二次創作小説(新・総合)
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- Fate/Lost Hope ~空白の聖杯戦争~
- 日時: 2019/09/26 15:13
- 名前: 餅兎ユーニアス (ID: sE.KM5jw)
叫びが聞こえる。目の前の悪夢に怯える絶望の声。
泣き声が聞こえる。失われていく物への苦しみの声。
笑い声が聞こえる。無慈悲に灯火を刈り取る嘲笑の声。
……虚ろな声が聞こえる。
「こんな筈じゃなかったのに。こんな事を望んでいなかったのに」
全てを嘆く、後悔と懺悔。
渦巻く負の闇は、止まることを忘れ全てを呑み込む。
それは、小さな願いから始まった。
今此処にて、語ろう。
誰の記憶にも残らなかった、「空白の聖杯戦争」を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
皆さんどうもこんにちは!そうじゃなくてもこんにちは!
朝でも夜でもこんにちは!この挨拶に聞き覚えがある方は察して←
多分知ってる人は知ってます!餅兎ユーニアスです!
え?誰だコイツ?そう思った方は>>1 の茶番見れば多分分かる!
とにかく!開いてくれたのならば!楽しんで!(圧倒的投げ槍感)
【もーくじ】
設定 >>2
番外 『茶番 初盤の幕』 >>1
断章 『永遠が告げる始まり』 >>3 >>6-7 >>10
序章 『聖杯戦争』 >>11-14
- Re: Fate/Lost Hope ~空白の聖杯戦争~ ( No.2 )
- 日時: 2019/08/30 15:44
- 名前: 餅兎ユーニアス (ID: ymYDaoPE)
【世界観】
場所は日本。東京にしようと思ったけど思ってみれば東京の地名とかそういうの全然分からねぇやと思った為、今回は自作で架空の地域とか作りました。よく言う『平行世界うんたらかんたら』です。とりあえず無言で見守って←
時間軸的に、第四次聖杯戦争……『Fate/Zero』から五年後。冬木の聖杯じゃない聖杯だよ。理由は本編にて(投げ槍)
御三家は変わらず遠坂・マキリ(間洞)・アインツベルン。しかし今回はこの御三家と関わりがある、面識があるといった家系が出ます。あ、創作設定です。
Fate知らなくても多分楽しめるよ。多分(二回目)。多b(略)
【地名】
『音呼鈴市』
・いわゆる東京の上野。上野の1.5倍くらい。(雑)
人工は多いかと言われればそれほどでもなく、自然と都市が一体化したような市。広場が中心にあり、そこから住宅が広がっていってる。広場から北or南には大通りがあり、賑やか。今回はここが舞台となる。これ以上は作者の語彙力の低さで説明不可なので、あとは本編で想像してくださいほんとすみません。
【登場人物】(不明点は本編進行状況にて解放)
『伊奈瀬 翔夜』(男)
・『セイバー』のマスターであり、今回の第一主人公。音呼鈴高校に通う17歳。誠実で正直な一方、自分に自信を持っておらず、弱気になる事が多い。魔術は愚か、魔力すら持っていない一般人だが、とある出来事をきっかけに、聖杯戦争へと巻き込まれていく。
『峰岸 公』(男)
・翔夜の幼馴染み。陽気で常に明るく飄々としている。泣いたり怒ったりする様子を全く見せないというが、これには理由があり……
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『奈々 琴祢』(女)
・音呼鈴高校に通う16歳。翔夜とはクラスが別。内気で病弱。非常に大人しくて消極的な為、クラスでは空気の様な存在となっている。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『篠月 秋斗』(男)
・写真家として各地を旅する一方で、マキリ家と共に魔術の研究をしたことがある『篠月家』の魔術師として修行をする24歳の男性。マイペースだが頭のキレは良く、不意を絶対に作らない。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『蒼矢 ロキ』(女)
・三年前に事故に巻き込まれ、足が不自由となった19歳の小説家。日本とイギリスのハーフ。車椅子に乗っている事が多い。穏やかで心優しく、自分より他人を気遣う事が多い。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『琉畝 紅葉』(女)
・病院の委員長の娘である、21歳の医師。救える命を救おうと、人一倍に努力する。諦めが悪く、絶望的な状況でさえも諦めようとしない。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『レバンネル・ネウ・レーデンニア』(男)
・アインツベルンと情報を共有し、協力関係にあったとされる「レーデンニア家」の長男。16歳。聖杯戦争への参加を願い、魔術の研究に力を入れている。しっかり者だが、物事を一人で抱え込もうとしてしまう。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『リーゼロッテ・ネウ・レーデンニア』(女)
・レバンネルの妹で、幻覚障害を患う7歳の少女。亡き母の事実を受け入れられず、母の姿を幻覚で見るようになっている。元気で明るいが、何処か虚ろな所がある。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『亞塚 漓穏』(男)
・聖堂教会に所属する、25歳の神父であり、今回の聖杯戦争の監督役。静かで穏やか。寛大な心を持っている。今回の聖杯戦争にある「異常」を確認しているらしいが……
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『???』
・翔夜に召喚された『セイバー』のサーヴァント。魔力を持たない翔夜であっても、自身のマスターと認め忠誠を誓う。そんな一方で、翔夜の弱気を直そうとどうにか考えているらしい。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『???』
・『アーチャー』のサーヴァント。聖杯戦争への参加に対しては若干不満を持っているも、マスターを放って置けない為かいろいろ弱音に近い文句を言いながらも戦う意思は見せている。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『???』
・『ランサー』のサーヴァント。誰よりも軽そうな感じだが、今回の聖杯戦争において一・二を争うと言っても過言で無い、槍兵であり策略家であるサーヴァント。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『???』
・『アサシン』のサーヴァント。従順そうに見せる一方で、遊び感覚でマスターを殺しにかかる。元は幻霊だったらしく、それを気にしている。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『???』
・『キャスター』のサーヴァント。元々願いなど持っていなかったが、マスターと出会ったのをきっかけに、新たな願いを抱くようになった。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『???』
・『ライダー』のサーヴァントであり、『抑止の守護者』でもある英霊。本来は聖杯によって召喚されるが、今回はとある事情でマスターによって召喚された。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『???』
・聖杯によって音呼鈴市に召喚された『調停者』。聖杯戦争に隠された「異常」を止めるべく、仮のマスターと共に聖杯戦争に参加する。
〔この先ロックにより閲覧不可〕
『■■■■■■■■■』
・聖杯でもなく、儀式でもない。強い意志によって召喚されたイレギュラーサーヴァント。ただ一つの小さな願いの為に、躊躇いもなく数多の命を奪う死神。
〔エラー閲覧不可〕
【一時保存】
- Re: Fate/Lost Hope ~空白の聖杯戦争~ ( No.3 )
- 日時: 2019/08/20 09:47
- 名前: 餅兎ユーニアス (ID: MTNmKKr2)
断章 『永遠が告げる始まり』
何もない真っ白な空間。空も大地も白紙の白に覆われ、方向も失ってしまいそうな空間。ひょっとしたら、もう方向なんて忘れているのかもしれない。空間の中心に立つ少年は、ふと、心の中で呟いた。
癖毛の跳ねる長めの黒髪、磨かれたかの様な光を宿す黒い瞳。制服と思われるYシャツに紺色のズボン。傾いた群青色のネクタイを右手で整えながら、少年は小さく息を吐いた。寒くもないのに浮かび上がる白い霧が、白い地面に影を作る。その影が消える頃に、少年は一歩を踏み出した。黒いスポーツシューズは、音を立てる事なく地面を蹴る。歩いても歩いても、見える景色に変わりは無い。分かっていても、足が勝手に動いていた。
どこにでもいる一般人。常に自分をそう言ってきた少年『伊奈瀬 翔夜』は、いつも見る夢に疑問を抱いていた。目を開けるとそこは何もない真っ白な空間で、何をしてもどう足掻いても、その空間からは出られない。暫くすると金属音が遠くから鳴り響き、気付けば夢から覚めているのだ。この夢が現実に影響を与える訳でもない。ただ、この白い空間にいると、何故か呼吸が苦しくなってくる。そんな気がするのだ。現に今だって、少し苦しい。
「何なんだ、この夢……」
呟く声は遠くまで響き、遥か彼方へと消えていく。
何か気付くべきものがあるのか、自分が夢を見れないだけなのか。考えるとしたら前者だろう。今までは普通に夢を見ることが出来たのだから。
だが、今日も何も起きない。今日もまた孤独に、金属の音を待ちわびるのだろうか。
白紙の中に放り込まれたかの様に、周りに翔夜以外の生命は存在しない。
その空間に終わりは無く、端も無く。
ただ永遠と試行錯誤して、失敗例を投げ捨てて、
永遠に、孤独な夢であるのだろうか。
その場に踞る。涙は出なかったが、どうしても苦しかった。覚めろ、覚めろと、頭の中で繰り返す。目を強く瞑り、ただひたすら願い続ける。早く朝を。この夢の終わりを。どうか。
「■■■■■■■■■■■■■■■」
音が、聞こえた。
それは夢の終わりに聞こえる音では無かった。空気を裂く金属の音では無い。ノイズに近い雑音。おぞましい「何か」が潜むノイズに、背中が凍りついた。
恐る恐る、その正体を確認しようと顔を上げる。前方から聞こえたノイズを、確かめる為に。
顔を上げた直後。
空間に、大きな鐘の音が轟いた。
それは柱時計が時を告げる際の鐘に似ていて、規則的に、何度も、空間を震わせる。地震が起きているのか、立っていられなくなった翔夜はその場でバランスを崩して倒れてしまう。何が起きているのか、翔夜自分に置かれた状況を理解できずに、目を白黒させながら鐘の音を聞いていた。
「終わりの刻だ、人間」
突然背後から声が聞こえ、振り向く。そこにはいつからいたのだろうか、一人の女性が立っていた。
褐色の肌に、長く白い髪。身長より大きい巨大な剣を背負った、非現実的な装束の女性。あぁ、これは夢だから。普通の人が見たら驚くだろうその姿に、孤独に麻痺を覚え始めていた翔夜は驚く様子を見せなかった。
「終わりの、刻?」
「貴様にも聞こえただろう。おぞましい気配を潜めた『声』が」
声?あれは声だったのだろうか?
そんな疑問を述べる間もなく、女性は言葉を続けた。
「永遠は終わりを願い、終焉の咆哮を上げた。この空間は間もなく消滅し、『奴』は外へ出るだろう。……驚いた、まさかあんな朧な存在の幻霊が、抑止力の壁を破る時が来るとは」
「幻霊……?アラヤ……?何の話なんだ?何が起ころうとしているんだ?」
翔夜の問いに、女性は答えようとしない。代わりに深く息を吸うと、巨大な剣を鞘に納めたまま手に取った。
「今この時を持って、平穏は終わりを告げる。願望を懸けた闘い、「聖杯戦争」が始まろうとしている。だが、此度の聖杯戦争は、ただ一人の勝者が条件では無い」
「聖杯、戦争?頼む、分かるように説明を……」
「時間は無い、人間。目が覚めたら貴様の祖父の家へ向かえ。
戦が始まる。無慈悲な殺し合いだ。貴様はその戦に身を投げる運命となった。呆然としているだけでは、意図も容易くその首を取られるだろう」
殺し合い。戦。物騒な言葉と訳のわからない言葉が入り雑じり、混乱する。女性はそんな翔夜を気にも留めず、静かに言葉を紡いだ。どこか、悲しそうな表情で。
「……貴様の代わりを成す刃が現れるまで、その命、守り抜け」
女性が鞘に納められた剣先で地面を強く突く。聞き覚えのある金属音が響く。
白い空間に、黒いヒビが入り、本当に地震と思える揺れを感じた時、
翔夜は、夢から覚めていた。
- Re: Fate/Lost Hope ~空白の聖杯戦争~ ( No.4 )
- 日時: 2019/08/20 17:32
- 名前: アスカ ◆PuIGSTlbSo (ID: MzqoAbhA)
久しいのうmirura殿!
元シャドーのアスカですぜ!
わお、ゼル伝打ち切りかい
その分この小説は頑張るってことで捉えていいね?
ちなみにこっちでも募集とかしたりすんのかい?
まあ更新頑張りや
- Re: Fate/Lost Hope ~空白の聖杯戦争~ ( No.5 )
- 日時: 2019/08/20 18:01
- 名前: 餅兎ユーニアス (ID: MTNmKKr2)
To.アスカさん
餅兎「見て!初コメント!初対面なのにメチャクチャなれなれしいよ!?」
ミルラ「ユーニアス、その人初対面じゃないですよ……あ、お久しぶりです」
ゼネイラ『餅兎は初対面だからな。許してくれ』
ミルラ「ゼル伝に関しては申し訳ありません……せっかくオリキャラ貰ったのに。
でも餅兎は別の小説で数人出すかもとか言ってるので!」
餅兎「数人だよ?数人だけだよ?一応そっちの小説で募集はするつもり!
まぁ、一人一キャラだと思うけどね!多分!」
プニュ「プニュは絶対出すって言ってたー!」
ゼネイラ『いやお前どっから来た』
コメントありがとうございまーす!
- Re: Fate/Lost Hope ~空白の聖杯戦争~ ( No.6 )
- 日時: 2019/08/20 22:21
- 名前: 餅兎ユーニアス (ID: MTNmKKr2)
暫く、周りの音が聞こえてこなかった。
翔夜はぼんやりと、見慣れた部屋の天井を見つめる。ベッドの上に投げ出されたスマホの振動が、仰向けになる体にベッドを通して伝わってくる。もう目の前に、あの白い空間は無い。鐘の音も、謎の女性も。そんな事を思っているうちに、やっと少しずつ、けたたましい音を立てるアラームが聞こえてきた。スマホを手に取り、アラームを止める。
「にゃあ」
ベッドの下から、鳴き声が聞こえた。体を起こしてみると、ベッドの下から白い猫が出てきて、鮮やかな緑の瞳で翔夜を見つめる。再び「にゃあ」と鳴くとベッドの上に飛び乗り、翔夜に擦り寄った。スマホを持っていない手で、白い毛並みを優しく撫でる。
「おはよう、ナナ」
翔夜に撫でられて嬉しいのか、ナナはゴロゴロと喉を鳴らす。幸せそうなその姿に、翔夜の顔にも優しい笑みが浮かべられていた。
しかし、その笑顔もすぐに消えてしまう。脳裏によぎったあの女性の言葉によって。
『今この時を持って、平穏は終わりを告げる。願望を懸けた闘い、「聖杯戦争」が始まろうとしている』
「……この幸せな時間が、終わってしまうのか?」
ナナを撫でる手が止まる。ナナはもの足りなさそうに手に擦り寄るが、翔夜の様子を見た途端に、擦り寄る事を止めて翔夜をじっと見つめていた。白い尻尾が、ゆらゆらと揺れ動く。
数分の静寂。しかしそれは、スマホから鳴り響く音によって掻き消された。再びの振動と共に鳴る、着信音。スマホには『峰岸 公』と表示されている。
「あいつ……休日なのに7時に電話掛けてくるとか……つーか、よく起きれたな……」
電話を繋げ、スピーカー機能をONにする。着信音と振動が消えた代わりに、眠そうな声が聞こえてきた。
「おはよ~翔夜……もう起きてたか?」
「今起きた所だ。お前は……珍しいな。休日だったらあと一時間は寝てただろ」
「まぁな……って、え、今起きた?翔夜が?」
今起きれば駄目なのか……顔を若干しかめながらそう言う。少し驚きめな声で話す公との会話で、自分が普段、もっと早く起きる人間だと今更思い出した。今日は30分多く寝たんだ。きっと、あの夢のせいで。そう自分に言う。
ふと、夢を再び思い出す。そういえば、祖父の家に向かえとか言ってたな、と。
翔夜の祖父は、日本の歴史を研究するのが大好きで、刀やら道具やらを集める趣味を持っている。中には本物だという物もあると言ってたが、その趣味をどうにも理解できなかった翔夜は信じていなかった。そんな祖父の家に向かえなんて、それに何の理由があるのだろうか。
「……ん?電話切れた?おーい」
「あぁ、悪い、考え事してて……」
「お、悩み事か?悩み事だろ?俺でよかったら相談に乗るぜ、話してみろよ」
勝手に悩み事と断定されて、少し黙りこんでしまう。確かに悩み事と言われればそうなのだが、あれを話した所で何にもならないのかもしれない。中二病みたいだ、その一言と笑い声で終わりそうな予感を感じながらも、翔夜は少し深呼吸をした。
「……今日、いや、結構前から……変な夢を見てたんだ。何もない真っ白な空間に、ただいるだけの夢」
「うわ、なんじゃそりゃ。何かのお告げとかじゃないのか?」
「俺もそう思った。で、今日その夢に変化があったんだ。ゾッとするようなノイズの後に鐘が鳴って、デカイ剣を持った女性が現れて」
「あっはははは!随分とカオスだな!疲れんだよきっと!」
意外にも大きい公の笑い声に、スマホを少し遠ざけてしまった。ナナも驚いたのか、少しだけ白い毛が逆立ち、尻尾が軽く膨れる。
「……それで、女性が訳の分からない事を言ったんだ。何か、抑止力?……とか、聖杯戦争が始まるとか」
その一言の直後、公の笑い声が一瞬にして止んだ。さっきまでの大声が嘘の様に止み、一瞬にして静寂が降りる。周りの空気が冷えるのが、翔夜には分かった。
「……公、どうした?急に黙りこむなんて……」
恐る恐る問い掛けても、返事は返ってこない。先程の一言に、何か心当たりでもあったのだろうか、再び聞こえてきた声は、いつも聞く公の声に比べて驚く程に落ち着いており、静かだった。
「翔夜。俺……多分、それ知ってるぞ」
「……は?」
「翔夜の爺ちゃん。少し変な奴だなと思ってたんだけどな……前に、それに似たような事を言ってた気がするんだ。願望まみれの殺し合いが始まるとか……」
「……爺ちゃんが?俺、今から爺ちゃんの家に行くつもりだったが……」
「だったら早めに行った方が良い。寄り道とか絶対にするなよ?真っ直ぐに向かうんだ」
何故か焦る様に、急かす様に、翔夜に言う公の声は余裕を無くしていく。嫌な予感がするのだろう。幼馴染みの、親友である公の言うことだ、信じた方が良いのだろう。「分かった」と一言言うと、安堵の溜め息が小さく聞こえてきた。
「約束だからな」
釘を刺す様に放たれた言葉の直後、翔夜を待たずに通話は終了し、規則的な音だけが聞こえるようになってしまった。