ダーク・ファンタジー小説

幼き心のひと雫【更新再開】
日時: 2019/03/10 08:13
名前: 月兎

簡単ではありますが、あらすじを紹介します!!

小学五年生の葉子(ようこ)は3年前に殺人事件で母親を亡くし、

父親と二人暮らし。それまでは幸せに暮らしていた。

が、葉子の身に怪異が襲う!!

そこに現れたのは……

こんなあらすじとなっています。

次に登場人物の紹介をします!!

・月森 葉子(つきもり ようこ)…小学五年生の女の子。3年前に母親を亡くした。
・霜田 瑠璃香(しもだ るりか)…図書館で知り合った。オカルト女子。

更新ペース

亀の歩くスピードよりも遅い







目次(完結した章のみ)

序章(第1章)〜忍び寄る怪異〜 >>01-19

第2章 〜光と影〜 >>20-35

第3章 〜明かされた真実〜 >>36-48
その他
・第三章…グロ注意!!
・この小説はいつになったら完結するのでしょうか……

お知らせ
・とくにないと思う

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Re: 幼き心のひと雫【更新停止中】 ( No.45 )
日時: 2019/03/04 18:32
名前: 月兎

私の姉は四月、私は十月に生まれた。名前の由来もそこからきている。

……………今から話す事は誰にも言わないでほしい。私のような現在になるような人が増えてほしくないから。

私たちの家庭はごく平凡だった。けれど決定的に違うことがあった。

それは……




ねぇおねえちゃん!

なぁに?

もうすぐわたしたちのおかあさんがむかえにくるよ!

……そうね。

えー。おねえちゃんたのしみじゃないのー?

わたしたちにおかあさんなんていないけど?

……ん?

いまからくるのはにせものでしょ?

じゃあほんもののおかあさんはどこにいるの?

……………。








その時の私にはまだ早かったのかもしれない。今でも鮮明に覚えている。姉が空の彼方を指さしたのを。

姉が表した意味は今ではもう当然のごとく知っている。


豹変した細胞が母の身体を蝕んでいき、しまいには空の彼方にある世界へ連れて行ったのだ。


こんな事本当は言ってはいけないのだけれど……しいて言うのならば……

最期の母の姿は恐ろしいほど醜く、人の命というものは、とても儚いものなのだということを知った。



………いつか家族で……小学校の入学祝いに“みんなが幸せになれる夢の国”に行こうって……約束してたのに……どうして……


………こんな話しても……どうせ誰も聞いてくれるわけないよね……


……………。けれど貴方になら分かってくれると思う。そう信じてこんな話をしようと思うの。






私達一家……いや、私達一族は昔からある種の“呪い”にかけられていた。どんな呪いかって?……それは……私達一族はみんな短命であまり長くは生きられないの。











~ア 心桜。この人は此処の神社の初代巫女。平安時代から今日までこの神社は続いているんだとか。

まず最初はこの心桜(こころ)って言う人について話そうと思うの。

Re: 幼き心のひと雫【更新停止中?】 ( No.46 )
日時: 2019/03/04 19:11
名前: 月兎

「あ〜今日もいい天気ですね〜」


私の名は~ア 心桜。京極家に嫁いだばかりなのだけれど……なんだかいつも寒くて手がかじかんでしまうのよね……。

お母さんは京極家に嫁ぐことを許してくれなかったけど……。

(まあ確かに寒くて田舎なのは認めるけど……。)。

わたしは昔から巫女に憧れてたから、最終的にここに嫁ぐことになったの。


『お菊、こちらに来なさい。』


“お菊”って言うのは私の二つ目の名前みたいなものなの。


「はーい。」


これから生け花のお稽古があるのだけれど……。なかなか行く気にはなれないわね……。


なんでって?


…………それは……私は最初は桜がいいって言ったんだけど、桜はすぐに枯れてしまうからお稽古には向かないんだって。


『お菊〜。早くしなさ〜い。』
「はいはい。そんなに言わなくても今いくから大丈夫ですよ。」


さっきから私を呼んでいるのは京の街から連れてきたどっかの有名貴族の娘。どっかのね。



私の唯一のたしなみは、桜を観賞すること。それだけ。


…………そろそろ本当に行かないと怒られるよね……。







「ねぇお菊。何でいっつも遅いの?あんた人をどれだけ待たせれば気が済むわけ??本当に。」

「ごめんなさい。」

「はぁ!?あんたいっつもいっつもそんなこと言ってんじゃないの!!今度こそ許さないわよ!!」


こんなの日常茶飯事だから私はいつも反省しない。


「あんたさっきから何とぼけた顔してんの!!さっさと反省しなさいよ!!」

「ほーい。」

「はぁ!?何が『ほーい。』よ!!ふざけんじゃないわよ!!」

「ねぇ、まだお稽古しないの??」

「ふん!今日はあんたがちゃんと反省するまでしませんから!!」


(やった……!お稽古が潰れる……!)


「………あんたが反省しなかったらあんたのお母様に言いつけるからね?もし私がこの事を話したら……。お母様はどんなに悲しむことか。分かってるの?」

「……………!!そ……それは……!!」


「じゃあさっさと反省しろ。そしてこの紙に反省文を書け。よいな?」

「………はい。」


(……………………チッ)





生け花のお稽古が終わったらいつも決まってすることがある。

それは…………

私のお母様のお墓参り。

お母様、桜の枝にひもをくくりつけて……その後首を吊って死んじゃった……。

気がおかしくなっちゃったのかな……。

私が生まれたばかりの赤児を殺したから……。

私、あの時お母様に代わりに赤児の面倒を見ててって言われたけど……なかなか泣き止まなくて……。

気付いたら赤児は息をしていなかった……。

………。ごめんなさい。私が悪いの。

私があんなことをしたから……。お母様は死んだんだよね?そうだよね?

……………。



「あんた。何さっきから悲しそうな顔してんの?そんなに私が恐かった?」

「いや……別にそういうわけじゃないけど……。」

「ふーん。」




“願わくは
  
  花の下にて春死なむ
     
       そのきさらぎの
   
            望月の頃”



これはかの有名な西行法師が詠んだものだけれど……。私も出来ることならばそうしたい……。

『心』に『桜』で『こころ』。お母様はどうやって私の名前を選んだのかしら……。


「ねぇお菊。“ことだま”って知ってる?」

「?」

「人がつい口にした言葉をもし木霊が聞いていたら、本当に言った事どおりになるんだって。知ってる?」

「へぇ……。知らない。」

「……何だか興味なさそう。」

「当たり前でしょう?……もし“ことだま”が本当にあるんだったら……今頃お母様は……お母様は生き返らせているはずだよ……。」

「……この馬鹿!!」

「ひっ!」

「あんたね……。そうやって生き返らせたいとか言ってるけど……。……死者を生き返らせることがどういう事につながるのか……。ちゃんと分かっているの??」

「……蘇生術を行った人が穢れるんだっけ……?」
 
「その通り。あんたは死にたいの??」

「……そういうわけじゃないけど。」

「…いい?絶対にあの術を行っては駄目。わかった??」

「うん……」


“ことだま”。これはとても危険なおまじない。五十パーセントの確率で成功する。そして……もう一方の確率は……。

まずは木の枝と施術者の髪の毛を用意する。

次にもし誰かまじなう対象がいるんだったら、その対象の髪の毛を気付かれないように抜き取る。

そして抜き取った髪の毛を木の枝に結びつける。

まじなう対象がいないんだったら、自分の髪の毛を結びつける。

そして言葉を発する。

もちろん木の枝に向かってね。

これでおしまい。














「ふふ。これでお母様は生き返るのよ……。」





ー 数か月後。


『ここに~ア 心桜様はいらっしゃらないでしょうか?』

「はーい。」


(誰だろう……こんな時間に……。)


「どちらさ……ま?」

「これは貴方の髪の毛ではないでしょうか……?」

「え……」

「私、気がついたら泥まみれの状態で倒れていたんです。そして手には誰かの髪の毛が握られていたんです。マアマサカオマエガアノチュウコクヲホントウニキカナイトハオモッテモイナカッタケドナ。」


「…………っ!!」


(しまった!このおまじないが嘘だと思っていたら……本当にあっただなんて……!)


「あら?どうかされましたか?」

「えっ?」

「ふふっ。急に驚いた顔をされるなんて……面白い方ですね。」

「あ……はは……」


(え?)


「そういえば、お花のお稽古は続けられていますか??」

「はい……まあ……」

「ふふ……。」

「それより……家に入れてくださる?」

「…まあ……いいですけど……」

「……………ヒヒ」

「……!」

「?」

「いや…何でもないです。」


(何だか嫌な感じ……)


「あ…そういえば。」

「はい?」

「貴方はどちらの出身で?」

「え……知らないんですか?」

「?」

「………詳しくは言えませんが……西国の出身です……。」

「へぇ。」

「…………あの。」

「はい?」

「さっきから何なんですか?本当に。」

「……別に。」






今日の客人は結局家の中には入らなかった。というか、いれるわけ無いんだけどね。あんな不気味な奴。


そういえば、私の故郷に確か“いつくしまじんじゃ”とかいう名前の神社があったような……。


あそこにもいつか行ってみたいな……。行けるわけ無いけど。







この夜、【どっかの有名貴族の娘】が死んだ。多分
。なぜ多分なのかって?………だって私が大切にしていた生け花用の菊の花が枯れちゃったんだもん……。

何で?何で死んだの?

……………。



『ここに~ア 心桜様はいらっしゃらないでしょうか?』

(えっ……)

『ここに~ア 心桜様はいらっしゃらないでしょうか?』

(あの声…)

『ここに~ア 心桜様はいらっしゃらないでしょうか?』

(聞き覚えがある……)

『ここに~ア 心桜様はいらっしゃらないでしょうか?』

(……………。)

『お菊!!さっさと返事しなさい!!』

(ぎょえぇぇぇ!!)

「……はぁい。」

『ったくもう!人がずっと呼んでるのにもかかわらず……!あんたは何でさっさと返事しないのよ!!』





























「あの……」
「ん?」
「話の続きは……」
「ああ。その後の事を話すと呪われるから話したくないの。いいでしょ?」
「はい?」
「いいでしょ??」
「……………」


−プルルル…

「あ!私の携帯からだ!」


「もしもし?」
『おい。葉子。』
「何でしょう?」
『急遽用事が出来た。明日会おう。じゃあな。』
「え!?あ!?ちょっ!?」

(……………)

「どうだった?」
「……切られました。」
「へぇ……」
「?」
「今の電話、確か瑠璃香さんよね……?」
「そうですけど……それがどうかしましたか??」
「………今から言うこと、忠告として受け取りなさい。」
「?」
「今の彼女、危険すぎるわ。もし会うつもりならば、今すぐ断りなさい。」
「え……」
「今現在彼女の持つ禍禍しいオーラ、尋常じゃなかったわよ……さっき見た時ね」
「……………。」
「今度あなたが彼女に会ったら……」
「会ったら?」
「確実に殺されるわよ……」


















つづく……

Re: 幼き心のひと雫 ( No.47 )
日時: 2019/03/08 06:01
名前: 月兎

『確実に殺されるわよ……』



この言葉を聞いたとき、私は背筋が凍りついた。


「え……」
「本当よ。」
「……………。」
「彼女、貴方の弱みを握っているに違いないわよ……」
「どうして……そんなこと……」
「………まあこれは私の推測でしかないから……分かんないんだけどね。」
「……………。」
「………あ…もうこんな時間。帰らなきゃ……」
「…ちょっと待ってください!!」
「何?」
「……瑠璃香さんが私を殺すって……本当なんですか?」
「……さっきも言ったでしょ?私の推測でしかないって。」
「……………。」
「じゃあね〜」
「……………。」


















―次の日……




「お!葉子!」
「あ…」
「…どうした?顔色が悪いぞ?」
「……………。」
「ん?」
「あの…【ひとりかくれんぼ】……やっぱりやめませんか?」
「…何を今さら……」
「……………」
「……………」
「……………」
「何か喋れ。」
「……………。」
「おい。」
「【ひとりかくれんぼ】……死にませんよね?」
「……お前さ、人を殺しておいてそれはないんじゃないか?」
「……………。」
「……………」

(やっぱりダメか……)

「……とりあえず…入るぞ……。」
「…………はい。」

(今日の葉子……様子が変だな……)






「まず綿抜きのぬいぐるみを用意する。」
「はい。」
「次にぬいぐるみの中に米を詰め込む。」
「はい。」
「次に爪を入れる。」
「はい。」
「……………。」
「?」
「あ??」
「ハイゴメンナサイイマスグニワタシノツメヲイレマス。」
「赤い糸で縫い付ける。」
「はい。」
「そのまま糸をぬいぐるみに巻き付けろ。」
「はい。」
「最後にぬいぐるみに名前をつける。」
「はい。」
「……………。」
「じゃあ私はこれから外に出る。お前は前にやった通りにしろ。いいな?」
「え……瑠璃香さん……いてくれないんですか?」
「…当たり前だろ。二人もいたら何が起こるか…。わかったもんじゃない。」
「……………。」
「大丈夫だ。もしお前に異変が起きたら……。必ず私がぶっ飛ばしてやる。」
「………はい。」


(その言い方だとまるで私がぶっ飛ばされるみたいなんだけど……。)


「よし!じゃあ行ってこい!!」
「…………はい。」


























「最初の鬼は葉子だから。最初の鬼は葉子だから。最初の鬼は葉子だから。」

(あれ……そういえばここ学校だった……)

(まあ……プールでいいか…。)






(これをこうして……こうか……。)

(よし!教室に戻ろう!!)













−10秒経過…


(こんなもんでいいかな……)

(…………はぁ)















(ぬいぐるみさん……ごめんなさい!!)


グチェ


(!?)















「次はあなたが鬼よ……。」


(あ……塩持ってくるの忘れた……。)

(ていうか…さっきの音何?普通ぬいぐるみからあんな音しないよね??)

(家庭科室だったら塩あるかな……?)





















『フフ。』


(!?)


『ヨウコチャンハ…ドコ…?』


(え!?待って!?早すぎない!?)


『ヨウコチャン……』


(……………。)




“いいか?何があってもそこから動くなよ?私が何とかしてやるからな。”



(……瑠璃香さん…。)




“確実に殺されるわよ……”



(瑠璃香さんが私を殺す……?)



『イタイヨ…タスケテ…』



(……………。)



―ドンドン!!



(……ッ!!)



グチェ

ドチャ

クチェ

グチュグチュ


(何の音なの…?)



『コロス…コロス…コロス…コロス…コロス…』



(……何!?)



『ミツケタヨ…ヨウコチャン…』



(……………。)



『……………。』



(………いなくなった…?)




“霊っていうのは隙を見て襲ってくる。だから決して油断するんじゃないぞ?”




(そうだ……。絶対に油断してはいけない……!)



『ウフフ…』



(……………。)



『……………。』



(……………。)

































「ミーツケタ!」


(…………え……)




私は思わず辺りを見回したが、誰もいなかった。

それとも、見えない誰かが私を殺そうとしているのか……。

どちらにせよ……私の身が危ない事は分かっていた。

……………。


“もしお前に異変が起きたら……。必ず私がぶっ飛ばしてやる。”


(……………。)


“二人もいたら何が起こるか…。わかったもんじゃない。”

(……………。)













わけわかんない。

私はどうすればいいの?

あの巫女の言うとおり、私は瑠璃香さんに殺されるの?

それとも、ぬいぐるみに殺されるの?

それとも……。

……………。

どうして……私ばっかりなの…?

どうして私ばっかり怖い目にあわなきゃならないの??

何で?

何で??

何で???








    











−ガラッ

「葉子!大丈夫か!!」
「え……」










つづく……

Re: 幼き心のひと雫 ( No.48 )
日時: 2019/03/10 08:10
名前: 月兎

−ガラッ

「葉子!大丈夫か!!」
「え……」





「あの……人形は…?」
「燃やした。」
「……はい?」
「うん。燃やした。」
「何してるんですか……。だめじゃないですか。そんなことしたら……。」
「いや、違う。」
「……はい?さっきから何をい「あんなぬいぐるみはただの見せかけだ。霊なんてものもいない。」
「…………え?」
「お前……呪われたんだよ……。」
「……………。」
「……ッ。…過去にお前がこの【ひとりかくれんぼ】をやった時点で呪われてんだよ!!!お前はまだそれが分からないのか!!!」
「……………。」
「あんなの降霊術じゃない。ただの呪術だよ……。」
「……………。」
「……いいか?気をたしかに持て。……じゃないと……本当に死んじまう……。」
「……………。」
「……黙ってないで何か言えよ。」
「……………。」
「…おい!!」
「あは……あははははははははは」
「葉…子?」
「ふひひひひひひひひひひひひひひひひひ。」
「……………。」


(……………。)


「ちょっと我慢しろよ……。」


―グサッ


















第四章(最終章)へつづく……

Re: 幼き心のひと雫 ( No.49 )
日時: 2019/03/10 11:22
名前: 月兎

最終章〜生と死のはざまを生きる者たち〜












「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」


「だ……大丈夫ですか!?血だらけじゃないですか!?」


「お願いだから……この子を救って……」


「……!はい!ここは病院なので!!」


「……………頼んだからね…?」


「はい!もちろんです!!」


「………ふふ」








(ああ………何で私ってこんなに女っぽくないんだろう……。ふふ……結局守れなかった……。ごめんね?葉子……。怖かったでしょ?だってこんな口調だから……。)








「あの……あなたも随分と血だらけですが……」

「ああ……いいの。気にしないで……」

「そう……ですか……。」






(………体力の消耗が激しい……。)


(……私ももうすぐ死ぬのか……。)


(……………。)


(………葉子…よくここまで生きたんだね……。呪われてたのに……。)


(………何だか意識が朦朧としてきた……)


(………………)


―バタン


「だ……大丈夫ですか!?」















―数時間後…



(ここは……病院か……)

(……行かなきゃ…)

(あの神社に……)

(そうすれば……葉子は救われる……)

(呪いから解放される……!!)





(………ふふ。私って本当に馬鹿だよね……)






   





「あ……あのっ!!……まだ……治療中なので……ここにいてください!!」

「……私は大丈夫だから。」

「え!?ちょっ!?危ないですよ!?」

「……私の事は気にしないでいいから…。」 

「……………。」







―数日後…


私は病院から出て数日間、電車に揺られてある場所まで向かっていた。

……どこかって?

……“贄神社”。少なくとも私はあの神社の事をそう呼んでいる。

もう葉子が悲劇を見ないように……。

でも、そうするには誰かの犠牲が必要……。

……………。

私がなるしかない……。

葉子がそれで救われるというのなら……。



(……………ッ!!)



「ぐはっ!!」


……まただ。

……また血を吐いた。

これもあの呪いの影響か……。

でも…あの時あの人形を燃やさなければ……葉子は確実に死んでいた……。

……………。

皐月……何で死んだの?

何で死んでしまったの??

あんなのただの【ひとりかくれんぼ】に決まってるでしょ??

なのに……何で死ぬの??

……許さない。絶対に。

……………。



(はぁ……)





『気づいた?』
『え?あなた…誰?』
『もぉー……命の恩人になんてこと言うのさ……あたしの名前は霜田 瑠璃香!!よろしく!!』
『よ……よろしく……』
『あんたの名前は?』
『つ、月森 葉子……』
『あたしねぇ…死体解剖してんの!!あんた、死んじゃってんのかと思ってさ……』
『……ひっ!!死体……解剖?』
『そだよ。こう見えてさ、あたし26歳だからね?』
『そうなんだ……』
『あんまりここに長居するのは良くないからね…一刻も早くここを出ないと…』





葉子に初めて会ったとき、確かにあいつは気が弱いように見えた。でも、最近あいつは強くなってきているように感じる。

それと同じように、私自身も少しずつだが変わっていった。

……葉子は、人を……他人の心に温もりを持たせる力を持っている。

……それゆえ、悪い霊からも目をつけられてしまった。

……しかし、今まで起こってきた怪異もこれで終焉を迎えるはず……だ。

【ひとりかくれんぼ】。すべてはここから始まったのではないか。

そう思う。





『……………。』
『あの……?』
『葉子…【不幸を呼ぶ女】って知ってる?』
『何ですか…それ…』
『元気ないね…大丈夫?』
『……。』
『本当に大丈夫?』
『受け入れられなくて……』
『…最初は辛いことなんて受け入れなくていいよ。』
『……え?』
『だって…辛いんでしょ?』
『そりゃ…まぁそうだけど……』
『【不幸を呼ぶ女】はね、結局全てを受け入れてしまったせいでたくさんの不幸を呼んでしまったんだ…葉子もそんな風になりたくないでしょ?』
『それもそうだけど…少しは辛いことも受け入れた方がいいんじゃ……』
『その小さな積み重ねで辛くなってしまったんだ……』
『………。』
『…狙われてるんじゃないかな……』
『え?』
『怪異に狙われてるんだと思うよ……』
『どういう意味ですか?』
『葉子、生まれたときから不幸だったりして……』『ちょ…ちょっと……変なこと言わないでくださいよ!!』
『…だとしたらどうしてそんなに怪異が起こってるの?』
『それは………』
『それは?』
『………』
「葉子、受け止めてみなよ…あたしの言うこと。』『……そう…ですか……』
『うん。そっちの方がきっと気が楽になるよ。』『でも私、怖いです…』
『どうして?』
『だって…怪異ばっかり起こってるから……
『そうだよね…普通の人は信じれる訳ないよね……ねぇ、葉子…心霊写真って知ってる?』
『まぁ私は信じてませんけど…』
『まぁ…信じてない方が幸運だよ。』
『どうしてですか?』
『もし、ある写真を心霊写真と決めつけたとしたら……決めつけた人はどんな気持ちになると思う?』『心霊写真を見つける事ができたという嬉しい気持ちですか?』
『でも、それが本当に心霊写真だとしたら?』
『……あ!その人は心霊写真じゃないって言い張る!!』
『大正解……。』
『だから、信じない方がいいんですか?』
『ただ……。』
『ただ?』
『怪異を信じた方が身のためだということもあるんだ…。怪異に狙われていたとしても……』
『それ、遠回しに私の事言ってますよね?』
『……葉子、自分が怪異に狙われてるって思ってるの?』
『べ、別にそんなんじゃありませんけど……』
『そんな事を言ってられるのも今の間だけだよ……怪異はどんどんふくらんでいくんだから……』
『そんな……どうすれば……』
『じゃあ、また今度会おうか。』
『…はい……。分かりました……』





時には厳しい言い方で葉子に忠告することもあった。





『……葉子……。…辛かったね……。でも、よくここまで頑張ったと思う……。葉子、知ってる?人間はいつかは旅立たなければならない、大切な人から去ってしまわねばならないんだ……今、葉子が体験したこともこの中の一つなんだ……だから……どんなに辛くて、悲しくても……受け入れなければならないんだ……。……葉子……お願いだから……泣かないで……。前にも言ったでしょ?……葉子がいつまでも悲しんでいると……あの二人は安心して旅立てない……だから……泣くんじゃない……。それに……まだ私がいる……。……分かったら、……もう泣くのはやめろ。』





時には、葉子を励ますこともあった……。

一つ一つの想い出が……少しずつだけど私の凍りついた心を溶かしていった。

葉子は本当に優しい子だ。

そう思う。





『あの……人形は…?』
『燃やした。』
『……はい?』
『うん。燃やした。』
『何してるんですか……。だめじゃないですか。そんなことしたら……。』
『いや、違う。』
『……はい?さっきから何をい『あんなぬいぐるみはただの見せかけだ。霊なんてものもいない。』
『…………え?』
『お前……呪われたんだよ……。』
『……………。』
『……ッ。…過去にお前がこの【ひとりかくれんぼ】をやった時点で呪われてんだよ!!!お前はまだそれが分からないのか!!!』
『……………。』
『あんなの降霊術じゃない。ただの呪術だよ……。』
『……………。』
『……いいか?気をたしかに持て。……じゃないと……本当に死んじまう……。』
『……………。』
『……黙ってないで何か言えよ。』
『……………。』
『…おい!!』
『あは……あははははははははは』
『葉…子?』
『ふひひひひひひひひひひひひひひひひひ。』
『……………。』


(……………。)


『ちょっと我慢しろよ……。』


―グサッ 





……………。

私のせいだ。

私のせいで……葉子は……。

傷ついたのに……。

私は……本当に馬鹿だ……。






  










To be continue……

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