二次創作小説(新・総合)
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- 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~
- 日時: 2021/09/18 13:54
- 名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)
食事と戦闘が大好きなモンブラン博士です。
この作品には私が愛するキャラ達の美味しく食べる光景や迫力のある戦闘を存分に詰め込んでいこうと思います。
時に甘々、時に激辛。全く異なる作風の白と黒のハーモニーを堪能ください。
食事
>>1>>11>>12>>13>>14
>>15>>16>>21
戦闘
>>2>>3>>4>>5>>6
>>7>>8>>9>>10>>17
>>18>>19>>20
- Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.12 )
- 日時: 2021/09/17 08:00
- 名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)
当日。かすみとエマはコッペパンを焼き上げた。
出来立てのパンは焼き色も良く、白い湯気を立てている。
今すぐ食べようとするエマを制し、かすみが取り出したのはホイップクリームだ。
「エマ先輩。確かにコッペパンはそのまま食べても美味しいですけれど、こうするともっと美味しくなりますよ!」
ぶちゅっ!
にゅるにゅるっ!
クリーム絞り器から出される甘いホイップクリームがコッペパンに挟まれていく。更に苺ジャムにマーマレードもたっぷりと追加していく。
白のホイップ、赤の苺ジャム、黄色のマーマレード。
見た目にも鮮やかな三色を挟んだ特製のコッペパンが完成したのだ。
「凄いよ、かすみちゃん!」
「それほどでもありますけど!」
無邪気に手を叩いて称賛するエマにかすみは控えめな胸を張って威張る。
それから手を広げて言った。
「どうぞ。エマ先輩、遠慮なく食べてください!」
「ありがとう。いただきます」
- Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.13 )
- 日時: 2021/09/17 08:30
- 名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)
エマは何の疑いもなくかすみの誘いに乗った。
これこそかすみの狙いだったのだ。
たっぷりの糖質を含んだ甘い菓子パンを食べさせ、太らせる。
ぽっちゃりになれば人気も下がり、ライバルが減る。
単純だが世にも恐ろしい作戦である。
しめしめと含み笑いをした、その時だった。
「はい。かすみちゃんもどうぞ♪」
真ん中で綺麗に半分こにしたパンを優しい笑顔でかすみに差し出したのだ。
エマは決して独り占めするような性格ではない。喜びを他者と分かち合いたいと考える優しい性分なのだ。
「うぐっ・・・・・・!」
かすみは怯んだ。
食べれば体重の増加は免れない。
さてはエマ先輩、かすみんを道連れにするつもりじゃ――
「食べないの?」
エマの目の端にじんわりと涙の粒が浮かぶ。
今にも泣きだしそうだ。
うるうると目を潤ませ泣きそうになるエマにかすみの良心が揺れる。
先輩を泣かせるなんて、最低だよ、かすみん。
いいや。あれは演技だ。騙されてはいけない。非情に徹するのだ。甘さは捨てろ。
世界一可愛いアイドルになりたいんだろう?
心の中で天使と悪魔が葛藤をはじめる。
悩み抜いたかすみが下した決断は――
「た、食べますよ! 食べるに決まってるじゃないですか!」
あむっとパンに噛みついた。
やはりかすみの悪だくみは失敗に終わるのだった。
- Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.14 )
- 日時: 2021/09/17 13:15
- 名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)
平安名すみれは金髪を風に靡かせ、自信に満ちた笑みを浮かべた。9月28日はすみれの誕生日である。ギャラクシーカリスマである自分ならば街を歩くだけでもファンから盛大に祝福される素晴らしい誕生日を過ごすことができる。モデルのように颯爽と歩いてみるが、声をかけられることはない。秋に近づいた涼しい風がすみれの傍を吹き抜ける。
「ギャラクシー!?」
理想と現実のギャップに絶望してガックリと肩を落とし、とりあえず自分を慰める意味でもかのんの喫茶店に向かった。中へ入ると、可可、千砂都、かのん、恋がいた。
「すみれちゃん、お誕生日おめでとう! さぁさ、座って~!」
かのんに促されテーブル席に着く。髪をくるくると指でいじりながら時間を持て余していると、かのんが抹茶ラテを運んできた。
「ありがとう」
礼を言って一口飲むと抹茶とコーヒーの苦みと渋みが混ざり合い、快感を覚えた。
「これもどうぞ」
続いて千砂都から差し出されたのは丸い卵だ。それをかのんが持ってきた白米にかける。
「まあるい卵を使用した、美味しい卵かけご飯だよ。召し上がれ」
「ありがとうったらありがとうね」
千砂都に軽くハグをして、卵かけご飯を頬張る。濃厚な黄身と醤油の旨味がコラボレーションし、いくらでもご飯が食べられそうだ。体系を維持するために食べすぎは禁物なのだが、今日くらいはチートデイと考えて良いだろう。夢中でかきこみ、ペロリと平らげると、今度は恋が控えめに言った。
「すみれさん。私からの誕生日プレゼントです。良かったら、受け取ってください」
ほんの少し顔を赤らめながら、まるで長年の想い人に告白するような体で渡されたのはハート型のピンク色のチョコレート。
「みなさんとは趣向を変えてみました」
「嬉しいったら嬉しいわよ」
ショウビジネスで鍛えた笑顔で最高の礼をして受け取る。抹茶が続いたので、恋の好物の苺チョコレートというのも中々にオツだ。
そして最後は可可だ。すみれは生唾を飲み込む。
彼女がどんなものをプレゼントするのか全く予想できないからだ。
可可がすこし乱暴にテーブルに置いたガラスの器には細かく砕かれた氷の山が乗せられていた。
「え」
すみれは思わず固まってしまった。
可可が置いたのは誰がどう見ても抹茶シロップをかけたカキ氷だったからだ。
「これ、カキ氷よね?」
「見てわかりませんか」
「わかるけど! 今9月よ!? こんなもの食べたらお腹冷やしちゃうじゃない」
「いつもお腹丸出しの服を着ているすみれに言われたくないデス。言い訳せずにさっさと食え、デス!」
「ああ、もう分かったわよ。
・・・・・・ありがとね。色々変だけど感謝してるったらしているわ」
「何か言いましたか?」
「ちゃんと聞きなさいよ!」
ガツガツとカキ氷を頬張りながら可可に言い返す。
ツッコミとボケのいつものやりとり。喧嘩するほど仲が良い。
その様子を見ながら、かのんと千砂都、恋は温かい目をして微笑んでいる。
いつもの仲間から祝われる心のこもった個性的な贈り物の数々。
今日という一日をすみれは忘れないと心に誓うのだった。
- Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.15 )
- 日時: 2021/09/17 13:32
- 名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)
小泉花陽は白いご飯を何よりも愛していた。
花陽には嫌いな食べ物が無い。
全ては好きか大好きのどちらかである。
ただ、その中でも特にご飯がたまらなく好きなのだ。
この日は休日だったので、澁谷かのんの実家でもある喫茶店に足を運んだ。
カウンターに着席するなり、手を挙げて言った。
「ライス下さい!」
「わ、わかりました・・・・・・」
- Re: 食事と戦闘~白と黒のハーモニー~ ( No.16 )
- 日時: 2021/09/17 13:38
- 名前: モンブラン博士 (ID: e1WTIp3A)
普段、おとなしい花陽が見せた別人のような迫力に、かのんは苦笑いで対応する。
頬には汗が流れており、内心ビビッていることがわかる。
皿に小山のように盛り付けられた白米を見て、花陽は目を輝かせていた。
家で食べるご飯もいいけど、お店で食べるご飯も一味違うよね。
そんなことを考えながら、箸を手に取る。
たかが白米。されど白米。
同じ米と一口に言っても水の分量や炊き方で味が全く変わったものになる。
店ごとの個性が現れるのだ。
それはまるでスクールアイドルのように。米たちは自分を食べてと主張する。
「いただきます!」
丁寧に手を合わせて、ぱくりとひとくち。
「んん~ッ!」
声にならない悲鳴を上げて目を閉じ、米の味を堪能する。
それから一気に白米を口の中にかきこみはじめた。
およそアイドルらしからぬ豪快な食べっぷりだが、かのんはそれが良いと思った。
「ごちそうさまでした!」
お礼を言って店を出てから、街をしばらく散策すると、嵐千砂都がやっているワゴン式のたこ焼き屋を発見した。少し歩いたことで腹の虫が鳴き出した。
花陽は燃費が悪いのだ。
暖簾をくぐると、千砂都が笑顔で出迎える。
「花陽ちゃん、久しぶりー!」
「ご無沙汰してます」
「今日は何味にする?」
「じゃあ、わさびマヨネーズにしようかな。2パックお願いできるかな?
凛ちゃんにも食べさせてあげたいの」
しばらくして、千砂都はわさびマヨたこ焼きのパックを袋に入れて差し出した。
「おまちどうさま。熱いから気を付けてね」
「ありがとう、千砂都ちゃん」
パックを受け取り、花陽は再び歩き出す。
爪楊枝に突き刺し、出来立てのたこ焼きを頬張る。
あまりの熱さに涙が出てくるが、頑張って飲み込む。
口から白い湯気が吐き出され、美味しさに頬が染まっていく。
ピリッとワサビの辛さが刺激をするが、少しオトナの気分を味わったみたいで、花陽としては嬉しい気分になるのだった。
「やっぱり千砂都ちゃんのたこ焼き、美味しっ。
凛ちゃんも喜んでくれると嬉しいなあ」
休日の食べ歩きは、星空凛の家で〆るのだった。