヒャッチはバーサーカーの真名について調べたのだ。
それの影響か、バーサーカーは信用出来ない。そのような顔でいる。
が、そんな顔はすぐに解かれた。令呪が疼いた。
つまりマスターが近くにいるという事だ。

「バーサーカー。」

「ええ、分かっていますよ。主様マスター。来ましたね、サーヴァント…。
さあ、どこからでもかかってきなさい。私が相手を致しましょう。」

刀と火縄銃を顕界させながら宙に向かって声をかける。
すると上空から何かがすごいスピードで落ちてくる。
それを探知していたかのようにバーサーカーは後ろに跳び、その突撃をかわす。

「あら、ふふふっ…。荒いお方。
まあ私は嫌いではありませんけどね?」

相変わらずクスクスと笑いながら目の前の大男を見る。
ライダーだ。
獣の皮で作られている鎧を着た大男は牛に乗って突撃してきたのだ。

「ほう、貴様がバーサーカーか。
あんな炎を出すものだからどんな大男かと思えば、思ったより華奢な体をしているではないか。
こんな場でなかったのなら声をかけていたのだがのぅ…。」

ライダーは少し残念そうにしながら呟く。
しかし、油断はしていないようで、いつでも戦えるように剣を手に持っている。

「あらあら、それは残念。ええ、このように女ですとも。
ふふ、しかしこれは戦い。戦争です。それは叶う願いではございませぬ。そうでしょう、ライダー?」

それに対し、バーサーカーも冷静であり、1度剣を鞘に入れると手を口に当て、クスクスと笑っている。

「うむ、そうだ。
…やるか、バーサーカー。」

剣を構え直し、バーサーカーをしっかりと見据える。

「ええ。
いざ尋常に___。」

刀を懐から抜く。
そしてライダーの方に向ける。

「勝負!!」

ライダーもその合図と同時に牛を突進させる。
その速さは車すら超える早さだ。
バーサーカーはうっすらと笑い、刀を横薙ぎする。
その横薙ぎは斬撃となり、牛の足元へと向かう。
無論、それだけではない。その斬撃には炎が付与されていた。
ライダーはその斬撃を飛んで回避する。
そしてその勢いでバーサーカーを踏みつけようとする。
しかし、もう片手に手にしている火縄銃で牛を狙い、銃弾を牛の腹に叩き込む。
そのまま後ろに回避すると牛はその場で苦しむように蠢く。

「ほほう、やるではないか。」

それをされてもまだ、余裕だった。
それどころか笑みを浮かべていた。

「っ___!
何をしているの、ライダー!!第一宝具開帳よ!!」

痺れを切らしたのか、隠れていたメイは飛び出し、そう指示する。
しかしライダーは首を振り

「なぁに心配は不要だ、こやつに宝具をくれてやる必要は無い。
貴様はそのまま引っ込んでおけばよかったものを…ほれ、バーサーカーのマスターが向かってるぞ。」

メイはそれを聞き、ヒャッチを見る。
ヒャッチは黒鍵を構え、猛スピードでメイに向かう。

「___。
その黒鍵、聖堂教会からの派遣者ね。
この戦争を邪魔するように指示された?それとも聖杯を回収するように言われた?
どちらにせよ、邪魔ね。」

そう言えば「Thunder V(ボルト)」と呟く。
彼女の周りは電撃に覆われ、その電撃がヒャッチに飛んでいく。ヒャッチはそれを切り伏せながらメイに向かっていく。

「…っ!
ライダー、撤退!!分が悪いわ。攻略法を見出してからやるわよ!!バーサーカーに関する情報は手に入れたしね!!」

ライダーは渋々と言った形で承知した、と呟けばメイを構え、撤退していった。
バーサーカーは最後までごうっ、と炎を向けていた。
笑を一度も絶やさずに。

Re: Fate/OS -繰り広げられる新たな聖杯戦争- ( No.10 )
日時: 2017/06/28 10:04
名前: 94虎 (ID: Gp3daWUL)
参照: http://gintama1010

コメント失礼します。

Fate/OS 楽しく読ませていただきました。つい最近このゲームを始めて、すっかりはまってしまいました。サーヴァント達の戦闘シーンはとても、面白かったです。情景が思い浮かんできてとても面白かったです。これからも頑張ってください。

94虎

第8話 死神と災厄 ( No.11 )
日時: 2017/06/28 23:30
名前: kuzan (ID: gcTkfQD.)

「…」

アーチャーはアサシンの戦闘後、ある屋敷が見える丘におり、その丘からある小銃を構える。スコープはつける必要なんてない。
この位置から相手を撃ち抜くなんて容易い御用だからだ。
場所はクロッツェ邸。
その館は丘の下に堂々と構えている。奇襲なんて出来ない。何故ならば後ろは崖、横も崖、入れるのは正面の森からだけだ。
しかしその丘は決して高い訳では無い。見下ろせば窓が見えるのだ。
窓の外からはベッドに横たわる老人が見える。この老人には特に用はない
用があるのは、その隣の部屋にいるマスターだ。
そう、キャスターのマスター、シェン・クロッツェだ。
彼は警戒する様子もなく呑気に何かと連絡している。このチャンスを逃すわけには行かない。

「…第一宝具開帳、『殺戮のジェノサイド・ヒル』。」

アーチャーはなんの戸惑いもなく魔術師とはいえ、人間に向かって宝具を開帳した。
その必中の必殺を。
そして引きトリガーを引く。
狙いはシェンの頭だ。
その銃弾はシェンの命を狙うべく一直線に打ち出された、そしてしばらくすると、パリン、という何かが割れた音がした。

「…ふ。」

笑みを浮かべ、アーチャーは銃から目を離し、窓を見る。
窓は割り、キャスターのマスターの脳天に銃弾を食らわせたのだと信じ込んだのだ。
…しかし、それは失敗に終わっていた。
必中の銃弾は〝無敵のバリアに護られていた〟。
その盾に銃弾はくい込んでいるが、貫通する様子はない。

「残念でした、アーチャー。
名の立つ狙撃手みたいだけど、それでも現代の武器じゃ神から授かった神秘(魔術)は敗れない。
それにここは工房を通り越して私の神殿になってるの。
悪くないね、ここは。霊脈がいい感じに流れててここら一体が私のものみたい。」

アーチャーの後ろにはキャスターが立っていた。

「…いつの間に…!?」

アーチャーは急いで距離を取り、銃を構える。
キャスターはくすりと笑い

「んー、空間転移、かな?
それは魔法の域だけどここは私の領域。
そんなことも容易い御用なんだよ?この丘も私の領域の一部。
…まあ、結界のギリギリの所だったから飛べるかとうか不安だったけどね。」

少し首をかしげながら手を横に上げる。
その手には魔力が篭っていた。

「…〝δцναμη τηзλησηч(ディナミー・ティズ・セリシズ)〟。」

1度そう唱えた時、無数の紫の弾が一斉掃射される。
それは高速神言のスキルだった。彼女の高速神言は神代の魔女と同様かそれ以上のものである。

「…な___。」

アーチャーは思わず絶句する。
あの量を防ぎきれるはずがない。
何故ならこのアーチャーに対魔力はないからだ。

「…クソッ…!!」

対抗と言わんばかりにアーチャーは機関銃を取り出し、連射する。そしてその魔術達を相殺する。
キャスターも力を弱めていたのか、その魔術達は呆気なくその場で爆発を起こす。

「…ふふ、残念ね、あなたじゃ私には勝てな___。」

キャスターにぞくりとした感覚が走る。
その日はとても寒く、さらに雪も降っていた。
その影響だろう、と彼女は考えた。
いや、違う。その環境は今、アーチャーを味方していた。

「…第二宝具開帳、『白い死神ベーヤラ・スメルチ』。」

【『白い死神ベーヤラ・スメルチ

ランク: C 種別:対人〜対軍宝具
レンジ:1〜100最大補足:1〜100

平均気温-20℃から-40℃という酷寒の中で、純白のギリースーツに身を包んで狙撃を行い、その活躍によって赤軍兵士から“白い死神”と呼ばれた逸話より。
条件として、『雪が降っている』や『気温が低い』のどちらか一つが最低条件。
相手はアーチャーの補足地点に足を踏み入れた際、寒さと何者かと対峙しているという恐怖により筋力・敏捷がワンランクダウン。
雪が降ることで条件が整い、アーチャーの動体視力、つまり『千里眼』のスキルがCからBになり、敏捷はDからBになりアーチャーに有利な状況が整う。】

その弓兵しにがみは真名開帳に近いその宝具を展開する。

銃使いであり、白い死神と言える存在は一人しかいない。

フィンランドの軍人。
フィンランドとソビエト連邦の間で起こった冬戦争では、ソビエト赤軍から“白い死神”と呼ばれ、恐れられた。
スナイパーとして史上最多の確認戦果542名射殺の記録を残している。
愛称は「シムナ」。フィンランド現地語の発音にあわせる場合、シモ・ハユハ、もしくはシモ・ハウハと表記するのが近い。

そう、その真名はシモ・ヘイへである。

「…」

冷気を纏いながらアーチャーはキャスターを狙う。キャスターも宝具を取り出し、対峙しようと思ったその時

「___令呪をもって命ずる…!!
キャスター、戻れ___!!」

このままではキャスターが殺されてしまう。
そう考えたのかシェンは戦力差があり、空間転移するにも銃が近い。
状況的にあまりに離れたキャスターに令呪を使い、自分の元に戻した。

「…命拾いしたなキャスター。
まあいい。報酬はできた。キャスター陣営に令呪をひとつ使わせることが出来たのは大きな収穫だ。」

そう言いながらアーチャーは白いコートを翻し、撤退していった。

___

>>10

94虎様

コメントありがとうございます。
これからも頑張っていきたいと思っているので応援よろしくお願いします。

第9話 二つの道 ( No.12 )
日時: 2017/07/03 10:54
名前: kuzan (ID: sCSrO6lk)

聖杯戦争開戦から2日後、蓮はセイバーを連れて街に出ていた。
それは街を把握するためや、敵の偵察などを踏まえてである。

が、その目的を忘れ、セイバーは現代の世界に完全に浸っていた。
最初は乗り気ではなく、服も軽く連の大きめのコートを羽織っただけで隠そうとはしなかった。だがふと洋服屋で立ち止まり、「これ欲しい。」と呟いた。
決して安いとは言えないその服を買い、試着室を借りて服を着た。
その服は薄い赤色のワンピースで赤いパンプス、更にお洒落で黒いダテメガネを買い、その姿は何の変哲もない少女のようなものだった。

「さあ蓮!次はどこに行こうか。」

セイバーはとても上機嫌であり、蓮を様々場所へと連れ回すことになる。
連はその度に財布の中身を見ながらため息をつく。

「…ま、たまにはこんなこともいい、か。」

とその度に呟き、苦笑を浮かべる。

「どうした蓮!さ、次だ、休む暇なんてないからな!」

遠くから手を振り、蓮に呼びかける姿はまるで少女のようなもので、鎧で体を包み、二対の剣を振るうとは思えない。

「ああ、待ってくれよセイバー。」

ゆっくりと歩いて彼女の元へ向かう。
普段剣を降っているからこそこういう日常を楽しみたいのであろう。
加えて彼女は昔の人間であり、現代の文化に興味があるのは当然だ。
だから今はこの日常を謳歌させてやりたいと蓮は考える。

「…侮った…。」

蓮はポツリと呟く。
しばらく散々連れ回され、財布の中身は無に近い。
はぁ、と大きな溜息をつきながら入った喫茶店で頼んだコーヒーを飲む。
だが、目の前で嬉しそうにサンドイッチを頬張る少女を見ればどうでもいい、とすら思える。

「ふふ、時代はこうして発展していくのだな。
私の時代には無いものばかりだ。」

食べていたサンドイッチを皿に置くと、上機嫌な様子で連に話しかける。
蓮はつられて笑うようにすると

「そうか、それは良かった。
でもセイバー、俺の財布の中身も考えてくれよ。ほぼ空だぞ…。」

財布を逆さにし、軽く上下に動かす。財布の中から出てきたのは1ドル札数枚と硬貨数枚だけ。
セイバーは苦笑し、悪びれる様子もなく

「は、済まないね、だが仕方ないだろう、興味あるんだから。
私は君のために戦う、君は私のモチベーションのために尽くす。
特価交換だよ、それは整ってると思うな。」

「…そうだけど…。」

言い返そうと思った時、カラン、と鈴を鳴らしながら喫茶店の扉が開く。
思わずそちらを見るとただでさえ目の前に可憐な少女がいるのに同じように可憐な女が入ってきた。
その女は紫色のコートにジーンズ、紫色の髪を持った女だ。

「…蓮…、おい蓮…!
マスター!」

思わず見とれ、その女の方ばかりを見ていてセイバーの声に気が付かなかった。
机に腕を起き、前のめりで蓮に語りかけていた。

「お、おう、どうしたセイバー。」

目のやり場に困っているとセイバーの方からずい、と顔を寄せてきて

「…あの女、サーヴァントだ。恐らくあちらもこっちに気がついている。
見た目に騙されるな、私のマスターだろう。」

今までとは一変し、真剣な顔で蓮のことを見る。

「…ああ。済まないセイバー。」

そして再びそのサーヴァントの方を見るとキョロキョロと店中を見渡す。
席は満席であり、座るところがない。
店員がそちらに向かうとそのサーヴァントに何かを聞いている。
サーヴァントは笑を浮かべ、頷き、四人掛けの席に座っている蓮達の方を見て、指を指す。
すると店員は蓮達の方に向かって来て

「あちらの方と相席して頂いても宜しいでしょうか?」

と聞いてくる。
蓮はセイバーの方を向き、どうする?と呟く
それに対しセイバーはいいんじゃないか別に。と何でもないように呟く。

「…よし、なら大丈夫です。」

そう言えば店員は

「ありがとうございます。」

と頭を下げ、サーヴァントの方に向かい、席に案内する。

「失礼致しますね。」

そのサーヴァントは不気味なほど笑みを作っており、セイバーの隣に座った。
セイバーはむっとして

「貴様、どのクラスのサーヴァントだ。」

と単刀直入に聞く。
するとサーヴァントは笑みを絶やす様子もなく、そのまま続ける。

「ふふ、私はバーサーカー。
それだけですよ。」

サーヴァント、バーサーカーはニコリと笑みを深くする。

「…バーサーカー?
なら何故狂化の効果を受けていない。狂化の効果を受けていれば語彙力なども失われるはず、なのに貴様はなぜ問題なく話せている…?」

セイバーは顔を歪め、不思議そうにそう聞く。
それに対しバーサーカーは今までとは変わらず、冷静とも言えるその笑顔のまま

「いいえ、私とて狂化の効果は受けています。
狂化EX…私の狂化は思考を弄られる程度で聞いているのです。
つまり語彙力などの問題は一切ありません。ただし、この頭は一つの思考で固定されています。」

「その、思考って…?」

蓮は思わずそう聞く。
恐らくこれは真名に繋がるヒントであり、それを引き出すことが出来るだろうと考えた。
しかしバーサーカーは少し考え

「失礼、その事については控えさせていただきましょう。
後に響いてきますからね。」

と笑みを浮かべながら呟く。
蓮は渋い顔をしながら

「…そうか、そうだよな。」

と呟く。
そしてバーサーカーは思い出したように手を叩き

「そう言えばあなたのクラスを聞いていませんね。
私の信じる道は名乗られれば名乗り返すのが礼儀ですので、それは私の道に反することになります。」

とセイバーの方を見る。
するとセイバーはしまったという顔をし

「そんなもの私も同じだ。
うっかりしていた。その事は詫びよう。そして私のクラスは最優のクラス、セイバーだ。」

「…セイバー、セイバーですか。
ふむ、ありがとうございます。ではこちらを。マスターからの預かり物です。」

と言いながらバーサーカーは一つの紙を取り出し、蓮の方に向ける。

「…これは…自己証明強制セルフギアススクロール…!?
権謀術数の入り乱れる魔術師の社会において、決して違約不可能な取り決めをする時にのみ使用される、もっとも容赦のない呪術契約の一つだったな…。
自分の魔術刻印の機能を用いて術者本人にかける強制の呪いは、いかなる手段用いても解除不可で、さらに例え命をさしだしても、次代に継承された魔術刻印がある限り、死後の魂すらも束縛される。
この証文を差し出した上での交渉は、魔術師にとって最大限の譲歩を意味し、魔術師の間では滅多に見られない代物だぞ…!?何でこんなものが…」

「さあ、私にもわかりませんよ。
ですが、どうぞ内容をお読みください。」

「…『この自己証明強制を受け取ったものにはバーサーカー陣営との同盟を組む権利があり、その同盟は最後の2騎になるまで破棄されない。
ヒャッチ・ディグソン』…。」

セイバーと顔を見合わせる。
同盟を引き受けるか、引き受けないか。

「どうする、私はマスターの意図に合わせるが…。」

「…馬鹿言え、俺だけで決められるか。
セイバーはバーサーカーと背中を合わせて戦うことは出来るのか?」

そう言うとセイバーは少し項垂れ

「…信用できるとはいえないが…
戦力が増えるのは正直嬉しい、と思う。」

「よし、なら決まりだ。」

そう呟けば自分の名前をサインする。

「…マスターからのギアスが効いたとの連絡が入りました。同じように、私の体にもギアスが効いたようです。まるで縄でも巻かれているようです。
さあ、これから私達は同盟として聖杯戦争を勝ち抜いていきましょう。
方針の話し合いでも本日しましょう。場所は我々の本拠地。場所は私がご案内します。さあ、よろしくお願いしますね、セイバー、そして、ええと、蓮さん?」

そう呟けば笑みをより深くし、二人を見る。
2人はその笑みに少し悪感を感じていた。


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