SS小説(ショートストーリー) 大会【平日イベント】

第14回 SS小説大会 開催!〜 お題:争い、憎しみ 〜
日時: 2017/09/09 19:00
名前: 管理人 ◆cU6R.QLFmM

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【日程】

■ 第14回
(2017年9月2日(土)〜11月30日(木)23:59)

※ルールは随時修正追加予定です
※風死様によるスレッド「SS大会」を継続した企画となりますので、回数は第11回からとしました。風死様、ありがとうございます!
http://www.kakiko.info/bbs_talk/read.cgi?mode=view&no=10058&word=%e9%a2%a8


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【第14回 SS小説大会 参加ルール】

■目的
基本的には平日限定の企画です
(投稿は休日に行ってもOKです)
夏・冬の小説本大会の合間の息抜きイベントとしてご利用ください

■投稿場所
毎大会ごとに新スレッドを管理者が作成し、ご参加者方皆で共有使用していきます(※未定)
新スレッドは管理者がご用意しますので、ご利用者様方で作成する必要はありません

■投票方法
スレッド内の各レス(子記事)に投票用ボタンがありますのでそちらをクリックして押していただければOKです
⇒投票回数に特に制限は設けませんが、明らかに不当な投票行為があった場合にはカウント無効とし除外します

■投稿文字数
200文字以上〜1万字前後まで((スペース含む)1記事約4000文字上限×3記事以内)
⇒この規定外になりそうな場合はご相談ください(この掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」にて)

■投稿ジャンル
SS小説、詩、散文、いずれでもOKです。ノンジャンル。お題は当面ありません
⇒禁止ジャンル
R18系、(一般サイトとして通常許容できないレベルの)具体的な暴力グロ描写、実在人物・法人等を題材にしたもの、二次小説

■投稿ニックネーム、作品数
1大会中に10を超える、ほぼ差異のない投稿は禁止です。無効投稿とみなし作者様に予告なく管理者削除することがあります
ニックネームの複数使用は悪気のない限り自由です

■発表日時
2017年12月3日(日)12:00(予定)

■賞品等
1位入賞者には500円分のクオカードを郵便にてお送りします
(ただし、管理者宛てメールにて希望依頼される場合にのみ発送します。こちらから住所氏名などをお伺いすることはございませんので、不要な場合は入賞賞品発送依頼をしなければOKです。メールのあて先は mori.kanri@gmail.com あてに、■住所■氏名 をご記入の上小説カキコ管理人あてに送信してください)

■その他
ご不明な点はこの掲示板内「SS大会専用・連絡相談用スレッド」までお問い合わせください
http://www.kakiko.cc/novel/novel_ss/index.cgi?mode=view&no=10001

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平日電車やバスなどの移動時間や、ちょっとした待ち時間など。
お暇なひとときに短いショートストーリーを描いてみては。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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生きる ( No.4 )
日時: 2017/09/22 15:52
名前: 雅

私は…生きる。
なにが、あっても…ぜったい
いじめられても。それが、ひどくなろうが。
暴言を、吐かれようが、暴力をふられようが。
私は…生きる。
ある時、決心した。私は。
訳はね、家族が…………
大好き…だから。
私は、その大好きな家族を、悲しませるような、まねは、しない。ぜったいに。
だから……………
私は、生きる。なにがあろうが。
ぜったい。

sky ( No.5 )
日時: 2017/09/29 16:15
名前: 鏡は歪むとどうなるか

神原鈴菜。
その名前はこの学園…いや。この世界のだれもが知っていた。

美しい容姿。
凛々しい態度。
優秀な成績。
驚異の身体能力。
ありあまるほどの財産。

そう。彼女は完璧だった。

行いも能力も見た目も世界の「鏡」だった。

そんな彼女を誰もが羨んだ。
半分の人が妬みや恨みを覚えた。
彼女の血を吸えば美しくなれると誰もが彼女を傷つけようと試みた。


だが、成功したものはだれ一人おらず、皆彼女の防人に追い払われて帰ってきたという。

私も女だから、美貌の血がとても羨ましく、飲みたくて堪らなかった。
そして、ある日彼女の自宅に乗り込んだ。

警備は驚くほど薄く、正直行けるのではないかと思うくらいだった。

喉の渇きが止まらない。


私の持っていないものを何でも持っている彼女。


この世の鏡の彼女。



彼女の…鏡の顔をぐちゃぐちゃに歪ませたい。



そして、私が鏡だと崇められたい。



私が世界の頂に立つ。彼女に変わって。


自然と早まる足。
自然と荒くなる息。
自然と吊り上る唇。

もうすぐ…もうすぐだ。

もうすぐ私が、彼女になる。



突然、私の前に大男が現れた。
奴だ、防人だ。彼女の優秀な唯一のボディーガード。
強靭な強さと肉体を誇る彼はとても美しかった。


けれど、私のために消えて。

振り下ろされた私の拳を手で受け止めた防人は目を丸くして飛び退く。
私の手には刃があった。

刃に映る私は、笑っていた。
倒せる。と実感した。

すると防人は声を立てて笑い出した。
カラカラと鈴の転がるような音で笑った。
これが、男の人の笑い声?

「貴女、面白いのね。」


防人が目を細めていった。




その声は、彼女だった。


この世の鏡鈴菜。

男…?



「鏡だって、簡単にわれるのよ。」

そう言って笑った彼女の拳は一瞬にして私の頬にあたった。











『????エンド』__時の旅人__ ( No.6 )
日時: 2017/10/09 01:59
名前: 広村伊智子
参照: プリキュアじゃないよ!

  タネモリシュリ
私、胤森朱莉!
田舎に住む女の子。

ある日、
列車にひかれかけた子犬を助けたら、
その子犬が喋りだしたの。


『「世界のバッドエンドを
  変えてほしいのだぁッ!!」』

      ト ジクウ
こうして、『渡・時空』という
能力を手に入れた私。

地域の人から、世界まで!


過去を、今を、未来を変えてみせる!!

ーーーーーーーーーー

「ふぃー・・・・
 あっつぅぅぅぅ・・・・」

私、胤森朱莉!
中学二年生。

近所のちびっ子の相手をした上、
これから部活。

放送部&エアコンガンガンって聞くと、
そこまで苦でもないように
(寧ろ楽そうに)
聞こえるだろうけど、それが大間違い!

通学時間、片道自転車で30分、
通学距離、片道10キロなんだから!


ーーー

踏切が降りて通行止め。
この時間がじれったい。

でも、
今日はそうじゃなかった。

「わんちゃん・・・・
 しかもバテて動かない!
 列車きちゃうよぉ・・・・」

私は意を決してわんちゃんの救出をした。

わんちゃんを抱きかかえるようにして、
地面を転がる。


背中に、列車が起こした風を受ける。

「か、間一髪だったね・・・・」
「そうだったのだぁ!
 ありがとなのだぁ♪」



・・・・?

「犬がしゃべったぁぁぁぁぁ!!!!」

「たいむは犬じゃないのだぁッ!
 時の妖精なのだぁ」


「・・・・」
「・・・・」




「私、ついに幻覚幻聴が・・・・!」
「違うのだぁぁぁ!!!!!!!!



 ・・・・ウッウン!」


「朱莉の周りには、
 バッドエンドな最期を迎えた人が
 多いはずなのだぁ?」
「・・・・そーいえば、
 やけに喪中はがき多いなぁ・・・・」

「それに、世界中が最近物騒なのだぁ!」
「確かに」


「それもこれも、みーんな、
 バッドエンド帝国のせいなのだぁ!」
「なにそれ」
「世界をバッドエンドに染めようと
 している奴らなのだぁ」

「だから!

 たいむに協力してほしいのだぁ!」


「たいむ・・・・。(ネーミングw)」
「別の方向であわれむななのだぁ!」


「分かった、協力する!」
「ありがとうなのだぁ

 早速、朱莉に

    『渡・時空』

 をあげるのだぁ。

 これで過去にも未来にも
 行き放題なのだぁ!」
「凄ーい!」

「さ、行くのだぁ!」
「い、いまから?

 ・・・・うん!」









あ、部活。


ーーーー



「こっ・・・・
 ここは・・・・ッ!!」

目の前に、
幼馴染『だった』、竹岡修造くんがいた。

いろんな意味でアツい男の子。

名前が誰かに似てるのは・・・・
気にしないで。


彼は、交通事故で死んだ・・・・

つまりここは、

「5年前?」


修造くんが私に気づいた。

「おおっ!朱莉!!」

「修造くん・・・・」


「あのね、修造くん、
 あなたはもうすぐ・・・・」
『おおっと、待て待て!』

突然、
上空からドスの効いた声が聞こえた。


『そいつをハッピーエンドにはさせねぇぜ』




『俺の名は、DIE。
 こいつをハッピーにできるもんなら
 やってみろ!

 BECOME・バッドエンド!』

すると、周りの時間が止まる。
世界がモノクロになる。


修造くんは、眩しい笑顔のまま。
なんか・・・・辛い。

このままだったら、
この笑顔が消えちゃうなんて。


すると、たいむが言った。

「『しゅーぞー』を護りたいなら、
 時の力を、想いとまぜまぜ
 するのだぁッ!」

「ま、まぜまぜ!?
 ・・・・よし」


私は、意味不明な言葉を唱える。

「『我は、時の旅人なり!
  時の力よ、我に力を貸し給え!!』

 ・・・・なにこれ

 お、おわぁぁっ!?」


私は、薄地で無地の
薄ピンクの長袖ワンピースを着ていた。
服が変わっただけで、
プ●キュアみたいに
髪が伸びたり、髪型が変わったりせず、
茶色の髪の毛先にカールがかかった
セミロングヘアのままなのに、
いつもよりも勇気と力が湧いてくる。

「今なのだぁ!」

なにを?と、突っ込みたかったが、
呪文が脳裏に浮かぶ。

「『彼の最悪な世界を・・・・
  Delete!』

  はぁぁぁぁぁ・・・・」

私は、拳に力をこめる。

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

そのまま地面パンチすると、
世界に色が戻る。

『くそやろう!』

DIEが帰ったらしい。


時間が進み始めると共に元の服に戻る。


「朱莉、どうしたんだ?」

修造くんが声をかける。

「なんでもない!じゃあね!!」

私は、茂みに隠れて
『渡・時空』を使い、元の時間に戻った。

大丈夫、彼は・・・・生きている。






目を開けると、そこは踏切の前で、
時間は経っていないらしい。

線路を渡ってしばらくすると、









「朱莉!」

そこには、あの眩しい笑顔があった。



【第一話 私が時の旅人!?
     幼馴染の笑顔を護れ!

      終わり】




「次は、広島県に行くのだぁ!」

「な、なぜに!?
 ここ、兵庫だから関係なくない?」

「東広島市●●町●●ヶ丘で
 起きた自殺事件・・・・
 覚えているかどうかわかんないけど」
「覚えてない。」

「え!
 横浜のみなとみらいに住んでいる
 作者でも知ってるのに!?」
「メタイ」

「ありえないのだぁ」
「なにその目線。」


「取り敢えず、2012年にいくのだぁ!」

「ふぁーい。」

ーーーー


そこには、
かなり悲しそうな_____悲しいなんてもんじゃない。

そんな表情をした男子生徒がいた。


「あーあ・・・・
 ちょっとしたことで部停とか。
 意味分かんない。
 あれが唯一の、
 ストレス発散場所なのに・・・・」

「あの」
「え?君だれ?」

「胤森、しゅ、朱莉だよ!」

「僕と年が近いっぽいね。
 あ、でも僕中1だから、
 キミのほうがお姉さんかな?」

「うん

 あ、あの」
「君はもうすぐ、
 人生をパーにしちゃうのだぁぁ!!」

「え!?んぁ!!??
 き、きみは?」
「たいむ!
 5年後から来たのだ!」

「●●くん、
 お願い自殺しないで!」
「え!?してるの?」

「あなたには、
 輝く将来が待ってるの!」

「・・・・分かっ」
『そうはさせないでしゅ!』

「誰!?」
『あたちは、すーさいど!
 あなたの輝く将来を、
 訪れさせない様にするでしゅ!!』

『BECOME・バッドエンド!』

この前と同じ空間が創り出される。


でも、
●●君は止まってなんかなかった。

「こ、これは!?」

「これから見るもの誰にも言わないで!

 我は、時の旅人なり!
 時の力よ、我に力を貸し給え!!」


すると、変身の終わった私に、
名乗りが付いた。

 タケキモノ
「猛者! あかり・チェリー!」

「君の名は『しゅり』だったよな?」
「変身後の名前らしいよッ」


「彼の最悪な世界を・・・・
 Del・・・・」
『えいっ!』ドンッ
「きゃぁぁ!?」

「チェリー・・・・
 僕も戦う!

 スリーパー!!、!」
『!?
 う、ぐぐぐ』

「今だ!チェリー!」

「でかしたのだ、●●!
 あかり!今なのだぁ!」
「うん!」



「彼の最悪な世界を・・・・
 Delete!

  はぁぁぁぁぁ・・・・」

私は、拳に力をこめる。

「でやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

そのまま地面パンチすると、
世界に色が戻る。

私は変身を解いた。


「ありがとう、朱莉。」

「こちらこそ!またね!」








「ねぇ、あの子、今も生きてる?」

「・・・・検索かけるのだ。」
「え、うん。」


『自殺事件』  『指導に問題か』
  『輝く将来が消える』

一瞬目の前が暗くなった。


「結局元の歴史にもどっただけなのだ。

 もっと後で死ぬはずだったけど、
 5年前に行ったときに、
 丁度歴史が変えられたのだ。

 それを、元に戻しただけ・・・・」


「嫌、死んじゃうなんて・・・・

 『認めるもんですか、そんなの』」

「(プ●キュアリーダー格固有の口癖が
  この子にも決まったのだぁ!)」





「認めるもんですかぁぁぁ!!!!」



【第二話・救えなかった命!
     認めるもんですか、そんなの!

         終わり】

城下町のトマト。 ( No.7 )
日時: 2017/10/09 02:52
名前: 広村伊智子

妹の 甘音 が産まれる1年前、わたしは見た。

目の前にトマトが存在していたのを。

ーーーー

私は目の前のお嬢様を見据える。


私の名前はトマト。
葉月トマト。

このお嬢様がすむ城の城下町で暮らしてきた。


お嬢様は、毎日、城下町のものを食べる。

父も母も食べられた。
慕っていた桃さんも食べられた。

ーーーー

トマトはつやつやとしていて食欲をそそられる。

わたしは、舌なめずりした。

ーーーー

あぁ、いよいよ私は食べられてしまう。

家庭菜園という城下町。
そこともお別れ。

何もできなかった。



でも、せめて________

ーーーー

トマトを食べると、血のような味が広がる。

でも・・・・酸っぱかった。



必死の抵抗、か_________






わたしは、次は甘くなってね、と
ーー
私は、次は人間になってあなたと仲良くなりたいな、と
ーーーー






願った。

蝉時雨 ( No.8 )
日時: 2017/10/17 17:44
名前: 雪姫

季節はそう――夏だ。蝉の鳴き声が辺りを包み五月蠅くて耳障りで、暑くてたまらない日。

「暑い」

口から出て来る言葉はそればかり。「本当だよねー」目の前に座っていた幼馴染が振り返りざまに同じ言葉を吐いた。僕達は学生。学校が終わった帰り道。木々が生い茂る薄暗い道で駄弁り休憩中。
「あぁ……本当に暑い」サンサンと輝き照らす太陽を憎たらしく見上げながら吐き捨てる。
頭は汗で濡れて服着ていた服はびしょびしょで気持ちが悪い。

「臭い」

今日の最高気温は何度だったっけ? 四十度くらいはいってるだろこの熱さだと。太陽の熱い光で熱しられた地面から湧き上がる湯気と蜃気楼……そして鉄の臭い。
「それは我慢しなよ――だって」下を向く幼馴染に合わせて視線を動かせばそこにあるのは真っ黒な塊――いや違うか。真っ赤な塊となった人間か。
ケタケタと笑う幼馴染の手には真っ赤な血がべっとりとついたナイフ。俺の手には大きな鉈。これまたべっとりと赤黒い血がついて地面に滴り落ちてやがる。
まえに幼馴染がこんなことを言っていた。人に刃を突き立てる感覚は、ボール紙に錆びた鋏を喰い込ませるそれとよく似ている。
人肉は意外に硬くて、人皮は案外柔らかい。
切れる筈なのに切れなくて、それでも少しずつ切れていくもどかしさが実によく似ているそうだ。ある程度のところまで切り進めると切る難易度があがるのも、実は人体に通じいる。人間には内臓やら骨やら、余分な内臓物が玩具箱みたいに詰まっているようなものだから、刺すだけでなく切ろうとすると、それなりの労苦を要する。だからこそ男の俺の出番というわけ。

「………………ッ」

地べたに寝転がり、もがき苦しむ男が俺を睨む。
俺が言うことではないが、なんとも人相が悪い。町中を普通に歩いているだけで、職務質問の魔の手が勝手に襲いかかってきそうだ。
金色に染めた短髪の髪にこれも染めたのか金色の髭に角ばった顔、ピアスまみれの唇、血走った目……はあいつの所為か。
「今回は警察じゃなくてーただの復讐犯だけどねー」座布団代わりに男の上に馬乗りとなり楽しそうに笑ってやがる。ったく誰の所為でこんな面倒なことに付き合わされているんだと思ってんだあいつは。
いやあの笑顔は何も分かってない奴の笑顔か。

「……、…………っ、………………!!」

なにやら抵抗しようとしているが、それも叶うまい。
抵抗の術は、既に刈り取ったから。
男の体にはもう手足は存在しない。邪魔だから切り取っておいてと幼馴染さまからのご命令だ。
ちなみに俺が最初に壊したのは、こいつの喉だ。少なくとも、声が出せない程度には破壊しておいた。ただでさえ蝉時雨で嫌悪しているのに、そこへさらに悲鳴なんて耳障りな雑音を撒き散らされては、堪ったものではないからな。
助けを求める手段の破壊。抵抗の手段の奪取。そして、絶望的な死。
あまり好きな殺り方ではないのだが……そうするようにと、幼馴染さまのご命令だしな。

「……! …………っ!!」

「なんで自分がこんな目に――とか言いたそうな目してんな。ま、理由なんてないんだけどな」

「……………っ!?」

男の顔から一気に血の気が引いて行く。驚愕といった表情。だってそうだろう、俺とこの男は初対面、はじめましてなんだから恨みなんて、憎しみなんてどう頑張ったって抱きようがない――俺の場合はな。
でもこいつにとっちゃ話は別だ。

「覚えてないんだぁ? アタシのことぉ?」

甘い。甘くて胸焼けがする、蛇が舌なめずりをしながらゆっくり獲物を縛り上げる。

「アンタ……の所為で……お姉は死んだ」

胸に垂直に突き立てられたナイフに力がこもり

「十年前。今日と同じ蝉の声が五月蠅い夏の日。学校から家に帰宅途中だったお姉をっ!
 アンタが物陰に引きずり込んで、襲った!」

怒りで、憎しみで、ナイフを握る腕がぷるぷる震え

「知ってる? 傷ついいたお姉がその後どうなったか……教えてあげるよ」

「…………っ! ……………!!」

「ビルから飛び降りたんだよ」

ナイフの刃を突き刺したまま、滑らせるように動かした

「……!? …………――――」

たった、それだけ。
それだけの動作で男は絶命した。
口からはげぼげぼと血を吐き、生前はどす黒かったであろう腹の中を惜しげもなく晒し「見てみて、こつの腹の中綺麗な――サーモンピンクだよ」五月蠅く鳴く蝉の声の中に幼馴染の喜びとも哀しみとも言えない、一言で言えば狂気に狂った笑い声が辺り一帯に響き渡った



                                       蝉時雨fan



夢 ( No.9 )
日時: 2017/10/18 18:23
名前: 瀬名ユズキ

 夢を・・・夢を見た  家族を 友達を 仲間を 全てを 失った
 皆バラバラになった 勿論私も 皆と 離れ離れに なった
 いつしか これはもう 夢じゃなくて 現実ではないかと思う
 もし 夢じゃなかったとしても 起きれば こうなっているのでは
 みんなと 一緒にいられないのではないか この 夢のように
 皆とはいられない のでは ないかと もう 死んだのでは?
 元々 何をしても 独り 孤独に この世界を 眺めていくだけ
 皆とは 一緒に 居られない 孤独な世界 皆を置いて 一人で
 ・・・何で? どうして こんなことを? 分からない なんで
  そうだ これはもう 起こってしまっている 事 もう 皆 いない
 世界は 終わった から 皆・・・

Update memorys(上) ( No.10 )
日時: 2017/10/19 21:33
名前: 北風

人生で十七回目、なはずの夏。


セミの音だけが響く住宅街を抜け、夏休みだというのに誰も居ない公園の角を曲がると、古びた学校が現れました。

「わあー、懐かしいー」

わたしの前を歩いていた佳乃ちゃんが、声をあげて走り出しました。

よくそんな元気があるなあ、とわたしは感心します。
確かに駅からここまで十分とかかりませんでしたし、なるべく日陰を選んで歩いてきましたが、今日は朝から猛暑。
木漏れ日の落ちる頬を伝う汗は、止まることを知りません。

「ほらハコ、ここが私達の母校だよ」

見覚えの無い校舎。
蜃気楼の見える狭い校庭。
錆び付いた校門の柵に寄りかかった佳乃ちゃんが弾むように口にします。

「いや〜、こんなボロかったっけ?」

佳乃ちゃんは苦笑いを浮かべますが、わたしの胸中は不安でいっぱいでした。
佳乃ちゃんの柔らかい手を、汗ばんだ手でそっと握ります。

「……大丈夫だよ、無理せずに少しずつ思い出してこ」
「うん……ありがとう、佳乃ちゃん」

佳乃ちゃんはこう言ってくれますが、わたしは無理をしてでも思い出すつもりです。
これ以上佳乃ちゃんに迷惑をかけるわけにはいかないのです。

わたしが全ての記憶を失ってからもう三ヶ月。
佳乃ちゃんはもうずっとわたしに尽くしてくれています。
今日だって、記憶が戻るきっかけになればと、わたしを昔通っていた中学に連れてきてくれました。

そんな彼女のためにも、意地でもここで記憶を取り戻してみせます。
そう決意を固め、わたしは一歩踏み出しました。

     ※

「あらぁ、あなた山里さん!? 山里佳乃さんでしょ!?」

校舎の一階にある職員室の前。
五十代後半くらいに見える女性が、口許を押さえて歓声を上げました。

「えー!? 覚えててくれたんですか? 担任でも無かったのに」
「当然よ〜、本当に久しぶりねぇ。……それにしても、まさか山里さんが会いに来てくれるなんて……っ……やだ、私ったら」
「もう、大袈裟ですよ先生」

女性は感極まったのか目尻に涙を浮かべます。
彼女が目を伏せてそれを拭おうとしたとき、ふと佳乃ちゃんの後ろに隠れていたわたしと目が合ってしまいました。

「……っ」

わたしは気付かなかったふりをしてそっぽを向きますが、女性は佳乃ちゃんの肩越しにわたしの顔をまじまじと眺めてきます。

「……? あなた確か……」
「あっあああそうだ! 先生、私達教室行きたいんですけど! それってマズいですかね?」 
「え? 教室? そうねえ……クラスの担任の先生とだったら……」
「あ、三年二組行きたいです」
「じゃあ確か……前谷先生じゃなかったかしら?」
「え、前谷先生? あの人、本担任になったんですかー!?」
「あら、そうね。山里さんが居た頃はまだ新任だったものね……」

佳乃ちゃんは適当な会話で場を持たせながら、わたしに目配せをしてきました。

「あ……えっと、わたし、ちょっとお手洗いに……失礼します!」

わたしはそう言い切ると、半ば逃げ出すようにその場を立ち去りました。
佳乃ちゃんに感謝です。
あの教師と思われる女性に、昔の思い出など語られても困りますので。

     ※

やっと手近なトイレを見つけ、一番奥の個室に飛び込んだのは、それから三分後のことでした。

職員室前からここに来るまで、誰とも出会わなかったのは幸いでした。
小さくて古びた学校なので、教職員の数も少ないかもしれません。

「ふう……っいやいや!」

溜め息を溢して軽く目を閉じかけますが、わたしは慌てて首を振りました。
このトイレの個室ひとつ取っても、私の記憶が戻るきっかけになるかもしれません。
せっかく佳乃ちゃんが用意してくれた機会。
大事にしなくては。

とは言っても、トイレの個室を見て思い出すことは何もありません。

──やっぱり、もっと色々見なきゃ……。

人に会うのは怖いけど、そんな風に逃げていてはいつまで経っても記憶なんて戻りません。
記憶を取り出して、佳乃ちゃんに改めてお礼が言いたいのです。
家族や他の友達は皆どこかわたしに対してよそよそしいのに、佳乃ちゃんだけは積極的に関わろうとしてくれました。
心からわたしのことを考えてくれる、本当に良い子なのです。

「……よし」

深呼吸してトイレの扉を開けようとした瞬間。

──コンコン。

突然その扉がノックされました。

「ひゃっ!」
「あ、ハコー?」
「か、佳乃ちゃん……?」

恐る恐る扉を開くと、そこには優しい笑顔の佳乃ちゃんが立っていました。

「大丈夫? 先生は上手く誤魔化しといたから、もう出てきて良いよ。ほら、教室行こ」
「う、うん……ありがと」

差し伸べられた手をそっと取ると、しっかりと握り返してくれました。
それだけで、随分勇気付けられます。


                          To be continue……

Update memorys(下) ( No.11 )
日時: 2017/10/19 21:36
名前: 北風

「ここが、わたしの通ってた教室……?」

そこは、何の編鉄も無い教室でした。
少し古い所を除けば、学園ドラマの撮影現場にでもなりそうな、余りにも普通の教室。

「そ。何か思い出さないかな」
「……」

目を凝らして部屋の隅々を見渡すものの、引っ掛かるものはありません。

「ごめん、佳乃ちゃん……」
「いやいや大丈夫だよー。仕方無いよね、この教室、面白み無いし。あははっ」

折角の学校訪問が無駄足になったのにも関わらず、朗らかに笑う佳乃ちゃん。
本当にこの子は良い子だ、と思うと同時に、申し訳なさで胸がいっぱいになります。
目を合わせられずに俯いていると、

「あ、そうだ!」

佳乃ちゃんが何か思い出したように声をあげました。

「これ、私の当時の教科書とかノート! 持ってきてたんだった!」

彼女が鞄の中から取り出したのは、一冊の教科書と二冊のノートでした。

「これ見たら何か思い出すんじゃない?」
「え? そうかな……」

教科書やノートなら自分のものを既に見ていますし、教室を見ても何も思い出さないのに、正直思い出すとは思えません。

「そうだよ! ほら、見てみて!」

佳乃ちゃんに渡された教科書とノート。
わたしは何の気なしにノートを一冊、開いてみました。



『死ね   ぶりっ子   何で生きてるの?   自己チュー   学校来んな     死ね    死ね死ね   帰れ   馬鹿  ブタ   ブス   死ね  殺す 死ね  ジイシキカジョー   死ね   死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死』



「きゃあああっ!!」

わたしは悲鳴をあげてノートを放り出しました。
見れば、教科書の表紙ももう一冊のノートも、表紙が何かで切りつけられたように破れていた。
それらも続けて投げ出します。
バサリと音をたてて転がったのは、佳乃ちゃんの足下。

「あ……」
「どうしたの? ハコ」

佳乃ちゃんは何でもないような笑顔でそう言うと、床に転がるノートを拾い上げた。

「あっれえ? 思い出せないかなぁ?」
「あ……あぁ……」

ゆっくりと近付いてくる佳乃ちゃん。
何故かわたしは逃げることが出来ません。

「そんなはず無いよね? だってこれ……」

出来ない。
逃げることが。
足が縫い付けられたように。
貼り付けられたように。
逃げられない。
わたしは。
私は。
山里佳乃から。
山里から。
逃げられない。


「箱根小毬、あんたが書いたものだもんねえ?」


「う、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああ! ああああああ、ああああああああぐっ!」
「煩いなあ、先生達が来ちゃうでしょ?」
「ぐ……むゔ……え゙っ……」

私の口に突っ込まれたのは、ボロボロのノート。
それをぐりぐりと押しながら、山里は言った。

「ねえ、思い出した? あんたが何で記憶喪失になったのか」
「ゔっ……ご……」
「親友が自殺したことによるショック。はっ、笑えるわ」

山里が顔を歪める。
ノートが口に詰め込まれ、息が出来ない。

「あんた、中学の時に自分がクラスメイトを虐めて自殺させたこと、忘れたの? ほんっと鳥頭だね」
「ん゙ッ……ぐえ゙っ……おえ゙ぇ……」

胃から食べ物が逆流してくる。
だが、口が塞がれているため全て吐き出すことが出来ず、吐瀉物は鼻に流れ込んだ。

「ああ、そうだよ。このノートは私の親友、棚橋未来のものだよ!」

見上げる山里の顔が涙で歪んで見える。
気付けば全身がガタガタ震えていた。
息が出来ない。
意識が遠退く。

そこでやっと山里の手の力が弱まり、私はノートを床に吐き出した。

「げほっ……げほっ……! うっ……ええ……」
「きったないなあ! 信じらんない!」
「うっ!」

四つん這いになって吐いていると、横合いから頬を蹴られた。
起き上がる間も無く胸元を掴んで立たされる。

「私はねえ……ずっとあんたに復讐してやろうと思ってたんだよ……。それが、記憶喪失? 親友の死のショックで? 自分の大罪を、全部忘れた? ……ははっ……あはは………………ふざけるな!!!!」
「ひっ!」

胸元を掴まれたままぐいぐいと押されて、気付けば私は窓を背にして立っていた。

「絶対に記憶を戻してやろうと思った……記憶を戻してから復讐しようと……」
「あ……あっあっ……あっ……」

どんどん押される。
いつの間にか開けられていた窓から、頭が出る。
怖い、怖い。
力が出ない。

「死ねよ、箱根。死んで償え」
「あ……あっ……あっあっあっ」

窓から首が出る。
背中が出る。
腰が出る。

「最後に言い残したことは無いか」

塵を見るような目で、山里が吐き捨てた。

「あ…………ぐっ……」

その目が無性に癪に触り、私は歯を食い縛って山里を睨み付けた。

そうだ。
こいつは、棚橋未来の友達だった。
でも、私や他のクラスメイトが棚橋に何かしても、山里は遠くから見ているだけだった。
その癖、棚橋が自殺してから復讐?
あまつさえ、私の親友の死を笑った?

恐怖を怒りが塗り替えていく。
もう、山里が私の胸元を掴む力を弱めれば、私は窓から真っ逆さまだろう。
ここは三階。
足から着地すればまだ助かるかもしれないが、この体勢だと頭から落ちる。
私は、きっとどう足掻いても助からない。

それなら──

「何、その目」

思いっきり憎まれ口を叩いてやろう。
呪ってやろう。
祟ってやろう。

そう思って開いた私の口から飛び出した言葉は──



「佳乃ちゃん、三ヶ月間、ありがとう」



──あれ?

わたしは、驚いて目を見開きました。

佳乃ちゃんの顔が、わたしと同じ驚きに染まった後、笑っているのか泣いているのか分からない表情に歪みました。

胸の圧迫感が無くなりました。

シーソーのようにゆっくり傾いた体は、みるみるうちに加速していきます。

全部思い出したはずの私の脳裏に浮かんでいくのは、この三ヶ月の出来事ばかりでした。


佳乃ちゃんは、記憶喪失になって不安なわたしを安心させてくれました。

佳乃ちゃんは、家族と気まずくて家に居場所の無いわたしを遊びに連れ出してくれました。

佳乃ちゃんは、いつもわたしに穢れの無い笑顔を向けてくれました。


遠ざかる入道雲。


耳に吹き付ける風音に掻き消される蝉の声。


溢れ出して止まらない涙。



佳乃ちゃんがわたしをどう思っていようと、わたしは佳乃ちゃんが大好きでした。


さようなら、佳乃ちゃん。



わたしの、初恋のひと。

                              End.

昼下がり、出会いは唐突に。 ( No.12 )
日時: 2017/10/25 17:29
名前: おそら

 それは、夏手前の暑い日のこと。私は、屋上で彼女に出会った。

とある昼下がり、彼女はそこに立っていた。

父は大手企業の社長、母は由緒ある家の長女。そんな家に生まれた、所謂お嬢様の私は、授業を受けずともテストで1位を取れる成績にいた。
だから今日も、こうして_

「秀才お嬢様は、授業サボってもいいのかい?」

後ろから声がする。振り向くと、黒髪の彼女がいた。

「あら、初めまして。…成績が良いのですから、教師も何も言いませんわ。もっとも、私の父母が怖いのでしょうけど。そして、お嬢様と呼ばれるのは、あまり好ましくありませんわ。」

「そう、すまないね。それに、サボっても成績がいいなんて、皮肉なものだ。」

「そうかもしれないわね。」

「ああ」

立場上、あまり人に話しかけられることのない私は、案外普通に話しかけられて少し驚いた。
それに、彼女の出す独特の雰囲気には、どこか覚えがある気がした。

彼女はこれ以上話しかけず、空を見上げた。名前は聞かなかった。
入道雲が、大きく広がっていた。



風になびく彼女の髪を見つめながら、私は訪ねる。

「ねぇ、貴方は、他人と関わるのがお嫌い?」

「他人?そうだね、嫌いでは無いけど、好きでもないな。僕はグループでおそろい、とか、そういうのが嫌いだ。」

少し遠くを見つめて、彼女は続ける。

「いつかいじめになるかも知れない。」

「いじめは許せない人ですの?」

「許せない、は違うかな。僕は他人を下げることでしか自分をあげられない価値の無い人間は嫌いだ。」

「あら、それは私も同感ですわ。」

彼女は視線を変えないまま、呟く。

「君は、いじめに関わったことがあるかい?」

「僕はね、昔関わっていた。毎日うんざりだったよ。」

彼女は笑う。いじめられていたのだろうか、傍観者だったのだろうか。


それとも。


「私もありましたわ。あの頃は、いじめられていた人間を嫌っていました。」

「そうだったのか。」

「ええ、当時の私は愚かでしたわ。」

「愚かだと思える人間は、愚かじゃないさ。」

「そうでしょうか。」





__少し、昔話をしよう。

ある小学校に、裕福な家庭に生まれた女の子がいました。
お嬢様だった6年生の彼女は、とてもプライドが高く、クラスで一番にいないと気がすみませんでした。
彼女は完全に独裁者で、逆らえる人はいません。それは、担任にしても、です。

そんなとき、クラスに転校生が現れました。明るく気さくな少女で、瞬く間に人気者になりました。
少女は、紫苑という名前でした。そんな少女を、彼女は深く恨みました。

だから、いじめて、いじめて、ひたすらいじめました。そんな彼女を止められる者はおらず、少女は
卒業までひどい仕打ちを受けました。

中学はだいたいみんな同じところで、少女だけが別の学校に進学しました。

進学を機に、彼女は自分の愚かさを知りました。でも、少女への恨み_妬みは変わりませんでした。




それが、私。人をいじめた、最低な人間。愚かじゃないなんて、言えない。

私は唇をかみしめる。でもこれは、私の中だけの秘密。


そして彼女に尋ねる。

「ねぇ、貴方は、かつていじめていた人間をまだ恨んでいますの?」

これは単に気になっただけだった。もしかしたら、なんて思った。

「あぁ、もちろん。来世まで恨んでいるよ。」

「君は?いじめられていた人を恨むなんて変な話だけれど、まだ嫌っているのかい?」

「__ええ。とってもとっても、嫌い_大っ嫌いよ。」

口調を変え、吐き捨てるように言う。これは本心だ、と知らせるために。

すると彼女は、やっと私の方を見て、笑った。微かだけど、笑った。

私も笑った。彼女も分かっている、と分かっていた。きっとこれは、心からの笑いだ。

「君は面白いな」

「そうですの?」

「ああ。」

彼女__紫苑は、それじゃ、と短くあいさつし、去ろうとした。

「待って。一言言わせて。」

「なんだい?」



「___紫苑、私、あなたのこと大っ嫌い。死ねばいいと思ってる。」



思いっきり睨んで言う。すると彼女も言った。



「そう。僕も、君ほど最低なやつはいないと思う。」



「じゃあね、最低な四葉ちゃん。」



紫苑はそう言って居なくなった。

四葉。そうか、私の名前。自分の名前を、久しぶりに呼ばれた気がした。
紫苑が何を伝えたかったのかは分からない。でも、それでいいと思った。

「やっぱり、紫苑は嫌いだ。」

_自分が、惨めになる。








これは、夏手前の、暑い日の、いじめっ子といじめられっ子との、再会と別れのおはなし。








昼下がり、それは入道雲の大きな日だった。出会いと別れは、唐突に訪れる。

甘い匂い ( No.13 )
日時: 2017/10/31 13:02
名前: 猫まろ

彼女はいつもと変わらない、甘い匂いをまとっていた。
といったところで少し質問をいいかな? なぁにすぐに終わる簡単な質問だよ。
君は『甘い匂い』と聞いてどんな匂いを想像したのかな。

甘いバニラの匂い?

それともチョコレートの匂い?

キャンディーやキャラメルの香ばしい匂い?

ちょっと酸っぱいレモンの匂い?

すずらんの可愛らしい感じの匂い?

石鹸の清潔感ある匂い

それともそれ以外の香りかな。僕の彼女の香りはそれ以外の香りかな。
たぶん君はまだ知らない香りだと思うよ。
え? じゃあどんな香りなのか教えてくれって? 仕方ないなぁいいよ教えてあげよう。

――それはね



                                        死臭だよ

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