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逃走中〜銀河の星のスペースカーニバル〜(完)
作者: MAHOKO ◆lcN4ygzIuM  (総ページ数: 100ページ)
関連タグ: 逃走中 
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〜ミッション6パート4〜

BGM:SEED

ヲタク大王「ようやく片付いたみたいだな・・・。」

まりん「うん・・・。」

たまちゃん「すごく疲れちゃった・・・。」

パワプロ君「あー、しんどかった。」

ゴミ拾いの仕事をやり終えた4人は、地べたに座り込み、疲れ切った体を癒す。彼らによってゴミで散らかっていた会場は、見違える程綺麗になった。

スタッフA(ステラ)「みんなお疲れ様。おかげで気持ちよくカーニバルを開催出来るよ。これはほんのお礼だ。受け取って欲しい。」

全ての作業が一通り終了すると、スタッフは、4人に一粒の飴玉を手渡した。

パワプロ君「飴玉?」

スタッフA(ステラ)「これはギタドロップっていって、疲れた体力を回復してくれる魔法の飴なんだ。」

たまちゃん「へー。」

スタッフが渡したのは、ギタドロップという、体力を回復させる飴玉だった。4人はゴミ拾いで消費した体力を癒すため、飴玉を一斉に食べる。すると、これまでの疲れが一気に吹っ切れたような感覚がした。

ヲタク大王「なんだか疲れがとれた気がする。」

パワプロ君「他のみんなはどうしてるかな?」

まりん「早く手伝いに回った方がいいわね。」

ゴミ拾いの作業を終えた4人は、他の作業をしている逃走者の手助けをしに、ステージのある場所に向かった。

その頃

零「やっと終わった・・・。」

みさえ「こっちも全部配ったわ。」

ビラ配りをしていた零とみさえはスタッフから与えられた分のビラを配り終えた。だが、同じくビラ配りを担当していたリノンの姿は見当たらない。

みさえ「リノンちゃんは来てないみたいねー。終わったらここで打ち合わせって言ったんだけど・・・。」

零「探しに行きましょう。」

なかなか打ち合わせの場所に来ないリノンが心配になった零とみさえは、彼女を探しに行った。少し歩くと、ビラを前に出したままぼーっと突っ立っているリノンの姿が見えた。彼女の前を通っていく宇宙人達は小学校低学年程の身長しかないリノンの姿に気付いておらず、ただ単に目の前をスルーだけだった。その状況を見兼ねた零とみさえは慌てて彼女の元に寄る。

みさえ「ちょっと、何やってるのよ?」

リノン「誰かが受け取るのを待っているだけだが?それは悪いのか?」

零「そんなんじゃ誰も受け取ってくれるはずがないでしょ。」

リノン「ならどうすればいいのだ?」

実年齢が生まれて間もない(生後1年2ヶ月)リノンは世間の仕組みをあまり理解しておらず、どの様に振る舞えばいいか分からなかった。

零「こういう時は、受け取って欲しいっていう姿勢を見せないといけないの。ちょっと手本を見せてあげるから、一枚かして。」

リノンはとりあえず持っているビラの一枚を零に与える。すると、彼女は大声で、道行く宇宙人達に呼びかけ始めた。

零「今夜はみなさんお待ちかねのスペースカーニバル!楽しいイベント盛りだくさん!みんな来てねー。」

零がそう叫ぶと、近くを通る宇宙人の1人が、彼女が持っているビラを受け取った。零は微笑みながら、リノンに話しかける。

零「ほら、こうやってみんなにアピールするんだよ。リノンちゃんもやってみて。」

零から手本を見せてもらったリノンは思い切って周りにアピールしようと声を上げる。

リノン「・・・。こっ、今夜は楽しいカーニバルー。」

思い切って出した彼女の声は、会場内の騒音にかき消されてしまい、通行客の耳に全く届いていなかった。みさえはリノンに声のボリュームを指摘する。

みさえ「まだまだ声が小さいわよ。」

声の注意をされたリノンは先ほどよりも数倍の大きさで叫ぶ。

リノン「今夜は楽しいカーニバルー!」

みさえ「その調子よ。もっと自分を目立たせて。」

リノン「みんな来てくれー!」

零とみさえのアドバイスによって、調子が出てきたリノンは必死で通行客にアピールする。すると彼女の目の前を通り過ぎるだけだった通行客が、次第にリノンの存在に気づく様になり、持っているビラを次々と受け取り出した。おかげでビラはあっという間に無くなり、無事に作業を終える事が出来た。

スタッフC(ルル)「みんな本当にありがとう。これはお礼のギタドロップよ。受け取って。」

零「ありがとう。」

ビラ配りを全て終えた3人もまたゴミ拾いを担当した逃走者達と同じギタドロップをもらった。

みさえ「さて、飴玉のおかげで体力も回復した訳だし、終わってないとこの手伝いに行きましょう。」

ギタドロップの効果で疲れを癒した零とみさえは他の逃走者達の作業の手助けに向かおうとする。ところが、またもやリノンの姿が見えない。

零「あれ?リノンちゃんは?」

気になって辺りを見回すと、リノンはスタッフにご褒美のギタドロップの追加分をねだっていた。

リノン「キャンディがもっと欲しいのだが。」

スタッフC(ルル)「これ以上あげられないよ。」

零・みさえ「リノンちゃん・・・。」

こうしてゴミ拾い・ビラ配りの作業を終えた逃走者達は、未だに作業が残っている逃走者達の援護に向かって行ったのだった・・・。

(続く)

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