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[特別編:最終話]★憑きもんメンバー全員集合!★
禍津日神「なんだ、敵か(技を発動させようとして)」
由比「ちょっ、ちょっと待って!(禍津日神の前に立ちふさがる)」
廊下の通路に取り付けられている扉から顔を出しかけた禍津日神を、白髪の少年が咄嗟に制した。
白色のニットに、薄水色のシャツを着た彼の体は透けており、宙にフワフワと浮いている。
禍津日神「なんだ童。退け。前が見えぬ」
禍津日神は心底嫌そうに肩を回した。
いきなり脱出ゲームに参加させられる、嫌いなものと一緒に同じ部屋に入れられるなど、ストレスの多い展開が今日は続いていた。
これでやっと、自分の本来の目的――敵を排除すること―を行えそうだったのに。
由比「こ、ここで術を発動すると、今戦っている人たちにも攻撃が当たっちゃいます! そうすると、貴方以外全滅する可能性もあります」
俯き加減でボソボソと喋る由比が、珍しく大きな声で話し且つ自分を睨んできたので、禍津日神は目を丸くする。自己主張をせず、相手に合わせるだけの人間だと思っていたが、どうやら違うようだ。
禍津日神「つまり一旦ここは奴らに任せろと」
由比「はい。それに、この話が終わったら本編が再開します。人を死なせるわけには行きませんっ」
禍津日神「成程(なるほど)。確かに。我としても遊び相手がいないのはつまらぬ。貴様の考えには納得できるな」
由比「あと戦いの場では、自分の立ち位置を把握するのも重要です。僕たちが、あの場所でも戦えるかと問われれば……」
美祢「まあ無理だろうな。俺はコマリのボディーガードとして、コイツの隣にいるのが最善策だろう」
コマリ「そうだね。つまり私たちは宇月さんが言った通り、ステイするのが良い」
コマリ「だけど……他の人たちが戦っているのに、何もできないのはなんか嫌だなあ」
宇月たち霊能力者組は、現在もロボット―討伐Gメンロボと対峙中だ。禍津日神の発言のせいで、飛鳥が攻撃を発動するタイミングがずれてしまった。
飛鳥はロボットの攻撃を回避することが出来ず、鉄製のアームによって数メートル先に飛ばされる。彼女が立ち上がるまでの時間を稼ぐため、宇月と飛燕がロボットに立ち向かっていた。
ロボット「ガァアアアアアアアアアアア」
宇月「【操心術!】」
ロボット「!? ……(飛燕の方に向かっていく)」
宇月「よし。って、いだああああああ!!??」
宇月の能力である操心術は、長時間使い続けると頭痛や腹痛を引き起こしてしまうと言うデメリットがある。頭の中を駆け巡る鈍い感覚に、宇月は顔をしかめた。
飛燕「大丈夫っすかセンパイ!?」
宇月「……なんとか……ヒエ、そっち行ったで!」
飛燕「ハイ!」
ロボット「お掃除……しマす!」
飛燕はロボットの攻撃を右に飛んで回避すると、ダッと右足を踏み込んで再び空を舞う。そして着地点が敵の頭上と重なると、両腕を前に突き出した。
飛燕「【謁見】!髑髏!」
シュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!
飛燕が詠唱すると同時に、黒い靄が彼の体から発生する。その靄から出てきたのは、体長約二メートルもある大きな骸骨だった。
骸骨はガシャガシャと骨を鳴らしながら空中から落下。物理的に押しつぶされたロボットの頭部は破損。空いた穴から中の絡繰りが出てくる。
ロボット「ブッ……ブスブスッ……」
飛燕「飛鳥、いいぞ!」
飛鳥「OK(よろよろと起き上がって)BANG!」
飛鳥の指の先から発生したエネルギー砲が、ロボットにトドメの一撃をくらわす。正面から攻撃を食らった鉄の塊は、その後起き上がることはなかった。
★ミッション・コンプリート★
アナウンス(正鷹)「お、やるぅ。みんなお疲れ! これにてすべてのミッションが達成されました! 突き当りのシャッターを上げます。出口はその先にあるから、安心して通ってください!」
霊能力者一同「ふぅー」
傍観者一同「ふわああああああ(感嘆のため息)」
コマリ「すご……すごいよトキ兄! あの人たち、あっという間に敵を倒しちゃった!(目をキラキラさせて)」
美祢「そ、そうだな。あっという間にじゃなかったけど、皆強いな」
コマリ「漫画の登場人物みたい。いいなあ、かっこいいなあ! 後でサイン貰おっかなああ」
美祢「なんで芸能人扱いなんだ。って、そんなに身を乗り出すなコマリ。まだいいって言われてないだろ!」
こいと「はー、何とかなりましたねえ飛鳥さん!わ、わたし上手にできていましたかっ?(飛鳥の体から出る)」
飛鳥「うん。ばっちりだったよ。僕の方こそごめんなさい、無理言って。ありがとうございました」
飛燕「はぁ、はぁ、はぁ。やっと呼び出せた! ったく、見ろよこの手!(両腕を髑髏に見せる)」
飛燕の両腕には、肘から手首にかけて血の線が引かれていた。
飛燕「さっきから貧血でフラフラするし…もっと早く来いや……。炎狐と蜘蛛爺は制限時間切れでもう呼び出せねえし……。なんで今日こんな遅かったんだ?」
髑髏「誰ガ行コウカッテ、モメマシタ」
どうやら、飛燕と契約している妖が、謁見権を競い合っていたらしい。最初に出現した炎狐は周りの意見を聞かず飛び出してしまったようだ。蜘蛛爺は長年の付き合いなので、あっさり召喚できたが。
飛燕「はぁ……って、う゛!?(頭を押さえて)い、痛ッ」
宇月「あ、ごめん。ヒエに術かけてたから、それ解いたんや。どう? 体調とか平気か?」
飛燕「は、はい。なんとか。平気っス!」
美祢「(待って、あの骸骨喋れるんだ。すげえな)」
~憑きもんメンバー、全員でシャッターへと向かう~
コマリ「お、お疲れ様です皆さん! す、すごかったです!(扉から出て)」
宇月「おーコマリちゃん。美祢と恋人つなぎしたんやって? どうや、上手く行ったか?」
コマリ「え、えと、まあ、はい。ていうか宇月さんも壁ドンしてませんでした?」
宇月「あ、あぁー……うーん(目をそらす)」
由比「い、いとちゃんっ! ぼ、僕のこと覚えてるかな」
こいと「!? 由比っ」
由比「ごめんね、いとちゃん。沢山言いたいことがあるけど、伝えるのはまだまだ先になりそう。いつかちゃんと、本編でも話すから」
こいと「ううん、ううん。(ブンブンと首を振って)由比が元気そうでよかった! 待ってるよ、わたしも頑張るからっ」
由比「うん、約束。お互い頑張ろう。指切り」
こいと「ふふふ。また、一緒に笑えますように(小指を重ねる)」
飛燕「あーあ、これ終わったらまた怒涛の毎日だぁ。うわ、冬休みの課題あるじゃん。マジだるいんだけど……しかもACEの研修もあるし」
飛鳥「僕も色々やることが増えそう。はぁ」
美祢「まぁ、たまにはこういう日も悪くないな」
コマリ「そうだね。皆に会えたのも、逆憑きの効果かな。はは、だったら全然嫌な体質じゃないね」
美祢「俺は迷惑してるけどな」
アナウンス(正鷹)「それではみなさん、お憑かれ様でした――っ。次からは本編に戻りますので、またよろしくお願いします!」
むう「只今本編修正中です。ちょっと文章が変わってたりするから、ご了承ください。話の展開はあんまり変わらないから安心してね。それではまた次回! ばいばい!」