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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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10~ 20~

*5*

「第6話謎の組織プラズマ団!」
 サンヨウジムでの幸先のよい勝利を飾ったムツミは、ゆめのあとちに足を踏み入れていた。
 ゆめのあとち・・・。廃墟となっている跡地で、トレーナーたちがポケモンたちを鍛えるためによく訪れる修練の地である。ムツミは耳を澄まして草むらから聞こえるポケモンのかすかな声を聞いていた。どんなポケモンの声か、何をしているのか、心を躍らせながら聞いていた。
 「ヤッホーっ、ムツミーっ!」
 その時、ベルが声をかけてきた。話によると、ここには夢を食べるポケモンがいるのでそれを探しに来たというのだ。ムツミはベルに賛成してそのポケモンを探した。
 「あ、お前!」
 すると、そこでバオップを連れているポッドと出会った。
 「ポッドさん、こんな所で何を?」
 「何をって、見りゃ分かるだろ、お前に負けてから負けないように強くなろうと、ここでこいつと一緒に修行をしているのさ!」
 そう言ってポッドはヨーテリーとバオップに目をやった。一方、ポッドとは初対面のベルは「だれ?」と言うとムツミがジムリーダーのトレーナーであることを説明した。そして彼に勝った証であるトライバッジをベルに見せた。
 「すごーい、勝っちゃったんだ!ムツミ、トレーナーの才能があるんじゃない?」
 バトルに自信がない彼女が本音で言ったこのセリフにポッドは何かがグサッと刺さる感じがした。と、その時、何かの鳴き声が聞こえてきた。三人が振り向くと、目の前にベルが探していた、ゆめくいポケモンのムンナが目に映った。
 「なんだ、ムンナじゃないか?」
 「ムンナ?」
 「ムツミ、あれだよ!あたしが探してたポケモン!」
 ベルはムンナのもとへ走った。途端にムンナは隠れようとした。その時・・、
 「ムンナ見っけ!おら、さっさと夢の煙を出せ!」
 突然、謎の二人組が現れムンナを蹴っ飛ばした。カラクサタウンの、あのプラズマ団である。
 「ポケモンを、蹴った・・・!」
 信じられない行為にムツミは怒りに震えた。ポッドも激昂する。
 「てめえら、なにひでえことをしやがる!」
 「何をって、ムンナは夢を見させるポケモンと言うではないか」
 「そうすれば人々はポケモンを手放すようになる」
 「そのためにポケモンを蹴っているの?ひどい、あなた達それでもトレーナーなの!」
 ベルはトレーナーとして考えられない行動をする彼らを非難した。だが、プラズマ団はまるで自分たちの行動が正しい、当たり前かのように開き直っていた。
 「確かに我々はトレーナーだとも。だがその理由は我々が愚かな奴らからポケモンたちを救うためだ」
 「ポケモンを解放し、救うために我らプラズマ団は日夜戦っているのだ!」
 そう言ってプラズマ団は再びムンナを蹴ろうとした。その時、
 「ぎゃーっ!」
 ムツミのヨーテリーがプラズマ団の足に噛み付いた。更にミネズミがもう一人の腕を噛んだ。
 「く、貴様!我々の邪魔をするのか!」
 プラズマ団の二人の下っ端が痛そうな顔をしてムツミに目をやった。ムツミは目を尖らせてプラズマ団を睨んでいた。顔は冷静だが、心の中はポケモンを平気で傷つける相手への怒りの炎で燃えていた。
 「あなた達が何をしたいのか知らないけど、勝手な理由でポケモンを傷つけるなんて許せない!」
 「その通りだぜ、ムツミ!」
 「おのれ、ならば手始めに、貴様らのポケモンを救ってやろう!」
 プラズマ団との戦闘が始まった。下っ端達は、ズルッグとメグロコを繰り出してきた。これにムツミはヨーテリーを出した。ポッドも助太刀として、バオップを出した。
 「行くぜ!」
 ポッドの掛け声で戦いが始まったが、勝敗は既に見えていた。ヨーテリーはとっしんでメグロコを倒し、ポッドのバオップははじけるほのおでズルッグを返り討ちにするのだった。
 「な、正しい我々が負けた・・・?」
 自分たちが敗北したことに驚くプラズマ団。しかし懲りることなくムンナを蹴っ飛ばそうとした。
 「お前ら、いい加減に・・・!」
 ポッドが殴りかかろうとした時、
 「お前たち、何をしている・・・?」
 突如、誰かの声がした。下っ端二人が振り向くと、そこにはあのゲーチスがいた。消えながら現れて、任務を果たせないなら、と処罰に等しい台詞を言った。これにプラズマ団は恐怖して、その場から一目散に逃げていった。それと同時にゲーチスも姿を消した。
 何があったんだと三人がいぶかしがっていると、どこからか、ゆめうつしポケモンのムシャーナが現れた。声をかけてムンナの無事を確認すると、ムンナを連れて草むらに中へと消えていった。
 「きっと、仲間のムシャーナが、幻影を見せて助けに来たんだろうな」
 ポッドはそう推測した。
 そして、ベルとポッドと別れたムツミはサンヨウシティを抜けて3番道路に歩を進めていた。ツタージャ達を連れて気分は絶好調。
 「ムツミ、ストップ!」
 とそこへ、後ろからチェレンが声をかけてきた。開口一番にバトルを申し込んだ。
 「トライバッジを持つ者同士、どっちが強いか、勝負するよ!」
 「え、チェレンも持ってるの?」
 「嘘だと思うなら、ほら!」
 そう言ってチェレンは、トライバッジをムツミに見せた。
 「やったねチェレン、これで私たちお揃いだね」
 「え、喜ぶ方なの?それはともかく、勝負!」
 早速、どちらが強いか勝負をしようとした。その時、
 「どけどけーっ!」
 突如、二人組の男が猛スピードで割って入り、ちかすいみゃくのあなへ入っていった。遅れて、女の子を連れたベルがやってきた。
 「もう、何て逃げ足が早いの!」
 「ベル、何があったの?」
 チェレンが言うと、ベルが訳を説明した。話によると、あの二人組のプラズマ団が女の子のポケモンを盗んで逃げていったと言うのだ。
 「なんだって、こうしちゃいられない!助けに行くよ、ほらムツミも!」
 悪事を黙って見過ごすわけには行かないと、チェレンはプラズマ団を追いかけていった。
 「ムツミ、お願いできるかな?あたし、そんなに強くないから・・」
 「大丈夫、任せて!」
 「おねえちゃん、あたしのポケモン・・・」
 「大丈夫、きっと取り戻してあげる。だからほら、もう泣かない」
 女の子を元気づけるとムツミはチェレンの後を追いかけていった。
そしてここ、ちかすいみゃくのあな。
 「な、我々が・・・」
 自分たちが敗北していることに呆然とするプラズマ団の二人組がいた。彼らはチェレンのポカブとダンゴロのコンビに完膚なく打ち負かされていたのだ。
 「何故だ、何故正しい我々が負ける?!」
 「理由はどうあれ、ポケモンと人を引き離すのは間違っている」
 「あんな小娘にポケモンは使いこなせまい、それではポケモンが可哀想ではないか!」
 「何を言っているのか、全く解らないね!」
 ポケモンを使いこなせる人間などいないと言い放つプラズマ団に、チェレンは全く理解出来んと切り捨てた。
 トレーナーを信じるポケモンがいてポケモンの力を最大に発揮させるために頑張るトレーナーがいる。可哀想なんてことはないはずだとチェレンは言った。
 「チェレン!」
 そこへようやくムツミがやってきた。早速ポケモンを返すよう言うと
返す必要はないとばかりにもう二人の下っ端が現れた。
 「やれやれ、理解されないばかりか邪魔されるとはな」
 この言葉にチェレンは、何を開き直っているのか、と溜息を吐いた。プラズマ団は二匹のミネズミを繰り出してきた。ムツミとチェレンはタッグを組んでこれを迎え撃った。強く、意思のある二人にプラズマ団は敵ではなかった。ツタージャのグラスミキサーとポカブのニトロチャージで見事勝利する。
 「うう、我々が・・・」
 「ポケモンは返そう。だがこのポケモンは人に使われて哀れだ。いつか自分たちの愚かさに気づけ」
 敗北を認めたプラズマ団は女の子のポケモンであるチラーミィをチェレンに渡して去っていった。謎の組織プラズマ団。彼らが今後どのようにムツミたちに襲いかかるのか、なにはともかくムツミはちかすいみゃくのあなを後にした・・・。

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