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[特別編 第2話]★天敵組★
猿田彦(体は由比)「どうなってんだよこの部屋っ! 出られないとかおかしいだろォ!」
禍津日神「なんで我が此奴と一緒にされなければいけぬのだ。甚だしい」
猿田彦「こっちのセリフだ! はぁ、はぁ。ダメだ、開かない(ドアノブから手を放す)」
禍津日神「どけ。替わる(猿田彦を後ろに下がらせて)」
禍津日神「――禍火(かび)・炎玉(えんぎょく)!」
~マガっちの手のひらから、黒い球が発生する~
禍津日神「これを扉に投擲すれば、何とか脱出できるだろう」
猿田彦「ぉおおおい待て待て待て待て! 正気か!? 壊れたらどうすんだよ!」
禍津日神「誰にモノを言っている。我は禍の神だぞ。何が壊れようと此方の知ったことではない」
猿田彦「ちょっ、待てって!(マガっちの手を掴んで)」
禍津日神「なんだ貴様。わざわざ戸を開けてやろうとしているのに、無礼な奴だな」
猿田彦「世の中には、力で解決できねえ問題もあるんだよ! それにお前がそれを投げれば、俺の体も吹っ飛ぶし!」
禍津日神「……チッ。なら貴様も策を講じろ(術を解いて)」
猿田彦「はぁ、はぁ。なんだか、反抗期の餓鬼の相手をしてるみてぇだ」
禍津日神「奴らと一緒にするな。我は万物を創造する神だぞ」
猿田彦「なら『力を使ったらどうなるか』もちゃんと想像しろよ馬鹿垂れッ」
禍津日神「というか貴様、未来予知ができるのではなかったか? なのになぜこんなところで右往左往している?」
猿田彦「熱出て体調崩してんだよ。だから思うように力が出せないんだ。俺が乗っ取り解除したら、由比はお前と二人きりになっちまう。流石にそれは、かわいそすぎるだろう」
禍津日神「風邪か? ちゃんと薬は飲ませたのだろうな? 安静にさせろ戯けが」
猿田彦「絶対言わなさそうな言葉が本人の口から出たんだが」
禍津日神「勘違いするな。我は優しくない。完璧なものを壊すことにやりがい感じるから、ここでくたばって欲しくないだけだ。近い将来、お前ら二人を吸収してやる。本編でな」
猿田彦「はあ。一瞬でも期待した俺の純情を返せよ。とりあえず風邪薬を飲ませたけど、まだあまり効いてねえな。頭が痛え」
禍津日神「数が足りぬのではないか? いっそ全部ぶち込んだ方が」
猿田彦「お前に『優しさ』という感情がないことは、よーくわかった」
~ピーンポーンパーンポーン~
アナウンス「やあやあやあやあ。お久しぶりだね二人とも」
猿田彦「なんだこの声。って、むうじゃねえか!」
アナウンス「だ、誰そいつ。知らないですよ」
禍津日神「カキコ作家・むうを知らないだと? ならば我が教えてやる」
アナウンス・猿田彦「へ?」
禍津日神「むうは17歳、通信高校に通う学生だ。学業と並行して執筆活動を行っている。性格は陰気で思慮深く繊細。これらを三十秒以内にしっかり脳に叩き込め」
アナウンス「短ッ。ていうかマガっち何? あなた、むうのガチ勢かなんか?」
禍津日神「我はむうの創作物だ。ガチ勢ではない」
猿田彦「間違っちゃいねえけど、いいのそれで!? っうぉ、頭が……痛っ、うわっ(ふらっ)」
禍津日神「何やってるんだ貴様は――」
由比「ゴホッ。ゴホゴホッ。ちょっと猿ちゃん、また僕の体乗っ取って、ゴホ」
アナウンス「おっとここで、猿田彦選手、由比選手と交代か―――っ」
禍津日神「実況アナウンスをウキウキルンルンでやるな! 状況を簡潔に説明しろ!」
由比「えーっと、ここどこ。何この部屋。ってか、あなたは誰」
禍津日神「禍津日神だ」
由比「ッ!? (バッと身を引いて)な、何が目的ですか」
禍津日神「我に聞くな。答えは放送者に聞け。此方も突然閉じ込められて、意味が分からぬのだ」
由比「アナウンス?」
アナウンス「由比くんこんばんは。本日の司会進行を務める天の声です」
由比「えっと。むうちゃん、だよね? ひ、久しぶり。ゴホッ。ごめんね、風邪ひいてて」
アナウンス「わ、わたしはむうではないって何度も言ってるじゃないですか」
禍津日神「何故だ。その聞き取りにくい音量と声質。むう以外の何者でもない」
アナウンス「ひどくない?」
由比「ま、まあ。アレだよ、設定だよ。ここは乗ってあげよう(コソッとマガっちに耳打ち)」
禍津日神「……仕方ない。このまま話が進まないのも癪だ(コソコソ)」
アナウンス「あ、じゃあ天の声ってことで。あのですね、今企画で特別編をしてましてね」
禍津日神「今企画って云ったぞ。やはり貴様」
由比「も、もしかしたらどっかの会社の社員さんかもしれないよ! 企画会議とかあるじゃん。き、きっとそれだよ。ねっ(必死のフォロー)」
アナウンス「そ、そそそ、そうだよー」
禍津日神「無理がありすぎる気がするが」
アナウンス「そんで、2人をペアにして、密室に閉じ込めたんですよ。魔法で」
禍津日神「神が扱う力は魔法ではなく神通力だが」
アナウンス「細かいことは置いといて(スルー)。なので今、別の部屋でも君たちと同じように、誰かが閉じ込められてるよ」
由比「な、なんでそんなことを? ゴホッ。」
アナウンス「君たちの連携力を試したくてね。私がお題にクリアすれば、次の部屋の鍵がもらえるしくみになっているよ。順番に部屋を回っていって、どのペアが一番乗りするかっていうゲームなんだ」
禍津日神「我以外にも参加者がいるのか」
アナウンス「ちなみにペアは、コマリ×美祢のボディーガード組、宇月×こいとの秘密共有組、飛燕×飛鳥の双子組、そして君たち妖怪組だね」
由比「そ、そんなに閉じ込めちゃったの? つ、捕まるよっ!?」
アナウンス「ピュアやね君。大丈夫よ、私作者だもん」
禍津日神「………今、自白したな。貴様はもう、むうで確T」
アナウンス「このゲームの作者ってことね!!(必死)」
アナウンス「ということで、クリア頑張ってください~。私はモニターで各チームの様子を確認します。優勝者には豪華特典があります」
由比「豪華特典?」
アナウンス「題して〈視点変更権〉。自分が主役でやる回を、作者に書かせる権利です!!」
由比・禍津日神「やっぱり君(貴様)はむう(ちゃん)では」
アナウンス「天の声です!!!」
next→次回は宇月×こいとペアの様子をお伝えします! 次回もお楽しみに。
★そして今回のお話は閲覧数に応じて、優勝ペアを決めようと思っています。
閲覧数が偶数→美祢ペア、宇月ペアから ランダムに選定
閲覧数が奇数→双子ペア、妖怪組、全員一斉クリア からランダムに選定