二次創作小説(新・総合)

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私の推しキャラ達の短編集 完結!
日時: 2022/03/22 06:47
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

お久しぶりです、モンブラン博士です!
今回はドクロ少佐が主人公のお話を書いてみたいと思います!

思った以上に早く完結してしまったので、これまで書き溜めた短編を何本か投稿したいと思います!


Re: 私の推しキャラ達の短編集 ( No.7 )
日時: 2022/03/20 21:01
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

「旨い! やはりステーキは関西に限る!」

行きつけのレストランで花形満はステーキを食していた。
夜景を見ながらの適度に焼けた肉の味はやはり絶品だった。
スポーツ選手にとってスタミナの源である肉はやはり欠かすことのできないものだ。
分厚いステーキをフォークとナイフを完璧に使いこなしながら食べていると、ひとりの少女が向かいの席に座ってきた。
長い髪の両端を団子状に結んでおり、ツリ目と泣きホクロが特徴の少女だ。

「ねえ、ランジュのステーキ早く持ってきなさいよぉ!」

少女は大声で店員に告げると花形に向き直り、驚きの声を上げた。

「きゃあ! アナタ、花形満ね! 野球好きのミアから話は聞いているわ!
こんなところで会えるなんてランジュ嬉しい!」

身を乗り出して握手を求めるその顔には無邪気な笑顔が浮かんでいる。花形はフォークとナイフを置いてから、少女を一瞥した。
この少女、悪気はないようだが人の距離感というものを全く意識しないらしい。
断りもなく席に腰かけステーキを注文するとはマナーがなっていない。
しかしながら少なくとも悪気はないのだから咎めるのは控えた方がいいだろう。
花形は内心そのように考え、笑顔でランジュの手を握った。
途端、少女の掌から伝わる力強さに衝撃を覚えた。
この少女、只者ではない。表情は無邪気に思えるが瞳の中に燃える炎は大物のオーラを放っている。見たところ高校生のようだが、並の少女ではない。
握手が終わると、ランジュと名乗る少女は運ばれてきたステーキを貪り食べ始めた。
よほど空腹だったのだろうかガツガツと猛烈な勢いで肉に食らいついている。
そして口にステーキを含み、肉汁を口から垂らしながら、こんなことを言った。

「ねえ、満。今日は何の日か知ってる?」
「いきなり僕を名前呼びとは驚いたね。今日か・・・・・・何の日だったかな」
「んもう! そんなことも知らないの? ランジュが教えてあげる。今日、11月29日はいい肉の日よ! だからアナタもステーキを食べにきたのよ!」
「成程。だから今日は無性に肉が食べたくなったのか。君の説明を聞いて納得したよ」
「でしょ? だからアタシも今日はたくさんお肉を食べるのよ!」

いつの間に注文したのだろうか、二枚目の肉を食べ始めるランジュ。肉汁が飛び散り、テーブルクロスが汚れるがそんなことはお構いなしで食べ続ける。
花形は唸った。これまで色々な少年少女を見てきたが、これほどまでに図太い神経の子は初めてだ。

「ここのお店のお肉は世界一ね!」
「君のいう通りだ」

花形は少女の笑顔につられて口元が緩む。
食事が終わると少女は懐から札束を取り出し、テーブルの上に置いた。

「お会計はこれで足りるかしら?」

何事もなくウェイトレスに告げるランジュに花形は合点がいった。
この少女は相当なお嬢様として育ったらしい。これまでの発言から察するに敗北とは無縁のあらゆる才に恵まれた人生を送ってきたのだろう。
花形は少女の瞳にほんの少しだけ影があるのを見逃さなかった。
彼女はあまりにも才に恵まれているが故に対等な人間関係が築けず、孤独な日々を過ごしているのだろう。無邪気さはその反動なのかもしれない。
花形は口を開き、言った。

「今日は会えて楽しかったよ、ランジュさん」
「花形! もしシーズンオフになったらランジュのライブ見に来てほしいわ!
最高のパフォーマンスをアナタに見せてあげる!」
「それは楽しみにさせて貰うよ。君がどれほどの実力かこの目で確かめたい」

花形は爽やかなに告げて踵を返す。
その瞳には熱い闘志が燃えていた。
ランジュさん。君はアイドルの世界で、そして僕は野球の世界で、分野は違えど良きライバルになれるかもしれないな。

Re: 私の推しキャラ達の短編集 ( No.8 )
日時: 2022/03/20 21:09
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

11月24日は葉月恋の誕生日だ。
長く艶のある黒髪を風に靡かせ、気品ある立ち居振る舞いで今日も葉月恋は登校する。
口元には柔和な笑みを浮かべ、誰に対しても礼儀正しく普段と変わらぬ態度で接しているが、内面は自分は誕生日であることを打ち明けたい気持ちでいっぱいだった。けれど自分から発言しては図々しいと思っていたし、誰かに指摘されたり言われたりすることで祝われる方が嬉しいだろうとも考えていた。だからこそ自分からは決して誕生日であることを振らず、嬉しい気持ちを抑えていたのだが、午前中の授業が終わり、午後になっても誰も言ってくれる人はいない。夕方になり、さすがの恋もしょんぼりと肩を落とし、トボトボと帰路へつく。
「こんなことなら先に言うべきでした・・・・・・」
自分の考えが裏目に出たことを後悔しながらため息を吐きだす。
落ち込んだ気分のまま恋は世話になっている宮下愛のもんじゃ焼き屋に立つ。
真っすぐ家に帰る前に最後の希望としてどうしてもここだけは寄っておきたかったのだ。
もしかすると愛さんなら自分の誕生日を祝ってくれるかもしれないと期待を込め、取手を掴む。そして扉を開けると――

「恋ちゃんお誕生日おめでとー!!」

盛大なクラッカー音と共に宮下愛、澁谷かのん、唐可可、平安名すみれ、嵐千砂都が現れた。
突然の歓迎に恋の目尻が潤む。

「みなさん、私の誕生日を覚えてくださっていたのですね」
「恋ちゃんは大切な友達だから、当たり前だよ」

かのんがサラリというと恋は嬉しさのあまり号泣するのだった。
愛に手を引かれて座らされた席には特大の苺のショートケーキがおいてあった。

「愛さんとみんなで作ったんだ。苺大好きっしょ?」

愛が歯を見せて笑うと恋は小さく頷く。
幾つもの特大苺が乗っているだけでなく生地にも中にもふんだんに苺を使用した贅沢なケーキだ。このような気遣いこそが宮下愛の真骨頂である。
大切な友達と美味しい料理に囲まれ、恋はゆっくりと幸せを噛みしめるかのように目を閉じた。この瞬間がたまらなく愛おしい。少なくとも一年前には想像もできなかった光景だ。
恋は目を見開き、「この友情が永遠に続きますように」と願いを込めてロウソクの火を吹き消すのだった。

おわり。

Re: 私の推しキャラ達の短編集 ( No.9 )
日時: 2022/03/21 08:03
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

芙羽ここねはハートパンを愛する。しかし彼女は好物を滅多に口にすることができない。
高級レストランのひとり娘であり、学校でも世間でも「高嶺の花」として扱われる彼女にとって、ハートパンという庶民的な食べ物を口にすることは許されないことであった。
お嬢様が庶民のパンなど口にするものではない。食べるのはステーキにしなさい。
両親からそのように咎められて以来、夕食は専らステーキを食している。
両親が多忙な為、広大な食卓ではいつもひとり。
孤独な個食。どれだけステーキの肉が高級で脂が乗り、美味しかったとしても、ここねの舌は哀しみで美味しさを感じることができずにいた。
無意識のうちに溢れ出る涙を抑えることができない。

「ハートパンが食べたい・・・・・・」

穏やかで繊細な声でここねは自らの確かな思いを口にした。
どれだけ美味しく高価な料理よりも、皆で食べる庶民的な食事に彼女は憧れを抱いていた。

ある休日のこと。
彼女は黒い車の中でおいしーなタウンの景色を何気なく眺めていた。
すると、視界に飛び込んできたのは新装開店したパン屋だった。
パン屋に行けば大好きなハートパンを食べられる。
その想いに突き動かされ、ここねは口で言葉を紡いだ。

「ここで下ろして」
「かしこまりました」

執事はここねの意思を汲み取って、何も言わずに車を停めた。

「今日はひとりでいい」

彼女の言葉に執事は無言で頷き、再び車を走らせる。
さりげない彼の心遣いがここねは嬉しかった。
茶色のショートブーツをコツコツと鳴らしながら一歩ずつパン屋へと向かっていく。
パン屋の前にたどりついたここねは喜びで頬を紅潮させて、扉をくぐる。
ショーケースの中には色とりどりの様々なパンが並べられていた。
どれも美味しそうな見た目で食欲をそそるが、ここねの心を奪ったのは大好物のハートパンであった。

「あの・・・・・・これ、ください」

店員に躊躇うように恐る恐る切り出し、震える指でハートパンを指差す。
店員はにっこり微笑んでトレーにパンを入れると、会計まで持って行った。
お金を払って店を出る。
人通りは少ない。今すぐに食べたい。見ている人はないのだから、少しだけ。
白い袋を開けると甘い香りが広がり、トクンとここねの心が躍る。

「いただきます」

目を閉じて一口頬張ると優しい甘さが口の中に溢れ出す。
心臓の形の愛の込められたパンの味にここねは幸せを噛みしめるのだった。
もうすぐ新学期が始まる。
ここねは中学二年になる。
新しい年、新しい学期。
また、高嶺の花として振舞わざるを得ない苦しい生活が始まる。
けれど、この一瞬だけは等身大の少女でいたいと願うのだった。

おわり。

Re: 私の推しキャラ達の短編集 ( No.10 )
日時: 2022/03/21 08:33
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

窓を全開にしたホテルの一室で高校三年生の小原鞠莉はスヤスヤと気持ちよさそうに寝息を立てていました。ふかふかのベッドと枕は白で統一されていることもあってか、まるで雲のような寝心地なのです。
青い空に白い雲の隙間から温かい太陽が鞠莉のいる部屋を優しく照らし、偶然舞い降りたスズメの小鳥がチュンチュンと可愛らしく鳴いています。
鞠莉の長い睫毛がピクピクと動き、やがてゆっくりと目を覚ましました。
大きく伸びをしてから朗らかな声で言います。

「グットモーニング!」

それからベッドから起き上がり、真っすぐ浴槽へと向かいました。
朝からお風呂に入って爽やかな気分になるというのが鞠莉の朝の過ごし方なのです。
鞠莉は朝のお風呂から上がって、ドライヤーで髪を乾かしました。
生温かい風が彼女の柔らかな金髪を揺らします。
机に設置されている鏡を前にして、本日の顔をチェックします。

「今日もお肌ツヤツヤピッカピカ! やっぱりお風呂は最高よね~♪
さ、学校に行く用意をしなくちゃね」

鞠莉はバスローブから制服に着替え終わると、再び鏡を覗いて訊ねます。

「鏡さん、世界でいちばん美しいのはマリーに決まっているわよね?」

当然ながら普通の鏡は何の返事もしませんけれど、鞠莉は口を緩めてうんうんと頷きながら口を開きました。

「そうよね。マリーが世界一なのよ。流石私の鏡さんね」

ウキウキ気分の鞠莉は鏡にチュッとキスをして、いつものように髪の毛を輪にします。
これで準備完了です。

「行ってきます!」

明るく言って豪快に扉を開けて部屋から飛び出しました。
こうして、鞠莉のシャイニーな一日が始まるのです。

おわり。

Re: 私の推しキャラ達の短編集 ( No.11 )
日時: 2022/03/21 09:43
名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)

「ハラペコった~!」

中学2年生の和実ゆいちゃんはぐうぐうと鳴るお腹をおさえて言いました。
先ほど運動部の助っ人として大活躍して沢山動きましたからお腹が空いていたのです。
何か食べるものはないかと視線を動かしていますと、高校2年生の小泉花陽ちゃんに会いました。

「花陽さん、おはようございます」
「おはようゆいちゃん。なんだかフラフラしているけど、もしかしてお腹空いてるの?
良かったらおにぎり1つどうかな?」

花陽ちゃんが差し出したのはゆいの顔がすっぽりと隠れるほど特大のおむすびでした。

「ありがとうございます! いただきまーす!」

大きなお口を開けてぱくり。
ふっくらと炊けたご飯の食感と優しい甘さ、海苔のパリパリとした歯ごたえが最高でいくらでも食べられそうです。

「中身は昆布だぁ! ん~! デリシャスマイル~!」
「えへへ。私が昆布が好きだから・・・・・・ゆいちゃんが喜んでくれて良かった」

花陽ちゃんのおにぎりでゆいちゃんのお腹の虫は大満足するのでした。

おわり。


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