完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

ナイトメア・サバイバル
作者: Kuruha ◆qDCEemq7BQ  (総ページ数: 34ページ)
関連タグ:  学園 殺人 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~

*25*

Episode23 『神 -GoD-』
 9月12日(水)14:11/藤貴 杁夜


「っ!?」

 ナイフを振り下ろそうとしたその瞬間、それは細かい粒子に成り変って、手元から消えてしまった。

「え……?」

 見れば、安城の持っていた短機関銃も、同じようになくなってしまっていた。

 ……どういうことだ?




『お疲れ様。ここまで残ってくれた者達よ!』




 いきなり、スピーカーから漏れ出す声。例の“神ノ使い”の不吉な声ではない、子供のような声だった。

『ボクが神。この≪ゲーム≫の主催者だよ』

「な……っ」

「どういうこと……? こんな子供が?」

 同様に立ちすくんで傷口を押さえている安城が、困惑した声を上げた。

『みんな楽しんでもらえたかな? とりあえずボクは満足したよ。ありがとう。今この≪夢の世界≫にいる人間は君達11人だけだ。おめでとう。君達は勝ったんだ』

 終わった。ということか?

『一年B組、鎌滝彩月。一年C組、高以来柚麻。一年D組、日田伊毬。二年A組、波賀累人。二年B組、秋笠藍。二年B組、我妻叶葉。二年C組、安城璃子。三年A組、堀内維斗。三年B組、泉堂楓樹。三年C組、藤貴杁夜。三年D組、今原りよ。以上11名が、第一ラウンドの勝者だね』

 ……第一ラウンド、だと?

『では第二ラウンドを始めるよ! これは夢を叶える人を決める≪ゲーム≫。一応、誰かを傷つける必要はないよ。まあそれは君達しだいだけどねっ』

 そう言って、自称神――いや、多分本物なんだろう、はけらけらと笑った。





 第二ラウンドの≪ルール≫。それは、一時間以内に校内にある11個の拳銃を探し出し、全員一斉に自分を撃て、というものだった。

 一つは神の元へ、残りは現実へ還れるらしい。

『見つけられなかったら、そうだなぁ……。現実でも死んでもらおうかなっ』

 なんて、恐ろしいことも言っていたが。

「……決着、つかなかったですね、先輩」

「ん。あぁ……」

「とりあえずあたしは、拳銃探しに行くことにします。死にたくないし。それに当たりが早い者勝ちなら、取られないうちに見つけないと。それでは」

 言いながら、安城は僕のもとから去っていった。

 ……僕も、探さないとな。




 9月12日(水)14:15/秋笠 藍


 叶葉は死にふしている久留米に何か言っていたようだが、内容は聞き取れなかった。その最中、放送は流れてきた。

『では、また一時間後に!』

 言音と久留米の身体が消えないうちに、俺たちは拳銃を探すために動き出した。

「よくよく考えりゃあ、ここで死んでも現実で死んでるわけじゃないのか」

「さっきまでは、ね。それに、大切なものが自分の命だったりしたら、死んでるかもしれないし」

 それを聞いて、俺はふと国吉のことを思い出した。あいつの大切なもの……。

「あ、あった」

 意外と早く、一丁目は見つけられることが出来た。廊下に落ちていたのだ。

「私が見つけたから私のものね。さ、早く藍のも探しましょ」

 急ぎ足な叶葉に手を引かれて、俺たちは校舎内を徘徊し始めた。


24 < 25 > 26