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ナイトメア・サバイバル
作者: Kuruha ◆qDCEemq7BQ  (総ページ数: 34ページ)
関連タグ:  学園 殺人 
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10~ 20~ 30~

*15*

Episode14 『発見 -DiscoverY-』
 9月12日(水)12:29/綿原 言音


 見つけた。

 やっと見つけた、藍くん。

 良かった。生きててくれたんだね。

 ……だけど、だけどね。




 だれ? その女。




 え、知らない知らない! だれ!? だれだれだれ!! 藍くんの隣にいる藍くんと喋ってる藍くんが笑ってる藍くんが!

 何で藍くんと一緒にいるの? 何で藍くんと喋ってるの? 何で藍くんと笑ってるの? 何で藍くんなの? 他にもいるんじゃないの? 何で何で何で!?

 あたしはその場に立ちすくんだ。せっかく藍くんに会えたのに、あの女のせいで話しかけられない。

『一時間が経過いたしました。強制退場システムが作動します』

“ゲームマスター”ではない、無機質な声が鼓膜を震わせる。そして、断末魔。

『これで残り73名となりました。これからも神を退屈させぬよう、よろしくお願い致します』

 残念なことに、あの女は死ななかった。死ねばいいのに。

 でも藍くんも死ななかった。それは嬉しい。だってそうじゃないとあたしの存在意義がなくなっちゃうし。廣田くんも可哀想だ。

 とりあえず、あの女と藍くんをひき離さないと。あの女は藍くんを裏切るに決まってる。藍くんは優しいから、罠に嵌まっちゃったんだよね。

 じゃあ、優しい藍くんに代わってあたしが裏切り者を殺してあげる。そうだ……殺さなきゃ、殺さなきゃ。殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ!

 あたしのいるところから、藍くんまでの距離はおよそ10m。武器はカッターだけ。どうしよう。投げる? 毒のあるほうなら、少しかするだけでも殺すことができる。でも、あたしの力で上手く飛ばせるかどうか。チャンスは一回きり。……リスクが大きすぎる。

 結局、直接殺るしかないのかと、肩を落とす。それでも、藍くんのためだと、二人を追いかけた。

「あの……っ」

 思いきって声をかけてみると、二人とも驚いた様子を見せながらもこちらに振り返った。

 あたしは背中にカッターを隠し持ち、チキチキと刃を晒した。

「えと、あの……とりあえず、――死んでください」


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