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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 144ページ)
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ところがです。
「おなかが痛いよー!」
突然、ディナーくんがおなかを抑えて苦しみ始めたのです。
「そうか、ラブリくんは宇宙人!人間とは体の構造が違うから消化吸収できないんですね!」
ディナーくんの口からぴょんと飛び出すラブリ。
「そういうわけです。覚悟してくださいね」
ラブリと星野くんは初めて協力して、ディナーくんに突撃すると、ダブルパンチであっという間にディナーくんを吹飛ばしてしまいました。
その様子を見て驚いたのはナルシーです。
「ディナーくんもチートキャラでしたが、意外とあっさりと倒されてしまいましたね。ですが、私はそう簡単にやられません」
ナルシーは高速でふたりに飛び掛ると吸血鬼の強力な武器のひとつである鋭いつめを出し、攻撃してきました。
星野くんとラブリは持ち前の身軽さで軽々と避けていきます。
「では、そろそろ私の本領発揮の時間になりました。ダンス拳法を特別に披露してあげましょう」
ナルシーの体からただならぬ覇気が伝わってきました。
「ダンス拳法開始!」
ナルシーは、マライアキャリーが歌う『恋人たちのクリスマス』にあわせて、次々にすばやい連続攻撃を繰り出してきます。
彼は星野くんのパンチに自分のパンチを合わせてきました。
ふたりのパンチはお互いの腕を交差し、ふたりの頬に当たりますが、星野くんの繰り出したパンチはナルシーの顔ぎりぎりで止まっているのに対し、ナルシーのパンチは見事に星野くんの頬を捕らえています。
「ク・・・・クロスカウンターですか・・・・」
「そうです。きみのボクシング技術、まだまだですね」
強烈なクロスカウンターの高等技術を食らい、ダウンしかける星野くんを彼のお株を奪うアッパーで止めを刺します。
「・・・・・終わりましたね。なにもかも」
ところが、終わってはいなかったのです。ダウンした星野くんを強引に立ち上がらせ、自分にパンチを打つように指示してきました。
星野くんはこのとき、クロスカウンター&アッパーを食らった衝撃で意識を失っており、フラフラで立っているのがやっとの状態でした。最後の力を振り絞ってパンチを繰り出しますが、ぽふ、ぱふ、という間の抜けた音になるばかり。
「数々の敵を一撃のパンチのもとに星にしたきみのパンチとは思えません」
「・・・・・・・・」
「これが本物のパンチです」
グシャア!
ナルシーが放った非情ともいえるパンチは、星野くんの顔面を見事に捕らえ、食い込ませた後、文字通り一撃のもとに彼を完全失神KОにくだしました。
この作品が始まって以来、初めて星野くんが敗れた瞬間でした。