二次創作小説(新・総合)
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- 逃走中2〜従者たちの恋〜
- 日時: 2023/04/19 00:02
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: t7y4Iwob)
今回の舞台は、冬しか来なくなった小さな国。
この国には『四季水晶』と呼ばれる大きな水晶があり、その四季水晶に宿る精霊たちが春や夏、秋、冬を巡らせていた。しかし、精霊たちは数年前に冬の精霊以外突然姿を消してしまった。
それを隣の大国に『この国は精霊を蔑ろにしていたのだ』と言われ、あっという間に支配されてしまう。
大国の王と、小さな国の小さな王女……の従者である少女と青年は、そんな中に出会い、恋に落ち、密かな逢瀬をして愛を育んでいた。
しかし、少女にはある秘密があって……。
2人の恋と少女の秘密が、やがて大きな騒動へと発展していく。
そんなエリアを駆け巡るのは、25人の逃走者たち!
陰謀渦巻く中、120分間逃げ切れるのか!? それとも……!?
※注意事項※
・こちらの逃走中は柊の書く『綴られし日々〜作者とキャラの日常〜』の設定を多分に使用しております。
・そのため、クロスカプ、夢が含まれます。苦手な方はご注意ください。本当に。
・今回は特にクロスカプが多分に含まれます。ミニドラマのメインです。
・仲違い表現やとあるキャラの毒親評価などがあります。都度注意書きはする予定ですが、お気を付けて。
・何か不備やアドバイスございましたらご遠慮なくお願いします。
・計画性なんて皆無。
・投稿時間はまちまちです。
・突然更新が途絶える可能性が大です。
それでも大丈夫な方は、どうぞお楽しみください!
執筆開始 2023/04/10
逃走者一覧(五十音順、ジャンル名順不同、敬称略)
1 愛染国俊(刀剣乱舞)
2 秋田藤四郎(刀剣乱舞)
3 天城 雪子(Persona4)
4 イライ・クラーク(Identity_V)
5 ウサギゴケ(フラワーナイトガール)
6 エルメ(千銃士Rhodo knight)
7 円堂 守(イナズマイレブン)
8 鳳 えむ(プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク)
9 草薙 寧々(プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク)
10 国木田 花丸(ラブライブ!サンシャイン!!)
11 黒澤 ルビィ(ラブライブ!サンシャイン!!)
12 小泉 花陽(ラブライブ!)
13 里中 千枝(Persona4)
14 ジーグブルート(千銃士Rhodo knight)
15 十手(千銃士Rhodo knight)
16 杉田 努力(とっても!ラッキーマン)
17 染岡 竜吾(イナズマイレブン)
18 追手内 洋一(とっても!ラッキーマン)
19 津島 善子(ラブライブ!サンシャイン!!)
20 天悪(作者枠)
21 西木野 真姫(ラブライブ!)
22 巡音 ルカ(VOCALOID)
23 目立 たがる(とっても!ラッキーマン)
24 八雲(作者枠)
25 ラフィー(アズールレーン)
- Re: 逃走中2〜従者たちの恋〜 ( No.15 )
- 日時: 2023/04/27 20:47
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: gfjj6X5m)
直前のお話
逃走中の舞台となる小さな国。とうに春であるはずのそこはまだ冬で、思わず体を震わせ、体を抱くように腕を組み、手で腕を摩った。
八雲「寒いですね……」
天悪「ですね……事前に上着持ってくるように言われてた理由が分かりました」
前回の逃走中の予想クイズにて上位2位となった作者さん、八雲さんと天悪さんは集合場所に向かっていた。他の逃走者とは別に、軽く案内をするという通達を受け取ったためだ。
天悪「聞いてはいましたけど、まさか本当にまだ冬だなんて」
八雲「ええ、少し上着薄いやつなんですけど……他に貸してもらえるらしいですし、そこは安心ですね」
そう軽く会話しながら2人は集合場所まで辿り着く。そこにはすでに3人の少年がいて、何やら2人が騒がしい。
そのうちの1人……杉田努力が2人に気が付くと初めまして!! と大きな声で挨拶してきた。
天悪「は、は、は、初め、まして……て、天悪、天悪です……」
八雲「八雲です……よろしく」
努力「天悪さんに八雲さんですね! 自分は杉田努力と申します! 今日はよろしくお願いします!!
そしてあちらにいらっしゃる方は私の師匠であらせられる追手内洋一さんです!!
あっそこのボウフラはボウフラです」
目立「ボウフラじゃなーい!! 私は目立たがる、そして!!! 宇宙一素晴らしいヒーロー、スーパースターマンだっ!!!」
努力「もしくは西洋の鯉のぼりとでも覚えてください」
目立「杉田努力てめーっ!!」
洋一「まあまあまあまあ!! とりあえず落ち着きなって!!」
ぎゃあぎゃあと言い合いを始める2人。洋一が宥めようにも止まらない。それに八雲も天悪も困惑しきりだ。本当に申し訳ない。
そんな彼らに近づく影が2つ。
イライ「ああ、もう皆さん到着していたんですね。お待たせして申し訳ない」
姫鶴「なんかすげー喧嘩してんね〜」
🦉<ホー。
天悪「!!!! イライくん、と……姫鶴さん!!!!!」
八雲「えっ、お知り合いですか?」
天悪「よく知ってます!」Σd(°▽°)
イライ「お久しぶりですね、天悪さん。イライくんです」
姫鶴「てんてんちゃんやっほー」
イライ「そちらの方は八雲さんですね。初めまして、私はイライ・クラークと申します。こちらは姫鶴一文字さんです」
八雲「あ、はい。初めまして」
姫鶴「よろしくね〜。……やくやく?」
イライ「なかなか危なそうなあだ名に」
姫鶴「んじゃ、くもくも」
イライ「いいのかな……」
八雲「俺は構わないですけど……」
イライ「なんか、すみません……。ああ、それと私には敬語はいりませんよ」
姫鶴「俺にもいいよ、敬語使わないでいい」
八雲「じゃ、じゃあ遠慮なく。ところで、案内ってもしかして」
イライ「はい。私と姫鶴さんが案内させていただきます」
天悪「ヤッタァアアアア!!!!」
姫鶴「ほんとは別のすたっふだったんだけどね〜。なんか先に着いたあくあ? って子たちをさっさと案内しに行っちゃったんだって」
イライ「もしかすると気合が入っちゃってたのかもしれないですね」
姫鶴「……気合、ならいいけどね。じゃ、早速行こっか」
八雲「……?」
天悪「はーい!」
目立「って、ちょっと待てー!!!!!」
イライ「はい?」
目立「さっきからこっちを無視しやがってー!
大体っ!」
目立はびし、とイライを指差す。そのせいかとりあえずと言わんばかりにフクロウがその指を突いていた。
🦉<……。(人を指差すものではありません)
目立「あいたぁ!!」
イライ「あっ、ダメだよ! ごめんなさい、この子が……」
目立「大体、あんた何なんだ! 怪しいカッコしやがって、目立つじゃねーか!! 羨ましい!!」
イライ「えっ」
努力「あ、無視して結構です」
天悪「イライくんは怪しくないので」
八雲「(正直ちょっと怪しいと思った……)」
イライ「……確かに、言われてみれば?」
八雲「いやそこ肯定するの!?」
思わぬ肯定に八雲は思わず突っ込んだ。しかしイライはどうしたら信じてもらえるかな、と言っている。
そんな八雲に天悪がぽそりと「イライくん天然なので」と教えていた。
イライ「あっ、じゃあ少し待ってくださいね」
イライはフードを取り、目元を隠す布を取る。そうすれば普段は隠れている焦茶の髪と宝石のような青い瞳が現れる。
これで大丈夫ですか? と微笑むイライ。そんなイライを天悪が大慌てでフードを掴んで隠しに行く。
天悪「無理よくない!!!」
八雲「えっ、無理って?」
天悪「なんか確かイライくん前に顔見られたくないって言ってたような」
八雲「ええ!? 早く言ってください……!」
イライ「あっ2人とも大丈夫ですよ今日は見られても平気あいたたたたた首が」
姫鶴「かおすってやつだね〜。てか、そろそろ行こ?」
努力「そうですね、このボウフラがほんと申し訳ない」
目立「だからボウフラ言うなーっ!!」
洋一「こんな調子で大丈夫なのかなぁ……ていうか僕の出番少なくない? ……ついてねぇ〜っ」
そんなカオスが落ち着いてから、イライと姫鶴を先頭に案内が開始されたのだった。
今回は少し分かりづらいので書きます。コメントOKです←
- Re: 逃走中2〜従者たちの恋〜 ( No.16 )
- 日時: 2023/05/01 22:17
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: osQJhSZL)
※ゲスモブあり
ルビィ、善子、花丸は、窮地に立たされていた。原因は目の前で下卑た笑みを浮かべるスタッフの一人、藻田だ。彼は3人が到着してすぐに案内をすると言ってくれたのだが、案内もそこそこに人気のない場所まで連れて行かれ、自分に『奉仕』してくれれば3人で逃走成功できるようにしてやる、受け入れなければ早期確保どころかAqoursが活動できないようにしてやると脅されたのだ。
花丸「そ、そういうのはよくないことだと思います」
善子「そ、そうよ!」
ルビィ「うぅ……」
藻田「いいのか? 俺の父は政府の高官でな、それなりに顔は効くんだぞ?
逆らったらもうAqoursとしての活動は無理だろうなぁ〜」
ルビィ「!! そ、れは、ダメ、です!!」
藻田「なら言うことを聞くんだな。ほら、お前がこっちに来てまず跪け。何でも言うことを聞きますってな」
ルビィが小さく震えながら前に出る。善子と花丸が止めようとしても大丈夫、と微笑んで。
彼女がそっと膝をつこうとすると、藻田はいやらしい笑みを浮かべてルビィに手を伸ばす。それに思わずひ、と短い悲鳴が上がってしまって、藻田がなんか文句でもあるのかと怒鳴った時だった。
雪子「何してるんですか!!」
「「「!!」」」
ルビィと藻田の間に、2人の少女が割り込むように入ってくる。雪子と千枝だ。どちらも藻田をキツく睨んでいた。
藻田「な、何って……ほ、ほら、今彼女の肩にゴミがついてたから取ろうと」
千枝「思い切り怒鳴ってましたよね?」
藻田「っ!! そ、それは、っ、そもそもこれは同意なんだよ!! ねえ!?」
ルビィ「っ、あ、ぅ」
雪子「どう見ても嫌がっているようにしか見えませんけど?」
善子「そ、そうです!!」
花丸「この人、お、マルたちに奉仕したら逃走成功させてやるって言ってきたんです」
千枝「おもいっっきり脅迫じゃん!! ていうか、そもそも主催の人そんなの許さないと思うし!!」
雪子「このことは、主催の方に報告させていただきます」
藻田「〜っ!! ま、周りには仲間もいるんだぞ!? このままお前らなんて」
千枝「できるならやってみなよ」
狼狽えることもなく、まっすぐ藻田を睨み続ける2人に藻田は顔を青くし、汗を流し、小刻みに震え出す。何かをぼそぼそ呟いていて、よく聞くと、ふざけるな、バカにしやがって、と見当違いな怒りをこぼしているようだった。
そんな彼を見ながらも雪子と千枝はルビィたちに行こう、と声をかけた。ルビィたちもそれに反対する理由などなく、頷いてその場を去ろうとした。
藻田「バカに……しやがってぇえええ!!」
藻田が近くにあった小さな角材を手にして振り上げる。その狙いは、雪子だ。
雪子「!」
千枝「雪子っ!」
千枝が咄嗟に雪子の前に出る。全員が思わず目を瞑った。
けれど、鳴ったのは鈍い音ではなく、受け止めるような音。そして。
十手「何をしている」
険しい顔で藻田を睨む、十手だった。
藻田「っ!」
十手「こんなもんで丸腰の女人を殴ろうなんざ……恥を知れ!」
藻田「く、くそっ!」
藻田は慌てて角材から手を離し、その場から逃げていく。十手は追いかけようとしたものの、それよりも5人の安否を確認するのを優先したらしい。振り向きながら大丈夫かい? と5人に聞いてくる。
が、初対面+先ほどまでの出来事+身長がルビィより遥かに高いというのもあってルビィはピギャッ、と悲鳴をあげて花丸の後ろに隠れてしまう。
十手「あ、あれ? 俺、何かした……? あっそうか」
十手は何か思い当たったように、体勢を変える。片膝を付き、柔和な笑みを浮かべた。
十手「あの男よりも俺の方が背が高いし、さっきのこともあって怖かったんだね。気付かずに申し訳ない。もう怖くないから、大丈夫だよ、お嬢さん」
ルビィ「あ、えと……ご、ごめんなさい……」
十手「いやいや、俺の方こそすぐに気付かなくて」
花丸「その、ルビィちゃん人見知りで……それで」
十手「えっ?」
雪子「そうだったんだね。あ、そうだ! 十手さんありがとうございます、助かりました」
千枝「うん、いいタイミングで来てくれて本当に助かりました、ありがとうございますっ!」
十手「はは、どういたしまして。だが、俺は当然のことをしたまでだよ。にしてもあの男……許せないな」
雪子「ええ、この子たちにいやらしい提案してたみたいで。柊さんに報告しようかと。名前は覚えてますし」
千枝「許されるなら顔面靴跡だらけにしてやりたかった……!」
十手「ほ、ほどほどにね?」
怒り心頭な千枝に今度は少し困ったような笑みで言う。そこでやっと立ち上がり、そういえば、とまたルビィたちを見る。
十手「キミたちは初めての人なのかな、見たことがない顔だけれど……ああ、俺は十手という者だ」
雪子「あっ、確かに。遅れてごめんね、私、天城雪子って言います」
千枝「あたしは里中千枝、よろしくね!」
花丸「国木田花丸って言います、こちらは黒澤ルビィちゃんです」
ルビィ「るっ……ルビィです……よろしくお願いしますっ……!」
千枝「はー、かわいい子たちだねー……。そっちのあなたは?」
千枝に名前を尋ねられ、善子は少し声のトーンを落としてふっふっふ、と笑い出す。それに3人が首を傾げ、花丸だけがあっ、と声をこぼした。
そんな中、燕尾服を着た八九が十手たちの後ろから声をかけようとしていたのである。
八九「あ、いた。おーいじっ……」
善子「ヨハネ……私は、堕天使ヨハネ! ふふ、ヨハネと契約してあなたたちも……リトルデーモンになってみない?」
千枝「……え?」
雪子「……?」
十手「えーと……りとる、でぇもん?」
八九「アッ(察し)」
ルビィ「よ、善子ちゃん」
善子「ヨハネ!!」
十手「ええと……ヨハネ殿、かな? 堕天使ってのは確か、天使様が何かしらの理由があって地上に落ちたって聞くけど……そうだった、よね、八九君」
八九「あっ気付いてたのお前、とりあえず俺に振るのやめて解説できっけど心が痛い」
雪子「あれ、八九さんいつの間に?」
八九「ついさっきィ!!」
善子「ふっ……答えてあげるわ、新たなリトルデーモン。ヨハネはね、元は天使だったの。でも、あまりの美しさに神様が嫉妬して、運気を奪われ、天界を追放されてしまったのよ……」
八九「(アッしんどくなってきた羞恥で)」
善子の話に雪子と千枝の目は少し生温かく、八九はしんどくなっていた。が。
十手「……」
善子「?」
十手「うぅっ、そんな若いのにずいぶんと苦労したんだね……! その神様もひでえやつだ、そんなことでキミをひでえ目に遭わせるなんて! 俺がとっちめてやりたいくらいだ!」
善子「へっ?」
八九「あっ……」
誰もが信じない……というか目が生温かくなりそうな話なのに、十手は涙ぐんで信じ、神様に憤っていた。
十手は善子の手を両手で包むように取る。
善子「ぴぇっ!?」
十手「よく耐えてきたね、もう大丈夫だ! 何か困ったことがあったら何でも言ってくれ! 俺もできる限り力になるよ」
善子「え、あ、えぁ、ひゃい……」
千枝「あのー、十手さーん?」
雪子「さすがに手を握るのはどうかと」
十手「え? あっ、もしかして嫌だったかい!? すまなかった!」
十手が慌てて手を離す。それでも善子は固まったままである。花丸がおーい、と顔の前で手を振っても。
八九「いやもうほんと十手がごめん、コイツそういうのめちゃくちゃ疎いんだわ。あとその……一応、こっちに悪魔はいるんでそれもあって……ごめんな……」
十手「え? え?」
花丸「安心してほしいずら、この子は正真正銘人間の津島善子ちゃんです」
善子「善子って言うなぁ!!」
十手「えっ? にんげ……えっ? な、ならどうして堕天使だなんて……」
八九「そのー、なんというかな? 人間とかにはほら、その、ちょっと特別な自分ってのに憧れちゃう時期があってな……そのな……解説させるなよそういうお年頃なんだよ放っておいてやれぇ!!!!!!」
十手「えっ、す、すまない……?」
そんなごちゃついた空気のまま、とりあえず先ほどのことを報告するために柊の元へ行くことになったのだった。
今回も一応、コメントOK
- Re: 逃走中2〜従者たちの恋〜 ( No.17 )
- 日時: 2023/05/04 21:05
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: L0JcGsyJ)
※引き続きゲスモブ注意
※首絞め、暴力表現注意
えむ「こんにちわんだほーい!」
天悪「わんだほーい!!」\(^ω^)/
八雲「わ、わんだほーい?」\(・・;)/?
イライ「こんにちはえむさん。わんだほーい」
姫鶴「ん、わんだほーい」
目立「わんだほいー!!」
洋一「わ、わんだほい?(というか目立、意外とノリノリ……あっ妹と弟いたっけか)」
努力「わんだほい?」
えむは元気いっぱいにいろんな人に挨拶して回っていた。わんだほーい、で。逃走者、スタッフ関係なく。ノリノリで返してくれる人、渋々返してくれる人、マイペースな人、返してはくれないものの挨拶はしてくれる人、さまざまだ。
最初は寧々も着いて来てはいたものの、今は少し疲れたと休んでいる。そんな中でもえむは1人で挨拶を回っているのだ。
天悪と八雲たちを案内していたイライと姫鶴たちにも挨拶をして、またねー! と去っていく。そんなえむの目の前に3人の少年が談笑しているのが見えた。
えむ「あっ、初めましてー!」
にこにこと笑いながら駆け寄る。3人はえむを見て初めまして、と返して来た。(1人はフゴッ、だっだが)
えむ「あたし、鳳えむって言います! 今日はよろしくお願いしますっ!」
??→セナ「あ、僕は小早川瀬那です。今日はよろしくお願いします、鳳さん」
??→モン太「俺は雷門太郎っス、モン太って呼んでください!」
??→小結「フゴッ、小結大吉、よろしく、フゴ!」
あまり背の変わらない3人(小結に至ってはえむより少し背が低い)とそのままえむはちょっと談笑し始める。その際に同い年だと分かって敬語を使わなくなったり、わんだほーい、を伝授したり。
モン太「えむはまだ挨拶しにいくのか?」
えむ「うん! あと1人なんだよ!」
セナ「そうなんだ……ってヒィッ!?」
えむ「? どうしたのセナくん?」
突然悲鳴を上げたセナに首を傾げながら彼の見る方向を見た。そこにいたのはジーグブルートで、彼は別の方向へ歩いていく。
こええ人だな、とモン太が言うが、えむは目を輝かせてジーグブルートへ駆け寄っていく。そして、勢いよく抱きついた。勢いだけならタックルとも言う。
えむ「ジーグブルートさーん! こんにちわんだほーい!!」
ジーグブルート「ぐぇっ!? てっめ、いきなりタックルしてんじゃねえ!!」
えむ「えへへーごめんなさーい!」
ジーグブルート「悪いと思ってねえだろ!?」
えむとジーグブルートのやりとりにセナは顔を青ざめさせ、モン太は苦笑いし、小結はどこか緊張した面持ちで2人を見ている。
ジーグブルート「ったく、つかいきなりなんだよ」
えむ「? スタッフさんとか逃走者のみんなにご挨拶! ジーグブルートさんで最後なんだよ!」
ジーグブルート「はあ? 全員?」
えむ「うん! みんなにわんだほーいって!」
ジーグブルート「お前、ほんと変わったやつだよな……」
えむ「そうかな?」
そう話すえむは、ふと、他の方向から声がしたことに気が付く。それはジーグブルートやセナたちも同じことだった。
少し奥の方にある曲がり角の方から、その声は聞こえた。
スタッフA「藻田! お前、どこ行ってたんだよ! 先にAqoursの子たちだけ案内するとか、何考えてんだ! 今、イライさんや姫鶴さんが代わりに他の人たちを案内してるんだぞ!」
藻田「あーはいはい、すみませんでしたねー」
スタッフA「〜っ! とにかく、撮影の時はちゃんとしろよ! お前の担当は覚えてるな? ジーグブルートさんだからな」
藻田「ジーグブルートぉ? ああ、あの……
失敗作さんか」
ジーグブルート「……あ?」
藻田「いやぁ、笑っちゃいますよねぇ! 銃なのに熱に弱いとか! 雑魚すぎてwww
あんなの使わされる奴らマジかわいそーwww
なのに失敗作じゃないー、とかウケますよねぇwww」
スタッフA「お前っ!!」
ジーグブルート「おい」
「「!!」」
えむ「じ、ジーグブルートさん?」
ジーグブルート「……今、何つったてめえ」
藻田「ひっ……」
ジーグブルート「誰が、失敗作だって?」
逃げ出そうとした藻田の肩を掴み、勢いよく引き戻すとそのままジーグブルートは藻田を殴る。鈍い音がして、藻田が倒れ込むとマウントを取り、顔面を何度も何度も殴りつけた。
藻田「ぎゃっ、い、がっ!!」
ジーグブルート「クソが、てめえこそ雑魚のくせにこの成功作をっ、俺を! 馬鹿にしやがって!! 殺す、ぜってえ殺す!!」
えむ「っ!! だ、ダメだよジーグブルートさん!! 落ち着いてっ!!」
えむがジーグブルートの腕に抱きつくように止める。だが……2人の筋力と体格差は見て分かる通り。
ジーグブルート「うるせえ、退け!!」
えむ「ひゃっ!!」
セナ「えむちゃん!」
モン太「えむ!」
あっさり払い除けられ、えむは後ろに倒れ込んだ。彼女はそれでも止めようとしており、セナたちも3人なら、と止めに入ろうとした。
エルメ「ジグ」
冷たい声がして。あまりに自然な動作で、いつの間にか現れたエルメが杖を使ってジーグブルートの首を絞め上げた。
ジーグブルート「ぐっ!?」
エルメ「落ち着きなさいジグ。何があったのか知らないけど、相手は人間だよ」
力がかなり込められているのか、ジーグブルートの顔はみるみる赤くなっていく。杖を離そうとしても離せない。しかしその殺意は、依然、藻田に向いたままだ。
ジーグブルート「っが、はな、せ……! こいつ、は、ころ、す……!!」
エルメ「……ジグ。その人間よりも、『キミが突き飛ばした子』を見なさい」
ジーグブルート「っ!?」
首を絞められながらもジーグブルートの目は、えむに向いた。……少しだけ、見開かれた目は。
えむ「ま、待って! エルメさん大丈夫だよ! あたし、ちょっと擦りむいちゃったけど……でもっ!」
エルメ「今、キミの怪我の程度は関係ないよ。少し静かにしてくれるかい?」
えむ「っ……」
ジーグブルート「っは、ぁ゛……!」
柊「何の騒ぎ!?」
柊が陸奥守を連れて駆け寄ってくる。それとほぼ同時にエルメはやっと首を絞めるのをやめながらも藻田からジーグブルートを離した。解放されたジーグブルートは咳き込んでいる。
エルメはそのまま先ほどの出来事をセナたちと共に報告していた。
えむ「ジーグブルートさん、大丈夫……!?」
ジーグブルート「げほっ、っはぁ……うる、せえ。触んな……!」
まふゆ「あれ、鳳さん?」
えむ「!」
新たに声が増え、そちらを見ればまふゆと見たことがないメガネの青年──高見伊知郎が来ていた。
まふゆはえむに近付いてどうしたの? と聞いてくる。
えむ「えっと、あの……」
柊「……事情は分かった」
えむ「!」
まふゆ「?」
柊「まず、ジーグブルート。ジーグブルートには引き続き逃走者として参加してもらう方向でいる。オリヴァーくんが来ているから、首のアザを治してもらってから集合場所に来て」
ジーグブルート「はあ!? てめ、どういう」
柊「いいから。……エルメ、まずは止めてくれてありがとう。だけど、首を絞めるのは『やりすぎ』だ」
エルメ「そうかな? あの場ではあれが適当だと考えたけど」
藻田「おい待て! 俺をあんな殴っておいて何もなしか! ふざけんな!」
柊「ふざけてんのはどっちだ。すでに黒澤ルビィちゃん、国木田花丸ちゃん、津島善子ちゃんに対する問題行動は把握してる。
あんたにはジーグブルートの担当を外れて、牢獄の方を手伝ってもらう。性根叩き直してくれって言ったあんたの父親に感謝しろ、そうじゃなきゃとっとと捕まえてる。
それに、ジーグブルートは今、アザが残るほど首を絞められた。これ以上の罰があるとでも?
もしそれでも足りないなら後の罰はエルメに一任する。それでいいかな、エルメ」
エルメ「俺は構わないよ。ジグ、これが終わったら軽く鞭打ちだ。いいね?」
ジーグブルート「……クソが」
柊「……。えむちゃんは手当てしてもらおっか。擦りむいてるんでしょ?」
まふゆ「あ、本当だね……手のひらが」
えむ「だ、大丈夫ですっ! ほら、走るのにも問題ないし……」
セナ「ダメだよえむちゃん、手当てしてもらった方がいいよ!」
モン太「そうだぜ、してもらえって」
小結「フゴッ!」
えむ「で、でも……」
高見「えっと、鳳さんだったかな。そのままだと服とかにも血が付くし、それを防ぐっていう意味でも手当てはした方がいい。な?」
えむ「……はい」
えむはしょんぼりしながらまふゆと共に医務室へと歩いていく。ジーグブルートは別の方向へ、藻田も高見に連れられて医務室へ行ったのだが、そこでも文句を垂れ流し、困惑するまふゆと高見、エミリー・ダイアーへ医務室の一切を任されたアスクレピオスが一言。
アスクレピオス「構わん。治療れ」
その後、何故か藻田の悲鳴が響き、別に怪我は増えていないどころか治療はされていたのだがしばらく医務室のメンバー……特にアスクレピオスとナイチンゲールに怯える藻田がいたとか何とか。
- Re: 逃走中2〜従者たちの恋〜 ( No.18 )
- 日時: 2023/05/05 07:23
- 名前: 大瑠璃音葉 (ID: bR6mg6od)
こんにちわ!大瑠璃音葉です!
音葉「まふゆ、裏方とはいえ参加できてよかったよ!いつか彼女がこのゲームに参加できるようになったらいいなぁ・・・あ、柊さん?あの藻田とかいうやつ、私に任せてもらってもいいですか?私は夢見の管理人だから、とびきり怖い悪夢を毎日見せてやるくらいなんですけど・・・大丈夫ですか?」
次回も楽しみに待ってます!
- Re: 逃走中2〜従者たちの恋〜 ( No.19 )
- 日時: 2023/05/05 22:39
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: VpfXouOp)
柊「相変わらず千銃士Rくんはマスターの情緒ぐちゃぐちゃにするの得意だなって」
>大瑠璃音葉さん
コメントありがとうございます!
まふゆ、裏方の参加となりました…!まふゆの逃走者として参加はプロセカのイベスト次第にはなりますが、いつかは叶えたいですね…!
あ、藻田に関してお願いしちゃっていいですかー?←
まあでも毎日だと精神崩壊する可能性あるんで不定期の方がいいかもです←
コメントありがとうございました!