二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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Fate/OS -繰り広げられる新たな聖杯戦争-
日時: 2017/11/16 12:29
名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)

時は西暦2×××年…
日本の冬木市で行われた聖杯戦争の聖杯はとある魔術師によって解体された。
…それから数年後、同じような聖杯がアメリカのとある都市…
クロック・グロウ(C.G)と言う都市に聖杯が出現した。その聖杯は後に『新聖杯』と呼ばれることになる。
…新聖杯に選ばれ、令呪が宿った魔術師達はC.Gの最も大きな教会である『アルト教会』に集められる。
アルト教会の神父シス・アルトは新聖杯戦争のために聖堂教会や魔術協会とは別の集団、『新杯教会』というものを立ち上げた。
シス神父は集めたマスター達をその場で召喚させ、新聖杯戦争の開始を高らかに宣言したのだった…。

…こちらでは新しい小説、Fate/OSを書かせていただきます。
この物語は私の創作により書かれたもので、原作の設定などを無視や勝手に創作している場合があります。サーヴァントもマスター達も完全オリジナルです。
そのあたりは暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。
…ちょこちょこともしオリジナルサーヴァントがカルデアに召喚されたら…とかやるかも知れません。
…では、どうぞお楽しみください…。

───────────────────

【0日目】

第1話 召喚(監督役&ランサー陣営初登場)

>>1

第2話 開戦前夜(セイバー陣営初登場&セイバー真名判明)

>>2

第3話 夜に咲く1輪のはな(バーサーカー陣営初登場)

>>4

第4話 凛とする兄弟(ライダー&キャスター陣営初登場)

>>5

【1日目】

第5話 2人の暗殺者(アーチャーvsアサシン&アーチャー陣営、アサシン初登場)

>>6

第6話 最優秀と落ちこぼれ(セイバーvsランサー&ランサー真名判明)

>>8

第7話 燃え上がる信念(バーサーカーvsライダー)

>>9

第8話 死神と災厄(キャスターvsアーチャー&アーチャー真名判明)

>>11

【2日目】

第9話 二つの道(日常1)

>>12

第10話 同盟(剣狂陣営顔合わせ)

>>13

第11話 侵略王 前半(ランサーvsライダー&ライダー真名判明)

>>14

第11話 侵略王 後半(ランサーvsライダー)

>>15

【3日目】

第12話 山の翁(アサシンのマスター初登場&アサシン真名判明)

>>16

第13話 銃手(日常2)

>>18

第14話 対戦前(日常3)

>>19

第15話 雪夜の狙撃手(セイバーvsアーチャー)

>>20

第16話 炎の支配者(セイバー&バーサーカーvsアーチャー)

>>21

【4日目】

第17話 仕事(アサシンの過去)

>>22

第18話 策略(日常4)

>>23

第19話 紫電(日常5)

>>24

第20話 雷切(アサシン&バーサーカー 臨戦態勢)

>>25


第21話 氷結使い(アサシンのマスターvsアーチャーのマスター)

>>27

第22話 制裁者(日常6&ルーラー初登場)

>>28

第23話 幼い大人(日常7)

>>29

第24話 作戦準備(ルーラー真名判明)

>>30

第25話 謀反(バーサーカー真名判明)

>>31

第26話 共同戦線(アサシンvsセイバー、バーサーカー、ランサー、ライダー)

>>32

【外伝】

外伝1

>>3

外伝2

>>17

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第10話 同盟 ( No.13 )
日時: 2017/07/07 09:17
名前: kuzan (ID: B4StDirx)

喫茶店を出た後、バーサーカーは町外れにある大きな館に蓮達を連れて出た。
そこはヒャッチ・ディグソンの拠点となる場所であり、本拠地だ。

「…主様、同盟相手をお連れしました。」

門の前に行くと門の前で呟く。
すると門はゆっくりと開く。バーサーカーは蓮とセイバーを中に入れ、また前を歩く。

「…ああ、そうそう。
私の主様は聖堂教会からの派遣者なのです。」

バーサーカーは思い出したように呟く。

「聖堂教会?
確か神父は言ってたよな…。
『魔術協会や聖堂教会に嗅ぎつけられたらおしまいだ』と。
この時点で嗅ぎつけられていたのか…。」

蓮は考え込むようにつぶやく。
バーサーカーはいつもと変わらぬ笑みを浮かべているであろう。その表情で

「ええ、そうでしょうね。そしてそれを神父様は逆探知されているかと。
だって、これは聖堂教会からの情報ですが、魔術協会からの派遣者も参加しているそうなので。」

「魔術協会からもか…!?
まあ、時計塔の魔術師ならやりそうだが…」

「…話を戻しましょうか。
ヒャッチ様の目的は聖杯の破壊、もしくは回収でございます。
全く、私達サーヴァントはあれを欲しているというのに、容赦なく使わせない、と言っているようなものですからね…。」

思わずため息をつくバーサーカー。
それはそうだろう。サーヴァントが召喚されるのは聖杯を欲するからである。

「…この話は私達だけの秘密で。
ヒャッチ様には話すなと言われているので。」

大きな扉の前に立つとバーサーカーはこちらに向き、笑みを浮かべながら人差し指を口元に当てる。

「…バーサーカー、何故それを話した。」

セイバーがムッとしたような表情でバーサーカーを見る。だが、それは扉が開かれることで返答は得られなかった。

「…エスコートご苦労バーサーカー。
さて、まずはそこに座るといい、近山 蓮。」

部屋に入ると黒いスーツの大男が立っている。
バーサーカーのマスター、ヒャッチ・ディグソンだ。
ヒャッチはソファを指さすとコップを目の前に持っていき、それに紅茶を注ぐ。

「一応客人だ。
礼儀は尽くさなくてはな。何、何もしくんでいない。安心して飲め。」

ヒャッチは紅茶を注いだ後、遠くのテーブルに紅茶を置く。
そして蓮達の座ったソファの反対側の肘掛けソファに座る。

「さて、本題に入ろうか。
お前のサーヴァントはセイバーで間違いないな。」

蓮とセイバーを見る。

「ああ、俺のサーヴァントはセイバーだ。」

「…ふむ、分かった。真名については伏せておいて構わない。
後々それが仇となれば厄介だからな。」

「もとより私は真名など答えるつもりは無かったさ、バーサーカーのマスター。
そこは私も弁えている。」

セイバーはじっとヒャッチの方を見る。
ヒャッチは感心したように頷き

「このサーヴァントは優秀だな。
見てわかる。俺のサーヴァント、バーサーカーは一流ではあるが優秀とは言えない。」

「あらあら、ふふ、辛口な評判ですこと。
あのライダーを私は追い払ったのですよ?そこは褒めていただきたい。」

バーサーカーはニタリと笑う。その笑みはどこか狂気を感じる笑みだった。
だが、ヒャッチはそれを何ともせずに

「馬鹿言え、仕留められなくて何が優秀だ。
せいぜい良好だ。」

「あら、相手の性質を一度知るのは必要ではなくて?
あの戦いで私はいくつかライダーの真名に心当たりがいくつができましたよ?」

「言い訳はいい。
とにかくだ、このバーサーカーもセイバーも剣術を得意としている。」

「剣術?
バーサーカーがか?騎士かなにかなのか?」

セイバーが少し興味深そうに聞く。
ヒャッチは何も答えなかったが、バーサーカーが口を開いた。

「いいえ、私は騎士ではありません。
私は日本の英霊であり、武士、侍なのです。」

「ちょっと待て、侍だって!?
侍って…男がなるものじゃないのか?」

蓮が驚いてそう言う。
バーサーカーは予想通りと言わんばかりに笑みを作り

「ええ、本来ならそうでございます。
ですが、女が男を偽ってそのまま歴史に残ることも少なくはありません。
例えば___」

「バーサーカー、話しすぎだ。」

ここで終われと言わんばかりに眉に皺を寄せ、そう呟く。

「おっと失礼、もう少しで真名のヒントになる所でした。」

なんとも思っていないように笑みを浮かべ、主に頭を下げる。

「…まあいい。
使い魔を飛ばし合おう。何かあればこれで連絡し合う。
それでいいだろう?」

「…ああ、構わない。
よろしく頼む。ヒャッチ。」

と言いながら連は手を差し伸べる。
ヒャッチはそれに答えず、帰れと言わんばかりに背中を向けた。

「…硬いなぁ、さ、蓮、帰るぞ。」

同じようにサイバーは後ろを向き、その部屋から出て言った。
蓮も後に続く。

___

「…ヒャッチ様、本当にこれでよろしいのですね。」

クスクスと笑いながらバーサーカーは問いかける。
ヒャッチは顔色一つ変えず

「ああ。いいカモが連れたものだ。
お陰で作戦が決行できる。だが、まだ早い。」

冷静にそう言う表情は窓から入り込む月の明かりに照らされ、不気味に見えた。
バーサーカーはそれを見ればまたより一層笑みを深くした。

第11話 侵略王 前半 ( No.14 )
日時: 2017/07/10 09:48
名前: kuzan (ID: B4StDirx)

場所は港のコンテナ倉庫。
その場には二人の英霊が佇んでいた。

1人は、ランサー、もう1人はライダーである。

「…ほう、この儂に勝負を挑むとは、なかなかの度胸ではないか、ランサー。」

「…ちょうどこの聖槍の糧となる輩が現れたか。
僅かだが神性を感じる。
…お前はどこのものだ、ライダーよ。私の信じる神は1人のみだ。」

ランサーが睨みつける。
その目はとても冷たく、冷酷だ。

「儂はどこの神でもない、この神性は皇帝特権で付与しているだけである。
…まあ、故国では神として讃えられているらしいので、付与しているだけであるがな。」

ライダーは困ったと言わんばかりに頭を掻く。
それに対し、ランサーは青筋を立てる。

「…貴様が神だと…?
ふざけるな、ライダー!!貴様のような輩が神などになってたまるか…!!
私が信じる神はイエス様のみだ…!!貴様はここで仕留める…
神もどきなど、要らぬ!!」

そう言うとランサーは必殺の聖槍を取り出す。
聖槍を下に構えるように持つ。

「…来るか、宝具…。」

ライダーは落ち着いたようにランサーの方を見る。
そして何かをボソリと呟いた。

「…くれてやる、ライダー。
これが我が必殺の一撃だ。」

そういえば槍に白いオーラのようなもとが纏われた。
次に来るのは容赦ない一撃だと感じ取れるだろう。
これぞまさに必殺の一撃だ。

「___聞くが良い。
我が真名は聖ロンギヌス、神殺しの一撃をくれてやる…!!
『神の血吸う聖槍ロンギヌス』!!」

【『神の血吸う聖槍ロンギヌス
ランク:B~EX 種別:対人(神)宝具
レンジ:3〜10 最大補足:1人
キリストを殺害したことに由来する神殺しの宝具。
本来ならば聖槍であるが、キリストの死を確認するために脇腹にこの槍を刺したため、聖槍であると同時に魔槍という扱いを今回は得ている。魔槍故に敵の神性が高ければ高いほど研ぎ澄まされた一撃が放たれる。
そして、ランサーが倒れるまでその傷は治らない。
なお、神性を持たないサーヴァントに対しては、魔槍の場合は一度受けたらランサーが倒れるまで治らない一撃のみの効果を得る。】

放たれた宝具はライダーの胸を穿たんとその白き一線を繰り出す。
ライダーはこの絶望の状態で笑みを浮かべ

「さあ来い我が重臣!!
『王守る重臣 四駿ドルベン・ノガス 』、『先駆ける重臣 四狗ドルベン・クルウド』!!」

【王守る重臣 四駿ドルベン・ノガス

ランク:B 種別:対人〜対軍宝具
レンジ:1〜5 最大補足100

ライダーに仕えた重臣の8人のうちの4人のムカリ、ボオルチュ、チラウン、ボロクルを召喚する宝具。「四狗」が先陣を切るのに対し、「四駿」は戦でライダーの傍から片時も離れず護衛する役目を持つ。
彼らは召喚された後すぐにライダーの側につき、護衛をする。】

【先駆ける重臣 四狗ドルベン・クルウド

ランク:B 種別:対人〜対軍宝具
レンジ:1〜20 最大補足:100

ライダーに仕えた重臣の8人のうちの4人のジェベ、ジェルメ、スブタイ、クビライを召喚する宝具。
「四狗」は戦で必ず先頭に立ち、敵を震え上がらせる役目を持つ。
彼らは召喚され、標的を確認した後、その敵に向かって行く。】

四駿と四狗は召喚と同時に剣でランサーの槍を受ける。
この重臣たちはライダーの宝具であるため、同じ宝具である『神の血吸う聖槍ロンギヌス』とやりあうことが出来る。
しかし、到底叶うはずもなく弾かれてしまい、その聖槍はライダーに向かっていく。
よってその一撃は心臓より少しずれ、右肩に穿たれた。

「…ぐ…!!
いい一撃をもらったわい…
それに、その聖槍…貴様、聖ロンギヌスか…」

そう呟けばランサーの腹に拳で重い打撃を与える。

「…がぁっ…!?
…ち、暴かれたか…しかし貴様の真名も暴いた。モンゴル帝国の創造者、チンギス=ハンよ…。」

「ふ、儂も暴かれてしまったか。
ランサー、儂を穿ち、真名を暴いたからとちって満足してはならんなぁ。」

「…っ…!?」

ランサーは咄嗟に槍を抜き、転がるように右にそれる。
そう、四駿、四狗が襲いかかってきたのだ。

「ああ惜しい。
今のは完璧な不意打ちだったのだが…」

ライダーが残念そうに呟く。
それに対しランサーは

「…私の宝具はもう一つあるのだよ。
『浄化されしキリストズ・ブラッド・アイ』。
この影響でな、少し先の未来は読めるのだ。」

【『浄化されしキリストズ・ブラッド・アイ

ランク:C 種別:対人宝具
レンジ:1 最大補足:1人(自身)
元は盲目であったがキリストの血が入り視力を取り戻したことにより得た宝具。
多少であるが未来視が可能。】

「…なるほどのう。
少しはやるようだ。さてランサーよ、儂もそろそろ本気を出すとしようか…
___これぞ我が究極宝具、ここに具現せよ…
我が大地、その名も___」

_後半へ続く_

作者のコメント

力入れすぎて長くなってしまいました、絶対これ以上書いたら伸びるので前半後半に分けました。
ごめんなさい、テヘペロ☆←

第11話 侵略王 後半 ( No.15 )
日時: 2017/07/12 15:22
名前: kuzan (ID: P/XU6MHR)

「___これぞ我が究極宝具、ここに具現せよ…
我が大地、その名も___
遊牧民の大軍勢イェケ・モンゴル・ウルスである!!」

【遊牧民の大軍勢イェケ・モンゴル・ウルス

ランク:EX 種別:対軍宝具
レンジ:1〜99 最大補足1000

かつてライダーが拠点としたモンゴル高原を具現化し、固有結界を展開する。
そこにはかつてライダーと共に戦場を駆け抜けた騎乗兵や、宝具『先駆ける重臣 四狗』と『王守る重臣 四駿』で召喚される重臣・四駿四狗もこの結界内で待機している。】

周囲一体は眩い光に包まれる。
その光が完全に覚めると、そこには大高原が広がっていた。
そう、この風景はライダーの固有結界で再現されたものであり、そこはモンゴル帝国だった。
ライダーの後ろには何千、いや、何万もの兵がおり、ライダーの号令を待っている。

「どうだランサーよ。
これぞ我が究極宝具よ。貴様1人でどう立ち向かう、のう、ランサー。
いいや、聖ロンギヌスよ。」

ライダーは腕を横に大きく広げ、ランサーの方を見据える。
彼はその軍勢を誇らしそうにランサーに見せているのである。
それに対しランサーは今までと変わらず冷静な表情で

「…固有結界か。
確かに貴様なら持っていてもおかしくは無いな。
私のやることは一つだけだ。ライダー、貴様を殺す(とうばつする)ことだ。」

槍先をライダーに向ける。
その目は殺気に満ちており、いつでも襲いかかってもおかしくない状況だ。

「…さあ、ゆくぞライダー!!
『神の血吸う(ロン)___』」

「…!!
来るぞ!!前進せよ___!!」

牛に乗り込み、剣を前に突き出すと一斉にその遊牧民ぐんぜいは走り出す。
ランサーの狙いは1点。遊牧民の長、ライダーのみだ。
他の兵は始めから眼中に無い。

「___『聖槍ギヌス』ゥ!!」

全力全霊が込められたその聖槍がライダーに向けて突き出される。
その敏捷さを生かし、一気に間合いを詰める。
だが、それを重臣が許すはずがない。四駿がライダーを守るように囲い、四狗は槍先を受けようとする。
しかし、ランサーはそれを既に神の目で少し先の未来を見ていた。
少し横にそれ、ライダーの胸を狙い、一気に槍を突きつける。

「…手応えあり。だがこれは、奴ではないな。
重臣のうちの1人か。」

さら、という音を立てて四駿のうちの一人が消滅する。
と同時にライダーの獣のように突っ込んできた。
ランサーはライダー残っている牛に突き飛ばされ、少し先に転がってしまう。

「…まずいっ…!!」

迫り来る大軍勢はもうすぐそこまで迫っていた。
このまま寝たままでは確実に下敷きになってしまう。
後ろに咄嗟に後退する。
その際、ライダーの剣を肩に受けてしまう。

「…このままでは…!」

ランサーは必死に考察を立てる。
何か勝てる方法はないか、と。
否、そんなものはあるはずもない。
何故ならば数が違いすぎる。ランサーに勝ち目は無いのだ。

「…仕方あるまい…
撤退だ、令呪を使ってください、マスター…。」

渋々というように呟く。
すると次の瞬間、ランサーは結界の中から消えた。
令呪による空間転移だ。

「…我らの勝利だ___!!」

ライダーがそう叫ぶと結界内に「オォォォォォォ___!!」という雄叫びのようなものがこだまする。
それはライダーの勝利を意味するのだった。

___

「…固有結界、ねぇ。
面白いもん使うじゃねーの、アイツ。
この戦争なかなか楽しませてくれる。オレももーちと様子を見てから動くとするかねぇ。」
コンテナの一つに全身黒ずくめの男が座っていた。
アサシンである。

「ま、オレは真っ向勝負は苦手だからねぇ。
マスターをサクッとやっちまえば楽なもんさ。
さて、またマスター探しに戻るか。」

そう言えば闇夜に黒い男が溶け込んでいった。

第12話 山の翁 ( No.16 )
日時: 2017/07/12 10:38
名前: kuzan (ID: P/XU6MHR)

聖杯戦争開戦から三日目の朝、アルト教会では朝の礼拝が捧げられていた。
その中には一般人もおり、新杯教会のメンバーも混ざっている。
中には1人、頬杖をつき、つまらそうにしている男がいた。
少し白の混ざった金髪で黒のジャケットと黒のボトムスを着こなしている男だ。

「んでイスラム教を信仰するオレにキリスト教の礼拝を見せるかねぇ。
クッソくだらねェ。」

そう、アサシンである。
後ろの方で明らかに場違い感を出している。

礼拝が終わった後、一人の女がアサシンに近づいてくる。
新杯教会所属の1人でありながらアサシンのマスターである女、フィマ・グランディスだ。
彼女は新杯教会1の魔術師であり、氷塊使いと言われている。

「…済まないわね、アサシン。
異教徒であるあなたに礼拝に付き合わせるなんて、自分でもどうかと思うわ。」

「…はっ、自覚はあんのかよグランディス。」

今までの屈辱と言わんばかりに悪態を吐く。
それほど耐えられない時間だったのだろう。

「ええ、自覚はあるわ。
それに、グランディスって言うのは辞めてちょうだい。ちゃんと名前で呼んでって言っているでしょうアサシン。」

明らかに怒りを込められた声で呟く。
アサシンははいはい、と流した後

「二日目の共有事項だ。
まずセイバー陣営とバーサーカー陣営の同盟が結ばれた。
自己証明強制による同盟だ。決裂はないだろう。
んで2個目。ライダーとランサーの衝突が起こった。
ランサーは昨日報告したように、真名は聖ロンギヌスであり、真名解放をして宝具を発動。
ライダーの真名も分かった。モンゴル帝国の創造者であり、侵略王とも言うべきか…」

「チンギス=ハンね。」

「ご名答。勉強できてンじゃねぇか。
チンギス=ハンはあの征服王イスカンダルよりも侵略したと言う。
やつの宝具もすべて把握した。重臣、四駿、四狗を召喚する宝具、ランサーにより四駿のうちの一人が消滅した。
そしてやつ最大の宝具が固有結界。詳しい効果はわからねェ。遠目で見てたからな。入り込んじゃおしまいだ。」

やれやれ、と言わんばかりに手を顔の横に持ってきて、首を二、三回降る。
フィマは考えこんだ様子を見せ、
「ベイリン、シモ・ヘイへ、聖ロンギヌス、チンギス=ハン…そして真名不明のキャスター、バーサーカー。この聖杯戦争、なかなかに厄介ね。シス神父が私を送り込んだ理由がわかった気がするわ…。
アサシン、やれる?」

「ああもちろん、山の翁の名にかけてこのハサン・サッバーハ、使命に応えよう。」

ニッ、と笑みを作って見せる。
それを見たフィマは

「なら安心ね。
今のところは魔術協会、聖堂教会所属のマスターを見つけたら殺す。
分かってるわね、でも誰が派遣者かは分からない。
慎重に動くようにお願いね。」

「わーってるっつーの。
マスターの1人や2人、さくっとやって来るっつーの。」

「…ありがとう、アサシン。
あなたこそ真のハサン・サッバーハね。」

と微笑んでみせる。

「やめろ、照れくせぇ。
とりあえず、オレはまた情報収集に戻る。オマエも当分マスターと感づかれないように動けよ。」

そう言えば霊体化し、アサシンは街に向かっていった。
それと同時に祭壇の方から足音が聞こえる。
シス神父だ。

「なかなか良いサーヴァントだ。
やはりアサシンを選んだのは正解だったな、フィマ。」

「ええ、そうね。
けど、あれはあなたが狙ったハサンでは無いわ。」

「…と、言うと?」

「彼は確かにハサン・サッバーハになり得た一人だわ。
でも、なり得ただけのただの暗殺者。
つまり彼はハサン・サッバーハに憧れたハサン・サッバーハの名を借りたハサン・サッバーハの偽物なのよ。」

シス神父は少し驚いた表情を作ればすぐに笑みを浮かべ

「何だそんなことか。
構わんさ。ハサン・サッバーハに近い存在だろう?なら彼はハサン・サッバーハの1人、紫電のハサンじゃないか。」

「紫電のハサン…
ええ、そうね。私は彼にかけるわ。彼ならきっと、指名を果たしてくれるもの。」

そう言って彼女は笑みを浮かべた。

外伝2 ( No.17 )
日時: 2017/07/12 15:40
名前: kuzan (ID: P/XU6MHR)

「サーヴァント、アーチャー。召喚に応じ参上した。
真名をシモ・ヘイへ。
よろしく頼む。」

白いコートを纏ったその男は召喚サークルに立っている。
そして目の前の黒髪の白い服を見に纏った青年がたっている。
彼が人理を託されたマスターか。
と思っているとマスターが自分から近づいてきて

「よろしくね、ヘイへ。よし、君にはカルデアを案内しなきゃな。
ついてきて。」

笑顔を浮かべながら彼は先導して歩く。
道行く数多のサーヴァントに挨拶や声を掛けられながら。
きっと彼は人望が厚いのだろう。様々なサーヴァントに信頼されているようだった。
そして、また新たなサーヴァントが向かい側から歩いてきた。
鎧に身を包み、赤の髪を持つサーヴァント。
そのサーヴァントは立ち止まり、シモ)ヘイへのこと見る。

「…アーチャー。」

そしてそう呟く。
…ああ、記憶があるのか、あの聖杯戦争の。
と彼は思う。

「…セイバーか。
まさか貴様まで召喚されているとはな。」

そんな話をしているとマスターは交互にふたりを見る

「え、二人共知り合いなの…?」

と呟く。

「少し、な。」

「…また今度話すよマスター。
君に話すには、まだ早い。」

そう呟けばセイバー、ベイリンは手を挙げて去っていった。

「ねぇ、ベイリンと何が___」

と聞こうとすればまた向かいから新たなサーヴァントが現れた。
金髪の髪を持ち、西部風の服装の青年、ビリーザキッドだ。

「キミ、スナイパーらしいね。
どう、僕と勝負してみないかい?」

「…彼は?」

彼を見ればマスターの方を見る。
彼は困ったように

「ビリーザキッドだよ。
ガンナーがスナイパーに勝負を挑むなんて…そんなのビリーが勝つに決まってるじゃん…」

苦笑し、彼はビリーに語りかける。

「ん、まあそうか。
でも君と並んで戦ってみたいなぁ。」

「俺もだ。ビリーザキッド。
…あのベイリン卿とも敵としてではなく味方として戦ってみたかったと思っていたところだ。よろしく頼む。」

そう言って右手を差し出す。
ビリーは少し笑いながら左手をその手に重ねた。


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