二次創作小説(新・総合)
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 私の推しキャラ達の短編集 完結!
- 日時: 2022/03/22 06:47
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
お久しぶりです、モンブラン博士です!
今回はドクロ少佐が主人公のお話を書いてみたいと思います!
思った以上に早く完結してしまったので、これまで書き溜めた短編を何本か投稿したいと思います!
- Re: ドクロ少佐の逆襲 ( No.2 )
- 日時: 2022/03/20 20:10
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
ドクロ少佐はカスタードの黄色いクリームエネルギーを跳躍で回避すると、彼女の頭上まで軽々と身を翻して大口を開ける。カッと開かれた口から赤いエネルギー波が放たれ、地面を抉り、咄嗟に腕で防御姿勢に入ったカスタードさえも吹き飛ばしてダメージを
与えていく。
土埃で汚れ、肩の布が破け、白い肩が露わになったカスタードの姿に少佐は笑い声をあげた。
「ンホホホホホホッ! 満身創痍の姿もまた麗しき面があるというもの。無駄な抵抗はやめ、大人しくあの世へ行くが良い」
カスタードの首に軽く鎌を当てる仕草をして標準を合わせてから、一気に容赦なく対象の細い首に狙いを定めて鎌を振るう。
自分の首が刈られる恐怖を覚えたカスタードはその一瞬が永遠のようにも感じられた。
脳裏に巡るは仲間と共に過ごした幸せの日々だ。
自然と目から涙が溢れ、恐怖から力が抜けたのが幸いしたのか、大鎌はカスタードのサイドテールを掠め切るだけに留まった。
「往生際の悪い小娘だ。武人たるもの潔く最期を迎えよ」
- Re: ドクロ少佐の逆襲 ( No.3 )
- 日時: 2022/03/20 20:24
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
少佐は腕を大きく振り上げ、銀色に光る鎌が深紅に染まる。
大鎌を振り下ろした少佐し、キュアカスタードの身体を両断にしたかに思われた少佐だが、カスタードの身体は無傷。
代わりに身体が抜け殻か、糸の切れた人形のようにゴロンと横たわり変身が解除された。
少佐は斬り方を変えて身体ではなく魂を奪う方向に切り替えたのだ。
鎌に絡みついた黄色い人魂は有栖川ひまりの人魂である。それを大事そうに小瓶に回収し、少佐は甲高い笑い声を上げた。
「ンホホホホホホッ! 俺は遂に有栖川ひまりに勝利した。これぞデルザー軍団屈指の実力を誇るドクロ少佐の実力よ」
高らかに勝利宣言をするが称賛する仲間もいない孤独な勝利だ。
満足感が薄いのはどこか物足りなさがあったからかもしれない。
もっと充実した戦いをしたい。
自分を満足させる相手と思う存分戦いたい。
思案した少佐は再び独特の笑い声を発して、自らの案を口にする。
「美少女を狩るとしようか。
狩人は俺で獲物が美少女達。中々良い余興になるやもしれぬ」
- Re: ドクロ少佐の逆襲 ( No.4 )
- 日時: 2022/03/20 20:36
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
「ンホホホホホホッ!」
「ぎぃやああああああああ!」
奇声を発しながら大鎌を振るって追いかけてくるドクロ少佐から、澁谷かのんは全力で逃走していた。悲鳴を上げ、目から大量の涙を流しながらも、命を失いたくないと懸命に走る。ドクロ少佐は時折、口から火の粉を吐き出しつつ、ブンブンと大鎌を振るっては木々をなぎ倒して迫ってくる。
「かのんちゃん!」
「ちぃちゃん!? いつの間に!」
知らない間に伴走をしている千砂都に若干驚愕した後、かのんは質問した。
「ちぃちゃん、あのドクロ少佐って人の弱点はないの? たとえばお化けが怖いとか、高いところが苦手とか」
「うん、それはかのんちゃんの弱点だよね」
穏やかにツッコミをしてから千砂都は真剣な表情で。
「ドクロ少佐の弱点は」
「弱点は」
「弱点は~?」
「無いYO!」
「えええええ!?」
まさかの事実にかのんは真っ青になる。
弱点が無いなら一介の女子高生には対抗する手段がない。
その時、ぐいと襟後ろを掴まれる感覚を覚えた。
少佐がまるで猫の首を掴まえるかのように千砂都とかのんを確保したのだ。
「遊びは終わりだ。千砂都は俺が貰う」
「えっ、狙いはちぃちゃんだったの!?」
「俺はロリに目が無い。従って嵐千砂都も守備範囲だ」
「ん~。悪いけど私、キミには興味ないんだよね。丸くないし、どっちかというとガリガリで骨ばっかりっていうか」
「骨しかないって感じ?」
「そう。さすがかのんちゃん、例えがうまい!」
「いやー、それほどでも」
「・・・・・・俺は身体を限界まで削ぎ落して今の姿になったのだ」
「ダイエットしすぎだね。もうちょっとぽっちゃりした方がいいと思うよ~」
「その意見は尊重するが、勝負は勝負。敗北したお前達の魂を頂く」
ギラッと黒い瞳が赤く輝き、目にも止まらぬ速さで大鎌を振るってふたりの魂を回収した。
- Re: ドクロ少佐の逆襲 ( No.5 )
- 日時: 2022/03/20 20:43
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
「お客様。ご注文は何に致しましょうか」
「兎耳を付けたゴスロリを着た金髪の美少女をひとつ」
「どうしてそうなるのよーッ!」
シャロはツッコミを入れずにはいられなかった。
今日の客はとても風変わりな格好をしている。
まるで落ち武者のようなザンバラの黒髪にドクロの頭部、赤い肋骨服を身に纏った異様な怪人である。コスプレにしては悪趣味であり不気味さを覚えていたが、こんな客にも笑顔で接しなければならないところが店員の辛いところである。
ドクロ少佐は俊敏な動きでシャロの黒スカートの裾を捲り、中を確認して呟いた。
「白、か」
「お客様、店員の中身を覗かないでください!」
顔を真っ赤にしたシャロにカラカラと笑う少佐。彼にとってシャロはからかい甲斐のある相手のようだ。
注文したカモミールを飲み干し、会計の段階となった。
「360円になります」
「良かろう」
ドクロ少佐は虚空から大鎌を出現させて、シャロに振り下ろす。
一瞬で魂を奪われたシャロの身体はガックリと会計の机に突っ伏して動かなくなった。
- Re: ドクロ少佐の逆襲 ( No.6 )
- 日時: 2022/03/20 20:52
- 名前: モンブラン博士 (ID: pRqGJiiJ)
4人もの魂を手に入れたドクロ少佐は多少の満足感を経ていた。
歯ごたえこそないがそれなりの数は揃ったからだ。
あとは4人の魂を解放せんと考える強者が現れるのを待つのみ。
町中を歩いて強敵がいないか散策していると、偶然すれ違った少女に少佐は背筋が伸びるほどの気を感じた。
長年戦場で鍛えた第六感とも思える能力が少女から微かに放たれる気を察知したのだ。
少佐が振り返ると茶色の縦ロールに大きな瞳の少女がいた。
彼女の名は姫里マリア。ドリームアカデミーに通う癒し系のアイドルである。
少女は純真な瞳で少佐を見据え、口を開いた。
「ごきげんよう」
「小娘よ。貴様は俺が怖くないのか」
「いいえ」
少女の返事に少佐の眼光が光った。この娘、俺に対し些かの動揺すら見せていない。
只者ではない。少佐は直ちに鎌を携え臨戦態勢に入るが、マリアはコップに並々と牛乳を注ぎ、少佐に差し出した。
「喉が渇いていませんか。良かったら牛乳をどうぞ」
「敵に塩を送るとは面白い」
マリアの好意を挑発と受けた少佐は牛乳を貰うと一気飲みして荒くコップを放り投げる。
「では、勝負と参ろうか。俺はデルザー軍団のひとり、ドクロ少佐」
「わたしは姫里マリア。よろしく、ドクロさん」
少佐は鎌を振るいかけ、ピタリと手を止めた。
マリアの姿が視界に入るだけで戦意が一瞬で焼失してしまいそうな何かがある。
腕が石のように堅くなって動かなくなり、まるで自分が石像になってしまいそうな錯覚さえ覚えるほどだった。初めて目の当たりにする力に脅威を抱いた少佐は跳躍して大きく後退する。皮の無い骨だけの顔にも関わらず、どっと汗が噴き出すかのようだ。
マリアはにこやかな笑顔を見せて手を差し伸べてくる。彼と握手をしたいようだ。
少佐はガチガチと歯を鳴らし、更に後退していく。
デルザー軍団の力の根源は人の恐怖であり、対象がおののくほど力を増す。
加えて今の少佐は一時的に蘇った身であり、余計に恐怖が必要だった。
だがマリアは自分への恐怖が微塵もないのだ。
これでは存在が維持できず消滅しても不思議ではない。
只者ではないと思ったマリアの力の正体は彼女の「天然さ」にあった。
如何なる時でもマイペースで自分を崩さないマリアと力は強くとも精神が脆い少佐との相性は最悪。
誰が相手であれいつも通りに振舞うマリアにあべこべに少佐は恐怖した。
「ドクロさん、わたしとお友達になろうよ」
臆面もなく言い放つマリアに、遂に少佐の自我が崩壊。
「ンホホホホホホッ!」
歓喜とも畏怖ともつかぬ笑いを続けながら少佐の身体は、精神と同じく崩れ去り、後には彼の形見である肋骨服だけが残されたのだった。
マリアは肋骨服を優しく拾い上げて抱きしめると口を開いた。
「今度この世界に来た時は、わたしのお家に遊びに来て。ドクロさんが喜んでくれるようなおもてなしをしたいから」
おわり。