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奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
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*40*

カ、カイザーさんが敗れた・・・・・

その事実に、僕は思わず目を疑い、そしてそれを嘘だと必死で自分に言い聞かせ平静を保とうとしました。

「ニャハニャハ。あなたは動揺していますね。まあ、あなた方のキャプテンであるカイザーが敗れたのですから、当然といえば当然ですがね」

なんでもないという風な口調で軽々と言ってのけるシーさん。

僕は自分で過呼吸になるのを感じる。

こういうときは落ち着いて深呼吸を・・・

なんとか自分に言い聞かせ、呼吸を落ち着かせる僕。

けれど、流れ出る涙を止めることはできませんでした。

カイザーさんは、僕にとって、いや、みんなにとってかけがえのない存在、唯一無二の自慢のリーダー。

圧倒的カリスマ性と実力、そしてその優しさと明晰な頭脳で冷静に僕たちの行動を分析し、的確に指示を与え、何度も何度もピンチを救ってくれた。

その優しさで優しく包み込み、常に全力で闘いどんなときでも勝負を諦めなかった。

彼の正義感や強さに導かれたからこそ、僕たちはここまでやってこれたのです。

けれど、みんなの支えである彼が倒されたことで、一気に敗色が濃いものとなってきた気がします。

「クソッ、カイザーが負けるなんて・・・まるで夢のようだぜ・・・・」

不動さんはガックリと膝をつき口を開き、冷や汗を流しています。

井吹くんも同様で目を見開き、嘆きの吼え声を上げました。

カイザーさんはそのまま担架へと運ばれていきます。

「畜生、ジャドウ!あんた、どうして俺たちを裏切ったんだ!なぜカイザーさんを倒したりしたんだ!!答えろ、ジャドウ!!」

井吹くんが怒りの形相で詰め寄りますが、彼は涼しい顔で答えます。

「これがカイザーの望んだことだ。俺はその望みを叶えてやっただけにすぎない。それにこれも勝負。勝ち負けがあるのは当然のことであろう。まさか、それを分からぬほど、お前も愚か者ではあるまい」

ジャドウの言葉に唇をかみ締める井吹くん。

きっと彼の言葉が納得せざるを得ないほど正論なのでしょう。

「ニャハニャハ。さて、そろそろメインイベントを始めましょうかね、私とあなたの試合を!!」

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