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ナイトメア・サバイバル
作者: Kuruha ◆qDCEemq7BQ  (総ページ数: 34ページ)
関連タグ:  学園 殺人 
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10~ 20~ 30~

*7*

Episode6 『他殺願望 -Be killeD-』
 9月12日(水)10:30/綿原 言音


 あと一時間。それだけ経ったら、殺されちゃうの? 藍くんじゃない人に?

 ――冗談じゃない。

 藍くんを探そう。そして藍くんに殺してもらうんだ。



 愛してるよ、藍くん。



 9月12日(水)10:45/藤貴 杁夜


 校舎にいる人間が多くなった?

 最初はただの勘だったけども、その考えはすでに確信に変わっていた。……一体この15分間で何人殺したことか。

 生徒の大多数は体育館にいた。それがバラけて校舎に入ってきたというなら、納得はいく。でもどうして?

 僕は殺すのが楽しくて、わざわざ自分が殺されるかもしれないというリスクを孕んだ校舎内にとどまっていた。もちろん僕みたいなことを考えてるやつなんか一人もいないだろうけど。それでも百数十人は確かに殺し合っていたまずだ。

 そんなちゃんとした目的を持ってためらいなく殺しをしているようなのばかりいた場所が、今ではびくびくとおびえながら武器を持つやつらで溢れている。


 ――ほら、まただ。


 学年の色である赤いネクタイをつけた一年生の男子が、僕の目の前を歩いていった。無用心に回りも確認せずに。手には拳銃があり、心なしかおびえているようにも見えた。きっとこいつも増えたやつらの一人なのだろう。

 にしても、拳銃はやっかいだ。リーチがある分、僕のナイフよりも安全に人が殺せてしまう。

 僕は気付かれないように忍び足でこいつの背後に立って、その後輩君の肩を掴んで床に倒し、乗りかかって胸倉を掴み挙げた。

「ねぇ、ちょっと、聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 なるべくいつにも増された笑顔で聞いてみた。ナイフを首にあてて、逃げられなくするのも忘れない。

「は、はい……。なんでしょう、か……っ?」

 ますますおびえる結果になってしまったけど、まあいいか。

「なんで体育館にいるはずの安全圏にいたい生徒達がここにいるの? 校舎内は今や阿鼻叫喚の地獄絵図の真っ只中なんだけど」

「それは……、“ゲームマスター”が、あと一時間以内に一人も殺さなかったら、強制退場させるって、体育館を封鎖しちゃったから……です」

 ふぅん。そういうことか。

 確かに、せっかく学校全体で殺し合いさせようってんのに、その過半数が参加しないんじゃ面白味なんてありゃしない。

「そっか。うん、ありがとね」

 僕はナイフをどかして後輩君を開放してあげる。僕の手につかまって立ち上がった後輩君はどこか安心したような顔をしていた。

「あ、じゃあ俺これで……」

 そそくさと走り出す後輩君。でも、逃がしてやる僕でもない。

 階段を下りようとしているところで後輩君に追いついた。その背中を思いっきり押してやる。

「あれ……っ?」

 素っ頓狂な声をあげて階段を転がり落ちていく後輩君。打ち所が悪ければこれで死ぬだろうし、そこで痛みにもだえていたらどの道誰かに殺させるだろう。僕はその姿にむけてあっかんべーをしてやった。




 じゃあね。さようなら。

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