二次創作小説(新・総合)

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戦闘中 枕投げ王座決定戦【完結!】
日時: 2020/01/04 13:09
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)

前回の最大トーナメントが好評でしたので、今回は枕投げバージョンで行いたいと思います。最大トーナメントでは32名でしたが、本大会は22名と数を絞った分、強者が揃っています。ほぼスクールアイドルとバキシリーズの怪物達ですが……
そしていつものボールとは違って枕なので面積も大きいですので命中率が更にアップしています! ボールよりは柔らかいので安全ですからそこは安心してくださいね。
作者応募は3人になりますが、抽選で行うので誰が出場できるのかは私にもわかりません。
賞金は無しですが、その代わりとして最強の称号が手に入ります。
22名の中で最強を手にするのは誰になるのでしょうか。

これまでと比べると更新は遅くなりますが、楽しく更新できたらなと思います。

参加者一覧

1 天王寺璃奈
2 優木せつ菜
3 花山薫
4 近江彼方
5 園田海未
6 ポーラマン
7 矢澤にこ
8 南ことり
9 琴爪ゆかり
10 クラッシュマン
11 スペック
12 桜内梨子
13 津島善子
14 ラオウ
15 リー
16 ガーレン
17 絢瀬絵里
18 郭海皇
19 闇野髑髏
20 桜木霊歌
21 ゆうき
22 新田

Re: 戦闘中 枕投げ王座決定戦 ( No.17 )
日時: 2019/12/15 18:18
名前: モンブラン博士 (ID: 97g6Isa9)

「ZZZ……」

静かな寝息が会場を仰天させる。事件は、優木せつ菜対近江彼方の試合で起きた。同じ学園で通う同門同士の対決。スクールアイドルとして競う者である以上、雌雄を決する日が訪れると思っていたせつ菜は緊張と決意を胸に秘め、闘技場に姿を現した。ところが彼方はいつものようにマイペースで愛用のベッドを持参し、試合に使う枕を置くと布団をかぶってそのまま夢の中へいってしまったのだ。

「彼方ちゃん、もう食べられないよぉ」

のほほんとした声で寝言まで出てくる始末であり、起きる気配は無い。肩をゆすっても、枕を顔面に当ててみてもまるで目を開けない。
彼女は完全に寝ていた。調子を乱され困惑するせつ菜に不戦勝の判定が下った。相手が寝ていては試合にならないというのだ。
正々堂々と互いの信念を語り、枕投げで戦うことを期待していたせつ菜にとってはあてが外れる結果となったが、体力を消耗せずに次の戦いに進むことができるのだから幸運と考え直し、彼方の耳元で優しく語る。

「彼方さんはゆっくり寝ていてくださいね。彼方さんの分まで、私が頑張ります」


残り16人

天王寺璃奈 優木せつ菜 花山薫 園田海未 ポーラマン 南ことり 琴爪ゆかり クラッシュマン スペック 桜内梨子 リー 絢瀬絵里 闇野髑髏 桜木霊歌 ゆうき 新田

Re: 戦闘中 枕投げ王座決定戦 ( No.18 )
日時: 2019/12/15 18:37
名前: モンブラン博士 (ID: 97g6Isa9)

「……覚悟はできていますね?」

少女の問いに4人の参加者は生唾を飲み込んだ。
琴爪ゆかり、スペック、花山薫、南ことり、クラッシュマンの5人は1対1の対決は見飽きたという主催者側の勝手な理由で同時に戦うことになった。勝負は、園田海未を倒せばクリアという一見すると簡単なものだ。黒い長髪が特徴的な大和撫子の雰囲気を持つ園田海未は敷き布団ですやすやと寝息を立てている。起きる気配は無い。ここまでなら近江彼方と同じ展開になるはずだった。
スペックが枕を投げるまでは。

「私はねぇ、敗北を知りたいのだよッ!」

スペックは極悪人である。何の理由もなく一般人の命を奪うなどその行動は制御不能で倫理観が大きく逸脱していた。その時も、無数の枕を園田海未に目掛けて投げつける。スペックは驚異的な心肺機能を誇り、最高で5分、無呼吸で活動することができる。普段は打撃で使用する無呼吸を枕投げに応用し、数限りない枕を一息も入れずに投げまくる。全弾命中。海未の顔は枕の山に埋められた。

「なんだ。実力者というから期待したのだが、こんなもの――」

スペック 敗北

最後まで言葉を発することなく、投げ返された超音速枕の前にスペックは撃沈。
神を倒す男がたったの一撃でダウンしてしまうほどの枕投げ。それを披露したのは、ゆらりと立ち上がった園田海未だ。パジャマ姿だが長髪が顔にかかり、口元は悪魔の如き邪悪な笑みを浮かべている。彼女をよく知ることりは涙目になっていた。

「う、海未ちゃんは寝つきが凄くいいんだけど、起こされるとすっごく怖くなるんだよ」
「初めからそれを言わんかー!」

予想外の事態にクラッシュマンが怒鳴ると、海未はクックックと笑って冒頭の台詞を吐いた。

「……」

皆を守るべく、花山薫が前に立つ。普段は女子を決して傷付けぬ漢の花山だが、今回ばかりは事情が違った。この女を止めなければ皆が危険に晒されると察したのだ。大きく腕を振りかぶり、枕を投げようとした刹那、花山の打撃を超える速度で枕が飛んできて、彼の顔面に直撃。花山も意識を失った。

花山薫 敗北

クラッシュマンは背中の巨大な殻であるアイアングローブで海未の枕を挟み込んで受け止める。


「私のアイアングローブにかかればこんなもの――ッ」

だが、枕は威力を失ったわけではなく一瞬停止しただけで、猛烈な回転をはじめて活動を再開したからアイアングローブの鋼鉄の五本指は全て粉砕され、クラッシュマンも気絶。

クラッシュマン 敗北

残るは南ことりと琴爪ゆかりだけとなった。

「パス!」
「え?」

猛スピードで襲来する枕を愛用の枕を駆使した枕ガードで弾き返すことり。
笑顔の彼女だったが、弾かれた枕はゆかりの胸に命中。

「面白かったわ……」

予想外の出来事の数々を拝見できたからなのか、ゆかりは満足そうな笑みで倒れた。

琴爪ゆかり 脱落

残り12人

天王寺璃奈 優木せつ菜 園田海未 ポーラマン 南ことり 桜内梨子 リー 絢瀬絵里 闇野髑髏 桜木霊歌 ゆうき 新田

Re: 戦闘中 枕投げ王座決定戦 ( No.19 )
日時: 2019/12/15 22:06
名前: モンブラン博士 (ID: 97g6Isa9)

南ことりと園田海未が残り、第1回戦は最終戦だけとなった。
最終戦の対戦カードはポーラマンVS天王寺璃奈。超人と女子高生の対決だが、先ほど海未がクラッシュマンを敗北させていることから、璃奈に対する期待も俄然高まる。だが、璃奈の姿を一目見た観客は期待から落胆へと移行した。彼女の顔がボードだったからだ。

「なんだありゃ。ボードじゃねぇか」
「素顔見せろー。恥ずかしがってんじゃねぇ!」
「お前なんてさっさと負けてしまえ!」

空き缶やみかん、座布団など手当たり次第に物を掴んで投げる観客。
大不評の嵐の中、璃奈はモニター付きのマスクに泣き顔を表示して入場する。
アイドル活動をしてきて、これほどまでに罵倒されたのははじめての経験だった。けれど、彼女は舞台に上がった以上、逃げないと決めていた。スクールアイドルたるもの最後まで全力で戦い抜くのだ。たとえ、どんな結果になろうとも。
三本ロープに白いマット、典型的なプロレスのリング。当然ながら璃奈はプロレスなどしたこともない素人である。そんな彼女が超人でしかも屈指の巨体のポーラマンと戦えばどうなるかくらいは想像できる。だが、それでも璃奈は前進の道を選んだのだ。
この試合に関してだけは枕を投げて命中したら終了という甘いものではない。
相手を完全にKОして枕を投げない限り、勝利にはならないのだ。
白熊の超人ポーラマンは涎を流しながら、荒い口調で言った。

「俺は最初にお前が視界に入った時から気に入らなかったんだ。てめぇの仮面を剥ぎ取って、不細工な顔を観客達に見せてやるから覚悟するんだな」
「あなたは怖いけど、私は頑張るもん!」
「お前のようなチビが俺に勝てるとでも? 寝言は寝ていうんだな。
バキャバキャ~」

指の骨をポキポキと鳴らし、臨戦態勢に突入するポーラマン。
璃奈は両腕で顔面を守るガードポジションをとる。

「はじまる前からガードするなんて前代未聞だぜ。さぁ、早くゴングを鳴らせ~ッ!」

カアアアアアアアアン!

女子高生VS完璧無量大数軍「完力」ポーラマンの無謀過ぎる対決の幕が切って落とされた。

Re: 戦闘中 枕投げ王座決定戦 ( No.20 )
日時: 2019/12/17 20:05
名前: モンブラン博士 (ID: 97g6Isa9)

カアアアアアアアアン!

女子高生VS完璧無量大数軍「完力」ポーラマンの無謀過ぎる対決の幕が切って落とされた。

身長差129cm、体重差に至ってはこれまでの対決で最大の開きのある両者。
ゴングが鳴るや否や、ポーラマンは大きく足を上げ、璃奈を踏みつけようとする。
大きな黒いブーツの底が璃奈に迫る。

「ひぃぃ……」

ズウゥウン!

地響きを立てた足が着地するが、そこに璃奈はいない。彼女はコーナーの隅で頭を抱えてうずくまっていた。

「やっぱり怖いいっ」
「今の一撃であの世にいっていれば良かったものを」

ポーラマンは漆黒の爪を長く伸ばす。これこそポーラマンの武器の一つであるポーラネイルである。

「食らいやがれ、ドチビ~ッ!」

勢いよく振るった爪から斬撃が放たれ、三本ロープを切断。だが、またしても璃奈は回避していた。

「まだまだ~ッ」

今度は爪で突きを見舞うが璃奈は屈んで回避。標的を失ったネイルはコーナーポストを貫通し、鉄柱に激突。爪から流血し、ポーラマンは悶絶。
似たような技を使う超人にウォーズマンがいるが、彼の爪は違いポーラマンの爪には痛覚が存在するのだ。怪力で鉄柱を引っこ抜き、振り向く。ギラリと光る殺気立った目に鋭い牙の並んだ口からはポタポタと涎が垂れている。対峙する璃奈にとっては実際の白熊よりも数段恐ろしく感じられた。
ふと、彼女の目に飛び込んできたのはリング内に散らばるゴミの山だった。
先ほど、観客達が投げたものがここまで入ってきていたのだ。璃奈は空き缶を掴むと、ポーラマンのこめかみに投げつける。

「えいっ」

カーン!

「……あ?」

側頭部に当たり、凹む空き缶。確かに、命中した。
こめかみに血管を浮かび上がらせる相手に反し、璃奈は思った。
これならいけるかもしれない。壊れた機関車のように突進してくる暴走ポーラマンに、缶、枕、みかん、ペットボトル、座布団、シャープペンシルなど片っ端から物を投げていく璃奈。それでも、白熊の突撃は止まらず、325キロのタックルを正面から食らってしまった。盛大に吹き飛ばされ、錐揉み回転しながら倒れる。小柄な彼女にしてみれば自動車と衝突したようにも感じられただろう。
この一発で決着と思われたが、璃奈は手足を震わせながらも起き上がってきた。
顔は踏ん張る表情をしている。ありったけの物を投げつけたことにより、突進時のスピードが幾分が弱まっていたのだ。だが、恐怖はまだ終わらない。ポーラマンは二発目のタックルを敢行してきたのだ。迫りくる巨体。少女は手足をバタバタさせ激しく動揺する。

「あわわわわ」

ちょうどその時、運よくバナナの皮に足をとられて転倒。後方に倒れ滑った結果、ポーラマンの左足にスライディングキックを炸裂させた。
超スピードでタックルを仕掛けたポーラマン。スピードに全振りしていたので、速度を出す足は要であり、そこを狙われた蹴りは非力といえど効果はてきめん。
ぐらりと傾き、前のめりに転倒。彼の大きな体が倒れ込む寸前にその股をくぐって璃奈は難を逃れていた。初めてのスリップだが、この屈辱はプライドの高い完璧超人であるポーラマンにとって耐え難いものであった。

「仮面女、テメェは他の奴らよりも本気で叩き潰さないと俺の気が収まらねぇ」

じりじりと距離を詰めていくポーラマン。後退する璃奈。
だが、その背後はロープで行き止まりとなっていた。

「バキャバキャ。もう逃がさねぇ」
「まずいかも……」

冷や汗を浮かべる表情が液晶画面に出たのと同時に。
棍棒のようなボディーブローを受け、璃奈の身体は大きく曲がる。
その威力で跳躍したところをバックブローによる一撃で側頭部を狙い撃ちする。
倒れ伏し、リングの端まで滑る少女。その顎は血で赤く染まっていた。だがポーラマンは彼女の顔面を鷲掴みにして身体ごと引きずり起こして宙吊りにすると、サッカーボールキックで璃奈を蹴り上げる。その姿が豆粒ほどにしか見えなくなった時に自らも跳躍して追うと、スクールアイドルと背中合わせになり彼女の華奢な両足を自らの足で極め、彼女の首を太い腕でガッチリとホールド。
そのまま落下していく。

「マッキンリー颪!」

残り12人

天王寺璃奈 優木せつ菜 園田海未 ポーラマン 南ことり 桜内梨子 リー 絢瀬絵里 闇野髑髏 桜木霊歌 ゆうき 新田




Re: 戦闘中 枕投げ王座決定戦 ( No.21 )
日時: 2019/12/18 20:08
名前: モンブラン博士 (ID: 97g6Isa9)

ポーラマン「マッキンリー颪!」

得意技を放ったポーラマン。豪快にマットに着地し、技を解く。
璃奈はうつ伏せで倒れるが、カウント9で立ち上がってくる。
画面の下からは血を滴らせているが彼女はファイティングポーズをとり、戦闘意思を見せつける。それを熊男は鼻で笑った。

ポーラマン「観客にしてみればこの仮面女の根性に拍手喝采なのだろうが、真実は違う。先ほどのマッキンリー颪は俺が手心を加えたもの。何故だかわかるか」

璃奈「どうして?」

ポーラマン「それはなぁ、お前を思う存分甚振りたいからだよーッ!」

璃奈の腹に胃袋破りの膝を食らわせ、続けて頭突きを炸裂。
白熊超人の一撃によろめく璃奈だが、再び距離をとる。接近戦は危険と判断したのだ。するとその意図に気付いたポーラマンは距離を詰め、前蹴りを敢行。
ギリギリで躱す璃奈。続けて顎を狙った蹴りを打たれるが、腕を交差させた防御姿勢で顔面を守護する。右足による蹴りは防げたが、まだ左足があった。
サンタクロースを彷彿とさせる黒いブーツによる蹴りは璃奈のガードを弾き、顎に直撃。璃奈、2度目のダウン。時間はかかりながらも再び立つ。
持ち技の熊嵐固めに移行できなかったポーラマンは苛立ち、今度はベアハッグをしようと試みる。璃奈を両腕で掴もうとした刹那、下からするりと脱出される。
機動性という点に関しては璃奈がポーラマンよりも優っていた。
そして戦いの最中、ポーラマンは少女が下からの攻撃に対処できていることに気付く。下から打つ攻撃はアッパーにしろ蹴りにしろ基本的に防がれている。
そこから導き出される結論はひとつ。あの液晶画面では正面の景色を見ることはできず、足元を見て動いている。だから下からの攻撃には強い。ならば攻略は簡単である。正面から押し切ればいい。
パワーファイトを真骨頂としている白熊超人は両の熊の爪を全開して、力勝負に挑んできた。ダンプカー並の体当たり。鋭利な爪による連続攻撃や丸太のような足から繰り出される前蹴り。そして頭突き。一つ一つの技は単調ではあるが、そのどれもが桁違いの威力の為、標的を仕留めそこなう度に鉄柱は飴細工のように曲がり、四方のロープは全て切断される。と、ここで彼は涎をまき散らしながら口癖を発した。

ポーラマン「バギャバキャ。これでもう、お前に残された手は無い」

璃奈「!!」

ポーラマンは考え無しに攻撃をしていたのではない。命中すれば絶命必至、躱されてもロープや鉄柱を破壊することでコーナー最上段やロープの反動を利用した飛び技を全て封じたのである。

ポーラマン「仮面女、これでお前は終わりだ。だが、ただ止めを刺すだけじゃ俺の気分は晴れねぇ。だからテメェに最大級の屈辱を与えてやる」

シャキィンと漆黒の熊の爪を出し、会場内の照明で光らせ恐怖を煽る。
そして無慈悲に璃奈のボードを刺し貫く。

ポーラマン「審判の仮面狩りーッ!」


そして一気に仮面を剥ぎ取った。

ポーラマン「観客共よ~。とくと見るがいい、コレがこれまでずっと隠されていた仮面女の顔だ~!」

満天下に素顔を晒された璃奈は無表情のままで棒立ちになっている。
いきなり仮面を奪われたのだから当然の結果だった。

ポーラマン「バキャバキャ。この何考えているのかわからねぇツラじゃ、隠したがるのも当然か。自分に自信がないから仮面を付ける。下等生物の考えそうな愚かな生き方よ~!」

璃奈を罵倒し、今度は観客達に大声で告げる。


ポーラマン「観客共~! お前達も笑ってやれ!」

だが、会場は静寂に包まれる。
水を打ったような静かさにポーラマンは困惑した。

ポーラマン「どうした。何故、喜ばん」

すると試合を観戦していた海未が叫んだ。

海未「あなたは……あなたは最低ですっ!」

ゆうき「隠したがっている素顔を無理に暴くとか、アイドル好きとして許せねえ」

ことり「酷いよ!」

せつ菜「璃奈さんに謝ってください!」

参加者や観客から非難され、熊の超人は首を傾げる。

ポーラマン「たかがマスクを取ったくらいでこれほど罵倒するとは、こいつら馬鹿じゃないのか? こんな仮面女を庇うなど正気とは思えん」


ゆうき「璃奈、この熊野郎をブッ飛ばしてやれ!」

璃奈「え……?」

海未「彼はアイドルにとって最低のことをやったのです。痛みで教えてあげるべきです!」

ことり「ちゅん♪」

せつ菜「璃奈さんなら、できます!」

璃奈「でも、私……」

桜木「素顔の璃奈も璃奈ちゃんボードの璃奈も、全部1人の璃奈だよ!」

新田「あなたの全てをこの試合で見せてくれ!」

そして会場は「璃奈コール」が巻き起こる。観客や参加者達が自分の名を呼んでいる。試合前まではあれほど酷い言葉をかけていた観客達も一体となって、自分を応援してくれている。ありのままでいい。素顔も仮面も全部私。
スクールアイドルとして、皆の期待に応えたい。うまく表情に出すことはできずとも、彼女の心の中にはその気持ちが溢れていた。一方のポーラマンは嫌悪感を募らせ、再び彼女を蹴り上げ、上空に舞い上がらせる。

ポーラマン「今度は加減無しだ! 完力・マッキンリー颪!」

自身の称号を冠する技を発動させ、ダメ押しとばかりに自分の体重を乗せて圧し潰す。325キロを食らい、璃奈は全身から血をドクドクと流している。

ポーラマン「やっと息絶えたか」

押し花のように潰れ、動かなくなった璃奈。
全身の骨は砕け、内臓は潰れ、心臓の鼓動は完全に停止。
だが、ポーラマンの勝利宣言は行われない。

ポーラマン「そうか。まだ枕を投げていなかったな」

悠々と自らの枕に手を伸ばし、掴もうとした、その時。
会場全体に璃奈の『ドキピポ☆エモーション』が流れる。

ポーラマン「耳障りな音楽だ」


ドクン。

ポーラマン「バギャ?」


ドックン、ドックン。

ポーラマンの耳は確かに捉えていた。璃奈の心臓が再び鼓動する音を。
璃奈の小さな手がピクピクと動き、遂には三度立ち上がってきた。
大喝采の観客や参加者だが、ポーラマンには理解できない。

ポーラマン「馬鹿な。仮面女、貴様は俺が完全に息の根を止めたはず……!」

璃奈「音楽が流れたら蘇るのがスクールアイドルだよ」

ダボダボで血塗れのアイドル衣装、無表情な顔。だがその瞳は誰よりも輝いていた。突進するポーラマンの力を利用し、ショルダースルーでポーラマンの巨体を投げ飛ばし、そこから熊超人の両足をクラッチ、彼の頭部を己の頭で抑える。

新田「この体勢は――」

ポーラマン「テメェ正気か!?」

璃奈「私には、みんなの声援がある! だから、あなたなんかに負けないっ!」

ありったけの声援を力に変えて、璃奈は空高く舞い上がる。
皆の応援が彼女の身体に黄金の発光――すなわち、友情パワーをもたらしていた。

璃奈「キン肉バスターッ!」

ポーラマン「こんなもの新キン肉バスターでお返ししてくれるッ」

璃奈「できる?」

ポーラマン「馬鹿な。動かんっ」

怪力に絶対の自信のある彼は体勢を反転させようとするが、璃奈の身体はビクとも動かない。彼は思った。どうしてこの細腕で巨体の俺を支えることができる?完力の俺がこんな仮面女に負けるというのか。それだけは許されない。
だが渾身の力を込めても璃奈の腕から両足を外すことはできず、大音響と共にマットに墜落。血を吐き轟沈するが、完璧無量大数軍の意地で立つ。

ポーラマン「まだだ。まだ勝負は終わっちゃいねぇぞ仮面女……ゴバァッ」

だが大ダメージを負ったポーラマンはダウン。枕を命中させられ、璃奈の勝利が確定した。試合終了の鐘が鳴った後、彼は眼を覚ます。自分が敗れた事を察すると、ヨロヨロと動き、鉄柱に向かって歩き出す。
そして素顔になった璃奈に告げた。

ポーラマン「仮面女、お前、無表情の癖にその瞳に宿した光は妙にキラキラ輝いているじゃねぇか。いや、お前は仮面女じゃなかったな、天王寺璃奈……」

璃奈「ポーラマン、あなた、私の名前を」

ポーラマン「俺に勝ったことを誇りに思い、次の戦いに挑めよ。それじゃあ、俺は完璧超人の掟に従い、一足先にあの世で待ってるぜ」

静かに目を閉じ、全力で戦えた満足感に浸る。そして深く息を吐き出すとカッと目を開け、己の胸にポーラネイルを突き刺した。
自分で命を絶つという壮絶過ぎる最期。
しかし、彼の人生に悔いはなかった。

ポーラマン 脱落

天王寺璃奈 優木せつ菜 園田海未 南ことり 桜内梨子 リー 絢瀬絵里 闇野髑髏 桜木霊歌 ゆうき 新田


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