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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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10~ 20~

*29*

「第28話最終章三部作助け合える世界?完結編」
 ゲーチスとの死闘の末、遂にムツミは勝利し、人とポケモンの未来を守りきった。だが、彼女は落ち着かない。身を挺してまで盾となったジャローダの安否がわからないからだ。ムツミは辺りを見渡す。その時、ムツミが目にしたもの、それはムツミに微笑ましい顔をしているジャローダだった。
 「ジャローダ!」
 ムツミはすぐにジャローダに駆け寄った。そして両手を広げて抱きついた。
 「ごめんね、ごめんね、痛かったよね、だけど・・・ありがとう!」
 アデク達は改めて、ムツミと仲間たちの絆の深さを感じるのだった。
 「何故だ、ワタクシは世界を支配出来る男なのだぞ!」
 敗れ去ったゲーチスはのたうち廻っていた。アデク達は冷やかに感じ彼には見向きもしなかった。アデクはNに言った。
 「Nよ、改めて言わせてくれ。お前は、ゲーチスの操り人形ではない。伝説のポケモンを仲間にしたのは、お前の意志だ!」
 アデクの言葉にNは固まったままだった。
 「何を言っているのです。Nは人間の姿をした不完全なバケモノ、そんな人間に道理など通じませんよ」
 ゲーチスはNをバケモノと平然と言い放った。その心ない台詞に誰かがゲーチスの顔を叩いた。
 「何をする!」
 ゲーチスは怒りを露にした。彼を叩いたのはフウロだった。だが、彼女の目は怒りよりも悲しみに満ちていた。彼女は涙を流してゲーチスに話しかけた。
 「どうして、そんなひどいことを言うの・・・。貴方は、それでもこの子の、お父さんなの!」
 カミツレが彼女の肩を叩いた。
 「フウロ、この男に何を言っても無駄よ。この男には心が無いわ!」
 カミツレに続いてアイリスも言った。
 「そうだよ、こいつには優しさが無いもん、皆と、ポケモンを思う気持ちがないもん!」
 「悲しいことだな・・・」
 ハチクが、冷めた顔をして呟いた。アデクはNに続けて言った。
 「N、お前はゼクロムを仲間にした。それはお前の意志だ。お前は自分の信念を貫き、考えた」
 「知ったふうなことを、僕はゲーチスに利用されていただけだ」
 「そうかあ?お前さんの顔からは自信が溢れているぞ。胸を張っていいのだ」
 確かにアデクの言うとおり、Nの顔はどこか自信げに溢れていた。その後、ゲーチスはヤーコン達に取り押さえられ、城の外へと連れて行った。後にはムツミとNの二人が残った。
 「やっと、二人きりになれたね」
 「うん」
 ポケモンの命運を決し、互いの真実と理想をぶつけ合った二人。その絆は深いものになっていた。二人は王の間を歩きながら語り合った。
 「カラクサタウンのこと、覚えてる?」
 「覚えてる、君と始めて会った場所」
 「君のポケモンの言葉を聞いて、僕は本当に驚いた」
 「どうして?」
 ムツミはNの言葉を待った。Nは自分の正直な思いを話した。
 「そのポケモンは、君のこと・・・・・・好き・・・て言っていたから。僕には驚きだった。そんな台詞を言うポケモンは、初めてだったから」
 「Nくん、本当にポケモンが好きなんだね。今度は私の小さかった頃の話を聞いてほしいな」
 ムツミはNと歩きながら自分の過去の話をした。
 「私の生まれたカノコタウンの近くに1番道路があってね、毎日そこへ行ってポケモン達と遊んでいたの。毎日が楽しくて、幸せだった。恐いなんて一度も思わなかった。だって、本当にポケモンが好きだったから」
 ムツミは今もポケモンが好きであるという変わらない気持ちを言った。同時にNの心境を思いやる台詞を言う。
 「でも、Nくんの気持ち、解るな。私がNくんだったら、きっと、同じことをしていたと思う」
 「ムツミ、君は本当に、いや、世界一優しいよ」
 Nはムツミの前で、始めて笑顔を見せた。
 「あ、Nくん、やっと笑ったね」
 始めて見せたNの笑顔。二人で笑いあった後、Nは旅のことを話しだした。
 「それからも旅を続けたけど、僕には迷いが出たんだ。だってそこにはポケモンを本当のパートナーとして信じて、助け合う人達ばかりだったから・・・。人とポケモンの絆を信じなかった僕が君に負けたのは当然だ」
 話している内に、光が差し込む奥の王座についた。
 「チャンピオンはこんな僕を許してくれたけど、これからどうするかは、僕が決めることだ」
 Nはゼクロムを出した。そしてムツミに言う。
 「ムツミ、君には夢があると言ったね」
 「うん」
 「その夢、きっと叶えるんだ。それを手にして、君だけの真実にするんだ。ムツミ、君ならできる!」
 「Nくん、別れの台詞みたいだね、行っちゃうの?」
 ムツミは解っていた。彼が旅に行ってしまうことを、顔に寂しさが見えた。もっと君と一緒にいたい。君は大切な人だから・・・君が好きだから・・・。
 「ムツミ・・・」
 Nはそっとムツミに近づいた。ムツミと顔を合わせて、そっと口づけをして、優しげに語りかけた。
 「ムツミ、永遠の別れじゃない。必ず君のもとへ帰ってくる。しばらくの、サヨナラだ。だから君はこの広い世界を見て夢を掴むんだ。それが終わったら、また会おう・・・!」
 Nは自分の飾り物のルービックキューブをムツミに手渡して、ゼクロムにまたがった。そして・・・・、彼は旅立っていった。残されたムツミは涙を流していた。けれど顔は笑顔で満ちていた。
 「Nくん、きっと君に会いに行くよ。夢を手にして・・・。ありがとう・・・!」
 
 青々とした空、ムツミはレシラムに乗って、故郷のカノコタウンへと帰っていく。彼にいつか会いにいく。彼女には大きな目標が出来ていた。彼女の旅はこれからも、続いていくだろう・・・・・・。

(ポケモンストーリーブラック編 完)

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