二次創作小説(新・総合)

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ありふれた職業で世界最強 錬成師と英霊を従える者
日時: 2019/06/27 09:50
名前: セイント (ID: Z3Nydegv)

第一話 プロローグ

藤丸立香とマシュ・キリエライト、そして彼らを支えた数多の英霊やカルデアの人類の未来を掛けた戦いが終わり人類最後のマスターであった少年藤丸立香はいつもの日常に戻りマシュと共に立香が以前通っていた高等学校に通うことになった。

立香「みんな、おはよう。」

マシュ「みなさん、おはようございます。」

俺は教室に入りクラスメイトの人たちと挨拶を交わした。中には女子と登校しているためか嫉妬の視線を向けてくるものもいたが気にせずに席についた。予鈴がなる直前一人の男子生徒が入ってきた。

男子生徒1「よぉ、キモオタ。また徹夜でゲームか。どうせエロゲーでもしてたんだろ。」

男子生徒2「うわ~、徹夜でエロゲーとかキモイじゃん。」

立香「それ酷いブーメランだと思うよ。」

入ってくるなりその生徒は罵倒を受けた。その生徒の名は南雲ハジメ。父親がゲームデザイナー母親が人気漫画家と言うまさに人生の勝ち組とも言える人だった。罵倒したのは檜山大介とその取り巻き、陰口が聞こえたのか俺の事も睨んできたけど。俺から言わせるとハジメは身だしなみが悪いわけでなくただオタクと言うだけだ。だがそういわれる原因は他にある。

女子生徒「おはよう、南雲君。今日も遅刻ギリギリだね、もう少し早く来ようよ。」

その原因である女子生徒がハジメに話掛けた。彼女の名は白崎香織。この学校では三大女神の一人として評されている。ちなみに三人目は俺のパートナーでもあるマシュである。彼女がハジメばかり構うのでクラス中が殺気と嫉妬で満ちているのである。ハジメのほうは生活態度がいいとも言えないので女子からもいいかおされてない。

立香「おはよう、ハジメ。朝から大変だね。」

マシュ「おはようございます、ハジメさん。」

ハジメ「おはよう、二人とも。自業自得とも言えるから仕方ないよ。」

立香「でも徹夜も程々しておいたほういいよ、倒れたら元も子もないだろう。そうだ、俺が栄養価の高い弁当を作ってあげようか。」

ハジメ「いくら何でもそれは悪いよ。」

立香「俺じゃダメか、なら白崎に作ってもらうよう頼んでみようか」

そう言った時クラス中の殺気と視線が酷くなった。ハジメからは余計な事をと言うような視線を向けられ白崎から南雲君さえよければと言うような感じだ。別に悪い事は言ってないんだけどな。クラスメイトも言いたい事があるならちゃんと言えって言いたくなる。

男子生徒3「香織ってば、また南雲に構って。ほんと香織は優しいな。」

男子生徒4「全くだぜ、そんなやる気のない奴放っきゃいいのによ。」

女子生徒2「おはよう、南雲君に藤丸君。それにマシュさんも。」

俺たちに話掛けたのは三人の男女だった。一人目は天之河光輝。成績優秀でスポーツ万能、さらには容姿端麗という一見完璧に見えるが唯一の欠点がある。それは正義感が強い故に思い込みが激しく自分にとって都合のいい解釈するのである。現に白崎の気持ちにも気づいておらずただ優しいという理由だけでハジメに構っていると思い込んでいるのだ。二人目の男子は坂上龍太郎、光輝の親友であり空手部に所属している細かい事を考えない脳筋タイプ。三人目は女子で名前は八重樫雫。気立てが良く凛としているため男子より女子にモテるという何とも言えない人であるが実際は乙女チックなところがあると言う。

光輝「南雲さ、いい加減香織に甘えるのはやめろ。いつだって君に構ってやれないんだから。」

香織「どうして、そんなこと言うの光輝君。私が南雲君とお話したいから構っているだけだよ。」

俺がそれを聞いたときちょっとだけ笑いかけた。何故なら天之河の言い分は白崎には通用しないのである。白崎に欠点があるとすればそれは天然すぎるところである。やがて予鈴がなり授業が始まった。そしてその日の昼休み俺はいつものようにマシュと一緒に弁当を食べる事にしている。ちなみに今日は俺が食事当番でもある。お弁当を食べようとした時白崎がまたハジメに話掛けていた。

白崎「南雲君、今日もそれだけなの。それじゃ栄養付かないでしょ。私の弁当分けてあげるから。」

立香「それなら俺の分も分けてあげるよ、自信作だ。」

マシュ「先輩が分けるなら私も分けます。」

それを聞いたときハジメはバツの悪そうな顔をした。俺とマシュがハジメに分けるのは親切心とハジメにこれ以上殺気と嫉妬を向けられたら持たないと判断したためである。これで少しは減るだろうと思い案の定周りは視線をそらしてる。

ハジメ「僕はいいから白崎さんは向こうで天之河君たちと立香君もマシュさんと一緒にゆっくり食べたらどうかな。」

光輝「香織、俺たちと一緒に食べよう。せっかくの香織の料理を寝ぼけたまま食べるのは俺が許さないよ。」

立香「あれ、俺とマシュはいいのか。それだと差別に値すると思うのだが。」

香織「え、どうして南雲君に弁当を分けるのに光輝君の許しがいるの。」

それを聞いたとき俺や八重樫を始め一部のクラスメイトが吹きだした。天之河のイケメンスマイルも白崎には通用しないのである。天然通り越してちょっと馬鹿なんじゃないかと思った。ハジメはその時異世界召喚されないかなと思ったという。それが通じてしまったのか天之河を中心に魔法陣が広がりクラス中に広がった。

マシュ「先輩。」

立香「ああ、させるか。」

俺はすぐさまカバンの中からギリシャ神話の魔女メディアの宝具ルールブレイカーを模した短刀を突き立てるも魔力が強すぎるのか魔法陣が消滅せず逆に俺の方が吹き飛ばされた。

マシュ「先輩、これは。」

立香「英霊級、いや神霊級の魔術だ。」

俺とマシュの推測をよそに魔法が発動した。畑山愛子先生が教室から出るように言ったが間に合わず俺やマシュを含むクラスメイト全員がこの世界から異世界へと転移した。これがとある学校で起きた集団神隠し失踪事件の始まりでもあった。







Re: ありふれた職業で世界最強 錬成師と英霊を従える者 ( No.3 )
日時: 2019/07/04 21:51
名前: セイント (ID: zhN/mYB5)

第四話 決闘 藤丸立香vs天之河光輝

立香Side

俺が天之河に決闘を挑むにあたり皆驚愕の表情を浮かべあの天之河でさえ驚いていた。

光輝「君はどういうつもりで決闘を挑むつもりか分からないけど俺は剣の腕には覚えがあるよ。」

立香「あくまでお遊びでだろ。」

光輝「馬鹿にしてんのか。」

立香「いや、馬鹿にしているのはそっちだろ。少なくとも戦いと言うものをな。」

メルド「それじゃ、二人とも準備はいいな。言っとくけどこれはあくまで試合だ。もし相手に致命傷や再起不能の陥らせる技を使おうとしたら俺が全力で止めるのでそのつもりでな。」

メルド団長の立ち合いの元俺と天之河は互いに剣を構える。周りの人は自分が天之河に勇者に勝てるわけがないと思い込んで人たちが多いようだ。一部を除いて。

メルド「では、始め。」

団長の合図で俺と天之河は決闘を始め剣で鍔迫り合いを演じる。成程いい腕だ。だがまだまだ剣道の構えだ。本来なら剣術の動きをしなければならないのにな。

光輝「やるじゃないか、まさかこれほどとは思わなかったよ。だが流派が定まってないな。」

立香「ああ、俺の剣は多くの師によって鍛えられたものだからな。それらの全てを合わせて造りあげた俺だけのオリジナルだからな。」

二人の決闘を見ていた生徒や騎士たちはレベルの高い勝負に驚愕の表情を浮かべていた。天之河もそうだがその動きにしっかり付いて行ってる俺こと藤丸立香に驚いているようだった。

三人称Side

香織「凄い、光輝君もだけどそれについて行けてる藤丸君も。」

ハジメ「でも、それだけじゃない気がするよ。」

雫「ええ、剣の腕はほぼ互角、いえ、藤丸君のほうが上よ。」

ハジメ「立香君の成績や運動能力も去年は確か平均並みだったよね。それがいきなり伸びて今では天之河君とタメはるほどだもんね。」

雫「去年の彼は普通だった。確か用事で外国にいたって話よね。もしかしたら藤丸君、その時能力の全てを上げなくてはならない何かの事態に遭遇したってことなのかもね。それも尋常じゃない何かに。」

立香は天之河の試合中に彼らの話を聞きさすがハジメと八重樫だなと思った。八重樫もそうだがハジメも見かけに反し勘が鋭いのである。

光輝「一つ聞きたい事がある。」

立香「何だ、手短に頼む。」

光輝「君みたいな優秀な生徒がなんで南雲とつるんでいるんだ。」

立香「お前には関係のない話だ。」

光輝「だがあいつはお前や香織、マシュさんの優しさにも甘えているだろう。もう少し厳しくしなきゃいけないんじゃないのか。でないとあいつのためにもならない。」

立香は呆れて物が言えなかった。何故なら彼もまた幼馴染たちの優しさに甘えてしまっているからだ。だが残念な事に彼はその事に気づいていない。

立香「それじゃ、俺からも一つ言わせてもらう。お前もいい加減白崎達の優しさに甘えるのはやめろ。」

光輝「な、俺は甘えてなんか・・・。」

立香「いや、甘えているんだよ。お前自身気づいていないようだけど、お前は自分の言っている事を棚に上げているに過ぎない。」

光輝「言葉で俺を動揺させようたってそうはいかないぞ、口ではなく剣で語れ。」

そう言って光輝は立香に突っ込む。立香も応戦する。立香はやがて天之河と距離を取った。

立香「分かった、そこまで言うのなら俺の本気の剣で語ってやる。」

立香はそういうと両手で剣を構えた。だが構えにマシュやハジメ、八重樫等一部の生徒は誰かと姿が重なって見えた。だがマシュを除きその誰かとは分からなかったが

立香「行くぞ、秘技〔燕返し〕。」

立香の高速の剣技に天之河は付いてこれず彼の剣が吹き飛んでしまった。立香の勝ちだ。

メルド「勝負あり、勝者、藤丸立香。」

メルドさんの宣言で決闘は終わった。皆驚いていた。勇者でありしかも剣の腕がトップクラスの天之河光輝が敗北してしまったのだから。

光輝「う、嘘だ、俺が負けるなんてこんなのまぐれだ。でなきゃイカサマだ。」

立香「負けた言い訳をまぐれやイカサマで片付けるのが勇者の誇りなのか。少なくとも俺の知る英雄や勇者たちはそうなんじゃなかったぞ。」

光輝「何だと、お前。」

雫「やめなさい、光輝。」

八重樫は割り込んできた。色々と立香に聞きたい事があったが今は自分の幼馴染である天之河を諫める事が大事だ。

雫「光輝、貴方は負けたのよ。それは認めなさい。藤丸君が勝ったのはまぐれやイカサマじゃないのは明白よ。潔く負けを認めるのよ。」

剣を極めている幼馴染に言われ彼は半分納得いかない表情をしながらも次は負けないと立香に言った。

ハジメ「ねぇ、一つ聞きたい事があるんだけど今の技ってかの剣豪・宮本武蔵のライバルと言われた佐々木小次郎が得意としていた剣技のはずだよね。」

雫「ええ、私もそう言いたかったのよ。あまりに洗練され過ぎていたから驚いたわ。まるで本人に教わったかような綺麗な剣筋だったわ。」

立香「いずれ時が来たら話す。今の君たちには重すぎる話だからな。」

ハジメや八重樫もできれば詳しく聞きたかったが彼があまりにも真剣に頼むのでこの話は保留となりいずれ彼が話すまで皆待つことにした。マシュだけは複雑な表情を浮かべていたが

立香「これで天之河も他の皆も少しは変わってくれたらいいのだけれどな。」

立香はそう嘆いたがそう上手くいかないのが世の中の現状と言うものだ。




Re: ありふれた職業で世界最強 錬成師と英霊を従える者 ( No.4 )
日時: 2019/07/15 22:56
名前: セイント (ID: ysgYTWxo)

第五話 イジメとエゴ

ハジメSide

僕たちがこの世界に召喚されてから二週間が過ぎた。立香君と決闘した天之河君は決闘前と特に変わったところはなかった。唯皆に情けない姿を見せてしまったところを謝罪し次はしっかりやれると意気込んでいた。一方皆勇者天之河君の敗北に刺激を受けたのか真剣に訓練に取り組んでいた。だが天之河君について立香君は

立香「馬鹿がさらに馬鹿になっただけか。」

と嘆いていたし白崎さんやマシュさん、八重樫さん等一部の生徒は呆れを通り越して苦笑していた。そして僕は図書館で本を借りていた。戦闘じゃ役に立たない分せめて知識で役に立とうと訓練の合間をぬって役にたちそうな本を読んでいた。

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2
天職:錬成師
筋力:12
体力:12
耐性:12
敏捷:12
魔力:12
魔耐:12
技能:錬成・言語理解・剣術・武術

唯ステータスだけはレベルは上がったが能力はそんなに上がらなかった。刻みすぎだろとツッコんだがどうにもならない。唯立香君とマシュさんのおかげで剣や武の技能が増えたことには二人には感謝しなきゃなと思った。僕が図書室で呼んでいると立香君とマシュさんが声を掛けてきた。

立香「やあ、頑張っているな。ハジメ。」

マシュ「ハジメさん、お疲れ様です。」

ハジメ「あ、立香君にマシュさん。二人も本を読みにきたの。」

立香「ああ、戦いにおいて知識は大事だ。実力だけじゃどうにもならない時もあるからな。」

マシュ「私は先輩の付き添いです。」

立香君とマシュさんはいつも一緒にいた。あまり彼に関して言えば女子との浮いた話はまるでなかった。そういえば立香君は温厚な性格故に女子に人気はあったが外国に行く前に友達が彼に好みの女性のタイプを聞いたとき白崎さんの名をあげたがその時立香君は好みのタイプとは違う気がすると言い皆を驚かせた。マシュのような御淑やかな女性がタイプだったのかと思った。

立香「でも、外見で判断するのも良くないと思うよ。特に女性に関してはね。」

僕の心の声が聞こえたのか立香君は苦笑しながらこう言った。もしかして何か嫌な経験でもあったのかと思ったが詳しい事は聞かない事にした。そろそろ訓練再開の合図がなり僕たちは訓練場に戻った。訓練中に檜山達小悪党組がちょっかいを掛けてきたが

立香「お前たち、他人の事よりも自分の心配をしたらどうなんだ。お前たちの場合、技能は認めるが実力は人を見下せる程じゃないだろうが全くその事すら理解できないのか。」

立香君の物言いに檜山君たちは睨みながらも自分よりも実力の高い立香君に何も言えず訓練に戻った。やがて訓練が終わり僕は借りてた本を図書室に返し自主練でもしようと思い訓練場に来た。剣を振っていると檜山君達小悪党組が声を掛けてきた。

檜山「よお、南雲よ。なにしてんの、お前が剣を振るっても意味ないだろ。マジ無能なんだからよ。」

檜山君がそういうと他の三人も僕を小馬鹿するようなことを言ってきた。ちなみにメンバーは檜山大介をリーダーとし中野信治、斉藤良樹、近藤礼一の四人である。四人は僕に稽古をつけてやると言ってきた。どうなるか分かったので一応断りを入れてみる。

ハジメ「いや、一人でするから大丈夫だって、僕の事は放ってくれていいから。」

檜山「はぁ?俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの?マジありえないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

そう言って檜山君は僕の脇腹を殴ってきた。さらに四人は魔法まで使って攻撃してくる。思春期に子供が力を手にし力に溺れるのは仕方のない事は分かっているけどどうしようもないので耐えるしかない。だがそんな時立香君に言われたことを思い出した。

立香「(いいか、ハジメ。魔術はイメージだ。常にイメージするのは最強の自分だ。負ける事など絶対に考えるな。)」

魔術はイメージ、最強の自分をイメージしろ。負ける事は考えちゃいけない。錬成は剣を造るだけじゃなく物体の形も変えられると言った。こうなったら一か八かだ。

ハジメ「錬成。」

僕は檜山君たちが立っている場所に錬成を使った。すると落とし穴のように地面が無くなり檜山君達四人は地面に落ちた。穴がそんなに深くなかったので檜山君達はすぐに物凄い剣幕で這い上がってきたが

立香「何をやっている。」

白崎「何してんの。」

騒ぎを聞いて駆けつけてきたのか立香君と白崎さんが駆けつけてきた。マシュさんや八重樫さん、天之河君や坂上君もいる。

立香「白崎、ハジメの治療を頼む。」

白崎「うん、うわ、酷い傷。」

白崎さんが僕に回復魔法を掛けてくれた。立香君のほうは檜山君達を睨んだままだ。顔は見えないけど怒っているのは間違いない。

立香「さて、お前たちどういう事か説明してもらおうか。」

檜山「いや、これはちょっと南雲に特訓をつけてやろうかと。」

マシュ「それにしては一方的みたいですけど。」

檜山「いや、それは。」

光輝「言い訳はいい。いくら南雲が戦闘に向かないからって、同じクラスの仲間だ。二度とこういうことはするべきじゃない」

坂上「くっだらねぇことする暇があるなら、自分を鍛えろっての。」

立香「一体いつからお前たちが人に教えれる程偉くなったつもりだ。それにハジメの特訓については俺とマシュが付き合うって言ったよな。呑気に昼寝でもしてたのか。」

立香君に怒気を込めた言葉に檜山君達は怖気着いたのかそそくさに去っていった。立香君はせめてハジメに謝罪してからいけと言って怒っていた。立香君は僕が空けた穴を元に戻し僕に話掛けた。

立香「それにしてもこれ程の穴を造るなんてやるじゃないか。」

ハジメ「でも、その場凌ぎだったけどね。」

立香「それでもだ、例えそうであってもそれが戦局を大きく変える事だってある。この時だって君の行動のお陰で俺たちが気づいたんだからな。」

香織「でも、南雲君。いつもこんな事されてるの。だったら私が守ってやらなきゃ。」

立香「いや、今回は俺の責任だ。もっとしっかりと気に掛けておくべきだった。力を持つ者がその力に溺れ暴走する事くらい分かりきっていたのに見通しが甘かった。」

立香君はそう言って頭を下げた。彼だけじゃなく白崎さんやマシュさん、八重樫さんも気に掛けるような事を言ってくれた。だが何を思ったのか天之河君はこんな事を言いだした。

光輝「だが南雲ももっと努力するべきだ。聞けば訓練の合間に図書室に籠っているそうじゃないか。俺だったらもっと伸ばすためにその時間を訓練にあてる。檜山達もそうした南雲の不真面目さどうにかしようと思ったんじゃないのか。」

また天之河君の悪い癖が始まった。彼の場合人の悪意を疑ったりしないので虐めを受けた場合も虐められる側にも問題があるんじゃないのかと言う思い込んでしまうところがあると八重樫さんは言っていた。それに我慢出来なかったのか立香君が反論した。

立香「どうやら馬鹿が大馬鹿になってしまったようだな、天之河光輝。」

光輝「な、馬鹿とは何だ、馬鹿とは。言いたい事があるならちゃんと言ったらどうなんだ。」

立香「何故ハジメが図書室に籠っているのかその理由も知りもしないくせに勝手な事を言うな。ハジメは自分の実力が足りないからせめて知識で皆の役に立とうと頑張っているのにそれを否定するのが勇者のする事なのか。」

光輝「でも弱さを言い訳するべきじゃないし知識だけじゃどうにもならない事だってあるかもしれないじゃないか。だったら少しでも実力を上げるべきじゃないのか。」

立香「ふ~ん、流石勉強しなくてもテストでいい点とれてる天才様は言う事が違うね。羨ましい限りだ。」

光輝「な、それとこれとは関係ないだろ。論点をずらすな。」

立香「でも、お前の言っている事は言い換えれば勉強しなくても結果を出すと言っているのと同じなんだよ。もしかしてお前自身イカサマやカンニングでもしてるのかな。最低な奴だな。」

光輝「何だと、お前。喧嘩売っているのか。」

立香「お前のような奴に喧嘩を売る価値はないがな。」

二人の言い争いがヒートアップしかけており周りの人達もオドオドしていた。二人は互いに掴み合いそうになりマシュさんと八重樫さんが止めに掛かった。

マシュ「止めてください、二人とも。」

雫「二人が喧嘩してどうするのよ。」

香織「そうだよ、止めてよ。二人とも。」

龍太郎「良くわかんねえけど、やめとけよ、光輝。藤丸も喧嘩すんなよ。」

二人は互いに睨み合いながらも一応場を治める事にしたようだ。だが立香君は去り際に

立香「いいか、天之河光輝。全て自分が正しいと思うな。お前の正義や理想は周りを殺すタイプだ。それに気づけないのならいずれ誰かが死ぬ事になるぞ。」

と言って彼は訓練場から去っていった。マシュさんも天之河君達に軽く頭を下げて立香君の後を追いかけて行った。その際天之河君は彼に詰め寄ろうとしたが八重樫さんに止められて渋々と引き下がった。その日の午後にメルド団長から明日オルクス大迷宮に行くと連絡が入り皆にしっかりと準備を整えるようにとのことだった。
 







Re: ありふれた職業で世界最強 錬成師と英霊を従える者 ( No.5 )
日時: 2019/08/20 22:07
名前: セイント (ID: mNBn7X7Y)

第六話 月下の誓い

ハジメSide

メルドさんの通達により七大迷宮の一つオルクス大迷宮に僕たちは実戦訓練に赴く事になった。だが立香君はメルドさんに力の意味を理解していない人が多い中でこの訓練は早すぎると抗議しメルド団長自身もも少し訓練を積ませるべきだと国王や教皇に言ったようだが聞き入れてもらえなかったという。僕達は今宿屋町【ホルアド】にメルド団長と数人の騎士団と一緒に王国直営の宿に泊まっていた。

立香「いよいよ明日だな。」

ハジメ「でも、まだ不安だよ。いきなり実戦だなんて。」

立香「俺とマシュがしっかりフォローするから大丈夫とは言えないけどやるしかないだろ。」

ハジメ「そこは大丈夫だって言ってほしかったけどでも僕だって少しずつ強くなっているんだ。それに君が教えてくれたイメージこそ最強の武器って言ってくれたから。」

そういうと立香君も似たような事を知り合いに言われたからでその受け売りだという。あれ以前魔術はイメージと言ったけどその知り合いって魔術が使えるの、教室にいたときの彼とマシュさんの行動といい彼にはマシュさんやその知り合いを含め何か秘密があるのかなと思った。だがドアを叩く音が聞こえた。最初は檜山達が報復に来たのかと思ったが

香織「南雲君、起きてる。」

マシュ「先輩、夜分遅くに失礼いたします。」

尋ねてきたのは白崎さんとマシュさんだった。だが二人の姿に僕は驚いてしまった。純白のネグリジェのガーディガン羽織った白崎さん立っておりマシュさんも似たような恰好をしており目の毒だった。だが立香君は慣れているのか冷静だった。

立香「こんな遅くに何か用か、二人とも。」

香織「うん、ちょっと南雲君とお話したいなと思って。マシュちゃんは藤丸君に話があるみたいだよ。」

まず白崎さんが話始めた。何でも明日のオルクス大迷宮においての実戦訓練についての話だった。明日の訓練の参加を辞退してほしいとのことだった。理由を聞くと

香織「実はついさっき夢で見たの。夢の中に南雲君がいて追いかけても追いかけても届かなくてそして最後には消えてしまうの。」

立香「予知夢という事なのか。」

香織「ううん、まだ分からないの。でも、やっぱり不安なの。」

僕が消える。その事に驚きを隠せなかった。白崎さんの言う通り唯の夢という可能性だってあるし立香君の言う通り予知夢という可能性も否定できない。

立香「マシュも同じ理由でここに来たのか。」

マシュ「いえ、私は見なかったのですが、でも何か嫌な予感がして。先輩が強いのは分かっているのですけど以前とは勝手が違いますから。」

立香「それなら俺がマシュの背中を守る。だからマシュは俺の背中を守ってほしい。」

マシュ「先輩、はい、私が先輩をお守りいたします。」

凄い、立香君もそうだけどマシュさんの言葉にも僕は衝撃を受けていた、互いに信頼しているからこそ言える言葉である。二人の絆はそれ程まで強いって事なのか。その事に僕も決心がついた。

ハジメ「白崎さん、不安なら僕の事、守ってくれないかな。」

僕には白崎さんや皆を守れる程の力はない。でも白崎さんが守ってくれるなら僕も安心して戦える。僕がそういうと白崎さんは嬉しそうに僕を守るって言ってくれた。

香織「変わらないな、南雲君は。」

白崎さんの言葉に僕は何の事なのかと一瞬思った。すると白崎さんは中学の時の事を話始めた。中学の帰り不良グループに絡まれてたお婆さんとそのお孫さんである男の子を助けるために僕が土下座をして助けたのだ。唾を吐きかけられようが体を踏まれようが僕は一歩の引かなかった。そのため不良グループはそんな僕に折れ立ち去ってしまったのだ。その一部始終を白崎さんが見ていたという。

ハジメ「それはお恥ずかしいところをお見せしました。」

香織「ううん、そんな事ないよ。あの時私は何も出来なかったし光輝君のように強いわけじゃないから。それでも例え力が無くても誰かのために自分よりも強い者に立ち向かえるのは凄いと思うの。あの時の南雲君、凄く格好良かった。」

立香「そうだな、白崎の言う通りだ。力があっても何も出来ない時だってある。それでも立ちむかえる強さが君にはあった。俺だって力がなかった。だが力があれば何かが出来るわけでもないしあったとしても取りこぼしてしまう事だってある。ハジメ、君がした行動は誰もが出来るわけじゃないし君は十分に英雄や勇者と呼ぶに相応しい人物だ。だから誇っていい。」

白崎さんや立香君の言動にマシュさんも頷いていた。そこまで褒められるなら悪い気がしないし僕のした事が誰かの助けになったって言うのならそれを聞いただけでも凄く嬉しかった。でも白崎さんはそうだが立香君は大袈裟過ぎないかな。真剣な表情で語るのでどこか信憑性がありしかも英雄や勇者とまで言ってのけた。そこまで立派じゃないと思うだけどな。僕たちは皆で頑張ろうと話し合い二人は自分の部屋に帰って行った。だが僕たちは気付かなかった。こちらに向けてくる悪意の存在に。



Re: ありふれた職業で世界最強 錬成師と英霊を従える者 ( No.6 )
日時: 2019/07/18 12:25
名前: セイント (ID: yA6Y/.Us)

第七話 オルクス大迷宮

立香Side

解放者の一人とされるオスカー・オルクスが作ったとされる七大迷宮の一つでもオルクス大迷宮に俺たちは赴く事になった。ちなみに武器や装備等は全て国から支給品である。国からとあってどれも高級の物だった。迷宮につくとメルドさんの指示で俺たちをそれぞれのパーティーに分ける。ちなみに俺とマシュはハジメと組んでおり一番最後尾を歩いていた。洞窟の中を進みメルドさんが指示を出した。

メルド「よし、まず光輝達が前に出ろ。」

メルドさんの指示に天之河達が前に出た。最初に遭遇した魔物はラットマンと呼ばれるウサギ型の魔物で力は劣るがすばしっこいとの事だった。だが天之河のパーティーにより簡単に倒された。ちなみに俺たち全員それぞれ天職にあったアーティファクトが支給されている。天之河君は勇者として聖剣、坂上は篭手と脛あて、白崎は魔導杖、八重樫は刀だった。俺はというと天之河程強力じゃないが聖剣を託されマシュは盾、ハジメは短剣だった。天之河のパーティーは強力でこの階層の魔物で歯が立たず俺達の出番はなく二十層まで到達した。

メルド「よし、お前たち。ここから先は一種類の魔物だけでなく、複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今まで楽勝だったからといってくれぐれも油断するなよ!今日はこの20階層で訓練して終了だ!気合入れろ!」

メルド団長の指示に俺達全員気を引き締める。そしてついに俺達の出番も来た。一緒に戦うのはマシュとハジメだ。

立香「よし、打合せ通りに行くぞ、マシュ、ハジメ。」

マシュ「はい、先輩。」

ハジメ「うん、任せて。錬成。」

俺達に向かってくる魔物をハジメが地面の形を変え動けなくする。要は落とし穴だ。穴に落ち動揺した魔物を俺とマシュ、そしてハジメで倒す。ハジメのお陰で今は楽に戦えている。騎士団やクラスメイトの大半はハジメに期待していない者が多かったためかハジメの戦いっぷりに関心していた。一部の生徒は面白くなさそうだったがそんな中ハジメと白崎がたまに見つめ合ってたりしている。

立香「ハジメ、気づいているか。誰かが見ている。」

ハジメ「うん、僕としては結構頑張っているほうなんだけど、それが原因なのかな。調子こいてんじゃねぇぞ的な。」

立香「それだけじゃないな、おそらく昨日マシュと白崎が俺達の部屋に入っていくのを見られたんだろ。それしても白崎は兎も角マシュの気配察知を掻い潜るなんて余程注意を払っていたようだな。」

ハジメ「ごめん、立香君。完全にとばっちりだよね。」

立香「気にする事はない、こんなのそれすら入らない。」

マシュ「すみません、二人とも。私がもっと細心の注意を払っていれば。」

マシュが謝罪してきたが俺達は別に構わないと言って許した。恐らく一回見つかりそうになり相手が魔力を上手く使い気配を誤魔化したのだろう。そんな視線の中俺達は二十層を探索していく。その時俺は何か気配を感じ地面にしゃがみ右手を付けた。俺の得意魔術の一種解析魔術であり熱源を感知する術だ。

立香「壁に何かが擬態している。」

メルド「気を付けろ、ロックマウントだ。立香の言う通り壁に擬態して攻撃してくるぞ。」

壁からカメレオンのように擬態した魔物、ロックマウントが姿を現した。岩の身に纏ったゴリラような魔物だ。ロックマウントの襲撃にマシュを除く白崎達女性陣達が恐怖の声を声をあげるが

光輝「よくも香織達を怯えさせたな。」

天之河が怒り聖剣を上に掲げた。大技を使う気だ。あの馬鹿こんな狭いところでそんなもの使ったら、メルド団長も同じ事を考えたのか止めようとしたが一歩遅かった。聖剣から強烈な光が放たれロックマウントは消滅した。天之河は得意そうな顔になるが俺とメルド団長が彼の頭に拳骨を落とした。

立香「この馬鹿野郎、加減を考えろ。下手したら生き埋めになるところだ。」

メルド「立香の言う通りだ、気持ちは分かるがこんな狭い場所で使う大技じゃないだろ。崩落でもしたらどうするんだよ。」

頭をさすりながら天之河は謝罪していた。ほんとこんなので大丈夫なのかよ、俺とマシュ、ハジメとかだったら冷静に対処しているぞ。先行きが不安だ。だがそんな時白崎が何かを見つけた。

白崎「あれ、何かな。キラキラしている。」

見ると天井近くの場所にキラキラした鉱石があった。メルド団長曰くあれはグランツ鉱石と言って効果はないもののその美しさが人気でアクセサリー等に加工されプレゼントとかに贈られるという。ちなみにこの世界の女性からすれば彼氏のプロポーズに贈られてほしいTOP3に君臨する程の人気の鉱石らしい。白崎はハジメを見ていた。恐らく彼からプレゼントされたときの事を想像したのだろう。俺もいつかマシュにプレゼントしたいなと思った時

檜山「あれが欲しいのか、だったら俺が取ってきてやるよ。」

檜山の馬鹿が勝手に登っていく。あの野郎、もしかしたらトラップかもしれないじゃないか俺とメルド団長が警告するも彼は聞こえてないふりをし鉱石の近くまでたどりついてしまった。

騎士団員「団長、トラップです。」

立香「檜山、それに触るな。」

俺はここで後悔した。こうなるんだったら檜山をぶん殴るなり魔術で突き落してでも止めるべきだった。檜山がグランツ鉱石に触れた時魔法陣が全体に広がった。これも神霊魔術だ、俺の力じゃどうにもならない。何とか皆を避難させたいが間に合わず俺達は別の階層に転移してしまった。その階層に転移してしまった時巨大な漆黒の魔物が待ち構えていた。そしてメルド団長がその魔物を見て絶句してしまった。

メルド「まさか、ベヒモスなのか。」

その魔物は俺達の世界では神話や伝説に登場する最強の怪物だった。



















Re: ありふれた職業で世界最強 錬成師と英霊を従える者 ( No.7 )
日時: 2019/07/18 12:26
名前: セイント (ID: yA6Y/.Us)

第八話 VSベヒモス戦 前編

立香Side

檜山の身勝手な行動により俺達はピンチに陥ってしまった。転移した場所には最強の怪物ベヒモスがいた。メルド団長の指示により撤退する事になったが逃げようとした先にも別の魔法陣が浮かびあがりその中から無数の骸骨戦士・トラウムソルジャーが出現しまさに前門の虎後門の狼とはこの事だ。

メルド「光輝達も早く撤退しろ。」

光輝「嫌です、メルド団長達を置いてはいけません。」

メルド「馬鹿野郎、そんな事言っている場合か。あれは当時最強と言われた冒険者のパーティーですら歯が立たなかった最強の怪物だぞ。」

メルド団長は天之河達に撤退しろと言っているが天之河は頑固としてそこを動こうとしない。恐らく自分が勇者だから勝てると思い込んでいるのだろう。あの馬鹿クラスメイトの事はどうなってもいいというのか。こうなれば俺がやるしかないか。

立香「マシュ、脱出ルートを確保しないかぎり俺達に勝機はない。俺が皆に指示を出すから時間を稼いでほしい。」

マシュ「分かりました、先輩。」

マシュは俺の指示に従いトラウムソルジャーを一蹴する。マシュの援護に気づいた生徒達は安堵の表情を浮かべる。

立香「皆、一端落ち着け、訓練を思い出せ。冷静に対処すれば倒せない魔物じゃない。」

俺の指示により生徒達は落ち着きを取り戻し魔物達を倒し始めた。だがまだ足りない、ここを切り抜けるには勇者の力が必要だ。そんな時一人の女子生徒に魔物が襲い掛かった。くっ、ここから間に合うかと思ったその時ハジメがその女子生徒を助けていた。

ハジメ「大丈夫、薗部さん。」

薗部「ありがとう、南雲君。」

ハジメ「気にしないで、僕以外は皆チートなんだから冷静に対処すれば乗り越えられるよ。」

流石ハジメだ、ハジメはこういう時機転が利くし判断能力も高い。ハジメに助けられた薗部は冷静さを取り戻し対処に当たった。彼女を助けたハジメはこちらに近づいてきた。

立香「ハジメ、このままだと全滅だ。」

ハジメ「分かっている、この状況を切り抜けられるのは天之河君しかいない。」

当の本人はまだベヒモスと戦っている。メルド団長は彼を何が何でも撤退させようとしたが彼だけでなく坂上まで乗ってしまい八重樫に突っ込まれていた。白崎は相変わらず心配そうに見守っていた。

ハジメ「天之河君。」

立香「この馬鹿、早く後ろに生徒達を助けに行け。」

俺とハジメの登場により天之河は驚き俺達に下がれと言ったが俺達もこのまま引き下がるわけにもいかない。だがしびれを切らしたハジメが天之河に掴み掛かった。

ハジメ「そんな事言っている場合か、あれが見えないの。さっきまでパニックってたんだよ。マシュさんのおかげでどうにか対処で来てるけどまだ戦力が足りない。リーダーがいないからだ。皆が天之河君のように強いわけじゃないんだ。前だけじゃなく後ろもちゃんと見て。」

ハジメの叱咤により天之河はようやくその状況を理解しメルド団長に断りを入れ下がろうとしたその瞬間ベヒモスの大技が炸裂した。それにより今まで騎士団が張っていた障壁が崩壊してしまった。俺の防御魔術とハジメの錬成により何とか防げたがメルド団長と騎士団が倒れてしまった。幸い命には別状はなさそうが当分動けそうもない。

光輝「龍太郎、雫。時間を稼げるか。」

龍太郎「やるしかねぇだろ。」

雫「・・・何とかしてみるわ。」

天之河君の指示を受けた坂上君と八重樫さんがベヒモスに攻撃を仕掛けた。

光輝「香織はメルドさん達の治癒を。」

同じく彼の指示を受けた白崎がメルド団長達の治癒のために走りだす。俺とハジメは戦いの余波がメルド団長達に及ばないよう障壁を張りハジメも石壁を作りベヒモスの攻撃を防いでいた。

天之河「神意よ、全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ、神の息吹よ、全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ!、の慈悲よ、この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!“神威”!」

天之河の最大の攻撃がベヒモスに炸裂した。勇者として選ばれた彼が放てる最強の必殺技。詠唱に時間が掛かるのがネックだ。果たしてこれでベヒモスを倒せたのか。皆もベヒモスを倒せたのかと思い一瞬安堵の表情を浮かべたが現実はそう甘いものじゃない。徐々に光が収まり、舞う埃が吹き払われる。その先には無傷のベヒモスがいた。

メルド「ボケっとするな、逃げろ。」

無傷のベヒモスを見て茫然としていた皆は回復したメルド団長の指示に皆、我に返り行動に移る。だがその時ベヒモスが飛びかかってきた。俺は咄嗟に

立香「ローアイアス(熾天覆う七つの円環)。」

でベヒモスの攻撃を防いだ、ベヒモスはそれにより少し吹き飛んだ。俺がカルデアにいるとき無銘の英霊エミヤから教わった防御系魔術。ギリシャ神話のトロイア戦争においてアイアスが青銅の盾になめした牛皮を七枚敷き詰めた盾、その力は城壁にも匹敵すると言われている最強の盾だ。皆不思議そうに俺を見てきたが

立香「皆、今のうち撤退をするんだ。」

俺の言葉に正気に返り皆、撤退を始める。だがメルド団長と騎士団がここで喰いとめると言いだした。天之河が渋ったが誰かがここで盾にならなければ撤退は不可能だろう。つまりメルド団長はここを死に場所に決めたという事だ。俺は彼らの姿にかつて俺やマシュと共に戦った誇り高き英霊達と姿が重なったように見えた。

ハジメ「立香君、僕に考えがある。だから僕に命を預けてくれないか。」

立香「分かった、君の作戦に乗ろうじゃないか。」

ハジメ「ありがとう、立香君。」

立香「礼には及ばない、さっきの筋肉馬鹿の言葉を鵜呑みするわけじゃないけど君の無茶はいつもの事だろ、付き合うよ、どこまでもな。」

俺とハジメはメルド団長に自分の作戦を伝える。メルド団長も一瞬迷ったようだが俺達に一任すると言ってくれた。それに必ず助けてやるとも言ってくれたのでこれで俺達も作戦の実行に集中できる。その時マシュが来てくれた。

マシュ「先輩、ハジメさん。援護します。」

立香「マシュ、後ろは大丈夫なのか。」

マシュ「はい、天之河さんやメルド団長達が引き受けてくれたので。」

立香「そうか、それなら行くぞ。マシュ、ハジメ。」

マシュ「はい、先輩。」

ハジメ「うん、必ず生きて帰ろう。」

勿論だ、ここで死ぬつもりは毛頭ない。生き残る未来を切り開くための俺達三人は最強の怪物に立ち向かった。

















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