二次創作小説(新・総合)
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- ⚠ツイ腐テ二次⚠ アナ雪のエルサの子孫、NRCに通うってよ
- 日時: 2022/03/26 21:02
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
アナ雪観てて思いました。
「エルサお前…元はヴィランとして考案されたらしいじゃん……?
更に本編内で結構マジな人殺ししようとしとるやん……??
加えてディズニー作品だしマジカルパワー持っちゃってるじゃん……???
そんなん、書く()しかないやん……」
不可抗力でショこんなの。
ということで、アナ雪のエルサの子孫っぽい存在がNRCに通うお話。ジャンルはBLです。
え?なぜBLにしたかって? 私の主食はツイステ、副菜は総受けBLだからだよ!!!
総受けを想定していますが、今の所 同じ寮に一人以上の三年生が居る場合、その内の一人が主人公とcpるという事になってる。ハーツで例えるなら、ケイトとトレイのどちらかは腐ってどちらかはサポートに回る、みたいな。
アナ雪、アナ雪2及びツイステのネタバレが含まれる場合がございますので、充分な自衛の上スクロールをよろしくお願い致します。この作品を読みご不快に思われた方がおりましても、こちらは一切の責任を取る事ができません。謝罪もしかねますのでご注意ください。
あと既出ネタだったらスマソ
いいんやな? 上記を読んだな????
読まなくてもおk↴ 本編は返信欄にあるで~~。
名前:トンフェ・アレンデール (ノルウェー語で「第五の精霊」は“フェントーン”なので)
所属寮:ポムフィオーレ
誕生日:11月27日(アナ雪上映日)
身長:181.7cm(三年生時)
利き手:左(エルサは左利きらしい)
部活:サイエンス部
クラス:3-D(マレウスと同クラ) 一年時はヴィルと同クラ、二年時はポムではぼっち
星座:射手座
年齢:18歳
出身:氷の国
得意科目:召喚術(オラフやマシュマロウを作っていた事から)
趣味:雪だるま作り
特技:スケート
嫌いな事:人を傷つける事、感情が昂る事
好きな食べ物:チョコレート
嫌いな食べ物:熱すぎる物(猫舌なので)。ルークと同じく嫌いってより“苦手”。
家族構成:妹が一人、親は居ない。関係は良好。
ユニーク魔法:「凍った心 (ティアッタ・フローズン)」 自他問わず、人を凍らせられる。
(これは話の進み方次第で変更する場合がございます)
口調:「~よ、~だ」 「落ち着くのよ…」→「落ち着くんだ…」or「落ち着いて…」
「絶対出来るわよ!」→「絶対出来るさ!」or「絶対出来るよ!」
性格:余裕があり、ツイステ特有の妖艶で優美で淫靡な雰囲気を除けば全部エルサ。一定数ヤベェ目線で見ている生徒も居る(えrい目で)。セコムはいつでも発動準備オッケー☆
また、隠れ自己肯定感マイナス民(エルサ「こんな私が~」と歌っている)。いつもは飄々としている。――だが、ドロッドロの王家で育ち、更に己の“力”のお蔭で散々メンタルがボロボロになって、微笑んでいるその内には闇が見え隠れする。
容姿:アクアブルーの瞳、プラチナブロンドのストレート。胸まで伸ばした長髪に、頬へ影を落とす長い睫毛。通った鼻筋、色付いた唇、形の良い眉など、天下のヴィル・シェーンハイトさえ認める美貌の持ち主。一つひとつの所作が洗練された美しさだとして、ルーク・ハントは「氷の君 (ロア・ドゥ・グラス)」と呼んでいる。つまりえろ(ry
制服→2のアナの髪型 寮服→アートハランに来た時のエルサ 運動着→戴冠式のエルサ
式典服→氷の宮殿作った時のエルサ 実験着→1のアナ
裏話:エルサは元々、悪役として考案されたキャラだそう。実際1では人を殺めようとしていたし、中々に酷なトラウマ持ってるし、感情が昂って宮殿が黄色や赤に染まったり……と闇が深い。故意に棘々の氷を出現させて人を脅したりとかしているし。そこからネタ発想。IFかは分からんけど、何れ身近な人間か妹をエルサのように傷付けるかも(不本意で)。
補足:エルサは風、火、水、大地の精霊と(最終的に)良好な関係を築き上げ、何より自身が第五の精霊である為、殆ど授業に苦戦しない。ちな卒業したら“陛下”となる(サラッ
無属性攻撃は光。魅了属性が付いてる(と思う)。天然タラシになる可能性は大いにある。
「サザン・シー」に隣接する「ダーク・シー」の何処かには、「魔法の氷河」――「アートハラン」が存在するらしい。そして彼の一家……王家は、代々その川を守っているそうだ。また、エルサの出来る事は全部出来る「力」を持ってる。偽名は「ノーサルドラ」。
本編に出てくるとは限らない『氷の国』についての小ネタ:
冬は白銀の国、銀雪の国とも呼ばれ、魔力の濃い地域が多数存在する、雄大な山脈を持つ広大で美しい国。海に囲まれた王城では毎冬に一度スケート大会が行われ、城の門は常時開け放たれており、幾つかの国と盛んに貿易を行い繁栄している。
精霊の力で守護された一定の地域では―また王城のある街の一定の者は―“第五の精霊”を信仰しており、ある民族は今も精霊と生活を共にしていると言う。
四季が豊かで自然と人口のバランスの取れた、現代では珍しい国。ずっと北の方では“北風吹けば川さえ凍る”と謳われる寒冷地が存在し、其処では天然の川から生まれた透明度の高く貴重な氷を産出している為に『氷の国』の名が付いた。
トナカイは、大昔の逸話より駿馬の如く雪の上を駆け幸運を運ぶとされる。高い山河に囲まれた土地は“茨の谷”然りあまり電気機器が発達していない。但し漁業、船を除く。
“ノースマウンテン”という一際標高の高い崖のような山は特に魔力が濃く、真夏でも美しく巨大な“氷の宮殿”が存在していて国の管理下にある。また通称“魔法の森”“変貌の森”と呼ばれる神秘的な森ではある民族が生活しており、自らを「太陽の民」と呼称する。昔の逸話から王家とこの民族は二度と互いを傷付けてはならないという誓約がある。
近隣の国にも魔力濃度の濃い場所が幾つか存在し、その中でも「太陽の国」と呼ばれる自然豊かな国とはある共通点を通じて仲が良い。ちなみに「太陽の国」は「コロナ王国」が元で、“共通点”は王族が魔法とは違う『特別な力』を有する事にある。(コロナ王国→ラプンツェルの居た王国)
- Re: プチ雑談 ( No.9 )
- 日時: 2022/04/01 10:54
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
あ、エイプリルフールではないですよマレウスさんのww
トレイさんを今書いてるんですけど、トレイ・クローバーメインではなくトンフェ・アレンデールメインになっちゃいそう。あとモブが喋ります。それと捏造が甚だしい。
キャラの、マジでどうでも良いストーリーに関わりの一切無い日常を書くのが好き。なのでお時間ない人はトレイさん前編読まなくても良いかも。あれ本当に軽い伏線張ってるだけで中身無いから…w
(その分、いつもより明らかに短いです。秒で終わる)
ま、読んでる人が居るかはさておいてですけど。因みに次出すのはマレウスさん、その次イデアくん。
イデアくんは前言った通り本当に駄作になっちゃった、ほんとに、ほんっとうにごめんねイデアくん……!
トレイさんは書き終わってないから分からないけど、ある程度のクオリティには仕上げるつもり。
そして私、宣言します!! トレイさんで、お決まりの「ご都合魔法薬」を浴びせる事を!!!!
ハイすみません、私すらこれに走りました。だってネタが決まらない。謝罪します。
トレイさんの中編に出てくるモブの中に、ジブリの「目がっ、目がァ!!」がいるので探してみてw
- Re: ⚠ツイ腐テ二次⚠ アナ雪のエルサの子孫、NRCに通うってよ ( No.10 )
- 日時: 2022/04/01 17:00
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
第一部 1-5 マレウス・ドラコニアは手放せない【後編】
出演:一人称視点 ~ マレウス・ドラコニア
「風、火、水、大地。それぞれ四種の精霊が、あの森に居る。『太陽の民』――『ノーサルドラ』と共に、平穏に暮らしている。
昔、それが脅かされるような出来事があった。精霊は怒り、森をどんな者であろうと弾き出す力を持った霧で覆ってしまった。只一人、ある力を持った物を覗いて……。けれど、ある宿命を持って生まれし女王が仲間を引き連れてその森に訪れ、数多の試練と無理難題を潜り抜け……遂に、その氷河へ辿り着いた。
氷河の名は『アートハラン』。『氷の国』の遥か北にあるとされる『魔法の川』。北風が海に巡り逢うその川には、“全ての記憶”が眠っている――。どうして自分が、周りには無い力を持って生まれたのか…女王は其処で知った。自分が何故生まれたのかも、自分の持つ力の謎も。
女王は『第五の精霊』だった。女王は紛れも無い人間属であり、勿論親や親類も皆、人間属だった。生粋の人間である女王に、何故そのような運命が背負わされたのか……それは、女王の母親は『太陽の民』の一人であったから。精霊に限りなく近いその民と、普通に暮らす国の民。その子供として、女王は生まれたのだった。
『魔法の森』で起こった、精霊をも怒らせる出来事。その不祥事を解決するべく、そしてヒトと精霊の架け橋となるべく、女王は『第五の精霊』としての運命を背負わされたのだ。結果的に女王は元々仕切っていた国を妹に任せ、精霊が暮らす『魔法の森』の新たな女王として君臨した。
女王は精霊を怒らせる原因となった事をもう二度と起こさないが為に、『太陽の民』と妹に任せた国の民、王家の者の三者は今後一切互いを傷つけ合わないという誓約を設け、時は流れたのだった。
今も『氷の国』では、その女王の成した大義を称える者が絶えない。王家の血筋は『魔法の川』を守り抜き、そして『第五の精霊』としての役目を全うするという責務がある。王家の者は結婚した者との間に最低二人の子を生み、その二人で責務を果たす。大抵の場合は先に生まれた子に「力」が宿り、長女・長男は『魔法の森』を、次男・次女は『氷の国』を仕切る仕来りだ。力はその者の命が薄くなる時期に再び王家の誰かに宿る。
――前『第五の精霊』は、私のお婆様。これから数十年先の『第五の精霊』が、この私。だから私は、その力が衰える事の無いよう、三月に一度メンテナンスの為にこの寮を借りて力を放出させているんだ」
次々に変わる空中のオーロラに目を奪われ、淡々と語られるアレンデールの故郷の真実に耳を立て……気付けば十分余りが経っていた。
小説を一巻読み終えたような情報量の渦。それを飲み込むには暫し時間がかかったが、アレンデールは無理に急かさず、じっと霜の下りた芝生を見つめている。その横顔を見ている内、不意に嫌な予感が頭を過った。
(若しや、アレンデールは)
思い付きだけで判断するのは良くない。そう分かっていながらも、口に出す事を止められはしなかった。
纏う闇の香、覗く諦観の瞳。濃く影を落とすその顔には、氷が反射した淡い光が映っている。当たって欲しくない予感に薄く汗ばみながらも、しっかりとした口調で尋ねた。
「アレンデール。その「力」とやらは、国民にどう思われているのだ」
愁いの横顔に、深い青を宿した瞳が大きく見開かれる。次の瞬間にはバッとこちらを振り返り、信じられないような驚愕を纏わせて僕を見つめる青の瞳がふたつ。
「……『太陽の民』には歓迎される位。でも『氷の国』の住民には――寧ろ、畏怖の対象というか。あと、王家の人間には奇異の目で見られたり……っ、待って! ごめんなさい、忘れて? 余計な事、口走っちゃったから」
ああ、矢張。悪い予感程よく当たる物もない。素直に語ってくれれば、それによる心の傷も薄いのかと思う事も出来たであろうに、途中で「余計な事を口走った」などと言われてしまえば、恐れられる事を肯としていないと嫌でも分かってしまう。
僕達のような妖精属は、永遠のような時の中で様々な事を経験し、学び、達観して物事を見るのは難しくない。だが短命な人間は、その短い時の中を苦しみ藻掻きながら生きる事も珍しくないという事を知っていた。
見知らぬ他人からも、同じ生まれ故郷を持つ者にさえも恐れられる孤独感。それには余りにも強く鮮明な覚えがある。気付いた時には、体が動いていた。
「――人の子。『氷の国』の『第五の精霊』、トンフェ・アレンデールよ」
赤子にするように―いや、僕からすればアレンデールなど赤子と同じような物だが―優しく、腫物を扱うように繊細な手付きで、アレンデールを腕の中へ引きこむ。倒れ込むようにしてなった体勢に、芝生の霜が揺れた。
驚いたように「え、っ!?」と声を上げたアレンデールは、初めの内こそ抵抗を見せていたが、それでも身長差や力差で逃げられない事を悟ると、大人しく僕からの抱擁を受け止めたようだった。
「僕は茨の谷の次期当主、マレウス・ドラコニア。今までの不安、不満を、全て此処で吐き出してしまえ。僕は口が堅いし、お前の気持ちも理解出来る」
「っ……いや、そんな面倒事に付き合わせる訳には」
「この僕が良しとしているんだ。ありがたく受け取れ、アレンデール」
「でも…あー、ううん……。でも」
「難しく考えるな、四の五の言わず言う通りにしていれば良い」
アレンデールは暫し黙っていたが、少しして「マレウスが、死ぬまで……胸の内に留めておいてくれるなら」などと僕に言う。面白い人の子だ、興が乗った為に肯定すれば、「絶対だよ!? 墓まで持って行ってね」と念押しした。
疑うような目線を一蹴してやると、アレンデールは僕の体の隙間から見える芝生を見つめながら、ぽつりぽつりと呟き始める。
「『太陽の民』は、伝承をちゃんと信じてる。だからこそ、私の「力」ばかりを目に留めて私自身を見てくれない。…でも彼らは彼らで死活問題だし、仕様が無いって事は分かっているんだけど、でも……私は将来あの森を仕切る。その為に幼少期はずっとあの森で育てられて…だから私、本当は、あの人達が少し……ほんの少しだけ、苦手」
黙って聞きながらも、抱きとめたアレンデールの背中を規則的にぽんぽんと撫で摩ってやれば、段々と素直に“本当の思い”を聞き出す事が出来てきた。他人や、此処に居もしない不平不満の対象の事を思っていては、それの解消にはならないのだ。
「『氷の国』の皆は伝承を信じていない人も多いけれど、私がしっかり「力」を受け継いでいるから、自分の信じる物と矛盾した“私”っていう存在を恐れてる。表こそ優しいけど、ふとした時に見せる仕草やお忍びで城下町に行った時なんかは、偶に私の陰口を聞いてしまう事もあって、……辛い。少しだけ、ね」
そうかと呟いて、アレンデールの滑らかな髪を梳くように頭を撫でる。静かなこの空間には、精霊――アレンデールの気配と、氷の微かな匂いと、静寂に包まれていた。
「私の遠い親戚のおじ様や隣国の王家は、私の前に来ては色々な物を見せに来る。恐らくは私に恩を…媚を、売っているんでしょう。私の「力」は魔力さえも必要としない。『第五の精霊』――私が悪用しないという前提の下に在るのがこの「力」だから…永遠に使い続けられるの。その際ブロットも排出されないし……だから、悪用しようとしているんだと思う」
再びそうか、とだけ言って、頭を撫で続ける。泣きじゃくる赤子を慰めるように、寝かしつけるように。
沈黙の後、マレウス、と覇気の無くした弱々しい声が下から聞こえて「何だ」と返せば、アレンデールは僕の制服の裾をぎゅっと握り締め、何かを堪えるような声色で言う。若干くぐもったそれに、胸の奥で何かが動くのを感じた。
「ねえ……っねぇ、マレウス」
「そう何度も呼ばずとも聞こえている」
「…マレウス……ッ」
「どうした」
ずるずると背を折り曲げていき、握っていた裾を離して手を僕の前に遣ると、制服のボタンが止まっている辺りにアレンデールは体重を預ける。再び服を握り直すそのさまに掻い付くような何かを感じた。頼ってくれる嬉しさと、胸を締め付ける哀しみのような何かが入り混じり、柄にもなく言葉がつっかえる。
「ぅ……ッあ゙、ぁ、ッ…く、ㇷ……」
必死で縋り付き、歯を食いしばって声を抑えるアレンデール。何が起こっているのかなど容易に想像出来た。……アレンデールは泣いているのだ。それ程までに負の感情を抑え込んでいたという事になり、同時に“吐き出せ”と言ったのは自分だが此処までの物とは思わず戸惑う自分も居る。それを面には出さず、ただ背中を摩り撫でる事しか出来ない。
静寂の只中、微かな衣擦れの音とすすり泣く声だけが響き渡る。どれ程そうしていただろうか、段々と声が収まっていき、掛けられていた体重がそっと離れていった。ズッと鼻をすすりゆっくりと顔を上げたアレンデールに、どうしてだか僕の意識は釘付けになる。
「マレウス?」
鼻声混じりの悲し気な声、乱れた髪。赤くなってしまった目元と、涙の筋が残った頬には羞恥もあったのか耳や首まで真っ赤になっている。宝石のように青い瞳には未だ涙の粒が浮かび、体勢と身長差もあり上目遣いになった状況にどくりと心臓が脈打った。
「ごめんなさいマレウス、こんな……出会って間も無い初対面なのに、こんな迷惑かけて。しかも愚痴なんか聞かせちゃって、時間も随分経ってしまって……本当に、ごめんなさい」
塩らしく目線を外し、口籠りながらも謝罪を口にするアレンデールからは、心の底から申し訳なく思っているというのが初対面の僕にでも痛い程に理解出来る。
抱擁の為未だに触れていた手を離し、黒手袋の嵌めた手で赤く腫れた目元をぎこちなく撫で上げた。
「アレンデール、止せ。こういう時は謝罪ではなく「ありがとう」と言うのだ」
「………え、」
「良いか、お前は何も悪くない。吐き出せと言ったのは僕なのだから、お前が申し訳なく思う道理は一切無いんだ」
「それは、…そうかも知れないけど……でも」
「聞き分けの悪い子だな、アレンデール」
触れた目元をするりと離し、紅潮した頬を包み込む。驚いたように身を固くしたトンフェだが、特に抵抗もせずされるがままになっていた。
「アレンデール……いや、トンフェ。お前に贈り物を授けよう」
魔力の巡りを確認し、マジカルペンも持たずそれを具現化していく。魔法とはイメージだ、僕であれば魔法石など無くても一定威力以上の魔法以外は行使出来る。
泣き腫らした目元は、花も頭を垂れる笑顔で弧を描くよう。震えていた唇は、幸せの言葉を紡ぐ事が出来るよう。涙に濡れた顔は、喜びと楽しみに染まれるよう。小さく縮こまった体は、伸び伸びと“普通の”生活を送れるよう。これ以上に無い祝福を、トンフェ・アレンデールに授けようではないか。
「僕からの“祝福”だ。受け取るが良い」
「待、ちょ……っ!!」
ぶわっ、と彩りが無かった芝生に色が咲き乱れる。氷のトピアリーには、明るい色の蔦植物が絡み本物の花を咲き誇らせた。冷え切っていた空間に、一気に暖かみが生まれる。
光を受ければ燦然と煌めく滑らかな髪には、鮮やかな花をあしらった花冠を乗せた。折角着替えて貰ったが、冷たい色合いだった正装は制服に戻し、代わりに胸ポケットに氷の結晶の刺繍を施す。……そして、最後に。
「これを」
「――ブローチ? しかもこのデザイン…」
「ああ、『氷の国』の国旗だ。ブローチではなくラペルピンだが」
シャツの襟に付けるピンをラペルピンと呼ぶ。『氷の国』の国章を模したラペルピンを、トンフェにそっと近付き襟に付けた。
「これにはある“呪い”が掛けられていてな。何かあれば僕の名を呼ぶと良い、直ぐに駆けつけよう。勿論、何も無くても呼んで構わないが」
「まじない……って、かなり高度な物理付与魔法だったような」
「そうか? これ位の事僕にとっては造作も無い」
驚きと同時に小首を傾げたトンフェが不思議そうにピンを手で弄る。何か気に入らない事があるのかと思い声を出そうとしたが、その瞬間ぐっと息が詰まって声が出せなくなった。僕の望んだ通り、花が綻ぶような笑顔を、トンフェは浮かべたのだ。
驚きに身を固めるのはこちらの方だったようで。だが驚愕よりも歓喜が先走り、隠し切れずふっと笑みが零れてしまった。
「ふふ……マレウス」
「どうした」
「私達、もう立派な友人だよね」
今度こそ驚愕が体を駆け抜ける。まさか、まさか。まさかこちらからではなく、相手の方から“友人”を呼称される日が来ようとは。
何を疑うでも無い純粋な目に圧倒されて暫く動けなかったが、やっとの事で体を動かせば引き攣れた喉を叱咤し声を絞り出した。
「……そうだな。お前と僕は友人だ」
そう返せば、更に笑みを深くするトンフェ。その時、僕は瞬時に察した。不思議とこの廃墟に足が向かい、偶然トンフェと出会い、偶然こうして仲良くなれた……それらは全て導きだったのだと。人為的ではないにせよ、これは運命だったのだ。
――ああ、手放せないな。
なあトンフェ、知っているか? 妖精とは…妖精属とは、長命でとても嫉妬深く……同時に恩を恩で、仇は仇で返すんだ。お前が僕に与えてくれた恩は、それ以上の恩で返そう。
そう、例えば。
(お前の一生を僕が譲り受ける………など、どうだろうか)
茨の谷で僕と共に居れば、何の心配もせず暮らす事が出来る。最高の恩返しになると思わないか? なぁ、トンフェ。
「マレウス、…「ありがとう」!」
僕がお前を守って見せる。お前が僕を選んでくれるように努力もしよう。だから、トンフェ。どうか僕の手を取って、どうか僕を選んでくれ。
「……どう致しまして、トンフェ」
最後にトンフェの前髪を掻き上げ額を晒し出すと、その中心に軽いキスを落とす。驚いたトンフェだったが、この程度ならスキンシップの範疇なのか笑って受け流していた。
愛しのトンフェ、僕のトンフェ・アレンデール。どうかそのまま、無垢なまま! ……僕の隣で、笑っていてはくれまいか。
僕はもう、お前を手放す事は出来ない。
1-4&1-5 終
素知らぬ所でクソデカ感情を懐かれた人
急に現れた怪し気な人物が、かのマレウス・ドラコニアで内心くっっそビビッた。心臓がバックバクで怪しまれて無いか不安がってる始末。けれど紆余曲折を経て絆され今に至る。
今まで誰にも何も話せず、妹にさえ少しの愚痴を零す程度だったのに初対面のマレウスにあそこまで感情を表に出せたのは、包容力:MAXのスキルと共感して貰える希望があった為。
マレウスが年の功を発揮して巧妙に執着心を隠しているので、印象は「優しい友人」。
初対面の異種族にクソデカ感情を懐いた人
お気に入りの廃墟に妙な気配あるなーって思って入ってみたら運命でした。
異種族である物の世界はそんなの気にしないし、何なら『第五の精霊』なのでワンチャン同種属扱い若しくは亜種族扱いに入るのでは? とか思ってる。一概に違うとも言えない。
マレウスは自覚していないが、トンフェの泣き顔にグッとキた、かも知れない。
称号:魔王 個体名:マレウス・ドラコニア 属性:ドS が アップを始めました ▼
“祝福”及び「贈り物」
マレウスにより付与された“呪い”。
六章で明かされた小ネタ、「“祝福”と“呪い”は根は同じ。術行使者がどう捉えるか」という事を踏まえて考えてみると……。
また、オンボロ寮の芝生は立派な花畑に、花冠は一生枯れないというオプション付き。
ラペルピン
案の定デザインは雪の結晶……と思いきや国旗、国章のマークでした。刺繍が雪の結晶。
ggれば出てくるけど、ラペルピンとは主に衣服の襟に付ける装飾品(アクセサリー)の一種。ヴィルさんがしているような物とはちょっと違う。このピンはアナ雪のアレンデール王国の旗のマークの意匠。
マレウスにより祝福が付与されている。効果は「名前を呼べば駆け付ける」。
作者
あ゙ーー! あ゙ぁーーー聞こえない聞こえない聞こえない~~~!!! 「マレウス贔屓し過ぎだろ」とか聞こえない(大嘘)。聞~こ~え~な~い~!!(作者は疲れています)
いや違うんですよ。マレウス最推し勢の方には申し訳ないが特に「マレウス様マジ最推しマジ神♡」って人では無いんですよ。ここまで書いて来てやっとトンフェのメイン・ストーリーに入れたから書く事多いし結構難産だったんだからなコレ!?
レオナ然りマレウス然りテンプレ過ぎるかなと思うんですけど、テンプレは多くの支持がある故テンプレ化している訳ですしおすし。つかヴィルさんだけだな年相応に純粋なの…?
マレウスさん、了(約6840文字)。
握手どころかハグできますよ貴方とは。
- Re: プチ雑談 ( No.11 )
- 日時: 2022/04/01 20:19
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
また軽率に主人公を泣かせてしまった^^
泣き声とか喘ぎ声を書くのが好きなんだ^^
- Re: プチ雑談(報告!) ( No.12 )
- 日時: 2022/04/02 10:02
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
昨日の夜に一時間くらい考えて考えて決めたんですけど、話の流れ・展開を大幅に変更したいと思います。
トレイさんは始めっから全部書き直しで、式典挟んで二年生組を入れた後、
元々トレイさんで出すはずだった一悶着を式典の直ぐ後に入れ、それを解決してから二年生組のお話に移ろうと思っています。なので起承転結の「転」は少し先になりそうです。
それに伴い、行進速度・浮上頻度が極端に減る事になりそうなのでご了承ください。
一応イデアくんは2話とも書き終わってるので、爆速でトレイさんを完成させなければ……。
また、このNRCは九月入学七月卒業を前提に話を進めています。
イベントストーリーも追々書いていきたいとは思っていますので、どうか気長にお待ちくださればと思います。
どうでも良いんですけど、昨日3章を見直しました。アズールくんの好物(KA RA A GE)食べながらのぼっち鑑賞会めちゃくちゃに楽しかったです。
- Re: プチ雑談 ( No.13 )
- 日時: 2022/04/03 09:28
- 名前: ゆずれもん (ID: 08bdl7kq)
なんか、トレイさん書いてたらトレイ×トンフェも何も全く関係ないお話ができちゃったので、
二日で仕上げたそのお話は番外編(前日譚)として投稿しようかと思っています。
つまりトレイさんとのcpは少し先になりそうという事ですが、まぁ番外編は番外編らしくそこまで長くも無ければストーリーに関係も無いし、読まなくて良い話ばかりです。
~今日のどうでも良い事タイム~
――小説とかけて、食事と読む。
その心は、 「どちらも楽しまなければ損でしょう。」――
これは世の全てに言える事だと思っている。